鈴木直人の発言 (地方行政委員会)
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○鈴木(直)委員 九州調査班は、便宜、私から御報告を申し上げます。
九州調査班は、吉田重延、五島虎雄及び鈴木直人の三委員と、丸山稲調査員の四人でありまして、八月八日東京発、約一週間にわたり、福岡、長崎の両県を調査し、さらに熊本県にも立ち寄り、調査いたした次第であります。
今回の調査は、その主眼点を地方税制の改正に置き、特に固定資産税中大規模償却資産の関係、また駐留軍使用の国有資産及び旧軍港市における旧軍港施設関係を実地について調査することに努めました。
この目的のため、福岡県では八幡市及び八幡製鉄所を視察して、市財政と製鉄所の固定資産税との関連を調査するとともに、福岡市における板付飛行場の状況、長崎県においては特に佐世保市を訪ね、旧軍港市の実態、特にその行政の特殊性と財政の実情を知るに努めました。
また福岡県においては、昭和三十一年度予算案等の知事専決処分問題のその後の経過と現況を聴取するとともに、県下市町村の財政概況並びに税務行政及び税制改革に関する県の意見を聴取いたしました。長崎、熊本両県については、財政再建整備団体でありますので、その実情を中心に調査いたしました。
これらの詳細をここに申し上げることは、時間の関係もありますので、これを省略いたしまして、概括的にそのおもなる事項について、二、三の印象を申し上げたいと思います。
まず大規模償却資産に対する課税制限の問題でありますが、八幡市側のいうところによりますと、同市のごとく財政収入を大工場に依存しなければならない労働都市にあっては、昭和二十九年五月の法律改正によるこの課税制限によって大打撃を受けたのでありましてすでに全国市長会から、大規模償却資産に関する改正要望事項として陳情いたしておる線に沿って、法律の改正を熱望いたしておりました。
すなわち同市は八幡製鉄所、三菱化成黒崎工場等が所在するわが国有数の重工業地として、戦後急速に復興しつつありまして、ために人口増加率は全国平均の五倍で、戦災都市でもあり、住宅の不足はなはだしく、また学童の増加が毎年三千ないし四千を数え、さらに市街地拡充に伴う区画整理や、街路整備等土木事業など、民生、教育、土木等の行政経費は巨額に上る実情であります。
元来八幡市は八幡製鉄所と盛衰をともにしておりまして、担税力の少い従従員を抱えて市は財政援助を製鉄所に求めており、国の助成金を得たり、あるいは会社からも税負担以外に納付金、寄付金等の名目で、市が援助を受けていたのでありますが、制度の改正によりまして会社からの寄付金はあとを断ち、さらに二十九年の地方税法改正により償却資産税の課税制限が行われましたので、ここに非常な税収減を来たすことになったというのであります。
すなわち大規模償却資産に対する固定資産税だけで昭和二十九年度に比して三十年度は一億二千五百余万円、三十一年度は一億八千三百余万円の減収となったのであります。現在市税収入総額は十一億一千万円でありますが、全国市長会の要望のごとく法改正が行われれば一億一千五百万円ほどの増収が期待されるということでありまして、その改正要望の要旨は、大規模償却資産の課税限度額について人口二万人以上の人口段階をさらに分類して、高段階に至るものも、それぞれ制限の緩和をはかることとして、最終段階の人口二十万以上の市にあっては十五億円を限度として課税し得ることとするというのであります。ちなみに現在昭和三十一年度において福岡県と八幡市との間における八幡製鉄所の大規模償却資産の課税標準額の配分は、福岡県が百四十三億余円に対して八幡市は三十五億余円、税額にして県の二億円に対して八幡市は五千万円となっておるような状態であります。
次に駐留軍使用施設の関係でありますが、まず福岡市の板付飛行場については、市はもとより同基地の移転を念願して、その促進を陳情し続けておるものでありますが、にわかにその希望達成は困難であることも承知しておりまして、現在としてはもっぱら飛行機の爆音による基地周辺の中小学校の授業上の障害をいかにして防止するか、その防止対策について市としては深い関心を払っておりまして、基地周辺の中小学校に案内を受けまして、爆音の実際の状況及び教室の防音施設等について実地視察するとともに、校長教員、PTA関係者より左のごとき陳情を受けたのであります。すなわち基地周辺の学校に対しては、一学級当り児童生徒数を最高四十人もしくはそれ以下とすること、十分な防音工事を実施すること、校舎の移転、教職員に対する特別優遇を講ずること等であります。われわれは現に移転新築中の一校舎、またすでに防音装置を行なっている学校についてその模様を視察して参りましたが、その効果は十分でなく、なかなか困難な問題ではあるが一何とかして解決しなければならない問題と思ったのであります。
次に旧軍港市の問題でありますが、佐世保市についてみれば、かような都市は元来海軍依存の都市であって、軍港施設を除外してはほとんど自立産業なく、その財政基礎を持たない団体であります。戦前、海軍はなやかなりしころでさえ必ずしも軍港市は財政は豊かでなく、国庫からは海軍助成金が交付せられておりましたが、今はこれがないばかりでなく、逆に失業者が多く集まり、生活要保護者がふえ、教育施設の拡充等行政経費の激増のために市財政を圧迫している現状であります。しかも多くの旧軍港施設は駐留軍や自衛隊が使用しておりまして、一部転換工場のほかは遊休施設として、いたずらに市の枢要部分を占有しながら、市財政には何ら寄与していないのであります。
佐世保市の財政規模は本年度現計予算で十三億六千七百余万円でありますが、税収入は五億六千万円で歳入の四一%に当ります。この比率は昭和二十九年度決算では三九・七%で、人口数で同段階にある他の市平均に比較して約一〇%低いのであります。しかるに歳出面では教育費一億二千二百万円、社会及び労働施設費は三億八千余万円で、全歳出額に対する比率はそれぞれ八・九%、二七・九%となっておりますが、さらに三千人の学童増加に応ずる学校建築と失業対策費の四千万円ないし五千万円を追加予算に計上する予定でありまして、教育費及び社会労働費この両者だけで全歳出中に占める比率は四〇%となっているのであります。しかも地方交付税等国庫からの地方財政調整補給金の毎年度決算額に対する比率は、はなはだしく低下しつつある現状でありまして、終戦前の一一%に対し昨年度は七%となっておるのであります。一例を失業対策にとりますと、交付税算出における失対適格者の標準は人口二百四十六人に対し一人の失対適格者が出るものとされておりますのに、佐世保市では百十七人に一人ということになっておりまして、標準の二倍以上失業者があるわけで、それだけ市の一般財源が食われているわけであります。一方旧軍港施設が駐留軍等に使用せられておりまして、これらには非課税の待遇を与えられながら、市としては、道路費、岸壁築造費、渉外費等九千百余万円、うち六千四百余万円の市の一般財源の負担となる特別財政需要が見込まれるというような状態であります。従って国有資産等所在市町村交付金制度の関連において、関係都市としては駐留軍使用の固定資産に対して交付金の交付せられるよう要望しており、このことはすでに先国会で当委員会で法案審議の際付帯決議を付していたところでありまして、早急にその具体化が実現せねばならないと考えた次第であります。佐世保市では旧軍港施設関係を非課税よりはずすと固定資産税で約二億三千万円、電気ガス税で千三百万円の増収見込みを立てているのでありますが、また別な昭和二十九年度の決算について作った資料によりますと、佐世保市駐留軍使用施設にかかる固定資産について国有資産等交付金の法律を適用すると仮定した場合には、この交付金を含めた同市の税収全額の全歳入に対する比率は四八二%となりまして、人口同段階の市の平均四九%にほぼ一致してくるのであります。
次に、福岡県における本年度予算等の知事の専決処分の問題は、係争の原因となった中小学校児童生徒数につきましてもその後調査も完了いたし、関係当事者間の了解もなりまして解決済みとなっておったのであります。
長崎県及び熊本県は財政再建団体でありますので、もっぱらその状況を聴取いたしました。長崎県の赤字は、昭和二十九年度決算で六億四千五百万円、その発生原因は当時の地方財政制度の欠陥もありますが、特殊な本県の原因としましては、第一には長崎県は島嶼の数が六百幾つかありまして、海を含めた面積は九州全土にひとしいという地理的な事情、第二には産業の中心をなす漁業、石炭、造船の三産業が不振であったということ、第三は従前半衡交付金の基準財政収入額の算定中、遊興飲食税が過大に積算されたこと、第四に昭和二十八年六月、七月の大水害のあったことをあげております。本県は全国府県のトップを切って申し出た再建団体でありますが、再建期間は昭和三十年度から八カ年間、あらゆる面で経費節減と収入増をはかることは当然でありますが、単独事業では一割から三割減の線で計上、税収入についても新税創設や税率の引き上げは行わないけれども、もっぱら徴収歩合を高めることとして、昭和三十一年度では九六・六%、昭和三十二年度においては九六・七%にこれを引き上げまして、滞納分でも最終年度四五・五%にまで引き上げる計画であります。
再違法について長崎県から強く要望されましたことは、法律にうたわれている利点が政令の段階で受けられなくなったということでありまして、その第一は利子補給率、第二は指定事業におけ至高率補助についてであります。すなわち政令第七条によると赤子の多い団体が利子補給率が多く、経費を節約してきた赤字の少い団体に対しては利子補給率が少くなるが、これを合理化するということ、また再建団体の指定事業の総額が昭和二十七年から二十九年度までの三カ年間の平均の七五%以下の場合においてのみ高率補助を適用することとなっておるけれども、これは未開発地の開発を著しく阻害するから、七五%以下の部分については適当な改正を加えられたいというのであります。なお一般的に地方債の元利補給等を、ぜひ国で考えてほしいという要望もございました。
熊本県の赤字は、昭和二十九年度決算で六億三千四百余万円、うち再建債対象額は五億一千四百九十五万一千円。赤字発生原因は職員数が多く、かつ人員機構上単価も高いということ、投資的事業のため公債費の累増したこと、連年災害が発生したこと等であります。本県もまた再建期間は昭和三十一年度から七年間でありますが、再建計画の内容は大同小異であります。
地方税制の改正につきましては、福岡、長崎両県からはその意見を聴取いたしたのでありますが、そのおもなるものの項目のみを列挙しますと、第一に県民税については不均衡を是正すること、第二に事業税については非課税規定を整理し、原始産業課税を実施すること、及び法人事業税の分割基準を合理化し、法人県民税とともに本税の中間申告納付制度を廃止すること、また所得税の控除失格者に対しては事業税を非課税とすること、第三に遊興飲食税については非課税、免税点、基礎控除の制度を廃止し、税率は一本化し、軽減すること、第四に自動車税については車体検査の際、証紙徴収の制度とすること、第五に狩猟者税についてはその税率区分を撤廃すること、第六に軽油引取税については用途免税の制を廃止し、全部に全般的に課税すること、以上のごときものであります。もとよりそれぞれの理由はここに申し上げません。
以上のほか各県下市町村の行財政一般、町村の合併、新市町村育成強化の問題につきましても概況を聴取して参りましたが、事煩瑣にわたりますので省略いたしまして、以上をもって調査報告といたします。(拍手)