小山亮の発言 (運輸委員会)
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○小山(亮)委員 さらに第二十九条の二の問題について伺いたい。「運輸大臣は、第一条の目的を達成するため必要な限度において、船舶所有者に対し、船舶職員の乗組若しくは船舶の運航の状況について報告させ、又はその職員に、船舶に立ち入り、帳簿書類若しくは海技免状を検査し、若しくは関係者に質問させることができる。」「前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者にこれを提示しなければならない。」「第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」「運輸大臣は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、運輸省令で定めるところにより、海技従事者にその海技免状を提示させることができる。」この条文があります。
〔山本(友)委員長代理退席、淵上委員長着席〕
これは人の免状を持って働いておる人がある、あるいは免状に偽わりがあるものを持って働いておる者がある、そういうものは往々にして海上においての事故を起す原因となりがちでありますから、運輸省がこの条文をお作りになったということはわかります。しかし私がこの場合に最も注意しなければならないのは、「船舶職員の乗組若しくは船舶の運航の状況について報告させ、又はその職員に、船舶に立ち入り、帳簿書類若しくは海技免状を検査し、若しくは関係者に質問させることができる。」、この条文が乱用されたときには非常に重大なことになる。これは御承知のように、終戦後の新しい憲法におきましては、人間の基本的な人権というのが極度に尊重されております。それがためにたとえば陸上におっても、犯罪の疑いありと考えられた場合でも、当然法務庁あるいは関係検察庁の許可がなければ、あるいは書面がなければ、みだりに人家に立ち入ることができない、家庭の中に立ち入ることができないということになっております。しかるに船の方はどうであるか。船は、船に働いておる者から見れば、船員から見れば、それは一つの仕事場である、工場である、事務所である、同時にまた自分の家庭でもある、自分のすみかだ。そのすみかに海運局の職員の身分を示す証票だけを携帯すれば、いつ何時でも入っていって重要なる帳簿、書類あるいは個々の人たちが保管しているところの海技免状を一々全部出させる、そしてまたその関係者をそこに質問することができるということになっております。出帆が妨げられる場合がある。それからその人たちが安全な航海をはかるために、船員というものは十分に静養しなければならない時間が必要なのであります。それがこういうようなことで呼び上げられたときに、十分睡眠をとることができない、冷静なる判断ができないような神経をかき乱される、これが事故を起す大きな原因になる。こういうことを考えるときに、みだりに船の中に立ち入って、ただ一片の自分の身分を示す証票だけを持っていって何でもできる、船内を検査できる、船の出帆もとめることができるというような重大な権限を簡単にきめるということは、私は慎重に考えなければならない問題だと思うのです。海においては水上警察の警察職員が、犯罪の疑いありというならば船内に乗り込んでいって捜査することもできれば、海上保安官がまたその意味において、中に入っていくこともできるのでしょう。そしてまた海運局の職員が乗り込んでいって検査をする。陸の方はどうだ。陸の方は警察官でも、あるいは防衛庁の役人でも、だれでも入っていくことはできはしない。普通の人の家庭に踏み込んで家宅捜索をするとか、うちの中に入って尋問する場合には、これは必ず裁判所の許可がなければ判事の令状を持たなければできない。にもかかわらず海の方はなぜ簡単に軽々しく、勝手に追い回しほうだいに船の中を捜索できるようにしておくか。むしろ海運局としてはこういうふうなことを保護しなければならない立場にあられるのに、その船員の権利であるとか、あるいは船舶の中の、船の航行を妨げるようなことがどんどんできるような法律を乱発されるような傾向にあるのは、私は非常に遺憾に思うのですが、これに対する御意見を伺いたい。