吉岡千代三の発言 (商工委員会)
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○政府委員(吉岡千代三君) 前回の委員会におきまして、河野先生から官営工場と民営工場との原価の比較に関する資料を御要求になりましたので、本日お手元に配付しております。後ほどこれにつきましては御説明申し上げたいと思います。
その前に栗山先生から御質疑がございました販売会社の政府に対する納付金の滞納を生じたその経緯について、経過を説明してもらいたいという御要望でございましたので、その点につきましてまず御説明申し上げたいと思います。
この問題はすでに前回でありましたか、前々回でありましたか、決算委員会におきまして詳しく御審議を願ったところでございますが、大体の経緯について申し上げますと、政府は専売アルコールを販売会社を通じまして売り渡しをしているわけでございまして、それに対しまして三カ月の猶予期間をおいてこれを納付せしめるという制度になっておったわけでございますが、昭和二十五年の終りごろからこの政府に対する納付金につきまして滞納を生ずる事態になったわけでございます。しかし、当初におきましては年度末には銀行の借り入れ等を行いまして滞納金の全額、遅延利息等をつけて納付しておったわけでございます。しかし、これに対しまして昭和二十七年の初めにこの滞納を今後行わせないことにつきまして通産省から厳重な指示を行いました。それに対して両販売会社から誓約書が差し入れられたわけでございますが、その後依然として滞納が続いておりましたので、昭和二十七年の六月ごろに販売会社の経理の監査を実施したわけでございます。その結果といたしまして、この滞納を生じた主たる原因としては、両社の幹部に一部不良な人間がおりまして、多額の不良債権を持っておった。で、この不良債権につきましては一部いわゆる浮き貸しというような形におきまして帳簿等にもはっきり載っておらないものもあったわけでございますが、そのような事実が発見をせられたわけでございます。これにつきまして、通産省としては直ちに両社の責任者を解職いたしますと同時に、これに対しまして告発の手続をとりまして、現在その責任者につきましては刑事上の裁判が係属中でございます。そこでこの納付金の処理につきまして、昭和二十八年の十月に再建計画を立てまして、人事の更新、人件費の節減、それから今申し上げましたように不良債権が焦げついておりました関係で、銀行から多額の借り入れをしておったという、そのための利払い等もきわめて多くなっておりましたので、これらの点につきまして整理の計画を立てまして、政府の債権につきましては昨年の三月に裁判上の和解をいたしまして、アルコール興業につきましては昭和三十年から三十七年までの間、それから酒精産業につきましては昭和三十年から三十二年までの間におきまして会社の弁済能力等も考えまして年賦弁済の計画を立てたわけでございます。で、その当時の債権額といたしましては、大体三億以上の債権があったわけでございますが、現在までのところこの年賦弁済の計画に従いまして順調に納付が行われておりまして、現在のところ残高は約二億円になっております。で、この裁判上の和解の契約額を納付させることはもちろんでありますが、それ以上に両会社の不良債権が回収できた場合、あるいは経理上余裕があった場合にはさらにこれをも含めまして納付せしめるということにいたしておりまして、現在までの納付状況は当初の和解による予定額よりも約一千四百数十万円多く回収できております。従いまして今後の回収につきましては両社の業務運営について十分監督を加えますと同時に、この回収は順調に進められると考えております。
大体以上が販売会社の滞納につきましての概略の御説明でございます。
それから次に、官営工場と、民間工場の製造原価の比較につきましてお手元にお配りをいたしました比較表につきまして御説明申し上げたいと思います。
前回も申し上げましたように、この官営企業と、民間企業とはいろいろ経理の制度を異にいたしておりますので、厳密な意味におきましての比較ということにつきましてはいろいろ困難な問題があるかと思いますが、一応昨年の初めからとり得る限り最近までの数字によりまして比較をいたしましたのがお手元の表でございす。
それでなまイモを原料にいたします場合と、糖蜜を原料にいたします場合と分けて書いてございます。民間工場の分はこれは現在委託しております民間工場平均の数字でございます。
まず、原材料費について申し上げますと、なまイモの場合に、官営工場のアルコールーキロ当り原材料費が七万五千八百三十六円、民間工場におきましては八万五千八百四十六円、約一万円官営工場の方が安くなっております。この理由といたしましては、官営工場は現金で購入いたします関係がございます。それから官営工場の方は農業協同組合等と直接の契約をいたしまして直買をいたしておりますが、民間工場におきましては、間に仲買人を入れておる。それから官営工場は全国に九工場持っておりますので、近接の地域間におきましては、中央から毎日電話で現地の相場を調べまして、安いところの買付をするように指令をいたしておる、地域的に選択し得る関係にあるというような関係があるわけでございます。しかし最も大きい実質上の理由といたしましては、民間工場の方は全部酒用の、いわゆるもろみ添加用のアルコールを兼業いたしておるわけでございます。これは全国に約百以上の工場がございまして、これにつきましては国税庁の方で一本の価格を定めまして、それによって酒造業者に販売せしめておる。それで具体的に申しますと、イモを原料にいたしました場合に一キロ当りの国税庁の定められましたアルコールの値段は十五万六千円でございます。これに対しまして私どもの方の委託生産をやっております方の買い上げ価格は十万円程度でございますので、民間工場の方におきましてはもろみ添加用のイモと同時に買い付けいたします関係上、酒用の方に若干余裕があるというようなことが大きな理由ではないかと考えております。
それから労務費は、これは申すまでもなく官営工場の方が賃金ベースが低いわけでございますので、当然と申せば当然かと思いますが、そこにございますように相当の開きを示しております。
その他こまかい項目はいろいろございますが、全体といたしましてイモの場合、糖蜜の場合、両者を通じまして官営工場の方が原価は低くなっておるというのが現状でございます。それからその次の紙に、アルコールの年度別の販売価格と原料価格との関係を書いてございます。そこで、ごらんになっていただきますように、主原料でありますなまイモ、糖蜜、両者とも非常に年度によりまして浮動がございます。しかし、販売価格といたしましては、昭和二十六年の一キロリッター当り十二万七千六百円から逐次引き下げを行いまして、現在は八万三千二百円になっているということを示しておるわけでございます。それから、その次に、官営工場自体につきまして、製品一キロ当りのなまイモ、糖蜜等の原単位が逐年向上しておるということをその表でごらんをいただきたいと思います。同様に、石炭、電力等の原単位につきましては、傾向としては逐次向上を示してきております。
大体以上が概略の御説明でございます。