淵上房太郎の発言 (社会労働委員会)

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衆議院議員(淵上房太郎君) 南方同胞援護会法案の提案理由について説明申し上げます。
 御承知のように、沖縄及び小笠原諸島は、今次大戦におきまして最も熾烈なる戦闘が行われ、甚大なる損害をこうむったのでありまして、沖縄につきましては、戦争末期から米軍政下におかれ、講和条約発効後も引き続き米国の施政権下におかれており、戦後、相当に復興して参ってはおりますが、いまだ十分ではなく、特に直接に戦争の犠牲となった戦没者遺家族、戦傷病者、その他学生、生徒、児童等には援護を必要とする者が少くない状況であります。また、小笠原につきましては、今次戦争末期、軍要員を除く全島民が本土に強制疎開を命ぜられ、終戦後も米国の占領並びに講和条約に基づく米国の施政権のもとにあってごく少数の者を除いて、いまだ帰島を許されず、元島民は、土地、漁場等の生活基盤を失い、その生活は困難をきわめております。
 このような状況にかんがみまして、これら地域に関する諸問題に関しまして、調査、研究、啓蒙、宣伝を行い、特に沖縄、小笠原諸島の施政権の返還、沖縄の軍用土地問題、小笠原島民の帰郷等の重要かつ根本的な諸問題の解決につきまして、政府に協力し、民間運動としてこれを促進いたしますとともに、これら地域の同胞に対し、政府の行う以外の各種の援護を行うため、昭和三十一年十一月十五日財団法人として南方同胞援護会が設立せられ、その一部の事業に対しましては国庫の補助を得て事業の実施に当って参っております。
 このように同会は政府の協力団体として、政府が直接に行うことが適当でない事業を民間運動として行う半ば公的な性格を有するものでありますが、憲法第八十九条によりますれば「公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対しましては公金を支出し又は公の財産をその利用に供してはならない」ことになっております。
 そこで同会の事業が「公の支配」に属するものかどうかでありますが、同会は財団法人として民法の規定に基き監督官庁の一般的監督は受けておりますが、これをもって憲法上「公の支配」に属するとすることは困難であるというのが一般的意見であり、従いまして、少くとも同会の行う事業のうち、慈善、教育もしくは博愛の事業と認められるものに対しましては政府の補助を受けることができないのでありまして、これは同会の事業を有効適切に行う上に支障を来たしている次第であります。
 従いまして、同会に対する政府の監督を強化して公けの支配に属せしめるとともに、同会の行う事業、特に慈善教育もしくは博愛の事業と認められるものに対しましても政府の補助金を支出し得ることとするため、特殊法人としての南方同胞援護会の設立、監督、助成等を法律によって特に規定する必要があるわけであります。
 これがこの法律を提案するに至った理由であります。
 なお、この法律の概要を説明いたしますと、
 第一に、本会の目的、業務については、おおむね現在の財団法人としてのそれを採り入れ、会長、幹事、評議員は内閣総理大臣がこれを任命することとし「公の支配」に属するにふさわしい措置を講じ、
 第二に、監督官庁としての内閣総理大臣は、必要があると認めるとき同会の業務または会計の状況を検査しまた業務上、法令、行政庁の処分または定款に違反したとき必要な是正措置を命ずる等の監督権を発効し得ることとし、
 第三に、国又は地方公共団体は同会に対し補助金を支出し、その他の財政的援助をすることができることとするとともに、それに伴う必要な監督の権限を有することとし、その他各種の免税措置を規定したものであります。
 何とぞ慎重審議の上、すみやかに、御賛同あらんことをお願いいたします。

発言情報

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発言者: 淵上房太郎

speaker_id: 14265

日付: 1957-05-18

院: 参議院

会議名: 社会労働委員会