石橋政嗣の発言 (内閣委員会公聴会)

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○石橋(政)委員 どうやら理論の矛盾をみずから露呈されたようです。民主主義の一つの生命はやはり形式を重んずるということにある。従って事実はどうあろうとも帝国憲法七十三条の手続を踏んでいるんだから無効を宣することはできないということは、これは実質的に現憲法をお認めになっておることになるので、押しつけられた内容であるならばどんな手続をとっておろうともそんなものはだめだとはっきり言ってこそ筋が一貫すると私は申し上げておるわけです。それを手続だけはちゃんと踏んでいるから無効ということはできないというのは、いささか理論が一貫しておらないと私は申し上げなくてはならない。それから先ほど押しつけられた民主主義はだめだと言っておられるけれども、民主主義に二つも三つもあるのか、少くとも現在民主主義を奉じておる世界各国のどこの国を見たって、自分のところ独特の民主主義というものはそうあるべきものではない。本質の流れておるものは一つだと思う。アメリカ十三州の独立宣言あるいはフランスの人権宣言というものに由来した、一貫した思想というものが私は民主主義憲法の中には流れておると思う。国民はそれをひとしく迎えて現行憲法に賛意を表しており、現憲法として今まで立ててもきておる。現在天皇、内閣、われわれ議員はもちろんすべてが現行憲法順守の義務を九十九条で負っておる。その現行憲法は押しつけられたものであろうと何であろうと、あなたがお認めになっている民主主義に一貫しておる。これ以上一貫しておるものはないということは先ほどほかの先生方が御説明しておる通りです。従って私は内容がとやかくでないという先ほどの御説明は、これは話が一貫しない理論だと思うのですが、この点であまり時間をとりますまい。あなたがおっしゃるように、もし現行憲法が押しつけられたものであるならばという前提で話を進めたいと思うのでございますが、私たちは押しつけられたものだと思っておらない。もし押しつけられたものありとしいて言うならば、それは現行憲法ではなくて日本の国民が憲法制定をする権利を確保した、このことが押しつけられたのかもしれない。なぜならば帝国憲法には国民主権というものは御承知の通り認められておらなかった。それが認められたのはいかなる機会かといえば日本がポツダム宣言を受諾して無条件降服をしたそのときに由来しておるわけです。だから占領軍に押しつけられたとどうしても言わなければ気が済まなければ現行憲法を押しつけられたというのではなくて、国民主権を押しつけられたというふうに解釈すれば、これまた筋が通ると私は思う。あなたは占領軍の権力で押しつけた押しつけたとおっしゃるけれども、しからば占領軍の権力というものはどこに由来して与えられたのか、先ほど申し上げたようにポツダム宣言受諾というところで発生しておる。日本が無条件降伏したことによって初めて占領軍が権力というものを確保したわけだ。ところがわれわれは無条件降伏をした、それと同時に連合国軍もまたこのポツダム宣言というワクにはまったわけだ。なぜならばポツダム宣言受諾のときにその内容を両者とも守るということをちゃんと約束しておる。ポツダム宣言の内容を今さら私がここであなたに読み上げて御説明するまでもないと思いますけれども、その中でポツダム宣言を受諾するときに日本の政府は天皇の大権、統治権をそのままにしておいてもらいたいと言ったけれども、それは一笑に付せられた。そして何と言われたかというと、結局国民が自由な意思で日本の政府を形成する憲法を制定する権利を持つようにしなくてはならぬのだということが、向うの最後の要求であった。従って連合国軍もこのポツダム宣言受諾に際して発した内容を、結局みずから順守しなくちゃならない義務を持っています。
 明文をここで読み上げますと、最終的の日本国の政府の形態は、ポツダム宣言に従い日本国国民の自由に表明する意思により決定さるべきものとす、というのがポツダム宣言受諾のときの第二番目の条件になっておるわけです。連合国みずからもこのワクの中にはめられておるわけだ。またさかのぼっても連合国軍として、はっきり守らなくちゃならないものがあった。それは何かといえば、大西洋憲章です。清瀬さんはこれをちゃんとあげて、マッカーサーは大西洋憲章に従わなかったんだということを言って、やはり無効説に近いものを吐いておられるけれども、連合国軍は、はっきり日本人が自由に表明した意思で憲法を制定し、国家を形成することを要求しておった。この要求に基いていろいろその後指示を与えておる。ところが日本の当時の反動勢力は、何とか現状を維持しようというあがきを見せた。だからたまりかねて、なぜポツダム宣言受諾のときの……。

発言情報

speech_id: 102404914X00119560316_015

発言者: 石橋政嗣

speaker_id: 5436

日付: 1956-03-16

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会公聴会