岸信介の発言 (予算委員会)
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○岸国務大臣 かねてお答え申し上げましたように、日ソの平和条約締結の問題は、日ソ間において最も困難なる領土問題の解決を含んでおるわけであります。しかしこの領土問題に関する両国の主張は、御承知のように真正面に衝突をいたしておりまして、これについての妥結を見るを得なくて、そうしてこの問題を継続審議の形で将来に残したわけであります。今日国交正常化しまして、大使館を交換して、そうして両国の友好関係、親善関係をこれから増進していく、それには具体的に言いますと、まだソ連国内において抑留されておるあるいは消息不明の者、日本に帰りたいという希望を持って帰ることのできない相当数の人がおる。この事情を一日も早く明らかにする、あるいは今東京において交渉中の漁業交渉、さらに進んで通商協定をやる等、こういうものを積み重ねて参りまして、彼我両国の間において友好関係が一そう増進され、またソ連側におきましても、日本国民の要望であり、国民の気持であるというようなこともわかってくるということになって、初めて領土問題というむずかしい問題に取り組むのが適当じゃないか、すぐいきなり領土問題に取り組んでみましても、ちょうどロンドン及びモスクワの会議をただ繰り返すだけの結果に終るおそれが多分にある。従ってまず今申したようなことをこの際は早急に解決をしていく、そうして両国の友好関係と親善関係の基礎を作って、そうしてこの領土問題の話をしたい、こういうのが私の大体の考え方でございます。今、いついかなる時期にやるかということを明確に申し上げることはできませんけれども、私はそれを非常に長い将来に置くつもりはございません。