千田正の発言 (農林水産委員会)

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○千田正君 今般、農林水産業の実情調査のため、石川県、富山県の両県に派遣されましたことにつきまして、御報告を申し上げます。
 派遣されました委員は、堀委員長、小笠原二三男委員と私の三名でありますが、去る六月の二十五日東京を出発、五日間の日程をもって、まず石川県に参り、金沢市の県庁において、県当局及び県下の各種農林団体の代表者から農林業の実情について、また七尾市においては、県当局及び各地から参集の漁業団体の代表者から漁業問題について、説明を聞き懇談を行いました。現地の視察といたしましては、能美郡根上町及び河北郡内灘町において海岸砂地地帯農業の状況を、鹿島郡鳥屋町において新農山漁村建設総合対策事業を七尾市及び能登島町において漁港等水産施設を、それぞれ視察し、地元代表と懇談をいたしました。なお、この間、小松市にあるところの農林省加賀三湖干拓建設事務所において、事業の状況について説明を聞きました。
 次に、富山県に参り、氷見市において、漁業問題について県当局及び氷見市、新湊市、魚津市等県下各地からの漁業代表と懇談を行い、富山市の県庁においては、同様、県当局及び県下の各種農林団体代表者と懇談を行いました。実地視察としましては、氷見市及び魚津市において水産施設を視察し、立山町、滑川市、魚津市において、新農山漁村建設総合対策事業の実施状況を視察しまた、氷見市実地内において、海岸砂地地帯農業の状況を視察いたしました。
 時間の関係もあり、詳細につきましては、別途資料によってごらん願いたいと存じますが、要望のありましたもののうち、おもなるものについて概況を申し上げます。
 まず、石川県における状況について申し上げますというと、農業問題について知事から、
一、農地問題として、小作地引揚要求が昭和三十年には四百十三件、同三十一年には四百五十三件あったが、県としては農地法の精神により処理してきているが、政府においても、地方行政上に摩擦を生ずることのないよう、この種問題の取扱いには慎重に配慮されたい。
二、この地方は米の単作地帯であり、冬季の対策として、家畜を導入し、畜産物の処理施設を設置したい。
三、米価については、早場米地帯として特に時期別価格差の時期、区分、格差等を前年通りとして、それを下回ることのないように配慮されたい。
四、団体営の土地改良について、補助対象たる受益地は二十町歩の制限があるが、その点、能登地方等、後進地区の小団地の開発に特別の考慮をなし、特別地域に指定されたい。
五、石川県は傾斜地が多く、耕地は一七%であって、八三%は遊休地である。家畜を導入し、傾斜地農業が必要であるが、国においても対策を考えてほしい。
という要望意見が述べられ、また市町村代表、農業団体代表から、米価の時期別価格差、農業改良普及員制度の強化による指導体制の確立、肥料価格の適正な決定機関の確立等のほか、土地改良の補助率を全国一律とせず、石川県のごとくおくれているところの地域に対しては、実態に則応して高率とすべきであり、補助金等適正化法の運用についても、冬季積雪のため工事ができない空白期間がある地域であるから、仕越し工事または土地改良の継続工事等を認められたいと要望されております。
 海岸砂地地帯農業の状況を能美郡根上町において視察しましたが、ここは海岸砂地地帯農業振興計画に基く予定の百二十町歩の水田造成を完成し、三台の揚水機により灌漑して成果をあげており、時あたかも田植えの最中でありました。また河北郡内灘町の砂丘地を視察しましたが、これは全額国庫負担により、道路を作り、河北潟の水を引いて畑地海潮を行い、またアカシヤの木を植えて砂地に対する砂防林としておりますが、タバコを耕作しております。いずれも不毛の砂丘地が、諸施設を行なったことにより、りっぱな耕地となって、増産に大きな寄与をいたしております現状をまのあたりにして、この種土地改良事業の必要と効果を確信いたしました。
 次に、鹿島郡鳥屋町において、農山漁村振興計画に基く各種共同施設、生活文化研修施設、適地適産奨励施設等の特別助成事業の実施状況を視察しましたが、今後家畜の導入に努力したいが、国としても乳価の安定には特に考慮を払われたいとのことでありました。また、県当局としましても、地元としても、新農村建設事業は現在総合対策要綱によって行われているが、今後単なる一時的のものに終ることなく、国としては長期間をもって、かつ資金量もさらに増額して、積極的に行われたいとの要望がありました。またこの地区においても、県としても、現在のような畦畔は――いわゆるあぜ、くろですね、畦畔は労力のみ多くして非生産的であるので、大団地式のコンクリート畦畔により土地の有効利用を研究しているとのことでありました。
 漁業問題については、七尾市において県当局及び各地からの漁業団体代表と懇談いたしました。沿岸漁業が大部分であるが、沿岸の漁場が資源的に枯渇し、一方漁民の五割五分が半農半漁であり、零細漁民は疲弊している。沿岸漁業の振興に関する抜本的政策が樹立されることを期待しているとのことでありました。
一、水産資源の維持増殖のための浅海増殖事業に対する補助の割合を、現行の三分の一から二分の一に引き上げられたい。
二、南部沿海州沖に出漁した機帆船底びき網漁船が、去る四月ソ連監視船から帰還命令を受けて以来中止の状況にあるので、再出漁できるようソ連との交渉等を配慮されたい。
三、北洋出漁のサケ、マスの独航船の隻数は、今後遠洋漁業に恵まれない日本海側からは減船しないよう要望する。
四、サケ、マス延べなわ漁業について二十三隻が出漁しているが、平均トン数二十トンで、小型のため危険が多いから、四十トンまで引き上げてもらいたい。
五、アユの放流助成補助を今後増額継続されたい。
六、漁業共済制度の早期実現をはかられたい。
七、漁船乗組員養成事業の継続及び国庫補助増額を要望する。
八、漁業調整委員会の費用の増額をはかられたい。
九、漁業協同組合の強化による沿岸漁業振興のため、漁業協同組合連合会の指導事業に対し国庫助成の制度を創設されたい。
十、農林漁業団体職員共済組合法を早急に制定して、農林漁業団体職員の身分の安定と育成をはかられたい。
十一、中小漁業融資保証法を改正して、中小漁業者が出資しなくても利用できるよう配慮されたい。
十二、漁業においても改良基金制度を樹立し、また技術改良普及員制度を確立されたい。
十三、漁業権は漁業協同組合に免許されるよう、手続等において配慮されたい。この要望がありました。
 波高く悪天候のもとに能登島を視察しましたが、本島は離島振興法による離島でありまして、野崎漁港は三十二年度から第一期計画として漁港修築が実施され、また鰀ノ目漁港についても配慮を願いたいとのことでありました。
 能登島町は、新農山漁村振興対策の指定地でありますが、共同施設に対して、地方税の不動産取得税の対策になるとて、地方税務当局が実地調査を行なっていますが、補助事業L課税されないよう御配慮されたいとの要望がありました。
 次に、富山県における状況について申し上げます。
 まず、氷見市において、漁業問題について県当局及び県下の各種水産団体の代表者から要望がありましたが、そのおもなるものを申し上げますと、
一、富山県は沿岸漁業が発達し、特に定置漁業は全体の生産量の半ば以上を占めており、日本一の定置漁業県である。北洋及び北海道方面にも出漁しているが、定置漁業が中心であったため、大型漁業は少いので、今後は漁船の建造による沖合、遠洋漁業への進出、増殖、加工による水産物の高度利用等に力を注ぎたいから、国としても施策に配慮してほしい。
二、氷見漁港は三十数年前に完成した漁港であり、現在の発達した漁業の実情に適しないので、拡張修築事業を実施したい。しかしながら整備計画から漏れているので、特段の措置により実現を配慮されたい。
三、定置漁業権の免許期間を、現行の五年から十年に延長されたい。近時豊凶の差が大きいので、五年では採算上危険が大きい。
四、漁業共済制度について、イワシ網漁業を特に配慮されたい。
五、県下の工場建設が増加するに伴い、水質汚濁もはなはだしい。工場が廃液処理を十分にするよう対策を講ぜられたい。
六、北洋漁業に出漁しているが、その裏作になる漁業がないので、秋から春にかけて北海道からカムチャッカの漁場において、タラ漁業を行いたいので、大臣許可の漁業として許可されたい。
七、漁船建設資金の確保、対馬暖流等漁場調査及び水産加工の振興等、国として考慮されたい。
八、北陸電力の料金改訂は、不合理な点が多い。製氷冷凍事業は日本海の漁業と深い関係を有し、工場は八十七工場に及んでいる。今回の値上りは四〇%をこえるものとなり、鮮魚、冷凍魚、蔬菜、果実等の価格に甚大な影響を及ぼすおそれがあるから、負荷率割引制の存続を初め、料金改訂が最小にとどまるよう特に配慮されたい。と、強い要望がありました。
 次に、県庁において、農林問題について、県当局及び各種農林団体との間に懇談を重ねましたが、
一、富山県は山岳と水に恵まれ、耕地の九二%は水田であり、水田単作地帯で、一方に工業化も進んでいる。土地改良と畜産振興が必要であるから、国としても配慮されたい。
二、米価については、単作、早場地帯であるから、時期別価格差、歩どまり加算等不利にならないように措置し、米の質については栄養上の観点からも考慮されたい。
三、農林漁業資金の県信連取扱い範囲は、現在一市町村の区域をこえない農協もしくは土地改良区の行う事業に限定されている。災害復旧事業、都道府県営事業、一市町村の区域をこえる農協もしくは土地改良区の行う事業は、農林中央金庫の取扱い範囲となっているが、これを借受者の自由選択とし、取扱い範囲の制限を撤廃し、県信連の取扱い範囲の拡大を要望する。
四、県の厚生農業協同組合連合会の経営病院の診療一点単価が据え置かれているので、単価改訂を行われたい。また厚生病院の設備資金について、補助の平等と厚生年金資金導入の道を講ぜられたい。農村巡回診療活動経費援助並びに関係法令改正等、農協病院に対して国で種々配慮されたい。
五、農業災害補償制度に適用する水稲の基準反収引き上げ、及び農業共済団体事務費国庫負担額を増加されたい。
六、林業に関しては立地条件が悪いが、造林事業に対する国庫補助率の引き上げ、森林災害補償制度の確立、治山事業費の増額、林道改良事業に対する国庫補助、積雪寒冷地帯に対する林道の補助率算出の特例、森林組合育成、林業技術員の増員、木炭検査に対する国庫補助、農林漁業資金の融資条件の緩和等について配慮されたい。また森林問題については、富山県に植物検査所を設置、木材貨車輸送増強、建築材料規格統一等についても要望したい。
七、土地改良事業については、昭和三十三年の予算確保、三十二年度事業量の繰り延べ反対、土地改良信用保証制度の制定、補助金適正化法の改正、農林漁業資金のワク拡大、農業水利改良事業予算増額、国庫補助を継続費として計上する等について配慮されたい。
八、畜産関係として、環境衛生適正化法により、食肉販売に制約が設けられ、肉畜生産に影響するから、支障のないよう運営に特に考慮されたい。枝肉処理機関の拡充を期せられたい。県の畜産会が行う経営診断事業に指導員等財政援助を要望する。このことでありました。
 最後に、農業地区として、立山町、滑川市、早月加積、漁業地区として魚津市等の、新農山漁村建設の実情を視察しましたが、いずれも共同組織による多角経営を実施しております。富山県は水稲単作地帯であり、畜産が不振であり、また七割余が兼業農家であることを前提として、その是正を新農村対策の目標としております。農業改良普及員が計画を立て、その助言により適地適産の計画をすることを目標としていますが、十分に検討される期間がなくて行われる危険があるので、下部からの話し合いにより、機運が熟して計画が実施されるようにしたいとのことでありました。
 以上、両県の実情並びに要望の概況について申し上げましたが、農林水産振興のため、国、地元一体となって解決に努力すべきものと存じますので、何分の御協力をお願いいたしまして、報告を終ります。

発言情報

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発言者: 千田正

speaker_id: 27068

日付: 1957-07-09

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会