藤井崇治の発言 (商工委員会)

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○参考人(藤井崇治君) それではこちらにいただいておりまする説明を求める事項という、この問題につきまして、順序を追いまして、簡単に御説明申し上げます。
 昭和三十年度はおかげをもちまして佐久間、糠平、足寄、西吉野第二、各発電所四十四万五千キロワットが運転を開始する運びになったのでございます。これによりまして、三十年度末における当社の発電出力は、既設の胆沢及び東和両発電所と合せまして、合計出力四十八万七千キロワットとなるのでありまして、継続工事及び熊野川、奈半利川を含めまして、合計の計画出力百六十三万五千キロワットに対しまして、約三〇%を開発することになったのでありまして、当社の建設もようやく本格的な段階に入るわけでございます。これらの工事は明年はその頂点に達するものと存じております。
 三十年度の事業計画につきましては、本年度に完成します四つの発電所、及びこれに関連する送変電工事に重点を置きまするとともに、一方三十一年度以降に完成を予定いたしておりまする只見川水系の発電所、及び天龍川の秋葉発電所、それから庄川水系の御母衣発電所の工事につきまして、今後電力の需給の均衡に貢献するように計画いたし、着々実行に移しておるのであります。
 しこうしてこれに必要な本年度の資金はすでに決定を見ました財政投融資の三百八億五千万円と、市中借入金、外貨、その他合せまして、最小限度三百六十億円を必要とするのであります。
 明三十一年一度の事業計画につきましては、目下政府に提出いたしておりまするように、総資金は四百五十五億円を必要とするのでありますが、そのうち財政投融資としてぜひともお願いいたしたいと存じておりまするのが、三百八十六億円を期待しておるのでございます。これらの資金は田子倉、奥只見、秋葉、御母衣などの各継続工事を施行いたしまするとともに、二十九年度に電源開発調整審議会において開発地点として決定を見ました熊野川、奈半利川面地点の工事着手準備を予定しておるのでございます。継続工事につきましては、すでに仮設備を完了するか、あるいはダム本体の掘さく等の本工事に着手しておる地点もございまして、工事は予期以上の進捗を示しておりまするから、資金効率の面からも、また予定される工期を確保する上からいたしましても、どうしても明年において先ほど申しました四百五十五億円の資金が要るわけでございます。で電力需給につきましては、電源開発の進捗によりまして著しく需給は改善されてきたのでございまするが、しかし政府の経済計画に基きまする見通しによっても、今後の電力需給は依然として堅実かつ旺盛に増加する見込みでございまして、電源開発の必要はいささかも減じていないのであります。また目下電力会社が建設しておりまする新鋭火力の合理的運営の上からも当社の開発する大規模な貯水池式発電所の一貫運営が前提となっておるのでありまして、このために当社の建設が非常に急がれておる次第でございます。当社の営業につきましては、佐久間発電所の運転によりまして本格的軌道に乗るわけでありまするが、今後さらに引き続き他の大規模かつ困難な地点の開発を行いまして、しかも良質で安い電力を生産するためには何よりも完全な工事と低利の資金が必要でございまして、これらの目的はまた、当社の設立の趣旨でもあると存ずるのであります。こういうわけでございまして、政府の当社に対する積極的な財政投融資を切望いたす次第でありまするが、財政投融資につきましては量的な確保はもちろん必要でありまするが、特に政府出資分の増加をはかっていただきまして、資金コストの引き下げに格段の御配慮をお願いいたしたいと存ずる次第であります。かりに今後相当量を市中金融をもってまかなうといたしますれば、電気料金の高騰を招くことは申すまでもないのでありまして、年々このほかに元利の償還支払いに追われまして、営業はもちろん建設にも非常な支障を来たすのでありまして、ひいてはそれが当社設立の意義を疑わしめることになるおそれがあると存ずるのであります。もちろん政府財政の状況に応じまして不幸にしてかかる事態になることもあり得るかとも思いまするが、もしそういう事態になった場合におきましては、料金を安くするためには特別な政策が持たれることが必要になってくるかとも存じまするが、営利を目的としない国策会社でありまする当社の性格にかんがみまして、そういう場合に逢着いたしましたときには、何か特別の政策を立てていただくことをお願いしなければならないと存じておるのであります。
 以上ごく簡単でございまするが、三十年度の電源開発の実績状況と、三十一年度の電源開発計画とその資金の状況を申し上げた次第でございます。
 なお後ほど御質問にお答えした方がよろしいかとも存じまするが、つけ加えて説明さしていただきます。
 実は皆様方からかねがね電源会社の資金の問題につきまして格別の御配慮を願い、なお今日におきましてもいろいろ御心配をいただいておることは私とも感謝にたえないのでありまするが、その状況につきまして概略申し上げておきます。
 本年度の当社の資金は御承知のごとく財政投融資としてきめられた額が三百八億五千万円、この内訳は政府出資が三十億円、それから余剰農産物の見返り円が百八十二億五千万円、預金部資金が九十六億円、こうなっておるのでありますが、そのほか当社のでき上りました発電所の収入等が約十五億四千万円ばかりございます。さらに大体話を進めておりましたり、あるいは外国の、これは主として日本に支店を設けておる外国銀行でありまするが、そういう方面からの借り入れ交渉の大体済んでおるものが三十一億七千万円ほどございまして、合計三百六十億五千万円ばかりのものを使う予定にいたしておるのであります。ところが今日までの実績を申し上げますと、政府出資はいち早く御出資願ったのでありまして、これはもう本年度の当初にいただいて使ってしまったのであります。ところがその後余剰農産物の見返り円の入り方が非常におくれましたために、今日までのところ、今日というのは十月末でございまするが、十月末までのところ余剰農産物の見返り円は玉十七億六千万円使わしてもらっておる程度であります。その他の当社の収入は六億三千万円ほどでございまして、相当資金に窮屈を来たしておるのであります。従ってその金のやりりくをどういうところに求めたかと申しますと、預金部資金を一時拝借することにいたしました。預金部資金は先ほど申しましたように、本年度中に九十六億円拝借することになっておるのでありまするが、それをすでに百十六億五千万円拝借いたしまして、これは借り越しになっておるのであります。しかしこれはやがて余剰農産物の見返り円が入ってくるに従いましてこの方は逐次減らして行くことになっておるのであります。
 かようなわけで、今日までのところ資金として二百十億四千万円というものを使っておるのであります。ところが現実に使っておる金は二百二十五億二千万円ばかりでございまして、差引十四億八千万円ばかりの資金の不足を来しております。この問題につきましてはあるいは支払いの繰り延べとか、あるいは建設業者の立てかえ払いというようなことによりまして一時をしのいでおりまするが、最近余剰農策物の方の見返り円等の資金も入ってくるようになっておりまするので、これはやがてそういうことは解消すると思っております。もちろんそういう場合におきまして金利等については私どもの方も業者に迷惑をかけないような措置は講じつつやっておりまするが、そういうことをやっております。
 なお市中銀行からの借り入れも三十億円ばかりのものをいたす必要は存じておりまするが、今日までどうしてやっていないかというと、まあ金利が預金部資金等に比べますと相当高いので、なるべく金利等の節約をする意味におきましてこういう金利の高いものは年度のなるべくおそく借りるようにして資金効率をよくしようと、こういう考えからかような措置をとっておる次第でございます。
 それからその次の、今度は電源開発会社の運営に関する件でございまするが、この問題につきまして次に御説明申し上げたいと存じます。申し上げるまでもございませんが、当社はその使命並びに性格におきまして、普通の民間の他の電力会社のそれとは根本的に違っておるのであります。御承知の通りに、民間会社では開発することが困難であり、適当でないと認められるところの大規模な開発困難な地点を、国家資金をもって開発する、そうしてできるだけ良質低廉な電力を作って電力会社に供給するというのが、この会社ができた目的であることは法律に記載してある通りでございます。従いまして当社の建設所要資金は、その大部分を長期低利な国家資金でまかなうことがこの趣旨に沿うゆえんと考えるのでございまするが、このような国家資金による当社の開発成果は、同時にひとしくこれを国全体に還元すべきものであると考えておるのであります。当社はかような使命を達するために、完成後の発電設備は引き続きましてこれを当社において所有し、また当社の主要電源相互間を連係いたしまする送電線、あるいは大きな需用地に対するところの送電線を当社が建設し、これを自分の手で運用して電力会社に卸売をすることが最も妥当であると考えておるのでありまして、現在のところ、そういう方針ですべての計画を進めております。また当社は単に電源の開発並びに電力の供給を行うばかりでなく、将来はこの目的を円満に遂行させる必要上直接必要な付帯事業も行わねばならない場合も生ずるものと考えておるのであります。これはたとえていえばどういうことかといいますると、水源地の涵養、涵養林の培養、といったようなことでございまして、こういうようなことはどうしてもやらなきやならないときがくるのではないかと考えておるのであります。なお当社は独創性を発揮しまして金企業能率を上げるためには、公社であるという御意見もありまするが、今のところやっぱり株式会社の形態がよろしいのではないかと、かように考えておる次第であります。
 次に当社の設備の建設方針でございまするが、まず発電設備について申しますると、当社は当面水力電源の開発に重点を置きまして、大規模困難な地点、国土総合開発の一環として開発すべき地点、経済的、社会的ないしは技術的に総合的に開発せざるを得ない地点、地域的電力需給の調整に必要な地点、かような所をねらって開発を行なっていくべきものであると考えておるのであります。しこうして電気料金の長期安定化のためには、どうしても大規模な水力地点の開発が、たびたび申しまするように低利な国家資金をもってする当社がもっぱらこれな相一当することが最も合理的であろうかと考えておるのでありまして、そういう見地から一応の建設目標を次のように立てております。すなわち昭和三十年度末までに約五十万キロワット、三十五年度末までに約百五十万キロワット、これは累計でございます。昭和四十年度末までに三百万キロワット、こういうことを一応の現在の目標といたして計画を立てておるのであります。で、この場合当社の開発は国家資源的な見地から、将来に悔いを残さないような最も適当な規模とすることが必要であると存じまして、そのためには当社におきましても積極的な水力調査々行いまして、みずから進んで計画を立てて、これを実行に移していただくように政府当局の方にもお願いを申し上げていきたい、かように存じております。当面の建設方針といたしましては、現在継続工事中ないしは着手準備中の百六十万キロワットを予定の工期内に完遂することに全力をあげておるのであります。また当社は、水力電源の開発と合せまして、将来は今、朝野の問題になっております原子力発電でありまするが、これも行うのがよいのではないかと考えております。特にパイロット・プラントは民間会社で建設することは非常に困難な場合がございまして、どうしても巨大な国家資本を必要とする必要がありまするので、当社の性格上、これを当社が担当することが適切ではないかと考えておるような次第であります。
 それから送変電設備でありまするが、当社はもとより電気の小売をする会社ではないのでありますが、当社の発電力の効果的運営をはかりまするためには、主要な電源相互間を連係する送変電設備、あるいは大需用地相互間を連係するところの超高圧の大容量送変電設備は当社がこれを建設せざるを得ないのではないかと考えております。
 次に当社の運営方針でございまするが、設備の運営方針につきましては、当社は自分で給電指令をいたしまして電力の卸売を行い、全国の地域的の需給の調整と全電力系統の合理的経営、経済的の運営に寄与したい、貢献したい、かように考えております。もちろんこの問題につきましては、九電力相互間でいろいろお考になり、やっておられるのでありまして、私どもは側面からそういうことの協力をしたい、かように考えておる次第であります。また国土総合開発の一環といたしまして、発電設備はその総合開発効果が十分発揮できまするように運営する考えでございます。現にこういう問題につきましては、関係のあるいは建設省、農林省方面ともよく打ち合せまして、貯水池の有効利用について万遺憾なきを期しておる次第でございます。
 次に営業方針でございまするが、当社は前にも申しましたように、電力会社に電力の卸売を行いまするが、その場合、電力配分は電力需給状況に応じまして効率的運用が可能なように配分いたしたいと考えております。
 次に、当社の卸売料金は可能な限り、できる限り低廉で、電気料金の長期安定化に寄与し、当社の卸売料金を通じまして、全国の電力会社及び需用家に何らかお役に立つようにしたいと考えておるのであります。しかしこの場合といえども、当社の卸売料金は、原則として、全体としては総合原価をまかなうものでなければならないと考えております。しかしながら、建設の初期では全国を総合するというわけにも参りませんので、あるいは水系別にあるいは地点別の発電原価に関連いたしましたところの送変電原価を加えまして、そういう料金で卸売をせざるを得ないと存じております。なお必要に応じましては、特定地域に対しまして政策料金を適用せざるを得ない場合もあると思いまするが、この場合といえども、資金コストを割らないということはこれは事業運営上必要ではないかと存じておるのであります。しかしこの政策料金につきましては、これは一に政府御当局の御方針によるものでありまして、政府の御方針に従ってすべてのものがきまって参るのでありまして、ただいま具体的にどうということを申し上げるわけには参りません。その点は一つ御了承願いたいと思います。
 最後に資金の調達方針でございますが、当社の開発資金は政府出資によるべきものでございまして、不足分を政府の融資によるのが至当かと考えておるのであります。当社の設立の趣旨あるいは経緯にかんがみましてもこの点は特に皆様の格別の御配慮をお願いいたしたいと存じております。まあ運営形態につきましては大体かような考えで参っております。最後に佐久間発電所の電力配分と料金問題、そういうことが議題になっておるようでございまするが、佐久間発電所につきましてはおかげをもちまして大体予定の工事進捗状況を示しておりまして、約二カ月間当初の予定よりはおくれましたが、水没いたしまする飯田線のつけかえも明日開通式が行われる段取りに相なりましたので、これから水をためる作業に移るわけでございまするが、すべてができ上りますのはもちろん明年の夏になりまするけれども、完成以前に相当な水もたまり、営業運転に入り得る状況になっております。それで目下これが配分につきまして関係会社と折衝中でございまするが、もちろんこれは最後的には政府並びに電力調整審議会の御決定によることでございまするが、われわれ当局者の考えといたしましてはこの電力は東京電力と中部電力、この両社に供給する予定でおります。世上伝えられておりまする点で、この点一つまあ誤解のないようにこの際御説明申し上げたいと思っておりまするが、まずあの設備は最大電力三十五万キロでございまするが、これを東京及び名古屋に送りますために二十八万ボルトの超高圧送電線を建設いたしまして名古屋と東京にそれぞれ東京には最大二十四万キロ、名古屋には最大二十七万キロの変電設備を建設いたしております。これはほとんどもうでき上っております。この使い方につきまして半分に分けるということが伝わっておりまするが、これはさようなことにはしないで設備の最大限度におきまして使い得るようにいたしたいと、かように考えております。すなわち名古屋の需給状況が非常に悪い場合においては名古屋方面には最大二十七万まで送れる、東京方面が非常に悪いときには二十四万キロまで送れる、こういうふうにしたいと思っております。よく世上折半するのだというふうに、折半というと十七万五千キロしか送れませんが、かような機械的な配分はしないことになっております。
 それからもう一つ電力の分け方でございまするが、いろいろ今検討中でございます。検討中でございまするが、まずやはりいろいろの需給の状況等を勘案いたしまして、まず大体年間を通じまして半々ぐらいに東西にキロワット・アワーで分けるという結果になると思うのであります。ただ冬季間の、十一月から二月までのこの渇水期の補給用の電力につきましては多少その配分が変るかもしれません。大体東西の両方の需給状況を考えましてせっかく折衝中でございます。ただ何か裏融通をするようなことが伝えられておりまするが、そういうことはおもしろくございませんので、私の方は直接東京あるいは中部電力にそれぞれ売る料金はその通りに売るつもりでありまして、それをまた裏でいろいろやると複雑な手数をかけると、こういうようなことはなからしめるつもりでございます。この点は多少誤解があるかと思いまするので蛇足ではございまするがちょっとつけ加えさせていただきます。
 なお料金問題でございますが、料金問題は先ほどちょっと触れましたように全国的な総合原価ではじくわけに参りませんので、おそらく暫定措置といたしましてしばらくは別の考慮に立たなければならないと思っておるのであります。この料金の問題は先ほど申しましたような、あるいは地域的、あるいは河川別の総合原価というようなことを基礎にいたしまして目下検討中でございます。まだこの料金の問題については関係方面と折衝する段階になっておりません。さよう御了承願いたいと思います。
 以上ごく大ざっぱでございまするが、大体お示しになっておりまする質問事項の大要を御説明申し上げました。

発言情報

speech_id: 102214461X00519551110_007

発言者: 藤井崇治

speaker_id: 14904

日付: 1955-11-10

院: 参議院

会議名: 商工委員会