田村文吉の発言 (予算委員会)
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○田村文吉君 私はきわめて簡単な問題について一つお尋ねをいたしたいのでございますが、それは一昨年、昨年にかけ、また本年の春にかけまして、日本としましては未曽有の好景気を現出いたしましたようなわけでございまするが、そのよって来たる原因をきわめてみますると、世界の各国が非常に景気がよかったということに刺激されたことが一つ、国内におきまして農産物が非常に豊作で余計とれたこと、この二つのことが大体大きな原因だろうと考えておるのでありまするが、そこでぜひこういう少くも食糧だけに対しては十分豊作の状況を続けるようなことを望ましいと考えておったのでございまするが、この問題につきましては、私農林大臣にまずお伺いいたしたいのでありまするが、今年は十何年ぶりに雪が多いんであります、多雪なんであります。それで十二月から雪が降り出しまして、一月は小康を得たのでありまするが、二月、三月に至りまして非常な大雪に相なって参りまして、そのために東北地方では水力が枯渇して電気が出ないとか、いろいろの障害が出ておりまするけれども、私の一番心配いたしておりまするのは、ことしのこの大雪というものは今年の作柄にどのぐらい影響するであろうかということを実は非常に心配しておるのであります。で、専門家の方々にいろいろ伺いますと、あまりはっきりした御認識をお持ちになっておらぬようでありますが、必ずしも多雪の年が凶作であったとは言えないと、こういうことも言われる方もあるのでございまするが、私の過去の経験から申しますると、大体冬非常に雪の多かったような年は、その夏も温度が低い場合が多いんでありまするし、かりに温度が低くなくても、いわゆる雪の消える消雪時期が大てい十五日から二十日間おくれます。おくれますというと農作物には非常な影響を与えてきたということが、過去の私の体験なんであります。私はもとより農業の専門家でございませんから、そういうことについておこがましくお訴え申したり、お質問することは実は恐縮なんでありまするけれども、ただ実際自分でそういう体験を持ちます上から、農林大臣に、私の心配が杞憂であればけっこうなんでありますけれども、お尋ねする次第なんであります。
京都大学の榎本教授が発表されたところによりまするというと、摂氏の二十五度まで八月の水温がある場合はまだよろしいが、二十五度が限界線であって、摂氏の二十五度を下りますということになりますと害が出る、二十二度以下になりますると、その害が相当に大きな害となりまして、実る、いわゆる稔実が不十分である、こういうことを言っておられます。で、なお溝口——もと参議院議員でおられました溝口博士が、二十三年の東北におきまするところの等水温線と申しますか、つまり水の温度を平均して同じところに線を描いた等水温線と、収獲量の等収量線とを比較されたのがあるのでございますが、八月における気温が十七度である場合と三十度である場合との差によりまして、収獲が三分の一に、つまり水温の低い場合には減っておる、こういうようなことを発表されております。従いまして寒いところでは一石しかとれないが、水温の暖かいところでは三石とれておる、こういうような発表をされておるのでございます。御承知のように積寒地帯で収獲しておりまする米の量というのは、大体三千万石近くもあると思います。そこでもしこれが一割減りまするというと三百万、二割減ると六百万、こういう数字が出まして、これは国際、いわゆる貿易じりの上からいっても非常に大きな関係が出て参りまするので、この問題はよほど慎重にいかなければならぬ問題じゃなかろうか。いよいよ八月になって凶作であるというようなことを言い立ててから、各地から毎年大蔵省に向って何とかこの災害補助の問題を訴えたりするような場合が毎年あるのでありまするが、こういうふうに私どもの自分の体験ではありまするが、また学者によってもそういうことを言っておる人があるのと、水温の問題は確実にそういう影響があるということは学者が立証しておるのでありまするので、私ははなはだ不祥の言をなすようでありまするけれども、今年はあるいは九〇%はいわゆる凶作になる可能性が積寒地帯にはあるんじゃないか、こういう心配を私はしておるのであります。もしさようなことに相なっては非常に問題でございまするので、今からこういうものに対する対策を立てておいたらどうか。幸いに一〇〇%の中の一〇%がそういうことにならないで、異常に気温が夏上って雪の消え方も非常に今までに例のない、早く消えるというようなことが起ってくれば、これは、私のそういう心配は杞憂であったということで済むでありましょうけれども、おそらくさようなことはあり得ないと考えますので、たとえば撒土消雪をやるか、あるいは品種の選択をしてみるとか、また今行われておりまする温床苗代の問題であるとか、あるいはさっきも言われた循環式の灌漑法とか、また寒いときには必ずつくであろういもち病、こういうものに対する農薬の手配をするとかいうような準備をなされることが必要なんじゃなかろうか、こういうふうに考えておりまするので、無論農林大臣はお考えになっていることは考えるのでございまするが、私は、もしこれが万一凶作状況にもなりまするというと、その地方民の困惑は申すに及ばずでありまするが、国際収支の上からいって、日本の経済に非常な大きな影響を与える、こういうことを考えますときに、重大な問題であると考えますので、緊急な意味で、農林大臣にまず第一にお尋ねをいたしたいのであります。