島居辰次郎の発言 (文教委員会)
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○島居政府委員 最初申し上げましたところをもう少し補足いたしますると、今までの南極に関するいろいろの調査資料、これはもちろん十分ではないかと思うのでありますが、しかし、従来の経験からいたしますと、三月一ぱいはまだそう急激な変化というものはない、こういうデータもあるわけであります。そこで、先ほど申し上げましたように、最近の四、五日というものは東の風または東北に寄った風があいにく多いのでありまして、その風によって氷盤がくっついて丘をなしておるのでありまして、いわゆる海水が最近寒くなって自然に凍って、それで出られなくなった状況ではないのであります。と申しますと、水温は、ずっと最近の状況は、マイナスの一・六または七程度であります。そういうので、もし風が、西の風または南の風が強く吹けば、今のせっかく丘のようになっております氷盤というものが、また移動してそこに通路ができるということは、従来南極に行った諸外国の人々の経験の話も残っておるのであります。それでもし西の風が吹き、また南の風が吹いたときに、その水路ができれば宗谷は自力でも脱出が全然不可能ということはないということは、第一に申し上げられると思うのであります。しかし、これは何といっても相手は大自然でもありますし、いわゆる風まかせというふうなことで、必ず吹くではありましょうけれども、必ずしも吹くということも予想できませんので、非常に、見込みもあるといっていいか、ないというか、その風の予想がつかない現在の状態であります。それが第一であります。ですから、全然不可能ではないということをまず申し上げなければならぬかと思います。
それから外国船の宗谷の前路を切り開いていくことでありますが、今のアメリカのグレイシャー号の能力を申し上げますと、排水量が八千二百トンでありまして、長さが三百十フィート、幅が七十四フィート、吃水が二十フィート、馬力は二万一千馬力であります。砕氷能力は二十フィートということであります。普通砕氷といっても主として馬力によるのでありまして、氷盤に衝撃を与えて切り開いていくことが、主たる能力になっておるのでありますが、幸いなことにこのグレイシャー号は、昨年の三月下旬だと思っておりますが、ちょうどリッツォホルム湾の現在宗谷がおる地点よりももっと南の方、平たくいえばもっと奥に入った方に行っております。そういうことで向うにはその経験があるので、大いに自信を高めているような記事も出ておりますが、そういうことも考えられますので、宗谷の付近にある現在くらいの氷は、グレイシャー号のこういう能力で切り開いていけるかどうかということにつきまして、私の方から現場の松本船長あてに聞き合せましたところ、グレイシャー号なら、現在の状況なら脱出はできるという回答も得ておるようなわけであります。またオビ号につきましては、実はジェーンの年鑑に世界各国の軍艦の要目が書いてあるのでありますが、これに載っていない。そこで宗谷及び外務省を通じて、このオビ号の能力についてもっと的確なる明細というものを知りたいと思って、目下調査中でございます。