吉野信次の発言 (内閣委員会)

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○国務大臣(吉野信次君) その点になりますと、もう少し何といいますか、精密に考えを述べた方がよろしいかと思いますが、今のお話の通り、提案者の方はこの二つの理由を掲げてあります。何か自由でないということですね、もう一つは、過去の九カ年の実施の経過に及んで改正をすべき点があると、こういうふうに書いてある、その二つの理由ですが、私どもの考えは、精密にいえば、その二つの方に、どちらに重きを置くかということについて、私は多少軽重があると思う。私どもの考えますのは、主として重きを置くのは第一点でございます。これを総理は、押しつけというような、あるいは占領下において、占領司令部の強力な指示ですか示唆ですか、そういったような言葉を使っておるようですが、これも何というか、まあ法律的ということでもございませんけれども、別な表現をすれば、完全な主権を回復していないということなんですね、完全な主権を回復していないときに、国家の基本たる憲法というものが日本では制定されたのでありますから、それがもう、これはできてしまったのでいたし方がないのですが、しかしそれが、内容がどうあろうとも、完全な主権を一体回復しないときに、国の基本法たる憲法というものを改正することがいいか悪いかということは、一つの議論になり得ると思います。国によっては、それでありますから、内容は近代の憲法に共通な原則を掲げておりましても、完全な主権を回復しないゆえをもって憲法等は制定しないという国柄は、御承知の通りあるわけであります。これは一つの私は見識だろうと思います。その見識についてのとかくの当否のことをここで論ずるわけではございませんけれども、とにかく完全な主権を回復していない、こういう成立の経過がございまして、それに加うるに、施行の九カ年の間において、いろいろ改正というものの問題点があるわけでございますから、その方は、私としては、政府としては、具体的にどうだこうだという改正の要点については、全く唐紙であって、検討はしていないのであります。しかしながら、それですから、前の方の、完全な主権を回復していない、こういうときに制定をせられたる憲法でありますから、今日そのことを振り返ってみて、全般にわたってもう一度再検討をする方がよろしかろう、こういう意見には政府は賛成をしておるわけであります。

発言情報

speech_id: 102414889X04119560510_015

発言者: 吉野信次

speaker_id: 24084

日付: 1956-05-10

院: 参議院

会議名: 内閣委員会