高田なほ子の発言 (文教委員会)
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○高田なほ子君 日本社会党を代表いたしまして、理科教育振興法の一部を改正する法律案について賛成の意見を申し上げます。
もともと理科教育が文化的な国家の建設の基礎として特に重要なる使命を有することにかんがみ、教育基本法及び学校教育法の精神にのっとり理科教育を通じて科学的な知識、技能及び態度を修得させるとともに工夫創造の能力を養い、もって日常生活を合理的に営み、かつわが国の発展に貢献し得る有為な国民を育成するため理科教育の振興をはかることを目的とするこの理科教育振興法の目的にかんがみまして、今回特に私立学校が国のあたたかい手によってこうした目的が達せられ、わが国の科学水準の向上とともに日本の文化国家建設への大きな基礎を開け得たということは、まことに実は御同慶にたえないところであります。
顧みまして私立学校教育の問題については、はなはだこの日本においては国の手が伸び過ぎない。私はたびたびこの委員会の席上でも申し上げましたように、イギリスのようなところでは大体国が七〇%の手を伸べている。自己負担は三〇%にすぎない。わが国においては自己負担は七〇%である。国の負担は三〇%であるというこういう現状でありますので、この法律の中で、私立学校が計画の中で国の手によって目的を達成し得るというこのことについては、まことにけっこうな点であろうと思うわけであります。しかしながら、この一歩前進した姿を見ますとはなはだ現状にかけはなれているような予算が組まれているのではないか。私立学校の理科教育の現状はすでに非常なむしろ窮乏の状態に達している。しかるにかかわらずはなはだ今回の予算の立て方が少い。三十二年度は約一千万円である。従って中学校当りでは一校八万円である。高等学校では十万円である。児童生徒当り一人前にすると大体四円か五円ぐらいのものでありまして、今日紙芝居を見るのにでも五円や十円の金は子供はやはり使っている。文化国家を目ざす理科教育の振興の予算の組み方はこのような零細のものであってはならないのです。ぜひこれは予算の面においても相当考慮されなければならない。私はこの点を強く主張しなければならないわけであります。特に理科教育振興法の規定によれば、国は理科教育に対する総合計画を樹立しなければならないことになっておりますが、この総合計画の樹立の面においてももっともっと私は研究されなければならない面があるのではないだろうか。すなわち今回文部省の説明によれば、最低水準まで達するために国の予算は八億五千万円が計上されている模様であります。しかもこの八億五千万円の費用をもって最低の水準を達するまでの計画年次としては十三年という長年月を要している模様であります。わが国の文化の発達は実に急速な進歩を遂げつつあり、なかんずく科学の発展は最近目ざましいものがあるのでありますが、十三年計画の中で八億五千万円をもって最低の水準をきめていこうとするこの計画そのものについても、さらにもう一段の研究が必要ではないか。私どもはただ単に文部省が提示した十三年計画、八億五千万円の予算をもって十三年後のわが国の文化の水準を維持し得るその基礎になるとは、どうしても考えられない。従って文部省はこの法案を通された暁において、早急にこれが対策を樹立され、再検討をされて、予算の面においても格段の御検討をわずらわしたい、このように考えるわけであります。
さらに希望したいことは、予算の配分の方法であります。貧困な現状で零細な予算が配分されるということになりますと、そこに非常なその配分のむずかしさができてくるのではないでしょうか。中央においては監理局がその衝に当ると言われておりますが、単に中央の監理局のみでこのわずかの予算を公平に、かつ、適正に配分するということはしかく困難ではないかというふうに考えられます。産振法を通過させますときにも、予算の配分問題は当委員会でもかなりきびしく論議されたと記憶しております。従いまして理振法の予算の配分においても、単に中央の機関がその衝に当るだけでなく、配分のためというよりは、予算の公平な実効の上る使い方をさせるためには、各都道府県においてもそれぞれ審議会を設置されて、そうして予算の配分並びにその配分から出発するところの総合的な計画が常に上部機関に反映し得るような、そういう機構が考慮されていいのではないか。もしそういう方法が考慮されないとするならば、予算の比較的余裕のある学校は二分の一の国の補助を受けることがありましょうけれども、まことに予算の少い、言うならば最も弱小な私立学校が予算配分の面において置き忘れられるという危険性があり、ここに生ずる学校差の問題は、教育の機会均等という面に非常な悪影響を及ぼしてくるのではないか。しかのみならず、この予算の配分を受けたいために、私立学校自体がPTAの寄付、あるいはその他の寄付行為に狂奔して、教育者が教育の本来を離れて寄付募集人員になり下ったり、あるいは一部の金力者に対して教育者の権威を失墜するような、こういうような状況に陥らないともこれは予想できない状態であって、しかくこの配分の問題については、予算の増額とともに相当私立学校の理科教育の現状と相待って再検討しなければならない問題ではないか。私どもはこの点に非常な危惧を感ずるとともに、こうした危惧を一掃されるように特段に文部当局の御努力をわずらわしまして、私は本法案に対して賛成の意見を終りたいと思います。