岸信介の発言 (予算委員会)
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○国務大臣(岸信介君) 南千島の問題につきましては、私は日ソ交渉において領土問題が一番ガンであったことは御承知の通りでありまして、此彼両国の主張が真正面から衝突しておる問題であり、今日まで数回あるいは数十回の会談において解決をみない問題であります。私どもは、日ソ間の国交を正常化して、そして日ソの友好関係を深めていくと同時に、大使を交換することによって、両方ともその国民的の気持や何かよく理解された上において、これを話し合っていくことが適当である。従って、日ソ間においてはいろいろ懸案の漁業問題やあるいは通商問題その他の問題を解決することにおいて両者の理解を深めていくというか、友好関係を増進していく、そうしてわが方の主張を十分に理解せしめて、これを実現するように努力したいと思います。また、沖繩の問題につきましては、すでに施政権の返還について国会の議決もありまして、アメリカ側にその意思も通告してあるのでありますが、アメリカ側としては、極東におけるこの情勢の緊迫している状態から、今返すわけにいかないということになっておりますが、私はよくこの極東における情勢等についても、世界情勢とともに、これを分析して、両国のこの考え方を一致せしめていき、また同時に極東における諸情勢の緩和にも、日本がこの上とも努力していって、この施政権の返還からまず実現するように努めていくことが必要であろうと、こう思っております。また小笠原の問題につきましては、今一番問題になっておりますのは、小笠原の従来の住民の帰島というものが——島へ帰る問題が、ずと懸案になっておりまして、まだ解決を見ないような状況であります。根本は、これらの領土問題を解決するということは、アメリカとの関係におきましては、要するにサンフランシスコ体制というものが根本的に是正されるということになるわけでありまして、それには極東における情勢、国際情勢あるいは世界情勢というものの全体にも関連を持っている問題でありますけれども、わが方の主張は、機会あるごとにこれを向うにわれわれがなぜそういうことを強く要望するか、という根源をよく理解せしめて、順を追うてこれは解決することが適当であるし、ソ連の関係においては、やはり日ソの間の友好関係というものをもう少し進めて理解を深めていかないと、この領土問題は昨年、一昨年の経過から見てなかなか解決がむずかしかろう。いずれにしましても、すでに国民的の一致しておる要請であるところのこれらの領土の返還については、今申しましたような方針のもとにこれは実現をはかっていきたい、かように考えております。