松根宗一の発言 (商工委員会)
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○参考人(松根宗一君) 私からそれでは九電力側のお話を申し上げます。今日は会長の菅がちょっと神経痛でまいっておりまして、私かわりまして一応御説明申し上げたいと思います。
御質問のことに直接お答えします前に、大体電力会社がどういう考えでやっておるかということを概略まずお聞き取り願いますことが、いろいろ御理解を願います上に早いのじゃないかと思いますので、簡単に今九電力としまして考えております考え方を一応お聞き取り願いたいと思います。
一番問題になりますのは、電気を豊富に作っていくという一番大事なことと、それがあいにくとだんだん作れば作るほど高くなるというこの矛盾が今一番電気事業者にとりまして悩みの種なんであります。と申しまして、その電気を作ることを抑制するわけにも参りませんし、一方料金を上げるということは、基礎産業である公益事業の立場から、なかなか許されないので、何とかして原価の高騰を抑えようということを先般来いろいろ業者の間で研究いたしました結果、この五月に大体九電力の基本方針というようなものを打ち立てまして、自来その方針にのっとりましてやっておりますわけでございます。この料金をどういうふうにして安定さしていくかという今の問題なんでございますが、まあわれわれの方として三つ実は方法を考えております。
一つは、従来の水火力の開発の方式を変えまして、大きい容量のダムをピーク・ステーションにいたしまして、最近非常に進みました新鋭火力にベースロードを持たせるという従来と逆の方式をとりたい。これによりまして相当の原価の高騰が抑制され得るという確信を得ましたことが一つの安定策の一方途なんであります。これはさっき藤井さんからもお話がございましたが、特に最近外国の大きな火力が、石炭の消費が非常に少いものができ出すようになりましたことが、一つのこの式の編み出されたことでございまして、もう一つ先を申しますと、原子力発電になりました場合も同じような将来が考えられるのじゃないかというようなつながりも持っておるわけでありますが、この方式にのっとりますと、火力の方は九電力側で皆やりますわけでありますが、大容量のダム式の水力は主として電発さんにお願いいたしますことになっております関係で、こいつが時期的にも容量的にも一致してできませんと、この新しい方式の運営はうまく参りません。そういう意味におきまして、特に最近は電発さんと非常に緊密な提携をいたしまして、将来とも共存共栄の立場でやっていかなければならぬという必要度を非常に増しておるわけであります。
それからもう一つは、一般的にコストを下げます問題でございますが、これはまあ大きな問題を取り上げてみますと、送電上のロスの軽減をしようという問題。それから各社門の電力の融通を強化いたしまして、余ります水が極力少いように、これを有効に使いたいという問題。もう一つはこの新鋭火力を入れますことによりまして、石炭の消費数を非常に下げていく。こういうふうないわゆる一般的な企業努力により原価の高騰を抑制する方策を着々今やっております。それぞれすでに実績が上って参っております。
第三番目は、この電力原価の一番大きい二割内外を占めております資本費の軽減の問題でございますが、これをどういうふうに抑制するか、どういうふうに吸収するかという問題なんでございますが、いろいろ工事上の問題につきましては、工事の機械化によりまして期間を短縮するとか、これは極力今やっておりますが、建設費の低下についてはこれはかなり非常な影響を持っております。
それからもう一つの問題は、非常にこのごろ膨大になりました補償費の問題でございますが、大体平均いたしまして総建設費の二割程度を今占めておる状況でございますが、との問題につきましてはほかの方面にも同じような問題があるようでございますが、特に大きなダムを作ります場合に埋没面積がふえますために、この問題がいつも工事費の増大と、工事期間が延びます。ともにこれは建設費が高くなります要因になりますので、いろいろ立法措置も考えられておるようでございますが、特にこの席で皆様の御高配をお願いしたいと存じておる点でございます。
それから次に金利の問題でございますが、大体われわれの方で先刻申し上げたような六カ年計画というものを立ててみましたのでありますが、この間に電発さんのお作りになる以外のものとしまして約四百八十万キロの水火力を作らなきゃいけない計算になりますわけであります。これに要します金が六カ年で七千三百億、年に千二百億見当でございます。このうち大体われわれの考えといたしましては、増資を六、七百億と、それから開銀資金を二千九百億、年額にいたしまして三百五十億くらいを期待して計算を立てておりますわけであります。これが最近は一般金利はだいぶ低下して参りましたこと、これは非常に電気事業といたしましてはいい影響を与えております。この点につきましてはなお後段開銀資金削減問題のときに詳しく申し上げたいと思います。
ともかくも以上のような措置をいたしまして全力をあげますと大体電力原価はどれくらい上るだろうということを計算いたしてみますと、在来考えておられたのは約二割見当値上げになるのじゃないかというのに対しまして、一割弱くらいで六カ年の値上りが抑えられるのじゃないか、われわれの立てましたことをやりますれば一割見当で抑えられるのじゃなかろうかというようなおよその想定が立ちましたわけでございます。なお、この一割の高騰もなお企業努力なりで吸収して行きたいというその上のことをいろいろ考えております。が、なかなか企業努力も限界がございまして、むしろこれは最も大きい問題は今後の金利の低下というような問題が非常に大きなわれわれの期待になっておりますわけであります。もちろんその間この税金等の措置につきましても、いろいろ特別の御配慮を願わなければいかぬ点もあると存じますが、これを要しまするにこの一割近い高騰を何とかできるだけ吸収する、もし値上げをしなければいかぬといたしましてもなるべく値上げの期間を先に延ばしていきたいというふうに懸命に努力いたしておりますわけであります。幸いここ数年今申し上げましたいろいろの企業努力の結果も生まれて参りましたし、また非常に天候的に豊水にここ数年恵まれまして社内留保もややふえて参っております。これらのものはあげて今申し上げましたような原価の上っていくことの吸収に用いまして、結局においてこれを需用家に全部還元する、別に増配もしませんという考えでやっておりますわけでございます。ところが最近この開銀の金が削減される、これは政府の資金上にもよることでございましょうし、あるいは一面この異常な金融緩慢という問題と両方からみ合いましてそういう議論が出ておるようでございます。一体これはどういう影響を与えるだろうかということになるわけでございますが、簡単に考えますと開銀がかりに百億減るという金利の差と、全体的に民間金利が下ります率と、これを比較いたしますと確かに民間金利が下ります方が多いのでございます。先刻申し上げましたように、民間金利の低下ということは、実はわれわれの方としては一割の原価の上ることを吸収する上に実は見込んでおりまして、実際から申しますと開銀に民間資金が振りかえられることによる金利の増がその吸収率を落すという実は結果になるのでございまして、これを大体換算いたしますとこの六カ年計画をやりました三十五年におきましては年額三十億ぐらいの金利の増が開銀資金に振りかえられますとそういうような計算になるのじゃないかと思います。なおこの金利の問題は別といたしまして、電気事業というのは一つの工事が三年も五年もかかりますような長期にわたります関係から、今年は金があるからやる、来年は金がないからやらぬというわけに実は参りません。それは結局工事費が高くたることになります。どうしても資金源というものはある程度計画的にこれをつかんでいきませぬと実施が非常にむずかしい問題を生じますのは、ちょうど船であれば今年は金があるから三十ぱい作る、ないから今年は十ぱいにしておこうというわけにいきますが、電気の場合は先ほど申し上げましたようなことで、なかなか金が長期にわたって継続しますので、非常にその間の事情が違います。今年のごとく年の暮れも近くなりまして巨額な削減を受けますことは、もちろん一方に非常に民間の金融がゆるみました事情があるにいたしましても非常に計画が狂いますし、特に今回の金融緩慢ということが長期の計画を必要とする磁気事業の立場から見まして一体いつまで続くのか、われわれの過去の経験に照らしてみましても、そうなかなかいつまでもこういう状況は続くとは考えられません。そういう際に一体電気事業はどういうふうになるのか、まあそういう際は政府資金がまためんどうを見るという話も出ておるようでありますが、非常にそういう不安定な状況に置かれますことは電気事業の性質といたしましても因るのであります。でありますから政府の事情もわからぬではございませんが、どうしても政府資金がなければ電気事業がやっていけぬということではございませんが、やはり計画的に遂行さしていただきますためにはあまり急激な削減をやられますと結局電気事業はうまく進展しない、同時にそれがある経度原価の高騰にはね返っていくということも十分御勘案願いたいと存ずる次第であります。
なおもう一つここで付言いたしておきたいと存じますのは、われわれが立てました六カ年計画の四百八十万キロの開発にいたしましても、実際の需給状態はどうかと申しますと、実は、ぎりぎり一ぱいの供給でございまして、たとえばこの夏のようなちょっとの渇水でも、火力設備もすべて動員いたしましてなお一部には供給の制限をしたければいけないというようなほとんど全力のない供給状態なんであります。従いまして戦前程度の安定した良質の電気を供給するということは、これはむしろこれをお使いになる側からいいまして、私は非常に必要なことじゃないかと思うのでありますが、そういうある程度の余裕、たとえば五%くらいの余裕を持たせるということになりますと、さらに百五十万キロくらいの予備設備が要るようになるわけであります。必ずこれはすべてのものが安定して参りますと需用家からも要望される状態になります。これらのことを勘案いたしますと、今の開銀資金の問題も簡単にもう電気はいいのだということはぜひ一つ認識を改めていただきたいと存じます。
大体九電力の立場でどういうふうなやり方をしておるか、どういうふうに考えておるかということは以上の通りでございますが、御質問の中身につきましてこれに当てはまるようなお答えを申し上げたいと思うのでございます。
三十年度の電源開発はどういうふうになっておるかと申しますと、九電力側におきましては継続工事が水力で六十二万キロ、火力で七十二万キロ計百三十四万キロでございます。なおこれに新規工事といたしまして水力が二十七万キロ、火力が四十七万キロ合計七十四万キロをやっております。そういたしましてこれが今年度中に竣工いたしますものが水力が三十五万キロ、火力が六十五万キロ計百万キロでございます。これに要しまするお金は約手二百億でございまして、これをどういうふうにまかないます計画かと申しますと、増資分が約五十億、開銀融資、これは今度減らされそうで、今までに決定いたしておりますものは約二百八十億、民間社債で百五十億、興長銀その他民間金融から借りて参りますものが四百億、あと三百億程度のものが社内保留、つまり減価償却その他の社内保留ということになっております。計千二百億という数字に相なります。
それから次に三十一年度の新規開発計画でございますが、これは実はまだはっきり確定いたしておりません。おそらくこの年末か来年平々の電力審議会で決定するわけでございますが、大体申しまして今申し上げたような数字にほぼ大差ないと存じます。その際に要しまする金が約千三百億、これにつきましてはわれわれの方の計画といたしましては、先刻申し上げましたように開銀に三百五十億、増資に百億、民間の社債、銀行借り入れに六百億、社内保留に三百億というような大見当の見当をつけております。開発数字につきましてもほぼ三十年度と大差ない数字になっております。
三番目の開発銀行の融資切りかえにつきましては先刻申し上げました通りであります。
それから第二の電源開発の問題でございますが、これは実はひとさまのことで、かれこれ申し上げることはいかがかと思いますが、われわれの考え方といたしましては電源開発会社は公社になさらんで、今のままでやっていただきたい。と申します理由は、いろいろ公社につきましては国鉄その他最近問題になっておりますので皆様御承知だと思うのでありますが、やはり運営あるいは資金問題、開発、そういうような問題についての機動性が非常に失われるのではないかということを一番密接なる関係を持っております九電力といたしましては心配いたしますわけであります。ことに先刻申しましたように、九電力と電発とは一体になって電気の開発、運営をやっていかなければいけない立場にありまして、あまり性格の変ったものでは非常に話が円滑になりにくい点も起るのじゃないかというような抽象的な懸念もございますわけで、もちろん公社になります結果、税金が減るとか、いろいろ措置がとられ、有利な点もあると思いますが、これらにつきましては現状においてもそういうことが考え得るのじゃないかというふうに考えております。
それから佐久間発電所の電力の配分並びに料金問題につきましては、さっき藤井さんからお話がありましたが、これは今実は三者の間でせっかく話し合いをいたしております。どういうふうにこれを配分するかという問題は受けます方の東電、中部電力の電力需給関係にもよりましょうし、またその料金につきましても業者の一般に売ります料金の原価の関係もございましょうし、原則的な話は藤井さんがお話しになったような問題だと思いますが、実際にはこの三者の間でその経営首脳者が十分な常識を持ってお話し合いいたしますれば、必ず私は解決がつく問題だと考えております。
簡単でございますが、私から申し上げておきたいことはそれだけであります。