海野三朗の発言 (商工委員会)

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○海野三朗君 そこで私はこれを思うのであります。この研究所のその運営の面におきまして、各担当部門の責任者方が熱意を持ってその会社運営にあずかるというふうにしておかないと私はこれはとんでもないものになってしまうと思うのであります。そうでなければ、単に研究費だけやるということになりますと、ちょうど豚か牛を飼っておくようなもので、どうも理科学研究所自体の本来のあり方がほかのものによって学者と説とは全く異なった方向に引きずって行かれるおそれがあるのであります。そういう点に対してはいかようにお考えになっていらっしゃいましょうか。あのアメリカの原爆の研究も皆様御承知のように何も原子爆弾の研究にあれは没頭したのではない。仁科君が初めこの理研でサイクロトロンでもってあの原子分裂の方の研究をやった、原子爆弾の研究じゃない、ところが研究というものはいろいろなブランチが出てくる、平和利用のブランチも出てくればあるいは兵器利用のブランチもいろいろ出てくるのでありますが、アメリカの研究のあり方は私ども学者の立場から申しましたならば少し間違っておると考えられる、それはなぜかというと、まず戦争の方に持っていって学者の研究をこう仕向けていった、そこにアインシュタインなどの考えがゆがめられておるのであって、学者の、科学者の本来の願いというものは人を殺し、殺戮のための研究じゃない、民生の安定をはかるのが科学の目的なんだ、それを科学者全体が考えておったのでありますが、軍備の方に対しまして原子爆弾そういう方面の研究ばかりをぐんぐん進めて、学者自身がいつとはなしにその方向に引きずられていったのが今日のアメリカの姿であって、このごろおくればせながら平和利用なんというのを唱えられてきておるのは研究者を冒涜したお茶濁しの結果であると私は考えておる、そこでこの科学研究所に対しまして強く要請いたしたいことは、研究部門の担当責任者の考えをも会社の運営については反映せしめるようにしておかなければならない、単にお前たちに金やるから研究さえしておればいいのだお前たちの研究することに干渉しないのだと言うだけでは何にもならない、もしそうでおるとするならば豚とか馬を飼っておいてこれに食料を与えておるのと同じだ。そういうあり方ではいけないのであって、この研究所自体の本然の姿をデェビエイト、曲げないようにするためには、大義名分を明らかにし、大義名分に向って進んでおるところの学者の考えを経営に反映せしめて行かなければならないのじゃないかと私は思うのでありますが、そのことに対しての条文は何らここにまだお見受けしないように思うのでおりますが、この点についてはいかにお考えになっていらっしゃいましょうか。

発言情報

speech_id: 102214461X03119550723_011

発言者: 海野三朗

speaker_id: 13534

日付: 1955-07-23

院: 参議院

会議名: 商工委員会