予算委員会

1957-03-20 参議院 全383発言

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会議録情報#0
昭和三十二年三月二十日(水曜日)
   午前十時五十二分開会
    —————————————
  委員の異動
三月十九日委員青木一男君辞任につ
き、その補欠として青柳秀夫君を議長
において指名した。
本日委員高野一夫君辞任につき、その
補欠として佐藤清一郎君を議長におい
て指名した。
    —————————————
 出席者は左の通り。
   委員長     苫米地義三君
   理事
           迫水 久常君
           左藤 義詮君
           安井  謙君
           吉田 萬次君
           天田 勝正君
           中田 吉雄君
           吉田 法晴君
           森 八三一君
   委員
           青柳 秀夫君
           石坂 豊一君
           泉山 三六君
           木村篤太郎君
           小林 武治君
           小山邦太郎君
           新谷寅三郎君
           関根 久藏君
           佐藤清一郎君
           柴田  榮君
           土田國太郎君
           苫米地英俊君
           成田 一郎君
           野本 品吉君
           林田 正治君
           一松 定吉君
           前田佳都男君
           内村 清次君
           海野 三朗君
           岡田 宗司君
           栗山 良夫君
           佐多 忠隆君
           曾祢  益君
           中村 正雄君
           羽生 三七君
           山田 節男君
           湯山  勇君
           加賀山之雄君
           梶原 茂嘉君
           田村 文吉君
           豊田 雅孝君
           千田  正君
           八木 幸吉君
  国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 岸  信介君
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
   厚 生 大 臣 神田  博君
   農 林 大 臣 井出一太郎君
   通商産業大臣  水田三喜男君
   運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
   国 務 大 臣 石井光次郎君
   国 務 大 臣 宇田 耕一君
   国 務 大 臣 田中伊三郎君
  政府委員
   法制局長官   林  修三君
   法制局次長   高辻 正巳君
   法制局第一部長 龜岡 康夫君
   自治庁税務部長 奧野 誠亮君
   防衛政務次官  高橋  等君
   防衛庁長官官房
   長       門叶 宗雄君
   経済企画庁調整
   部長      小出 榮一君
   経済企画庁計画
   部長      大來佐武郎君
   科学技術庁原子
   力局長     佐々木義武君
   外務省アジア局
   長       中川  融君
   外務参事官   法眼 晋作君
   大蔵省主計局長 森永貞一郎君
   大蔵省理財局長 河野 通一君
   大蔵省銀行局長 東條 猛猪君
   大蔵省為替局長 石田  正君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤譽三郎君
   厚生省保険局長 高田 正巳君
   厚生省引揚援護
   局長      田邊 繁雄君
   食糧庁長官   小倉 武一君
   通商産業大臣官
   房長      松尾 金藏君
   通商産業省公益
   事業局長    岩武 照彦君
   運輸省航空局長 林   坦君
   郵政政務次官  伊東 岩男君
   郵政省貯金局長 加藤 桂一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○昭和三十一年度一般会計予算補正
 (第1号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十一年度特別会計予算補正
 (特第1号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十一年度一般会計予算補正
 (第2号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十一年度特別会計予算補正
 (特第2号)(内閣提出、衆議院送
 付)
○昭和三十一年度政府関係機関予算補
 正(機第1号)(内閣提出、衆議院
 送付)
    —————————————
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苫米地義三#1
○委員長(苫米地義三君) ただいまから委員会を開きます。
 まず、委員の異動について申し上げます。
 三月十九日青木一男君が辞任され、その補欠として青柳秀夫君が指名されました。
 以上御報告申し上げます。
    —————————————
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苫米地義三#2
○委員長(苫米地義三君) これより昭和三十一年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和三十一年度特別会計予算補正(特第1号)
 昭和三十一年度一般会計予算補正(第2号)
 昭和三十一年度特別会計予算補正(特第2号)
 昭和三十一年度政府関係機関予算補正(機第一号)を一括議題といたします。
 まず、お諮りいたします。右各案審査のため、参考人として本日日本銀行総裁山際正道君の出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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苫米地義三#3
○委員長(苫米地義三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
    —————————————
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苫米地義三#4
○委員長(苫米地義三君) それでは昨日に引き続き、これから質疑を続行いたします。
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田村文吉#5
○田村文吉君 私はきわめて簡単な問題について一つお尋ねをいたしたいのでございますが、それは一昨年、昨年にかけ、また本年の春にかけまして、日本としましては未曽有の好景気を現出いたしましたようなわけでございまするが、そのよって来たる原因をきわめてみますると、世界の各国が非常に景気がよかったということに刺激されたことが一つ、国内におきまして農産物が非常に豊作で余計とれたこと、この二つのことが大体大きな原因だろうと考えておるのでありまするが、そこでぜひこういう少くも食糧だけに対しては十分豊作の状況を続けるようなことを望ましいと考えておったのでございまするが、この問題につきましては、私農林大臣にまずお伺いいたしたいのでありまするが、今年は十何年ぶりに雪が多いんであります、多雪なんであります。それで十二月から雪が降り出しまして、一月は小康を得たのでありまするが、二月、三月に至りまして非常な大雪に相なって参りまして、そのために東北地方では水力が枯渇して電気が出ないとか、いろいろの障害が出ておりまするけれども、私の一番心配いたしておりまするのは、ことしのこの大雪というものは今年の作柄にどのぐらい影響するであろうかということを実は非常に心配しておるのであります。で、専門家の方々にいろいろ伺いますと、あまりはっきりした御認識をお持ちになっておらぬようでありますが、必ずしも多雪の年が凶作であったとは言えないと、こういうことも言われる方もあるのでございまするが、私の過去の経験から申しますると、大体冬非常に雪の多かったような年は、その夏も温度が低い場合が多いんでありまするし、かりに温度が低くなくても、いわゆる雪の消える消雪時期が大てい十五日から二十日間おくれます。おくれますというと農作物には非常な影響を与えてきたということが、過去の私の体験なんであります。私はもとより農業の専門家でございませんから、そういうことについておこがましくお訴え申したり、お質問することは実は恐縮なんでありまするけれども、ただ実際自分でそういう体験を持ちます上から、農林大臣に、私の心配が杞憂であればけっこうなんでありますけれども、お尋ねする次第なんであります。
 京都大学の榎本教授が発表されたところによりまするというと、摂氏の二十五度まで八月の水温がある場合はまだよろしいが、二十五度が限界線であって、摂氏の二十五度を下りますということになりますと害が出る、二十二度以下になりますると、その害が相当に大きな害となりまして、実る、いわゆる稔実が不十分である、こういうことを言っておられます。で、なお溝口——もと参議院議員でおられました溝口博士が、二十三年の東北におきまするところの等水温線と申しますか、つまり水の温度を平均して同じところに線を描いた等水温線と、収獲量の等収量線とを比較されたのがあるのでございますが、八月における気温が十七度である場合と三十度である場合との差によりまして、収獲が三分の一に、つまり水温の低い場合には減っておる、こういうようなことを発表されております。従いまして寒いところでは一石しかとれないが、水温の暖かいところでは三石とれておる、こういうような発表をされておるのでございます。御承知のように積寒地帯で収獲しておりまする米の量というのは、大体三千万石近くもあると思います。そこでもしこれが一割減りまするというと三百万、二割減ると六百万、こういう数字が出まして、これは国際、いわゆる貿易じりの上からいっても非常に大きな関係が出て参りまするので、この問題はよほど慎重にいかなければならぬ問題じゃなかろうか。いよいよ八月になって凶作であるというようなことを言い立ててから、各地から毎年大蔵省に向って何とかこの災害補助の問題を訴えたりするような場合が毎年あるのでありまするが、こういうふうに私どもの自分の体験ではありまするが、また学者によってもそういうことを言っておる人があるのと、水温の問題は確実にそういう影響があるということは学者が立証しておるのでありまするので、私ははなはだ不祥の言をなすようでありまするけれども、今年はあるいは九〇%はいわゆる凶作になる可能性が積寒地帯にはあるんじゃないか、こういう心配を私はしておるのであります。もしさようなことに相なっては非常に問題でございまするので、今からこういうものに対する対策を立てておいたらどうか。幸いに一〇〇%の中の一〇%がそういうことにならないで、異常に気温が夏上って雪の消え方も非常に今までに例のない、早く消えるというようなことが起ってくれば、これは、私のそういう心配は杞憂であったということで済むでありましょうけれども、おそらくさようなことはあり得ないと考えますので、たとえば撒土消雪をやるか、あるいは品種の選択をしてみるとか、また今行われておりまする温床苗代の問題であるとか、あるいはさっきも言われた循環式の灌漑法とか、また寒いときには必ずつくであろういもち病、こういうものに対する農薬の手配をするとかいうような準備をなされることが必要なんじゃなかろうか、こういうふうに考えておりまするので、無論農林大臣はお考えになっていることは考えるのでございまするが、私は、もしこれが万一凶作状況にもなりまするというと、その地方民の困惑は申すに及ばずでありまするが、国際収支の上からいって、日本の経済に非常な大きな影響を与える、こういうことを考えますときに、重大な問題であると考えますので、緊急な意味で、農林大臣にまず第一にお尋ねをいたしたいのであります。
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井出一太郎#6
○国務大臣(井出一太郎君) お答えいたします。東北、北陸地方におきまして、本年特に降雪が多かったということは御指摘の通りでございまして、私ども田村委員の御発言を一つの警鐘というような意味に承わりまして、遺憾なく対処をいたしたいと考えております。従来この地方が冷害によりまする影響を非常に強く受けますることは御指摘の通りでありまするし、同時にまたこの東北、北陸の地帯が日本の米作の半ば近い部分を受け持っておるということも、きわめて重要視しなければならない点でございます。二年続きの豊作を経験いたしたのでありますが、気象庁等における従来の統計から見ましても、なかなか三年続きの豊作は、これは記録にもきわめてまれのようでございます。従いまして今から心して試験研究の面におきまする動員態勢をとる、これを技術指導に結びつけまして、今から配慮いたしたいと思っておるのであります。それで、雪のために麦類であるとか、あるいは菜種などにも雪腐れ病などというものが発生いたすのであります。これに対しまする手当等も十分に考え、また稲につきましては、御発言の中にもありましたように、これは品種を選定する、危険分散というような意味で、今まで多収穫を目途とするおくてを余計作りたがるのでありますが、昨年北海道の例から徴しましても、危険分散の配意をいたしました農家は、あの悪い気象条件の中にも、とにかく平年作に近いところで食いとめておる事例があるのでございます。だからそういう意味で、品種の選定をいたす、あるいは保温折衷苗代の普及が近ごろは非常に著しくなって参りましたので、そういう意味から、やむを得ず健苗育成、健全なる苗を育成するという方面に力を注ぎたいと考えております。なおまた、いもち病の心配等もございまするので、これに対しましては、農薬の備蓄施設がだいぶ行き渡って参りましたので、一朝事ありまする場合には、その備蓄農薬というものがすぐに発動できる態勢はとれておるのであります。いずれにいたしましても、農林省としましては、都道府県に対しまして十分連絡、指導をいたし、これが農家に浸透して参る施策を万全にとりたいと考えているわけでございます。
 まあこれらは大体予防的な心がまえでございまするが、従来の例もございまして、非常な凶作という場合に対処する道は、これはまた別途に講じなければなりませんが、それを未然に防ぐべく、できるならば一つここに三年続きの豊作という記録を打ち立て、戦後ずっと研さん努力をして参りました農業技術の成果というものが、今年あたりはその試金石ともいうべき年ではなかろうか、こういうようなつもりで万遺憾なきを期したい、かように考えている次第でございます。
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田村文吉#7
○田村文吉君 具体的な方法についてある程度のお話があったのでありますが、私はさらに、一つ具体的な問題としてお取り上げいただいたらどうかと考えておりますることは、こういう年は、警鐘を鳴らすという意味からいたしましても、この三月中とかあるいは四月すぐ初めでもよろしゅうございますが、やはり各県の農事試験場の専門家、エキスパートをお集めになり、あるいはまた篤農家と言うと語弊がありまするが、そういうことについて長年の経験を持っている人が各地におられますので、やはりそういう人をお集めになりまして、これに対する万全の策をお講じになる必要があるのじゃないか、こういうふうに考えております。これは農林省だけの特段の計らいだけでできることでありますから、簡単にできると私は考えているのであります。が、そのくらい私は過去においてあまりに寒冷というような問題について、あるいは雪という問題については、考え方がどうも粗雑であったのじゃないだろうか、だんだん科学が進歩して参りますると、またそういう科学と同時に経験というものを生かして、一つある程度の論をお立てになる、立論なさる。同時に今お話がちょっとありましたのですが、いかにして農村にこれを徹底させるか、これが私は非常にむずかしい問題だろうと思うのであります。ただおざなりにやったのではいかんので、一つ大々的に各農事試験場長とか、そういう者を集めまして、この多雪に対する今年の作柄に対する準備はどうするかということについて、一つはっきりとした会合をお持ちになるというようなことが、必要じゃなかろうかと考えております。
 それからこれは実は造林の関係で、もうすでに今年の大雪で枝折れ等があり、苗木が倒れたり非常ないたみをしているのであります。これはすでに起った問題でありまするが、こういうことも今後の造林政策の上からいったら、多雪地帯における造林については、よほどお考えいただかないと、ことに新植の場合はよろしいのですが、これを撫育するという点からいきまして、そういう点について非常に雪の多い多雪地帯と、そうでないところに対するお考えが、まだはっきりとできておらんように私は存じております。こういう問題につきましても、農林大臣、どうお考えですか。今後こういう雪の多いところに対しては、造林の助成、補助に対して、特段のお考えをなさる必要があるのじゃないか。もう造林量あるいは伐採量を、今後ふやしてゆく植林の大きな目的から考えていって、そういう点までお考えになっておく必要があるのじゃないか、こう考えまして、以上の二点について重ねて御答弁をいただきたいと思います。
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井出一太郎#8
○国務大臣(井出一太郎君) 前段の農業技術の問題でございまするが、これは農林省に昨年以来機構を拡充いたしまして、農林水産技術会というものがございまするが、これを中心といたしまして、それを、これはまあ指導研究でございますが、これと実際面を担当いたしまする改良普及員というシステムとを密接に関連させまして、遺憾なき配慮をいたしたいと考えております。御指摘のような農事試験場長会は、篤農家の体験を生かす、これらももとより取り入れて参りたい所存でございます。さらに多雪地帯における造林の問題をお取り上げになられまして、たしかに雪深い地方は造林についても困難な条件が横たわっておるわけでございます。これらにつきましては造林補助政策を浸透いたしまする場合に、やはり特段な配慮をいたすべきであろう、そういう方向へ持って参る所存でございまするし、さらにこの雪によるところの林木の損傷というふうなものについては、あるいは一つの損害保険的なものも考えなくてはいかぬのではないかというようなつもりで目下考究をさせておる次第でございます。
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田村文吉#9
○田村文吉君 先刻ちょっと申し上げましたように、災害は起ってから初めて大蔵大臣の一つ御配慮を願うということになりがちなんであります。そこでこういうような未然に一つ災害を防ぐようなことについての大蔵省の支出につきましては、あるいは予備金で済む場合もあるかもしれませんが、そういう点についての、大蔵大臣としてのお考えを、まあ災害が起ったらやるんだ、災害がない場合にはそういうようなことが八分通りわかっておっても、そこまでは手が回らぬということでは私いかぬと考えるのでありますが、大蔵大臣はどうお考えでありましょうか。
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池田勇人#10
○国務大臣(池田勇人君) 米作のいかんが日本経済ことに国際対策に非常な影響のあることでございまするから、農林省その他関係省と十分連絡をとりまして、予算の範囲内で、またそれでむずかしい場合には予備費等、あらゆる方法を講じていきたいと思います。
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田村文吉#11
○田村文吉君 最後に総理大臣にちょっとお伺いいたしたいんですが、私しろうとながらで、今のいろいろの日本の各省における技術の研究、そういうような問題を総合的に拝見して参りまして、その間にどうも脈絡のないようなうらみが多いのであります。ことに根本的の観念からいたしますと、学問的に勉強する、研究するというような考え方と、私どものように何とかして、あるいはことしは非常な凶作になるんじゃないか、それに対する学問的の研究をどうするか、こういうようなことで、ある政治目的を持って問題の研究に重点的に力を入れるというようなことの考え方が、むろん各省の有能な方々はそういうことをお考えになっているかしりませんけれども、これを一つ統合的にやって下さるのは、あるいは企画庁でございますかどうかしりませんが、こういう問題について欠けている点があるんじゃないか、こういう心配をしてるんです。たとえば農林省内には今御説明がありましたような農林漁業に関する総合的な技術を研究されるなにができておる。そこで気象庁に参りますると、今の農業気象に関する係りの方がおいでになる、まあそれぞれの専門家でいられまするが、さて私どもが心配するようなことについてのデータをいただこうということになると、なかなかちょっと出てこないのですね。それでこういう点が、ひとり官だけ言うのではありません。民間でもラボラタリィというものはどこでもございますけれども、ややもすると学校の延長みたいになるきらいが多いのです。技術というものが生きてこない、莫大な費用を使って有能な方をお集めになりながら、国政に稗益するところは非常に少い、こういうことが常に官でも民でもそういう弊害が多いのです。官としては範を示して、そういう点についての何か御構想を一つお願いをしたい、こういうふうに考えるのでありますが、そのお考え方についてはどういうふうになさるとしましても、今私の申し上げているようなことを御痛感になりますならば、一つ何か手を打っていただきたい、こういうふうに考えるのですが。
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岸信介#12
○国務大臣(岸信介君) 従来政府に置かれておりますいろんな科学技術に関する試験研究機関等の試験研究というものは、どうも連絡が十分でない、これが総合的な機能を発揮しておらないということは長く言われておることでございまして、すでに科学技術庁もできまして、科学技術の大いに振興をやるという国の政策の根本が示されております。私も過去において農商務省や商工省にありまして、今お話のようなそぞれの役所にある試験研究機関というものが、十分実際方面において要望されておることに即応したような研究試験が行われずして、ややともすると、博士論文を作るための研究をしておるというような非難を受けるような、あまりにも純学問的で、実際から離れているような傾向も従来見受けておるのであります。しかし政府がこれらの機関を置いているということは、直接産業に関係しあるいは経済面から見て、これの応用であるとか、あるいは実際面に触れていろんな研究試験をするというところに、これらの研究機関の主たる目的があるわけでありまして、最高学府における純学問的の研究とか、試験とかいうものと、おのずから政府のこれらの機関の使命というものは違っております。この点を十分にやはり担当のお役所におきましてはよく把握して、そうして試験研究をそういう方向に指導していく必要があるし、また同時にこれらの間の連絡をとって、総合的な見地から成果をあげていくようにしなければならぬということは、私も田村さんのお考えと全然同一の考えを持っており、また私自身もある点に触れてそういう実際の体験を持っておりますので、なおこの上とも御趣旨の線に沿うて、これらの機関が十分にその機能を発揮し、また現実の産業界や経済界の要望、また政治的な目的を十分に達するように特に関係方面とも話し合いをいたしまして、努力をいたすようにいたしたいと思います。
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田村文吉#13
○田村文吉君 ありがとうございました。
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千田正#14
○千田正君 まず総理大臣にお伺いいたしたいのでありますが、総理大臣兼外務大臣としまして、表向きの外交としましては、すでに国際連合のヒノキ舞台において一応日本の自主外交の窓をあけておりますが、逆にその裏の経済外交、そういう問題に対しての実際の総理並びに外相としての方針を私はまだ承わっておらないのです。特に問題となって参りましたのは、昨日の夕刊各紙におきまして、ソ連の第一書記のフルシチョフ氏と畑中政春氏との会見におきまして、日ソ漁業が行詰ってきたこの段階においては、科学的な基礎の問題ではなく、すでにそういう問題を置き去りにされまして、逆に政治的なかけ引き、しかも貿易と相関連してこの問題を解決しようじゃないかというようなことが各新聞に出ておりますが、こうなってくるというと、農林大臣が懸命になって日ソ漁業委員会において、八−十の漁獲量の問題、それを裏付けするところのいわゆる科学的基礎、そういうような学問的な、実際問題を離れて、もう政治的なかけ引きの問題に追い込まれてきたという点をわれわれは深く考えるのであります。これは当初から私は非常に杞憂を持っておって、最後にはそうしたかけ引き的な問題がくるのじゃないか、かような杞憂を持っておったのが、それが当ったような感じさえするのであります。日ソ漁業交渉が行き詰って、最後の段階としまして貿易問題と相関連して、この問題を解決しようじゃないかというような空気がソ連側の一つの方針として出てきた、こういうことは今度の岸内閣としましても、大きな外交問題として考えなくちゃならないと思いますし、先般総理はテボシャン・ソ連大使とお会いになられて、約一時間半にわたりいろいろな御交渉があったようでありますが、その間におきまして、
 この行き詰った日ソ漁業問題の解決に、先方側から貿易という問題をかけ引きの一つの議題として出されておるのかどうか。これは今後におけるところの日ソ漁業に大きな転換を意味するものでありますから、総理としましての、また兼外相としての御所信を承わりたいと思います。
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岸信介#15
○国務大臣(岸信介君) 私とテボォシャン大使との会談の内容につきましては、昨日この席上でお答えを申しておきましたが、今御指摘のような漁業問題の解決と、貿易、通商の問題を関連せしめてこれを解決しようという提案は、その当時何にも私に提案された事実はございませんし、また一部の新聞に報道しておりましたように、私の方からそういう提案をしたがごとき新聞の報道も見受けるのでありますが、そういう事実も全然ございませんし、私は昨日も申し上げた通り、またかねて申し上げました通り、日ソの関係は一つ一つ友好関係を増進していく意味において問題を解決していく。漁業問題は今千田君がお話しの通り、これはきわめて科学的なあるいは統計的な専門家によって十分検討をされて、その結論を出すべきものでありまして、その委員会におけるそういう論議なり、研究なり、意見の交換というものは十分尽されております。しかしその結論においては、両者が一致しない状況にありますので、私はさらに国交正常化した第一歩のこの交渉において、将来の友好親善関係を増進する上からいうと、この問題をわれわれの主張しておるような点において、政治的にソ連政府としては大局的に考慮をしてもらわなければ、今の状態ではとうていわれわれは漁業問題を妥結することができないし、またそれができないということであれば、日ソ国交の増進の将来にとって、非常に私は遺憾な事態になると思うから、十分そういう点を大局的に考慮してもらいたいということを申し入れただけでありまして、テボシャン大使もそのことをよく了承して、本国政府へ申し送るということを約束して帰ったわけでありまして、この席上において貿易協定云々というようなことは、どちらからもそういうことは出ておりません。
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千田正#16
○千田正君 重ねてお尋ねいたしますが、それで総理のお考えがよくわかりましたが、この問題が行き詰ってきましたとしましても、日ソ漁業問題については、あくまで両国の従来の条約あるいは準備会談の間になされた一つの問題を根本的に掘り下げてその解決に当る、貿易その他の問題はこれは別個の問題として考える、別個の問題としてあくまでこの問題とは関係なく、関連せずに一つの方針としてやってゆく、こういうふうに了承してよろしうございますか。
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岸信介#17
○国務大臣(岸信介君) その通りであります。
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千田正#18
○千田正君 日ソ漁業の問題の、この行き詰りの科学的な問題について、これは農林大臣にお伺いしておきますが、ただいまのようなことであれば、行き詰ったといいましても、なお、科学的基礎の問題につきましては、相当日本側としても研究もし、また向う側からもいろいろな反省なりあるいは内省なりして考えてもらう点が相当あると思う。特に私はこの際主張したいと思いますのは、この前、鳩山内閣のときにもこの問題は私は予算委員会で特に慎重にお答えをいただきたいと思って伺ったのでありますが、はっきりしない。それが御承知の通り、今度の日ソ漁業問題の一つの基礎的な問題としまして、ソ連側から提出されましたところの接岸四十海里、さけ、ます漁業に関しては接岸四十海里——いわゆる国際法的な考えからいいますというと、大体三海里説、あるいは広く考えても十二海里説が流布されている程度で、現実においては、領海は大体三海里というのが一つの通念になっている。ところがこのたびの漁業問題に関しては、向う側はいわゆる距岸四十海里説を主張して曲げない。これがこのまま約束され、あるいは六年間におけるところの協定期間だけはそれだけの四十海里説を認めるとしましても、将来においてこれは一つのソ連の領海における通念になるおそれがある。この問題につきましては、今までの日ソ漁業の委員会においては議題にならなかったかどうか、ならないとするならば、将来におきましての問題としまして、この問題を取り上げて十分検討する必要があるのじゃないかと私は思いますが、農林大臣としてはどういうお考えになっおられますか、お答え願いたいと思います。
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井出一太郎#19
○国務大臣(井出一太郎君) ただいまの距岸四十海里という問題は、公海における漁業の制約という意味から申しまして、御説明のように日本側としてはきわめて重大な問題でございます。従ってこれらの点についても科学的合理的な基礎に立った話し合いというものが当然なされなければならないわけでございます。今回の交渉に当りましても、その問題ももちろん話題となるべきものでございますが、最初漁獲量の問題で日子を費し、引き続き、にしん、かにというふうな問題に入っておりますので、それに話題が触れますのは、これからということに相なると予定をいたしております。
  〔委員長退席、理事左藤義詮君着席〕
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千田正#20
○千田正君 ただいま総理大臣から、経済外交の一環としての対ソ問題に対しての貿易関係は、日ソ漁業とは切り離してやっていく。さらに私は、岸総理はかつて経済閣僚として歴代の内閣において十分に手腕をふるわれておりまするから、特にお伺いしたいのでありまするが、経済外交としての重点をどこに置かれるか、いわゆる岸内閣の一つの方針として、一は国連においての純正なる政治外交をし、一方においては実際的な経済外交としての具体的重点をいずこに置くのか。たとえば中南米に置くのか、あるいは東南アジアか、あるいはソ連、中共を含むところのアジア大陸に向って行うのか、あるいはもしくは、ただいまネックになっておりますところの対米外交の裏づけの一つとしまして、アメリカ国内におけるところの、日本貨物の輸入に対するあらゆる制限を行おうとしておるところのアメリカに対する新たなる経済外交の手を打つのか、この点をいずれに岸内閣としては経済外交の重点を置かれるかという大綱を一つお示し願いたいと思います。
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岸信介#21
○国務大臣(岸信介君) 今日、また将来の日本の立場を考えてみまするときに、いわゆる経済外交の推進という、この私が申し述べておることは、ただ単に東南アジアとかあるいは中南米とか、あるいはアメリカということに限定せずに、全体に向ってこの問題は考えて参りたいと思います。ただ国々、地方々々によりまして、その主題となり、また経済外交のやり方なり、その内容等につきましては、それぞれ異なっておると思います。たとえば中南米方面におきましては、われわれの経済外交の何から申しまして、もちろん、貿易の増進ということも重大な問題でありますが、特に移民問題というようなものは非常に大きく取り上げて参らなければならないし、これを推進していく必要がある。また、アメリカとの関係におきましては、今お話のように・主として貿易関係並びに将来の日本における技術的な提携や、その他日本各地における産業の発展の上にアメリカの技術を導入するとか、いろいろな提携するという問題もありましょうが、アメリカに向っての日本の輸出品のいろいろな制限であるとか、あるいは輸出についてのいろいろな問題というものを解決していくことが重要な問題となろうと思います。また東南アジア方面につきましては、主として、しばしば申し上げておりますように、これらの国の政治的独立を裏づけるような経済計画、また経済の繁栄ということをこれらの国々が望んでおり、努力しておりますから、これにいろいろな意味から協力していくということが主題になると思います。私は特にどこそこの地域に主眼点を置くということではなくして、一般的に今申したような各種の事情を考慮して、その国に適した、また、最も緊要な方向に対応してわが方の経済的外交を進めていくということが必要だろう、かように考えます。
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千田正#22
○千田正君 これは総理あるいは大蔵大臣か、どちらでもよろしいから、お答え願いたいのでありますが、たとえば国際収支のバランスを非常に今度の予算においては真剣に考えておりますが、一つの、国際収支においてある程度減少するのじゃないかという点を私は危惧するのであります。それは、たとえば日本と貿易相手国との間の特殊関係から生じてくるところの一つの問題として、いわゆる清算勘定協定を廃止して現金決済の方向に入ってきた、そういう国は、たとえば西ドイツであるとかイタリアであるとか、スエーデンであるとか、あるいは将来ブラジルあるいはオランダもその範ちゅうに入ってくるだろう。もう一つは対フィリピンの貿易にしましても、あるいはインドネシアにしろ、あるいはその他の新しい、ビルマ、ヴェトナム等に対するところの貿易にしましても、この賠償問題を中心として賠償にからむところの一つの貿易としての収支が、むしろ賠償問題そのものの決済が貿易の収支に食い込んでくるのではないか。そういう意味においては、収入の面からいいましては減少するおそれがあるのじゃないかと思いますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
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池田勇人#23
○国務大臣(池田勇人君) ビルマあるいはフィリピンの方との賠償交渉につきましても、常にそういう点を留意いたしまして、賠償によって一般の貿易が食い込まれないようにということは、相互に了解してやっておるのであります。
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千田正#24
○千田正君 清算勘定協定から現金決済に変えたために、私はある程度収入が減るのじゃないかと思いますが、大蔵大臣はこの点はいかがですか。
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池田勇人#25
○国務大臣(池田勇人君) 清算勘定を持続していくかどうかということは、非常に問題があるのでございますが、やはり今となりましては、現金決済の方がとるべき道だと考えておりますので、だんだんそういう方向に向っていきたいと思います。
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千田正#26
○千田正君 総理にもう一点伺いますが、今度まことにお気の毒で、わが参議院におきましても、このフィリピンのマグサイサイ大統領の奇禍に対して弔意を表するものでありますが、マグサイサイ大統領がなくなられたあとのフイリピンというものは、他国のことかだらよくわかりませんけれども、新聞紙や、あるいはラジオによって報ずるところによれば、今秋の大統領改選期を中心として、あるいはフイリピンの国内事情は相当変るのじゃないか。同時に国際事情も転換するのじゃないかといういろいろな論評を加えております。マグサイサイ大統領のなくなられた後におけるフイリピンというものに対する日本側としての、日比貿易並びに外交に関してはどういうふうなお考えを持っておられますか、その点を伺いたいと思います。
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岸信介#27
○国務大臣(岸信介君) マグサイサイ大統領の今回の飛行機事故による逝去に対しましては、同大統領が日本に対して非常な深い理解と好意を持ち、日比間の懸案であった賠償問題を解決し、国交正常化を行われたこの大統領がなくなったということは、ほんとうにわれわれも心から哀悼にたえないところでありますが、しかし日本との関係につきましては、すでに同大統領によって基礎的の国交正常化の問題や、賠償問題等が解決をされて、今や実施に入っております。そうして、その実施もきわめて順調にいっている現状から見て、日比間の関係が、今後大統領の死によって変化を来たすということは私は絶対にないと、かように信じております。またマグサイサイ大統領が、非常なフイリピン政界において偉大な存在であったために、それがああいった不慮の死をとげられたということが、おそらくフイリピンの政界に非常な大きな影響を与えておることも想像できますけれども、私としては、やはりフィリピン国民は、マグサイサイ大統領に対して国をあげて哀悼の意を表しておるようでありますし、従ってそのマグサイサイ大統領の遺志を継いでこれを前進させることに、フィリピン国民はおそらく全力をあげられることであろうと、かように考えております。従って私としては、この間に非常に大きな変動があるとは今日において考えておりません。
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千田正#28
○千田正君 先般も総理大臣からお話がありましたが、テボシャン大使とお会いになったときに、ソ連に残留しておるところの生存者が七百九十三名、その他の行方不明という人たちに対しての調査はまだ不十分でありますけれども、これは非常に大きな問題でありまして、残っておるところの留守家族としましては、先般も申し上げたように焦慮にたえない。これは厚生大臣にも申し上げてお伺いするのですが、今度の第二次補正予算の内容を見まするというと、軍人遺家族に対してはある程度恩給のベースを上げておる、あるいは追加しておる。ところが、こうした留守家族の手当等に対しましては、国内におけるところのそうした処遇に対しては、ちっともその上においては考えておられないようでありますが、この点はどういうふうにやるつもりでありますか。これは厚生大臣の方から大蔵省に要求されておったのか、あるいは全然これは考えられないで、軍人遺族の恩給その他だけが今度の第二次補正予算に組まれておるのか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
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神田博#29
○国務大臣(神田博君) 留守家族の待遇改善等については、政府内においても検討中でございます。それからただいまの厚生省予算で増額いたしましたのは、いつも恩給関係の方から流用をしておったのでございますが、その方が窮屈で流用できないということで、今度規定通り当方の予算に組み入れた、こういう事情でございます。
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