酒井俊彦の発言 (大蔵委員会)

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○説明員(酒井俊彦君) ではただいまから、最近の金融情勢等につきまして、ごく簡単に御説明申し上げたいと思います。そしてそれに続きまして今回発表になりました総合対策につきまして、大体どういうふうに進行しておるかというような点を申し上げてみたいと思います。資料といたしましては、お手元に六、七枚の印刷物がお配ばりいたしてございます。
 最近の金融情勢といたしまして、資金の需給の実績でございますが、これは表の第一表にございますように、四月五月で財政資金におきまして相当の揚超がございまして、これは当初の予定よりも相当多額になるのでございますが、その原因といたしましては、そこにございますように、外為会計の揚超というのが非常に大きく響いております。その結果、財政資金におきまして四月は二百五億の揚超でございましたが、これはカッコの中にありますのが前年同期でございまして、前年は五日五十八億の揚超に対して二百五億、五月が前年四百五十四億に対して九百二十六億という多頭の揚超になっております。これはさっき申し上げましたように、大体外為会計の揚超が非常に多いということは、つまり外為会計におきまして相当の輸入超過になっているということでございまして、これは後ほど申し上げます。こういうふうな相当の引き揚げがございましたために、これを補充いたしますために、日本銀行の貸し出しは、四月におきましては、昨年の八十九億に対して三十七億と割合落ちついておったのでありますが、五月に入りましてから、前年四十五億のところが五百十六億というふうに伸びております。例年、五月は相当通貨が減少する月でございますのにかかわらず、かように貸し出しがふえましたことは、やはり財政資金の面における、特に外為会計における引き揚げが相当強かったということを反映しているものと思います。で、日銀券の発行高は、三十二年度四月が六千八百三十七億、前年の五千八百四十七億に対しまして、約千億増加になっております。五月の数字は六千三百九十億でありまして、前年の五千六百十四億に比べますと、これも七百数十億の増になっております。なお、六月二十五日現在でこの数字を申し上げますと、日銀券の増が十六億でございます。これは月末までにまだふえるわけでありますが、前年同期の二十五日までの増が八十六億でございまして、ふえ方はだんだん落ちているということでございます。
 それから財政資金につきましては、六月一日から二十五日までに八百九十七億揚げております。これは前年同じく百八十六億でございましたから、六月もまた非常な揚超になっております。で、その主体はやはり外為にあるということは申し上げられるかと思います。銭貸し出しは六月一日から二十五日までで九百八十四億ふえておりますが、これほ前年は百二十九億増でございましたので、これが相当ふえているということは、一般財政で相当に昨年より揚げたその穴を埋めていったということでございます。それから日銀券の発行高は二十五日現在で六千四百七億でございまして、前年の五千七百一億に比べまして七百億の増になっております。これはパーセンテージから申しますと、七百億程度でありますから一一、二%の増加でありますが、現在のところ生産なりあるいは国民所得の伸び方のぺースが大体一〇%先から二%あるいは一%近くいっておりますところからみまして、銀行券の残高といたしましては、この程度は経済の動きにマッチしたやむを得ないものじゃないかと思うのであります。こういうこと反映いたしまして、日銀の貸出残高は結局最近非常ふえまして、六月二十五日現在で四千二百十七億、四千億の台を突破するようなことになったわけでございます。
 それから第二枚目の表でございますが、これは全国銀行の預血使命の状況でございますが、預金残高におきましては、四月は七百三十一億の減、これは前年同期は四百五十四億の減、いつもこの期は三月の年度変りを反映して減る月でございますが、昨年よりやや減り方が多い。それから五月に登りましても、前年九百二億ふえましたものが五百八十七億、相当に減少いたしております。これは銀行別にいたしますと、都市銀行が非常に預金が減っておりまして、地方銀行は相当順調に進んでおりますが、そういう関係で銀行預金は減っております。
 それから反対に貸し出しの方につきましては、四月が二百六十三億ふえて残高が四兆三千二百七十五億ということになっております。それから五月が六百二十六億の増、これも昨年のぺースから比べますと幾らか多い日になっております。これはやはり昨年来の投資を中心とする景気の上昇あるいは生産の上昇というものに見合って貸し出しがふえていっておるということを表わしておるものだと思います。
 それから、そういうふうな工合でございまして預金が割合に伸びない、貸し出しは非常にふえておる、財政の揚超は相当に予定以上になっておる。そこで結局その資金の穴を埋めますために各金融機関がコールを相当利用しておるのでありまして、特に最近に至りましてコールの需給状況が非常に変調を呈して逼迫して参っております。五月の初めくらいまでは、つまり第二回目の公定歩合の引き上げのありますころまでは、大体二銭三、四厘あるいは二銭五厘というようなところで落ちついておりましたコール・レートも、現在では四銭七厘あるいは場合によっては五銭程度というような、中心が五銭程度というようなものも見えて参りまして、その残高におきましても千億という非常に大きなコールが出ております。これはやはり財政、つまり為替収支の方から来ます資金の圧迫、そういったようなものによりまして、非常に日本銀行におきまして窓口で相当金融引き締めをやったというその結果、コールの額が、コールに依存する率が非常に多くなってきた、かような結果かと思いますが、これはまあある程度やむを得ないところもありますけれども、しかしこういう姿になりますことはノーマルでございませんので、今、量はともかくといたしまして、コール・レートの引き下げにつきまして各金融機関に御協力をお願いしております。おそらく来週の月曜日か火曜日早々に関係の金融機関がお集まりになりまして、新聞に出ておりましたので御承知かと思いますが、大体三銭くらいのところへ持っていこう、これでみんなが協力して自粛して、そういう金利のところに下げていこうという努力をされておると思うのでございます。
 それからさっき申しました財政の揚超のおもな原因でございます外国為替の受け払い状況でありますが、これは後ほど為替局の方から御出席がありますので、その際の御説明に譲りたいと思いますが、昨年の暮ごろまでは、為替といたしましては相当に堅実な歩みを続けてきたわけでありますが、ことしに入りましてから、だんだんその収支のアンバランス、赤字の額がふえまして、五月などこらんをいただきますと、収支で貿易外を合せて九千七百万ドルというような大きな払い超を来たしたわけでございます。もっともこれは原因は昨年の秋ごろ、スエズ以降いろいろ信用状の開設がふえた等のこともございましたでしょうし、そういうわけで昨年相当外貨予算の追加をいたしたのでございますが、そういうものが主として今ここで為替に表われて落ちてきておるということでございまして、去年すでに組んだ予算を使ったしりがここに表われておるというのが実情だろうと考えております。
 それから次に輸出入信用状接受及び開設状況という表でございます。輸出、輸入につきまして、それぞれ数字が載っておりますが、大体におきまして昨年の秋ごろまでは、輸出入の信用状からみましても、大体収支均衡がとれるような、問題のない姿になっておりましたが、十月以降非常に輸入信用状の方がふえまして、この勢いは今日まで衰えておりません。もちろん輸出の方も相当好調でございまして、二億二千万円ないし二億三千万円というべースで信用状がきております。これは前年に比べましてやはり一〇数パーセントの増加でございまして、輸出の伸長ということは明らかな事実でございますけれども、それ以上にさっき申し上げましたようないろいろな原因が重なりまして、国内の投資需要あるいはスエズ以降の原材料の補てんのため、あるいは投資活動に伴う限界的な輸入性向の増大というようなことも重なりまして、輸入の方が輸出以上にふえたために、今日のような状況になったわけであります。その点は詳しいことは後ほど為替局の方から御説明があると思います。
 そういう情勢に対処いたしまして、一応今年の三月末に第一次の日本銀行の公定歩合の引き上げ一厘アップということをいたしまして、それで大体今後の金融調節の円滑に行われますようなベースを作ったわけでありますが、なかなかこの輸入の増勢というのがとまりそうもございませんし、先ほどごらんになりましたように、五月にやはり三億二千万ドルの信用状がきておるということは、これまあ多少ズレますかもしれませんが、この数字がやはり八、九月……八月ごろまでに為替収支の方に影響してくる。やはりそのころまでは相当輸入が高率ではないかというようなこともございまして、結局こういう国際収支の赤字を何とかして解消しなくちゃいかぬということになりまして、御承知のように五月の初めに、第二次と申しますか、第二回目にさらに日本銀行の公定歩合の引き上げを二厘アップというのをいたしまして、各金融機関もそれに応じまして一斉に貸出金利を上げたわけであります。
 要するに問題は国内の経済におきまして、少し国際収支とアンバランスになって伸び過ぎた。その主因はどうも投資にあるのじゃないかというようなことが言われるわけでありますが、そういう国内需要を圧縮いたしますために、公定歩合引き上げを二度にわたって行なったのでございます。しかしながら、それだけでは依然まだ状況はよろしくございませんので、今回国際収支改善のための緊急対策というものを閣議でおきめ願ったわけでございます。
 これは大体御承知のことと思いますから詳しいことは申し上げませんが、一応その対策の内容を申し上げますと、国際収支均衡の回復ということを、大目的といたしまして、すでに実行しつつある金融の引き締め及び輸入の抑制等を強化するほか、急速に次のような対策を総合的に実行したいということであります。
 一つは財政面の施策であります。これにつきましては、やはり相当に国内投資が国民経済の相応の力以上に膨張しておるということでありますので、国内需要を削るということが必要なのでありまして、財政投融資といえども、これをある程度切るということをいたしませんと、なかなかその民間だけの投資を切ってバランスを回復するというようなことはむずかしいと思うのであります。まあ現在個々に見ますと、卸売物価、小売物価とも落ちついておるじゃないか、生産は順調に伸びておるじゃないか、雇用情勢も去年に比べて目立って改善しておるじゃないか、そう悪いんじゃないじゃないかということが言われるわけであります。基本的にはそうだと思いますけれども、しかし日本経済の発展というものを考えます場合に、やはりそこに日本としては非常に大きな制約条件がございまして、一つは私の考えではおそらく国際収支問題、これはどうしても日本経済にとって宿命的な大きな制約条件だと思います。
 第二は、投資、貯蓄のバランス、ひいてまた物価の問題ということになるのでありまして、そういう制約条件を考えてその面で頭がぶつからない程度にやはり各種の生産が適度な伸びを示し、適度な国民所程の増が現われるということが一番必要でございまして、これを性急にやりまして、国際収支の壁にぶつかるあるいは投資、貯蓄のバランスをくずして、物価がはね上るということは、やはり長期的にみても非常にまずいことだと思いますので、それが今日国際収支という制約条件にぶつかっておりますので、早急にこれを直すためには単に直接の窓口である為替等をいじるだけでなくて、これをへたにそこだけいじりまして、実態を変えませんとさっきの貯蓄投資のバランスがくずれましたり、いろいろいたしますので、根本的にやはりベースを輸出入バランスに合せていくという意味におきましては、財政面でも相当の措置をする必要がある、もちろん民間の不要不急需要その他、やはりたとえ隘路産業といえども、少し需要が伸び過ぎておるという場合には、徹底的にこれを削減するということが必要でありまして、もちろんそういう民間側の投資削減を期待いたしますと同時に、財政だけは切らない、財政投融資だけは切らないのだというようなことでは、とうていその需要の圧縮という目的を達せられませんので、一応財政投融資の運用に当りまして、ある程度繰り延べを実行していただくということになったわけであります。繰り延べの実行に際しましては、なるべく経済効果の現われることがおそいものから繰り延べていく、ここですぐに効果が現われるというようなものはなるべく繰り延べないで、何年か先になってようやく効果があるものをなるべく繰り延べていきまして、また事態が回復したならばそこで手をつけて少しあとを急ぐといったような弾力的な考えで繰り延べを実行しようということになっております。なお、使用いたします資材が輸出との競合あるいは輸入依存度の大きいようなものというものについても繰り延べをしていただきたいというふうなことで案をきめまして、目下関係方面と折衝中でございます。
 何といいましても、今日ただ消極的に輸入を減らすというだけでなくて、結局根本は輸出をどうして伸ばすか、輸出を伸ばすことによって、国際収支のバランスを回復することが一番大切なのでありまして、その意味ではあまり国内で需要が多くなりますと、ものにもよりますが、国内で売った方がもうかる、従ってなかなか輸出をしようという意欲が出てこないというようなことが多く見受けられますので、そういう点も考えて繰り延べを実施したいということであります。
 ただ、財政投融資を繰り延べると申しましても、その結果非常に、財政投融資のみならず、一般の産業資金の圧縮をするという場合に、どうも今までの傾向からいきますと、下請の中小企業にだんだんしわが寄ってくる、今まで現金払いであったやつは、手形にする、手形の期限が長くなるというようなことで、どうも中小企業に対してしわよせということがおそれられますので、この方面に、中小企業関係に対する資金につきましては、別にこれを増額するという措置をとったわけであります。これは後ほどまた多少詳しく申し上げます。
 それから今の財政投融資でありますが、やはり財政投融資のみならず、一般会計、特別会計あるいは政府機関というようなもの等を通じまして、公共事業等につきましても、物資需給の状況を勘案し、あるいは工事の実情に応じて、その施工時期を調整するというようなことで、特にあまり急ぎません官庁の庁舎あるいは各特別機関、特別会計のこれに準ずるような施設は、できるだけ繰り延べる、計画を打ち切るということでなく、できるだけ繰り延べて、来年度、再来年度に持ち越していくというような考慮を払っております。
 それから次に、金融面の施策に入りまして、まず信用膨張を抑制いたしまして国内の需要を圧縮していくというために、これはもうだいぶ前からやっておられることでありますが、日本銀行の貸出の増加を極力抑制していく、圧縮していくということで、これは日本銀行においてすでに前から窓口でそういう方針でやっております。
 それからもう一つは、資金運用部資金の短期運用として、昨年実行いたしました公社債、金融債七百億円を資金運用部で買い上げて保有するという措置をとったのでありますが、まあ今度の総合政策の立場から申しますと、これはそう一、二カ月で効果が現われて、国際収支がすぐに改善するというものでなくて、相当長期にわたって腰を抑えてじっくり対策をとっていきませんと、なかなか経済の実態がそこまで回復するということはむずかしいと思います。この七百億円につきましては、まあ今後国庫収支の揚げ超が減少しあるいは散超となる時期、つまり九月の半ば以降だんだん散超に転じて参りますから、そういう時期にこれを売り戻しをしまして、第三・四半期の散超がさらにその金融を緩めていろいろな投資需要等に向かわないように、七百億円はそこで売り戻しをして資金を回収しようという計画でございます。これを実際に何月に幾らやるかということにつきましては、まあそのときの財政の散超状況その他金融市場の状況等をもにらみ合せて実行しなければなりませんが、まあぼつぼつ案を考えておりますが、一応年内には七百億円を売りまして資金を引き揚げたいと思っております。
 それから先ほども申し上げましたように、金融引き締めの中小企業に対する影響、しわ寄せを極力防止いたしますために、次のようなことをやりたいと思っております。一つは中小企業金融公庫及び国民金融公庫に対しまして、第四・四半期に借入予定の政府資金を繰り上げまして、それを大体第二・四半期、つまり七月から九月ぐらいの間相当苦しい間にその期間を中心にいたしまして、大体百三十億円程度、両公庫を通じて、百三十億円となりますが、これの貸付増加を行う、そのための資金繰りとして第四・四半期に資金運用部等から出ることになっておりました命をできるだけ早く出したいということを考えております。ただ毎月と申しますか、毎期の貸付計画と資金繰りをどうするかということについては、非常にこまかい計算が要るものでございますから、目下両公序と御相談してこの実行案を作りつつあります。いまだ成案を得るに至っていないので、こまかいところまでは申し上げられませんが、とにかく両公庫を通じて百三十億程度を貸付増加な行う予定であります。
 その次に、商工組合中央金庫――商中につきましては商中値の資金運用部引き受けが、今年二十億の予定だったのでありますが、これを増加いたしまして四十億円といたしまして、大体第二・四半期を中心に資金量をふやしていきまして、なお、商工中金につきましては、これは金額はどの程度になりますか、十五、億になりますか、二十億になりますか、その程度までは中小企業金融公庫の代理貸しということで、代理貸しの資金もふやしていきたいと考えております。
 以上が財政投融資関係の中小金融に対する措置でありますが、そのほかの措置といたしまして、民間の金融機関に対しまして、この際金融引締はしっかりやってもらうのだけれども、そのしわが中小企業に寄らないように、各銀行とも十分見てくれということはしつこくお願いいたしております。
 そのほか、これは制度的に今組織を考えているわけでございますが、もし現在相互銀行及び信用金庫が各府県の信用保証協会といったような信用保証制度を利用して、中小企業向けの融資を行うということをやりました場合には、その中小企業向けの金を出しました金融機関の持っております金融債を資金運用部で買い上げて、そうしてその貸付の資金を補充するという政策をとろうと思っております。大体の金額は二百億ぐらいになるかと思うのでありますが、こまかい資金計算方法等につきまして、ただいまどうするかということについて、目下研究中でございます。これも大至急成案を得まして、来月早々からこういうことができるように考えたいと思っております。
 それから次に、先ほども申し上げましたように、やはり国際収支改善という場合には、今輸入が多いから輸入を打ち切るというだけではいけないので、やはり木筋はもっともっと輸出を伸ばす、輸出を拡大して輸入力をうけることによって、経済の発展率がそれだけ大きくなるわけでありますから、できるだけ輸出金融について円滑化をはかるように措置したいということでございまして、このために輸出金融につきましては優先的に取り扱う、つまり輸出金融のために銀行の貸出がふえたというような場合におきましては、日銀信用の増加を抑制するということをしないで、増加の原因が、一般的には日銀は金融を締めていくわけでありますが、しかし輸出の増加によってその貸出のために日銀の信用援助を求めなくちゃならぬというような場合には、日銀はこれを抑えない、できるだけ輸出に必要な金は貸していくということをやっております。それから同時に、輸出前貸手形の金利を一町下げました。これほはかの金利が全部上っているというときに、これまで据え置いておりました輸出前貸手形の金利をさらに一キログラム引き下げるということによりまして、かえって輸出の意欲を多少刺激する、多少輸出をふやしていくために、そのような措置をとりたいと考えております。
 それからこまかいことでありますが、輸出金融の手続につきまして、銀行あるいは日本銀行等におきます手続上の問題、あるいは添付書類の問題等で、やや複雑でわずらわしいものがありますので、これらも改善いたしまして、手続上十全たらしめるということを考えております。
 もう一つは、外国為替引当貸付制度というのがございますが、これのG・P・A・Dといいますか、LCでなく支払いと申しますか、日本語では現地払い支払いといっておりますが、これが現在中南米については行なわれておるのでありますが、この適用地域を少し広げるというようなことによりまして、輸出金融に相当力を入れていきたい、かように思っております。
 それからその次に、やはりさっき申し上げましたように、この経済の実態を改善していきます場合に、投資と貯蓄のバランスを失しないようにする必要がある。従って、投資の方は今申し上げましたようなことで大いに押えているわけでありますが、やはりこの際国民貯蓄の増強ということに相当力を入れなくちゃいかぬと思っております。その一躍といたしまして、定期性預金の預貯金利子の引き上げを行うことにいたしました。これは、前回は貸出金利等だけに手をうけて、あるいは日歩預金等の問題だけで片づけたわけでございますが、こういう情勢になって参りましたので、一応定期預金にも手をつける。ことに定期預金のうち六ヵ月もの、三ヵ月ものというのは、課税の関係で以前より少し一年ものに対して不利になった点もございます。それらを勘案いたしまして、六カ月毛のは今、年利五分でございますが、これを五分五厘に引き上げ、三カ月定期は今四分でございますが、これを四分三厘に引き上げるという措置をとりまして、きょう政策委員会で御決定になるだろうと思います。昨日金利調整審議会で関係者皆さん異議なくこれは御承認いただいております。ただ、中小金融機関の主としてやっておりますところの定期積金とか、あるいは相互掛金というようなものにつきましては、これを上げますと、やはり中小金融機関の貸出金利等にも響くというようなこともありますし、今回は――今回はといいますか、一応これは手をつけない。金利政策としてはこれで終りということにいたしたわけであります。
 それからその次に、やはり同じような見地から、社債発行条件の改訂、これは利回りの引き上げを考えております。これは目下実は銀行団の方でお考え願っております。もちろん大蔵省としてもいろいろ折衝はいたしておるのでございますが、理財局の所管でもございますので、ただいまどういうことに相なりますか、はっきり申し上げられませんけれども、社債の金利を引き上げる、利回りを上げるということを考えております。で、社債の利回りを上げますと、これとバランスをとりまして、やはり金融債、それから貸付信託といったようなものの手直しも必要かと思うのでございますが、これは社債の条件のきまり工合を見てから措置いたしたいと思っております。
 それからあとは、私の方の関係になりますものとして、さっき申し上げました国内の投資需要と申しますか、産業面の需要を減らしていくということはどうしても必要なんでありまして、そのためには、重点産業、たとえば鉄鋼、石炭、電力というような隘路産業といえども、やはりこの際延ばしていただきませんと、実はそういう資金だけで投資資金の六五%程度を占めておりますので、その辺をやはり多少繰り延べをしていただきませんと、繰り延べの実が上がらないというような点もございまして、そういう面も含めまして、全般的に資金計画を再検討していただく。これは目下経済企画庁、あるいは通産省その他御関係の方面に御研究願っておるのでありますが、そういうものを作りますとともに、金融機関の側におきましては、現在御承知のように、投融資委員会とか、自主規制委員会とかいうのがございます。それらの委員会を定期的にひんぱんに会合してもらいまして、具体的に投資計画をどういうふうにして削減していくかというようなことについて、特に強力にやっていただくと、私どももそういう委員会に出まして、いろいろ政府の意見も申し上げ、なるべくスムーズに銀行側に協力していただくように配慮いたしております。
 それからその次に、これは同じようなことでございますが、最近多少下火にはなっておりますが、やはり東京、大阪あたりでもビル建築といったようなものが相当盛んに行われております。これらは、こういう事情になって参りますと、やはり不要不急と申しますか、どうしてもこういうものが要るという事情は非常に少いのでございまして、こういったようなものはなるべく工事を延ばしていただく、新規の着工というのはもちろん、ある程度着手しておるものにつきましても、何らか話し合いでビル建築等は延ばしていただくというようなことはどうだろうかと考えております。同時に、さっき申し上げましたように、これと同じようなことを官庁営繕あるいは特別会計、政府機関等のやはりビル建築というようなものも全面的に御協力を願って繰り延べをするというようなことが必要かと思っておりまして、今そういう面の具体的なやり方等について研究いたしております。
 なお、銀行局の関係といたしましては、こういう段階になりますと、先ほども申し上げましたように、貯蓄奨励ということが非常に重要な課題になって参りまして、御承知でもございましょうが、現在夏のボーナス期を中心にいたしまして貯蓄増強期間というのをやっております。この総合対策に協力する意味で、国際収支の改善にはどうしても貯蓄を増強して貯蓄、投資のバランスを回復することが必要なんだということをさらにつけ加えまして、なおさらに、先ほど申し上げました定期性預金の金利の引き上げというような施策も同時にあわせまして、国民運動を展開していきたいということを考えております。
 それから、主計局の事項になりますが、これは国の施策として考えたことでありますが、地方公共団体に対しましても、各種の今まで申し上げましたような措置に準じて自主的に協力することを期待しておるのでございまして、そういう点は別途また主計局の方からお願いしておると思います。
 大体今回の総合緊急対策を中心にしまして今われわれの考えておりますところは以上のようなことでございまして、この引き締めの影響がいつごろ出るかということは、これはなかなか判定が困難でありますし、その過程におきまして中小企業等にある程度しわがいくというようなことも考えられますので、そういう中小企業等に対する影響等につきましては、さっき申しましたような措置を機動的にすみやかに発動しまして、できるだけ悪影響のないようにして、全体の経済を適当な水準に持っていって国際収支を改善したいと、かようなことを考えておるわけでございます。

発言情報

speech_id: 102614629X00119570628_002

発言者: 酒井俊彦

speaker_id: 3290

日付: 1957-06-28

院: 参議院

会議名: 大蔵委員会