石田正の発言 (大蔵委員会)
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○説明員(石田正君) 銀行局長の方から一部為替の問題にも触れられたようなふうに聞いておりますので、あるいは重複するような点もあるかと思います。
今、西川先生からもお話がありましたのでありますが、国際収支の見通しというようなものは、本来非常にむずかしいものでありまして、われわれの方でいろいろ予測を立てておりますが、なかなかその予測が実際問題とうまく合ってこないという点で始終悩んでおる問題でございます。
大体最近の国際収支の状況を大ざっぱに申しますると、大体昭和三十一年末までは比較的順調な推移をたどっておったということが言えると思うのであります。三十一年の十二月までの数字から申しますると、大体国際収支は均衡に近い状態で推移して参ったということが言ええると思います。しかるに昭和三十二年に入りましてから、国際収支の逆調が現われまして、為替統計の方で申しますると、三十二年の一月は千四百万ドルの赤字でありました。それから二月は六千三百万ドル、三月は五千四百万ドル、四月は五千七百万ドル、五月は九千七百万ドル、こういうふうな状況でございまして、概して申しまして、だんだんと国際収支は悪くなるということが続いて、現在に至っておるような状況でございます。われわれの方といたしましては、こういうふうに国際収支が悪くなって参りまする前兆といたしまして、心配いたしましたのは、やはり為替の決済に現われて参りまするところの現段階の信用状の数字がどういうふうに推移してくるかということでございます。これは大体三十一年中の十月、十一月ごろまではそういう大きな悪化の前兆も見えなかったのでありますが、十二月に至りまして大きな数字が出て参りました。三億ドルを越すところの信用状の開設というものが十二月に現われたわけであります。これを数字の上で申しますると、十一月の数字は信用状が二億三千四百万でございましたけれども、十二月になりまして一躍三億七百万というような数字が出て参ったわけであります。
その点からわれわれは、これが必ず国際収支の為替の面に現われて参りますもので、そのころから心配いたしておったわけでございます。ただそのときの状況といたしまして、御承知のように昨年スエズ地帯におきまして国際紛争が起ったわけであります。そうしてその当時といたしまして、この紛争がどういうふうに処理されるであろうかということにつきましては、なかなか見通し困難でございました。物資の獲得その他がなかなか困難になるのではなかろうかというふうなことから、やはりこの際は、早く物を買い付けた方がいいというような気持が一般的に動いたのだろうと思います。その効果が大体十二月ごろから現われてきたようにわれわれは感じたわけでございます。そこでこの国際収支の赤字というものの中には、スエズ問題というものが相当影響しておるのではなかろうかというふうに考えております。そうしてそういう問題でありまするならば、やはりあれは十月、十一月の問題でございますが、やはりそういうものの影響は数カ月続くであろう。そこでそのスエズの問題というものは、今年の三、四月ごろまで続くのではないだろうかというような工合に考えたわけでございます。
そういうことで、われわれの方はその問題も含めまして、国際収支の成り行きを見ておったわけでございますが、他方におきまして一般的な経済活動あるいは設備投資の状況、消費の状況というふうなものが、わが国の外貨獲得力という点から申しまして少し強くなりすぎておるのではなかろうかという心配もその間においていたしたわけでございます。しかしながらまだその当時の為替の方から見ました状況から申しまして、果してそういうものがスエズ関係を中心とする一義的なものであるか、それとも国内経済活動が活況過ぎるために国際収支にその尻が端的に現われてきたというふうに断定すべきか、実は迷っておった次第でございますが、先ほど来申し上げましたような数字が為替で示されるごとく、これがずっと二、三月ごろから四月ごろにかけまして減らず、むしろ増大いたしていくというような状況になりましたならば、これは一義的なものと見ることはできないのでありまして、やはり判断としては、国内活動が一般的に活況に過ぎるためであって、国際収支の均衡を回復するためには、その面において手を打っていただかなければならない、かように考えて参りました次第でございまして、そういう認識のもとで、いろいろと国内の政治的な政策がとられるようになりまして、この点は銀行局長の方から説明願ったことだろうと思うのであります。
それからわれわれはこの国際収支の均衡回復をどういうふうに考えているかという点につきましては、われわれは為替管理を現在施行いたしておるわけでございまして、その面から強力に為替のバランスを揃えるということは必ずしも不可能ではないと思っております。しかしながら一般の経済情勢というものを無視して、為替の面だけでもってバランスをとるというやり方をするのは、これは大局的にいいことではない。やはり国内経済の動き、それからまた輸出の見合いにおきまして、自然に国際収支が均衡をするという方途を講ずべきであろうというふうに考えておる次第でありまして、従いまして国内の金融政策というような問題、あるいは財政投融資というような面につきまして、要するに国内需要というものを縮小することによって、輸入需要のもとが、ちょうど国際収支がバランスするところの程度まで締めていただくということが正直であろうというふうに考えておる次第でございます。そういう方向におきまして、国際収支が均衡せられるに至ることを期待いたしておるわけでございます。
先ほど銀行局長からもお話がございましたが、それではそれらの措置というものがいつ効果をあげるかという問題、それからどの程度に効果があがってくるかという問題でございますが、これが国際収支に現われてくるのにやはり時期的なズレがございます。それからまたこういうふうに国内措置をやったから、こういうふうに国際収支に現われてくるというふうに端的に計算ができるわけのものではございませんけれども、われわれはまあ大ざっぱに申し上げまして、数カ月の間にはその効果というものがだんだんと現われて参りまして、それに応じて国際収支は均衡を回復していくのではないか、かように考えておる次第でございます。
一応御説明を申し上げた次第であります。