徳田與吉郎の発言 (地方行政委員会)
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○徳田委員 去る九月国政調査のため、委員渡海元三郎、櫻井奎夫、徳田與吉郎の三名は北海道へ巡遣されましたが、その報告の機会を失っておりましたので、ここにそのごく概略を申し述べます。
調査いたしましたのは函館、室蘭、苫小牧、札幌等の道南各都市、並びに北海道庁、根釧地方各市町村の広域にわたり、九月十九日出発同二十九日帰院いたしました。
今回の調査目的は、地方行財政一般ではありましたが、特に第二十四国会で改正されました地方行財政の健全、合理化を目途とする一連の制度が地方公共団体個々に及ぼす具体的な影響と、後進特殊の地域にある北海道各行政団体の実態把握にあったのであります。
まず北海道庁において総務部長ほか関係各課長より詳細な説明を聴取したのでありますが、これを要約いたしますと、第一点、国費による総合開発計画が実施中である。第二点、道及び各市町村の行政施設が内地のそれに比べて著しくおくれている。第三点、地域が広大であって、気候が寒冷積雪地帯であり、かつ濃霧等の悪条件下にある。第四点、国費による総合開発計画に伴い、地方負担分あるいは付帯事業費が増高する等々の特殊事情によって、一般地方公共団体に比べ財政需要が増加されるにかかわらず、国の財源措置が不十分である。その具体的な事例として、昭和二十九年度の実積を示されましたが、これによれば同年度内におけるこれらの経費の道負担額見積り四十六億に対し、地方交付税で二十億円、地方債で十八億円、計三十八億円余が計上されたにすぎず、差額七億七千万円程度は未措置と相なっております。今回の補助率の引き上げ、補正係数の改善によって若干緩和されたとはいいながら、なお考慮の余地があるものと思われます。さらに道の公共事業費は、総合開発進展とともに年を追い増大して、昭和二十八年度、九年度はいずれも全国府県の総額の八分の一である百九十億円をこえるに至り、二十五年度に比べて三倍に伸びているのでありましたが、同時に道負担額も急激に増高して、これまた二十五年度の三・八倍である二十五億円に達し、他府県の二・四ないし六倍に比べて著しく負担が重いようであります。これらに対する措置についての強い要望がありましたが、調査室にあります資料で詳細御承知おきをお願いしたいと存じます。しかしながら一点、去る国会で改正実施されました未開発後進県に対して、投資的経費を、新顧客補正の設定によって算入する方途が講ぜられましたけれども、北海道は他の先進府県同様何らその恩恵を受けておらない不合理性の強調がありましたが、一考を要するものと思われました。
道庁で、北海道町村長会長から公債費の処理に関する国の援助政策、並びに自治法の改正に基いて、助役が教育長を兼務できる期間をさらに延長してもらいたいという陳情がありましたことを付言いたしておきます。
なお道内の町村合併については、その特殊地域性が進行をはばみ、計画の五〇%が進捗したに過ぎず、今後も残り七十三カ町村のうち、二十カ町村程度のほかは合併困難と見られております。
再建申請団体は当時七十二市町村に及び、順調に進捗しておるようでありました。
函館市ほか個々の調査団体の詳細並びに要望事項等につきましては、あまりに広範にわたりますので、持ち帰りました資料を調査室で御一覧の上、御了承願うこととし、ここでは若干抜萃して御報告いたします。
函館市におきましては、本委員会所管の問題とも思われませんが、北海道の玄関都市として、その連絡交通に関する要望に熾烈なものがありました。その一つは青函連絡船の不足と運賃の不当性であります。特に貨物運賃におきましては、国鉄標準料率の三・四倍に定められており、これが道内経済発展に大きな障害をなしているそうであります。国鉄側としては、近く鉄道料金改正の機会があれば是正すると約束をしているそうでありますが、国会側の協力を強く要望しておりました。
その第二は、内地連絡の海底トンネルの問題であります。むしろ函館地区の住民は、青森県の最北端、大間の港を改修することによって、現在の所要四時間を一時間に短縮することが可能であり、その経費もわずか二億円程度であるから、巨費を要する海底トンネルは不要であると言うのであります。北海道開発と関係の深い問題でありますので、お伝えいたします。
なお函館市を中心とする道、渡島支所管内は、近年不漁に加えて漁獲物の陸上げが激減し、最盛期の五%程度というさびれ方であって、財政の面から分県の世論さえ起っている状況であります。
室蘭、苫小牧両市はともに、日鋼、富士鉄あるいは王子製紙、国策パルプ等の大工場を抱えておりますので、大規模償却資産に対する固定資産の課税額に対し、重大な影響をこうむっております。すなわち今回の税制改正によりまして、前者は昨年比七千五百万円の減、後者は七千万円の減少と相なっております。財政規模の総額九億円や五億円の両市にとっては大きな財政欠陥であり、前国会における付帯決議の実現を待望するのもゆえありと思われます。
北端歯舞本村を視察いたしましたが、納沙布燈台の真下が国境線と称してソ連の監視下にあり、折柄出漁中の三、四十隻のわが漁民がコンブ、帆立貝の採集中を二隻のソ連監視船に追い立てられている現状を見せつけられ、痛憤にたえない思いがいたしました。
根室町では根室支庁長の催しで、管内市町村長並びに歯舞、色丹諸島関係者の懇談会が開かれました。席上、根室町、歯舞村、和田村の合併問題、歯舞、色丹諸島帰属受け入れに関する諸問題、択捉、国後島返還等について現地の声を聞いたのでありますが、その帰属に対する熱烈な住民の要望には、こうべをたるるのみでありました。領土たな上げで日ソ国交再開の今日、同情にたえないものがあります。特に千島諸島を失った根室町の財政窮乏は実にはなはだしく、何らか対策を講ずべきものと思われます。
根室、釧路地方は、いわゆる根釧原野開発地区として、世界銀行の融資によって機械開墾を進められている地区でありまして、そのモデル・ケースとして、パイロット・ファームと呼ばれる開拓農家が計画入植いたしております。地理不便のため現地視察はできませんでしたが、入植五カ年で、耐寒ブロック住宅、畜舎、サイロ等を備え、電力も導入して、耕馬二頭、乳牛十頭、肥育豚五頭、綿羊二頭、鶏二十羽を持ち、牧草、飼料栽培耕地として十四町四反、付属耕地四町四反を開墾付与して、七、八年のうちに年収百万円程度の酪農を作ろうとする理想的なものでありますが、計画の進捗は十分とは見受けられませんでした。
これら開発事業に伴う市町村の財政需要は、根室支庁管内のみでも二千万円近くに上り、三十年度は特別交付税でようやく八百万円程度を付与されているにすぎません。
湿原、泥炭地帯であるこの地方の国費による特殊開発、釧路港の整備、道路補修等強く要望されております。
釧路市は、この方面の漁業好況と、内陸開発の影響を受けて活況を呈し、市の財政も二十八年度までに累積した赤字一億三千万円を三十年度に解消するという勢いでした。
最後に網走地区に入りましたが、この地方は本年は低温、多湿のため非常な冷害をこうむり、水稲はほとんど全滅、雑穀は四分作といわれ、その対策に苦慮している状況でありました。
この調査旅行を通じまして、後進、開発途上にあります北海道を、内地府県並みに取り扱う現行制度に、大きな疑問を持たされましたことを付言いたしまして、はなはだ雑駁ではありましたが、報告を終ります。(拍手)