予算委員会

1957-03-19 参議院 全94発言

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会議録情報#0
昭和三十二年三月十九日(火曜日)
   午後三時二十二分開会
    —————————————
  委員の異動
三月十八日委員高橋進太郎君辞任につ
き、その補欠として柴田榮君を議長に
おいて指名した。
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  出席者は左の通り。
   委員長     苫米地義三君
   理事
           迫水 久常君
           左藤 義詮君
           安井  謙君
           吉田 萬次君
           天田 勝正君
           中田 吉雄君
           吉田 法晴君
           森 八三一君
   委員
           石坂 豊一君
           小林 武治君
           柴田  榮君
           新谷寅三郎君
           土田國太郎君
           苫米地英俊君
           林田 正治君
           一松 定吉君
           前田佳都男君
           内村 清次君
           海野 三朗君
           岡田 宗司君
           栗山 良夫君
           佐多 忠隆君
           曾祢  益君
           中村 正雄君
           羽生 三七君
           松浦 清一君
           山田 節男君
           湯山  勇君
           加賀山之雄君
           梶原 茂嘉君
           田村 文吉君
           豊田 雅孝君
           千田  正君
           八木 幸吉君
   国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 岸  信介君
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   通商産業大臣  水田三喜男君
   労 働 大 臣 松浦周太郎君
   建 設 大 臣 南條 徳男君
   国 務 大 臣 宇田 耕一君
   国 務 大 臣 小滝  彬君
  政府委員
   法制局長官   林  修三君
   法制局次長   高辻 正巳君
   防衛庁長官官房
   長       門叶 宗雄君
   防衛庁防衛局長 林  一夫君
   経済企画庁調査
   部長      小出 榮一君
   経済企画庁計画
   部長      大來佐武郎君
   外務省アジア局
   長       中川  融君
   外務省条約局長 高橋 通敏君
   大蔵省主計局長 森永貞一郎君
   大蔵省主計局次
   長       宮川新一郎君
   大蔵省主税局長 原  純夫君
   大蔵省理財局長 河野 通一君
   大蔵省銀行局長 東條 猛猪君
   通商産業省公
   益事業局長   岩武 照彦君
   労働省労政局長 中西  實君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○昭和三十一年度一般会計予算補正
 (第1号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十一年度特別会計予算補正
 (特第1号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十一年度一般会計予算補正
 (第2号)(内閣送付、予備審査)
○昭和三十一年度特別会計予算補正
 (特第2号)(内閣送付、予備審
 査)
○昭和三十一年度政府関係機関予算補
 正(機第1号)(内閣送付、予備審
 査)
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苫米地義三#1
○委員長(苫米地義三君) ただいまから委員会を開きます。
 まず、委員の異動について申し上げます。三月十八日高橋進太郎君が辞任されまして、柴田榮君が補欠として指名されました。
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苫米地義三#2
○委員長(苫米地義三君) 次に、本日の理事会で、昭和三十一年度補正予算の審査日程について協議決定いたしました事項を御報告申し上げます。
 一、昭和三十一年度補正予算は、第一次、第二次分を一括して審査を行い、十九日、二十日及び二十二日の三日間で審査を終了する。
 二、二十二日午前中に質疑を終了して、討論採決を行う。
 三、質疑時間の割当は、十九日は、自民党九十分、社会党六十分、二十日は、自民党四十分、社会党八十分、緑風会五十分、無所属二十分、十七控室二十分、二十二日は、自民党三十分、社会党三十分、以上でございます。
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苫米地義三#3
○委員長(苫米地義三君) これより昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)、昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)、昭和一二十一年度特別会計予算補正(特第2号)、昭和三十一年度政府関係機関予算補正(機第1号)を一括して議題といたします。
 第一次補正分につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりまするので、まず、第二次補正分について、提案理由の説明を願います。
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池田勇人#4
○国務大臣(池田勇人君) 政府は今回、昭和三十一年度一般会計予算補正第二号、特別会計予算補正第二号及び政府関係機関予算補正第一号を国会に提出いたしましたが、ここに予算委員会の御審議をお願いするに当りまして、その概要を御説明いたします。
 一般会計予算補正の追加額は、歳入歳出ともに百四十七億円でありまして、これにより、さきに提出いたしました予算補正第一号とあわせまして、昭和三十一年度一般会計予算総額は、一兆八百九十六億円となる予定であります。
 歳出におきましては、三十一年度の予算作成後に生じました事由により、当面必要とされる最小限度の所要額を計上いたしました。
 これを義務教育費国庫負担金についてみれば、三十年度における義務教育教職員給与費の実支出額に基く負担額が、三十年度予算計上額を上回り不足することが確定し、さらに、昭和三十一年十二月第二十五回国会において成立した一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律に関連して、教職員の期末手当が増額されることとなったので、三十一年度の国庫負担金を増額する必要があり、そのほか、遺族及び留守家族等援護費、国民健康保険助成費、旧軍人遺族等恩給費、地方交付税交付金などについても、これと同様の趣旨で、成立予算に追加して所要額を計上することが必要となったのであります。
 また、食糧管理特別会計の損失は、三十年度末において完全に補てんされる予定でありましたが、その決算確定の結果、なお損失を残すこととなりましたので、これを一般会計の負担で補てんするための所要額三十三億円余を計上しております。
 なお、沖繩問題については、講和条約発効前における米軍接収による土地等の損失の補償に関する問題は、早急に解決することが困難でありますので、土地等の所有者等の困窮の状況を考慮し、特別措置として見舞金を贈ることとし、その他の対策とあわせ沖繩関係特別措置費十一億円を新規に計上することといたしました。
 次に、一般会計歳入についてでありますが、租税及び印紙収入百三十億円を追加計上いたしました。これは、三十一年度の税収が、国民所得の予想以上の伸びを反映して、大幅の収入増加が見込まれ、そのうち所得税、法人税につき四百億円を第一の補正予算に計上いたしましたが、今回の補正を行うに当り、その財源として、さらに、酒税、物品税、関税の増収百三十億円を引き当てることとしたものであります。
 なお、租税収入のほか歳入として雑収入等約十七億円を計上いたしました。
 特別会計予算補正としましては、交付税及び譲与税配付金特別会計及び漁船再保険特別会計給与保険勘定におきまして一般会計予算補正とも関連して必要とされる補正を行い、また、特別会計予算総則の一部を改めて、輸出保険特別会計の契約限度額を増額することとしております。
 政府関係機関予算補正は、成立予算の予算総則に規定されている国民金融公庫、中小企業金融公庫の借り入れ限度額を増加することを内容とするものであります。
 以上、昭和三十一年度予算補正につきまして概略申し述べましたが、なお詳細にわたりましては、政府委員をして補足説明いたさせます。
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苫米地義三#5
○委員長(苫米地義三君) 次に、森永主計局長より補足説明を願います。
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森永貞一郎#6
○政府委員(森永貞一郎君) お手元に、「昭和三十一年度予算補正の説明」という印刷物がお配りしてございますので、その印刷物につきまして、簡単に補足説明をいたしたいと存じます。
 まず、一般会計の歳出から申し上げます。二ページ以降に、重要事項につきまして簡単に説明が加えてございます。
 第一は、遺族及び留守家族等援護費でございます。追加額は二十八億円でございます。この内訳は、本年度内の裁定件数の増加に伴う不足額が二十四億九千六百万円、三十年度の不足額が三億四百万円、合せて二十八億と相なっております。
 社会保険費は、十億六千九百万円の追加でございます。御承知のように、国民健康保険助成金が三十年度来、いわゆる清算補助に切りかえられたのでございますが、三十年度の清算の結果、療養給付費補助におきまして十億四千三百万円、事務費補助におきまして二千六百万円の不足を生じましたので、その合計十億六千九百万円を追加計上いたしております。
 次は、義務教育費国庫負担金十七億四千五百万でございます。このうち十億三百万円は、三十年度の決算上の不足でございます。残りの七億四千三百万円は、昨年末、公務員に対しまして、期末手当を〇・一五分だけ増額いたしたのでございますが、その関係からくる義務教育費国庫負担金の不足でございます。合せまして十七億四千五百万円を計上いたしております。
 国立学校運営費におきまして、一億五百万円の追加でございます。これは、国立大学付属病院におきまする患者の増加、診療内容の向上に伴う医療費の不足分でございますが、なおこのほか、別途予備費から六千万円を支出いたしております。一方歳入におきましても、国立大学付属病院関係で、二億七千三百万円の増収がございまして、今回の補正の財源として計上いたしております。
 次は、旧軍人遺族等恩給費二十五億九千百万円の追加でございます。このうち、十九億六千百万円は、遺族扶助料の本年度における不足でございます。当初百六十万の受給人員を見込んでおりましたが、裁定が進行いたしまして、すでに一月末で百六十一万に達し、年末までに、さらに五千人裁定が予想されますので、これに伴う不足額を追加計上いたしました。なお、別に一時金についても、六億二千九百万円の不足を来たす見込みでございますが、合せて追加計上をいたしました。
 地方交付税交付金は、十億円の追加でございます。これは、今般の補正に際しまして、財源として、酒税四十億円を計上いたしておりまするが、これに伴う地方交付税交付金十億を計上いたした次第でございます。
 次は、食糧管理特別会計への繰り入れ三十三億五千五百万円でございますが、これは、三十年度末の損失を、食糧管理特別会計法付則第二項の規定によりまして、補てんをいたすための繰り入れでございます。
 次は、沖繩関係特別措置費十一億円がございます。このうち十億円は、米軍に接収せられておりまする土地等の所有者に対する特別措置としての見舞金でございます。御承知のように、土地問題につきましては、目下対米折衝が行われておるわけでございますが、早急な解決は困難でございますので、この際十億円を見舞金として、特別措置として支給をいたすことといたした次第でございます。この性質は、ビキニ被災者等の場合に準ずる立てかえ金的な性格と考えております。このほか、沖繩への引揚困窮者等に対する措置といたしまして、別に一億円を計上いたしております。
 国庫受入預託金利子六億七千五百万でございますが、これは、国鉄並びに電電公社の余裕金を国庫が預かっておるわけでございますが、その場合、一定の限度を超えました分につきましては、日歩八厘の利子を付することといたしております。当初予算で計上いたしましたよりも、相当多額の預金が現に預けられておるわけでございまして、そのための不足分を今回補正に計上いたしました次第でございます。
 さらに、漁船再保険特別会計への繰り入れ一億七千九百万円がございます。これは、二口に分れておりまして、一つは、同特別会計普通保険勘定の三十年度における国庫負担金の不足分八千四百万円でございます。もう一つは、同特別会計給与保険勘定に対する九千四百万の繰り入れでございます。御承知のような、李承晩ラインの問題がございまして、拿捕船舶が相当多く、かつ、その拿捕が長期化いたしておるのでございますが、それに伴いまして、この特別会計給与保険勘定におきましては、歳出源に不足を生じ、その関係から、特別会計の補正もお願い申し上げておりまするが、その機会に、財源といたしまして、同特別会計の損失額の一部九千四百万円を一般会計から繰り入れることといたしておる次第でございます。
 歳入でございますが、租税収入が百三十億円、その内訳は、酒税四十億、物品税三十億、関税六十億となっております。租税収入のほかに、官業益金及び官業収入といたしまして二億七千三百万円、これは、先ほど申し上げました国立大学附属病院における収入の増加でございます。なお、雑収入といたしまして、十四億五千六百万円を計上いたしておりますが、これは、金融機関の再建整備が行われました際に、国から補給いたしました金額をその後の調整勘定における利益をもって国庫に納付いたすことと相なっておりますが、その分の当初予算に計上いたしました金額が二十五億ございましたが、これをこえる実績がすでに十四億五千六百万円上っておりますので、今回補正に際し、財源として計上いたしました。
 特別会計につきましては、ただいま一言ずつふれましたので、説明を省略させていただきます。
 なお、政府関係機関につきまして、国民金融公庫におきまして十五億円、中小企業金融公庫におきまして二十億円、それぞれ借り入れ限度額を引き上げることととし、予算総則につきまして、補正をお願い申し上げております。
 以上、簡単でございますが、説明を終ります。
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苫米地義三#7
○委員長(苫米地義三君) それでは、ただいまから、昭和三十一年度予算の第一次補正及び第二次補正の質疑に入ります。
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吉田法晴#8
○吉田法晴君 自民党が鳩山内閣当時、その総選挙に当って、国民に約束された外交方針の中には、国交未回復国との国交調整という一項がありました。このうち、曲りなりに実現した日ソ国交回復も含まれておったわけでありますが、その最初に言われておりました、国交未回復国との国交調整という中には、中国、皆さんの言われるいわゆる中共の国交調整も含まれておったのであります。このことは、重光前外務大臣は認めておられました。しかるに岸総理は、中国との国交回復は、いまだその時期でないとして全然問題とせられておりませんし、通商代表部の設置、それから支払協定の締結等、貿易の拡大にも消極的であるようであります。共産主義陣営との国交調整によってアジアの緊張を緩和したい、日本の実質的な独立を達成したいという外交方針はどうなったのか、一つ岸総理兼外務大臣にお尋ねいたしたいと思います。
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岸信介#9
○国務大臣(岸信介君) 鳩山内閣時代に、国交を回復しておらない国々との国交を回復して行くという考え方の一番のねらいは、言うまでもなく、その当時は日ソ国交正常化の問題であったと思います。これは昨年、鳩山内閣を通じて実現をいたしました。また・最近ポーランドやチェコとの間にも国交を正常化して回復して参っております。いわゆるこのアジアにおける中国、いわゆる中共との間の問題につきましては、貿易経済の関係はこれを推し進めて行くけれども、これを承認し・またはこれとの間に国交を正常化する段階には私はなっておらないということを、あらゆる機会においてお答え申し上げておるのであります。私どもすでに国際連合の一員となり、国際連合を中心として、国際場裏において今後の一本の活動する場面を開いて行きたいという考えでおりまして、私はあくまでも国連を通じて、いわゆる東西の緊張緩和に日本として努力して行くのが日本の根本的な考えではないか。私ども自民党といたしましては・ずっと一貫しておる、大体一貫しておる外交政策の達成をその進展に伴って考えて行きたい、こういうふうに理解いたしております。
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吉田法晴#10
○吉田法晴君 変っておらぬと言われますけれども、国交未回復国との国交調整という中には、鳩山内閣のときには、最初選挙に出られます際には、中国との国交調整というものが含まれておった。それは重光外務大臣も認められております。それからさっきも説明がございましたけれども、国交未回復国との国交調整という中には、中共も入っておったという点は認められたのであります。そうして石橋内閣においても、鳩山内閣のこの共産主義陣営との国交調整、それによるアジアの緊張緩和、独立の達成という点は、むしろ前進をするのではないかと考えられておりました。ところが岸内閣になって、対米協力を中心にして進むということで、方針は変っておらぬと言われますけれども、私ども、あるいは国民が受ける感じは変ったように私どもこれは受け取るのであります。前に同僚議員から、東南アジアに行かれるという話が、まず総理になったら対米協力ということでアメリカに行くと、こういうように行き先も変ってきたじゃないかというあれがございましたけれども、中国との国交調整という具体的な事実をとってみても、これはだんだん変って参っております。で、変るならば、選挙で公約をし、そして多数の支持を得られた、それが岸内閣になって変るならば、それは選挙によって国民の批判を受けられる以外に私はないと思うのです。重ねて総理の御答弁を願いたいと思います。
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岸信介#11
○国務大臣(岸信介君) ただいま私がお答え申し上げましたように、われわれは国際社会の一員として、国際間に存在しておる緊張緩和に努力することは、これは当然でありまして、国際連合を中心としてこれを推し進めて行くということを申し上げておるのでありますが、その上において、まだ国交の回復されておらない国々との間に、順を追うてこの国交を正常化して、国交を回復して行くということは、これは当然努めなければなりませんが、それにはおのずから段階があり、いろいろな国際情勢やその他のものを見合わして行く必要があるということは言うを待たないのであります。私は決して中国との間に永久に国交を正常化しないということを申しておるわけじゃございませんが、今日の段階においてわれわれがこれを承認し・これとの間に国交を正常化する段階に至らないということを申し上げたのでありまして、まず貿易の関係であるとか、あるいは文化関係等において推し進めで行くというのが最も適当な段階であり、また方策である、こういうふうに考えておるのであります。
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吉田法晴#12
○吉田法晴君 それでは経済、文化の交流を拡充して行きたい、こういうことでありますが、それでは通商代表部の設置あるいは支払協定等、前から問題になっておりました問題についてはどういう御方針であるか、伺いたいと思います。
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岸信介#13
○国務大臣(岸信介君) 通商貿易を増進いたしますにつきましても、私は現在の段階においては、先ほど申し上げたように、政府を正式に承認して、これとの間に国交を正常化するという段階ではないと考えておりますので、それで民間のレベルにおいて話し合いが進められ、そうして貿易を増進するというのが適当であるという考えのもとに、今日第四次の会談でありますか、民間で会談が行われておりまして、それが貿易を促進する上において、通商代表部をお互いの国に持ち合うということが適当であるという結論に、大体の方向は進んでいることも承知いたしております。ただこの問題につきましては・かねて御承知の通り・いわゆる日本に置かれる中国側の通商代表部に公的な資格を認めるかどうかという問題が、指紋をとるかとらないかという問題に関連して論議されておることも御承知の通りであります。現在の法律から申しますというと、この指紋の問題は相当に法律的には困難な点がございます。しかし私どもはこの民間における話し合いの進行を見まして、この間の取扱いの調整いたして、そうして通商代表部をお互いに置いて、そうして通商貿易を増進するという方向に、なるべく便宜のように処置したいという考えのもとに今日立っておるのであります。
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吉田法晴#14
○吉田法晴君 まだございますけれども、別の機会にこの問題については御質問申し上げることにして、次に移りたいと思います。
 岸総理は、大東亜戦争開戦当時の閣僚であり、戦争遂行のために産業行政上重要な役割を果されたことについて、徹底的に自己批判をして、民主政治家として生き抜きたいと、こうしばしば言明せられて参りました。徹底的に自己批判をして、民主政治家として生き抜きたいと言われるならば、戦争への傾向、平和への傾向、その二つの流れのどっちにも乗るということじゃなくて、日本国憲法の差し示しております徹底的な平和、非武力の方向にこれは徹せらるべきだと思うのでありますが、岸総理はどういう工合にお考ええになりますか。
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岸信介#15
○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。日本現行憲法の大精神である民主主義、平和主義ということに対しましては、私はこれを尊重して、そうして日本の国の進んで行く方向をはっきりとつかんで、そうして私としてはこれに挺身をいたす考えでございます。
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吉田法晴#16
○吉田法晴君 民主主義、平和主義に徹して参りたい、こういうことでありますならば、それは言葉の上だけでなしに、今後のあなたの行動あるいは政治的方針の基準となる考えの上で、思想の上で、帝国主義的な、あるいは最近の言葉で言いますと、植民地主義的なと申しますか、あるいは戦争を推進して参りました・これは官僚と軍部の結託だと言われましたが、官僚主義的な要素を完全に克服、止揚されるという明白な証明がなければならぬと考えるのであります。ところが憲法の平和主義、民主主義には徹する、こう言いながら、個人としては日本の憲法改正に賛成である、改正すべきである、あるいは小選挙区制については自分としては賛成だ、こういうことを言っておられる。昨年の小選挙区制は憲法改正の一つの手段として、小選挙区制によって三分の二を占めたいという、これは自民党のいわば党略と申しますか、大きい党略でありますけれども、方針に基いて作られた小選挙区制だと私どもは了解して参った。ところがその小選挙区制には原則的に賛成だ。これでは口では日本国憲法の平和主義、民主主義に徹しておられると言われるけれども、実際にはそうじゃないじゃないか、この矛盾をどういう工合に説明をされますか、明らかに承わりたい。
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岸信介#17
○国務大臣(岸信介君) 私は憲法、いわゆる自主憲法制定論者の一人でございます。私は現行憲法を尊重し、現行憲法を順守するということについてはあえて人後に落ちないものでありますが、しかしわれわれはわれわれの国の基準であり、基本であるところの憲法に対して、あらゆる点からこれを検討もし、これに対する自由な意見を述べるということは、これは民主政治、いま憲法が保障しておりまする民主主義言論の自由からいって私は当然であると思う。そして私の考えによれば、この憲法制定の由来及び制定された事情等から見まして、われわれがわれわれの憲法を一つ検討して自主的な憲法を作ろうという考えがあるのであります。しかし、しからばというて、私は現行憲法が認めておる大きな主義であり、基本であるところの民主主義や、あるいは平和主義、あるいは基本的人権を擁護するところの人権尊重の主義等の大きなこの柱は動かすべきものではないと私は確信をいたしております。いかにしてわれわれが民主主義を徹底し、また平和主義によって日本の安全保障を確保するか、あるいは基本的人権を擁護して行くかという問題について、われわれみずからが、民族みずからが考えて、民族みずからがこれを憲法として作り上げるという考えのもとに、私は今申すような憲法についての意見を持っておるわけでございます。
 小選挙区の問題につきましては、これを社会党の諸君が、自民党がこの憲法改正の考えと結び合してこれをやるのだというふうに論断をされておりますけれども、私が少くとも小選挙区案を考えておる根拠は、過日も申し上げましたが、私は本来、日本の民主政治を完成して行く上において、二大政党によって国会運営をすることが、一番望ましいという考えを持っておるのでございまして、この二大政党というものを健全に発展せしめ、そうして国民に選挙を通じてはっきり両政党の主張を明らかにし、国民がいずれを選ぶかというこの自由な判断によって投票するということを明確ならしめる意味から言うというと、一人一区を原則とするところの小選挙区制度が一番望ましいものであるという私は考えのもとに小選挙区を主張しておるのでありまして、二大政党論者である私の小選挙区への何は必然的な論理のように私は思うのであります。しかしそれには現実との間の調整の問題もありましょうし、困難なる区制の決定の問題もありますから、十分に研究をしなければならぬ問題でありますが、少くとも私が考えておるのは、この小選挙制と先ほど申した憲法の改正とか、あるいは自主憲法制定という考えとの間にはちっとも関連のない問題だと御理解願います。
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吉田法晴#18
○吉田法晴君 小選挙区制に原則的に賛成だ、二大政党制のもとにおいては、その二大政党の判断を、いずれに政治をやらせるべきかという判断をするには小選挙区制がよろしい、こういう純理を言われた。純理を言われるが、実
 際に去年小選挙区制を出された自民党の案は、これにゲリマンダーでもあったが、そのねらいとするところは、憲法の改正のために三分の二を得たいと、こういう意図に出ておりましたことは、これはもうはっきりしておる。それから憲法について、これは自主的な憲法でない、民主主義あるいは平和主義、人権の尊重というがごときはそれを否定するものではないけれども、憲法を再検討したい、こう言われるけれども、しかし、それも実際にはだんだん自衛隊を作って行き、そうしてその自衛隊が国際的にも十分働き得るために改正しなければならぬという運命に、だんだん自民党のあれでは運命に到達した。そこで憲法改正問題が起ったということは明らかである。それからもう一つ、その憲法改正問題については、自民党では従来そう考えられて参りましたけれども、昨年の参議院選挙で、衆参両院においても、日本の国民は憲法改正に反対である。改正すべきではない。自民党は自主憲法でないと言われるけれども、国民のための憲法としてこれを守るべきだという判断はこれははっきりしておると思う。しかしこの点は議論になりますから、議論はこの程度で遠慮をいたしますが、そこでその憲法問題の一番大きな問題の再軍備問題であります。あなたは憲法の言う民主主義には、憲法の言う平和主義には第九条のごとく軍備は持たない、あるいは潜在戦力さえ持たぬと、こうはっきり言明をいたして
 おりますが、どうもその辺にまだあなたが前の考えを克服、止揚されておらぬという片りんがときどき見える。それを私ども心配をし、総理としてはその点について、岸総理としてははっきりせらるべきだと、こう考えるから御質問申し上げておるわけであります。例をあげますが、元技術院総裁をしてこれは陸軍中将であった遠藤三郎氏、この人が徹底的な平和主義あるいは再軍備反対であることも御承知の通りであります。それからこれはあなたは御存じないかもしれませんけれども、当時あなたの下で物動計画に参画いたしました高橋甫という人がおります。これは物動計画を推進をしたのでありますが、今日では徹底した平和主義あるいは再軍備反対論者に徹しておられる。で、戦争に再び巻き込まれないようにしたいという言明をしておられますが、自分で防衛をするのだ、自分で外敵の侵入に対しては防衛するのだ、そのために漸次防衛計画をふやしていくんだ、漸増する、防衛計画を完遂していくんだ、あるいは日米共同防衛という方針をとっていくということになりますと、これは少くとも憲法九条あるいは憲法のいいます徹底的な平和主義というものと矛盾してくる。抽象的に申しますと、これはそうじゃないと言われるかもしれませんから、最近の具体的な実例をあげて、あなたにお尋ねをいたしますが、これは高橋甫さんも言っておられることでありますけれども、原子兵器はすでに大小自由な規模で作り得るに至っております。で、今日ではすでに戦術兵器と戦略兵器の区別がなくなって、実質的な戦争——それは戦闘でないと言われるかもしれませんけれども、戦闘行為——局地戦と言われようとも、戦闘行為が
 行われる場合には、原子兵器が使われる、必然的に使われるという状態になっておりますことは、NATOの演習あるいはSEATOの最近の演習に徴しても、これは明らかであります。それからまだ移っておらぬそうでありますけれども、御殿場に従来ありました富士学校においても、日本の自衛隊自身において対放射能の訓練をやっております。こういう事実は、私が申し上げますような戦闘、あるいは事実上の戦争が行われるならば、原子兵器が必らず使われるということを実際に証明しておる。原爆の実験については、先般院の決議があり、その方針に従って総理も努力する、こういう話でありましたが、原水爆の実験、保管、使用の禁止というものが事実上でき、徹底的な軍縮を実現するのでなければ、軍隊がなくなるのでなければ、戦争の危険というものはこれはなくなりません。そして過去の失敗にかんがみて、日本国憲法——日本の国民は軍隊は持たない、戦争はしない。その戦争あるいは軍隊に至る危険のものさえも持たぬという徹底した民主主義に徹する、平和主義に徹すると言われるけれども、しかし再軍備、自衛力を漸増していくという方針であり、あるいは対米協力で防衛に当る、こういうことになりますならば、その決意と言われるところと今後の実際の運命というものは、違って参ると思う。もし本当に日本国憲法の平和主義に徹すると言われるならば、憲法に違反しております自衛隊の漸増ではなくって、その廃止の方向に努力せらるべきだと私は思うのでありますが、岸総理の決意をお伺いいたしたい。
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岸信介#19
○国務大臣(岸信介君) 憲法九条の解釈におきまして、これはいろいろな解釈上の議論がございますけれども、これがいわゆる自衛権を否定しておるものじゃない。われわれが国を持ち、民族がこういうふうに生活しておるという、この平和な状態が、急迫不正な方法によって侵害されるという場合において、われわれがみずから守り、この急迫不正の侵害を排除するという意味の自衛的な行動は・否認されておるものじやないという解釈につきましては、私はこれはそう解釈すべきものであり、またそれが同条の解釈の通説であると考えております。その意味において、われわれは常に国民が安全であると、自分たちの生活は他から不正急迫な侵略を受けないんだという一つの安心感を持つということが、政治の上から申しましても、またわれわれが平和な生活をしていく上から申しても、必要でありまして、その意味における自衛の手段としてこの自衛組織を持つというのが、われわれの考えでありまして、今日の国際情勢その他を見まするというと、もちろんわれわれは絶対の世界的平和を念願して、これを実現するように努力しなければなりませんけれども、しからばというて、自分たちがその理想を揚げ、理想を持っておる限りにおいては、いかなる場合においてもそういう侵略を受ないという保証というものは、実は残念ながらまだ全然ないのでござまして、みんながそういう安全感を持つのには、やはり一つの自衛の組織を持つ必要がある。しかも今日それでは世界が、われわれが、一国の力でいかなる侵略に対しても、いかなる事態に処しても自分たちを守り切るだけの防衛力というものを持ち得るかというと、それはできないから、集団保障、安全保障の機構が考えられる。日本は今、日米共同防衛の体制によって、日本の安全を保障するという体制になっておる。従って、その方向において今日はものを考えていくということになる、私はかように考えております。従って、決して私はこの平和主義戦争に日本が巻き込まれないようにするという考えから申しますというと、全然無防備で何も持たないということの方が、むしろ現在の国際情勢の判断からいうと危険であって、われわれが不正な侵略に対しては、とにかくわれわれみずからが守っておるという体制を持っておることは、むしろ平和主義を徹底する意味からいうて、現状の国際情勢からはそうせざるを得ない、かように考えておるわけであります。
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吉田法晴#20
○吉田法晴君 自衛の権利がある。これは論理的にはそうであります。ただし・その自衛の方法を軍隊によらないで、外交的な手段、あるいは国連のお話もございましたけれども、国連等により・国連に加入する場合に・自民党は言われておったけれども、実際に国連に加入する場合には、あるいは軍事的な任務を負わなくてもいいということは、はっきりいたして参りました。武力によらないで軍隊によらないで、そうして外交方式により、あるいは国連によって、この安全を守るというのが、この憲法の予定して参ったこれは自衛の方法であります。自衛というものを、これを武力でとにかく自衛をする、こういうことになりますと、これは戦術家あるいは軍事専門家の言うところによると、だんだん広がっていって、これは先制攻撃は最大の防御と言われるように、バイカル湖の辺までもやっぱり広がって参ります。だんだん朝鮮から満州、満州から中国、あるいはとにかくシベリアの方に今申しましたように広がって参る、この軍事的な防衛の範囲というも、防衛線というものは。ですから、武力による防衛じゃなくて、無防備による防衛というのが憲法の精神だと思うのでありますがお話を聞いて参っておりますというと、だんだん昔の日本を守るために、自衛のために戦争をやる。あるいは支那事変が起った、あるいは起したということになりますかに——起った。あるいは大東亜戦争が起った。こういうような感じ、がいたしますが過去の大東亜戦争その他についても、自衛のために起ったやむを得ざる戦争だ、こういう工合に考えておられまするか、それとも全然違った考えを持っておりまするのか、重ねて承わりたい。
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岸信介#21
○国務大臣(岸信介君) もちろん外交手段や、あるいはわれわれが国際連合に加盟いたしましてわれわれの平和に対する考えを述べて、そうして世界の緊張を緩和することによって、自分たちが自衛していくということは、これは当然のことであります。ただ私どもが、この憲法九条ではそういう一切のいわゆる狭い意味における自衛権というものを放棄しておるかといえば、そうじゃなしに、今われわれが急迫不正の侵害に対して、その場合に手をあげてただその侵略にまかせるということではなくして、われわれみずからが、その場合に自分の体を保護する、民族を保護するという意味の最少限度の自衛力を持とうということでありまして、もちろん過去においてわれわれがやった戦争のようなことを頭において考えておるものでないことは、言うを待たないのでありまして、従いまして、われわれの持っておる防衛力というものも、今申した意味における最小限度のものを持つということは、憲法の九条には違反しない、こう解釈することが、私は今までのあの同条の解釈としては通説な考え方である、こういうふうに思っておるのであります。
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吉田法晴#22
○吉田法晴君 克服されたと申しますか、追放された昔の考え方が、完全にまだ払拭されていない心配をするのであります。これらの問題については、また別に機会もございましょうから、先に進みたいと思います。
 独立外交という点が、これは前から鳩山それから石橋内閣を通じ、この点は言葉の上では継承をされておるようでありますが、近くアメリカにもおいでになるというし、講和条約それから安保条約等の不平等条約に対して努力をせらるべきであるし、また努力をしたいという御発言もあっておりますが、その具体的な内容について、どういう工合に考えておられますのか、承わりたい。
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岸信介#23
○国務大臣(岸信介君) 過日曾祢君の御質問であったかと思いますが、いわゆる外交方針として独立の完成ということが強調されていないということを御指摘になりましたが、私は、この点は当然われわれが内政外交を通じて、特に強く考えていかなければならぬ問題であると思います。アメリカとの関係におきましても、私は日米間の関係を再調整して、そして日米の間のほんとうの理解の上に立った協力関係を強化して参りたいということを申しております。今この独立の完成や、日米関係を調整するということを前提として考えるならば、いろいろサンフランシスコ条約以来、いわゆるサンフランシスコ体制のもとにある日本というものが独立が完成されておらないし、またいわゆる過去におけるわれわれの経験から見ましても、こういう状態であることは・日米の真の協力関係を深めていく上からいっても望ましくない、従って、これらの諸問題についても、機会があれば十分アメリカの首脳者との間に話し合いをして、是正すべきものは是正して、そして真に独立の完成に向って国が進んでいかなければならぬと考えております。ただ、具体的にどの事項をどうするか、あるいは今日安保条約の改訂の話を持ち出してするかというふうな御質問に対しましては、私はそこはまだそういうことを明確に申し上げる時期ではないという御返事を申しておくのでありますが、根本の考え方について十分御了承をいただくならば、具体的の問題はおのずから演繹されることだと考えまして、具体的にここで御返事申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
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吉田法晴#24
○吉田法晴君 改訂に努力をしたい、それからアメリカに行った場合に、その点について話を出す、これは確認をしてよさそうであります。具体的に言いにくいということでありますが、私からそのひどい例を申し上げて参りたいと思います。これは御存じだろうと思うのでありますが、空の管理権は現在全部米軍にございます。これは日航機など民間機に至りますまで、一々とにかく発着についてこれは許可をとらなければならぬ。それから米軍の駐留とその基地の設定は無制限であるし、無期限であります。それから米軍と顧問団の費用は、その半ばあるいは大半を日本が負担しており、その結果、米軍から日本人が被害を受けたという場合に、その被害の補償を日本人が税金でその半分と申しますか、をやっておるというのが、これが今日の現状であります。これらの点は、これは例でありますけれども、日本の予算が、米国の了解なしに事実上最後に組み終り得ないといったような事実とともに、これらの点は直ちに直さるべきだと考えますが、これについて一つ御所見を承わりたい。
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岸信介#25
○国務大臣(岸信介君) 今御指摘のありましたような事項につきましても、私は従来の状態がそのまま永続される
 ことは決して望ましいことだとは考えておりません。しかし、いろいろ段階を追うてこれを是正する必要のある問題も、今の御指摘のあったもののうちには、あるように思いますし、すでに将来ある段階のもとに改正される段取りになっておるものもあるように、私は承知しております。たとえば空の管理の問題等につきましても、ある一定の順序で日本の方へ移されるようなことになっておりますし、すべてこれらの今おあげになったようなことは、これは今申し上げたように望ましい形じゃない、適当な是正をされるように努力しなればならぬと、かように考えております。
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吉田法晴#26
○吉田法晴君 近い将来に解決をさるべき問題としてあります問題に、領土の問題がございます。日ソ間において南千島、それから日米間において沖繩、小笠原、その復帰についてどういうプログラムを持っておられるか、お示しを願いたい。
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岸信介#27
○国務大臣(岸信介君) 南千島の問題につきましては、私は日ソ交渉において領土問題が一番ガンであったことは御承知の通りでありまして、此彼両国の主張が真正面から衝突しておる問題であり、今日まで数回あるいは数十回の会談において解決をみない問題であります。私どもは、日ソ間の国交を正常化して、そして日ソの友好関係を深めていくと同時に、大使を交換することによって、両方ともその国民的の気持や何かよく理解された上において、これを話し合っていくことが適当である。従って、日ソ間においてはいろいろ懸案の漁業問題やあるいは通商問題その他の問題を解決することにおいて両者の理解を深めていくというか、友好関係を増進していく、そうしてわが方の主張を十分に理解せしめて、これを実現するように努力したいと思います。また、沖繩の問題につきましては、すでに施政権の返還について国会の議決もありまして、アメリカ側にその意思も通告してあるのでありますが、アメリカ側としては、極東におけるこの情勢の緊迫している状態から、今返すわけにいかないということになっておりますが、私はよくこの極東における情勢等についても、世界情勢とともに、これを分析して、両国のこの考え方を一致せしめていき、また同時に極東における諸情勢の緩和にも、日本がこの上とも努力していって、この施政権の返還からまず実現するように努めていくことが必要であろうと、こう思っております。また小笠原の問題につきましては、今一番問題になっておりますのは、小笠原の従来の住民の帰島というものが——島へ帰る問題が、ずと懸案になっておりまして、まだ解決を見ないような状況であります。根本は、これらの領土問題を解決するということは、アメリカとの関係におきましては、要するにサンフランシスコ体制というものが根本的に是正されるということになるわけでありまして、それには極東における情勢、国際情勢あるいは世界情勢というものの全体にも関連を持っている問題でありますけれども、わが方の主張は、機会あるごとにこれを向うにわれわれがなぜそういうことを強く要望するか、という根源をよく理解せしめて、順を追うてこれは解決することが適当であるし、ソ連の関係においては、やはり日ソの間の友好関係というものをもう少し進めて理解を深めていかないと、この領土問題は昨年、一昨年の経過から見てなかなか解決がむずかしかろう。いずれにしましても、すでに国民的の一致しておる要請であるところのこれらの領土の返還については、今申しましたような方針のもとにこれは実現をはかっていきたい、かように考えております。
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吉田法晴#28
○吉田法晴君 沖繩の問題はあとでまたお尋ねをいたしたいと思います。
 これは大蔵大臣にお尋ねをすることになるかと思いますが、第一次補正、第二次補正の緊急性と申しますか、ほとんど三十一年度に使うのではなしに三十二年度において使う費目が多いようでありますが、第一次補正あるいは第二次補正を三十一年度においてしなければならぬ緊急性は何であるか、一つお答え願いたい。
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池田勇人#29
○国務大臣(池田勇人君) 第一次補正は、御説明申し上げましたごとく、将来の産業特別会計に必要な金が予想いたされますので、本年度出て参りまする自然増収を、財政の弾力性の意味から、資金として将来の投融資に充てようといたしておるのであります。第二次補正の支出金額は、交付税を除きまして、ほとんど三十一年度中に使用するのでございます。
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