山崎巖の発言 (内閣委員会公聴会)
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○山崎(巖)委員 きわめて簡単に中村先生及び戒能先生にお伺いをしたいと思います。その前にちょっと両先生に申し上げておきたいと思うことは、憲法調査会法案の内容、あるいはこの立案の趣旨、また自由党時代にできました憲法改正に関します要綱、あるいは改進党の要綱、こういうものにつきまして、だいぶん両先生におかれましては誤解があるような感じを持ったのであります。戒能先生のお話の中に、国民主権の所在を変更するような憲法改正は限界を越すというような御所論があったようでありますが、自由党時代の憲法改正にいたしましても、また改進党の憲法改正の要綱にいたしましても、主権在民の原則は堅持をいたしているのであります。私どもは提案理由の説明に申し上げておりますように、民主主役、平和主義、並びに基本的人権の尊重ということ、この現行憲法の長所はあくまで貫いて参る考えであります。そういう考えであるにかかわりませず、主権在民の原則を変えるがごとき根拠のもとにこの法案をごらんになりますことは、私はまことに遺憾に存じます。
また調査会法につきましても、先生方の今までの御所論を聞いておりますと、かつての自由党の、あるいは改進党の、憲法改正についての考え方をこの調査会を通じて権威づけるための調査会である、こういう御所論のようでありますが、これは私は誤解もはなはだしいものと考えます。今回内閣に私どもが調査会を置きましたのは、国会にこの種の調査会を民間人と同列に置くことが、法律的にも疑問があるし、また従来の慣例もなく、むしろ内閣に置くことが適当である、こういう趣旨のもとに内閣に設置することにいたしているのであります。調査会の法案の内容をよく御検討願いますと、今度の調査会は、内閣には置きますけれども、内閣は調査会の一種の世話役にすぎないのでありまして、調査会自体が運営もいたしますし、結論も出すことに相なっております。きわめて民主的な運営をはかることになっているのであります。そこに両先生には私は誤解があるような感じを持ちましたので、この点をまず申し上げて、それから質疑に入りたいと思います。
私どもがこの調査会法を出しました理由の第一点は、先ほどからだんだん御議論のありました制定の経過にかんがみまして、自主的な憲法を持ちたい、この点でございます。この点につきましては、すでに三先生から詳細な御議論を承わり、また後刻同僚の議員からも御質問があるはずでございますから、この点には触れたくないと思います。中村先生のお話でございましたか、過去九カ年の実施の経験にかんがみて云々というような提案理由になっておるけれども、そいつはあまり意味がないのじゃないか、改正をすべき点はないじゃないか、およそ現行憲法の三原則を尊重するならば、別に内容を変える必要はないじゃないか、こういう御所論であったように存じます。私はそれは非常な間違いだと思う。先生方は毎日々々憲法の内容を御検討になっておりますので、私は内容的に一、二の点について伺ってみたいと思います。
前文の点はしばらくおきまして、第一章の天皇の章について、両先生どちらかでもけっこうでありますからお伺いをしたいと思います。私どもが天皇の章について改正を要すると思いますのは、主権在民の原則を変えるとか、これに制限を加えるとか、こういう意図の毛頭ないことを、まずもって申し上げておきたいと思います。しかるに現行憲法におきましては、一体日本国を代表するものが、天皇であるのか、総理大臣であるのか、その点すら私どもは解釈上はっきりしないと思います。そこで日本国は共和国であるとか、あるいは元首なき民主国であるとか、こういう珍説すら学界に出ておるような次第であります。およそ独立国にして国の代表者のはっきりしないという国がありますかどうか。あるいはまた現在の憲法において日本国を代表するものはだれであるか。あるいはまた日本国は共和国と先生方は言い切られるかどうか。この三点について、まず伺いたいと思います。