山際正道の発言 (予算委員会)
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○参考人(山際正道君) お答えをいたします。
お話の通り、日本銀行におきましては、去る十九日に政策委員会を開きまして、ただいま御指摘の高率適用の改正並びに基準公定歩合の引き上げの措置を決定いたしまして、翌二十日から実施に移したのでございます。これをいたしますに至りました経過につきましては御承知の通り昨年の秋以来、金融市場はとかく引き締りがちになり、年を越しまして年度末に近づくに従いまして、その勢いはますます強まって参りました。金融市場は非常に繁忙な状況を呈して参ったのでございます。そのよって来たる原因につきましては、何と申しましても、昨年の秋以来財政関係の租税収入にいたしましても、その他国営の各種事業にいたしましても、収入の状況が非常によくなりまして、そのために民間資金の引き揚げが非常な多額に上ったのでございます。加うるに、年を越しましては、御承知の通り貿易の状況からいたしまして支払いがふえまして、その関係上、これまた財政資金の引き揚げということになり、金融市場に影響を与えたのでございます。そのほかに一般経済界も俗にいわれております投資景気と申しますか、その方面からする資金の需要が非常に増高いたしまして、これらが相待って一そう金融市場を窮屈にいたしたのでございますす。その結果最もその現象が端的に現われましたのは、いわゆる短資市場コール・マーケットでございまして、その金利のごとき非常な増高を続けまして、時には三銭以上といったようなレートを出す日もございましたのでございます。日本銀行の貸出もそれにつれまして漸次増加をいたしまして、ただいま御指摘の高率適用の制度にいたしましても、本来高率適用の制度は、特定の銀行が特に貸出超過等に陥りまして、他の銀行等に比べて特段に資金需要を必要とする際に、その銀行についてある一定限度以上は特定の利率を高く貸しまして、これによって、その銀行の貸出の行き過ぎを押さえようという例外的な規定になっておりますものが、主な銀行が軒並みにこの高率適用にひっかかるというような窮屈さを現出いたしたのでございます。さような情勢でコール・マーケットの金利が高騰いたしますというようなことは、あるいは起債市場を圧迫し社債の発行を困難ならしめますとか、あるいは本来は預金に流るべき資金がコール市場を一つの利殖の場として、それに引き込まれるとか、好ましからざる現象を誘致するおそれが生ずるに至りましたのであります。そこで、この金融市場のあり方を、この際、実情に合わなくなりました高率適用制度のワクを拡大いたしますことによって、正常化をどうしてもいたさねばならぬ。この正常化をはかりますことが、各種の金融情勢の基礎を強固にするゆえんだと考えましたので、そこでただいま御指摘のございました通り、その高率にひっかかります間の限度を相当拡大いたしまして、金融市場の実情にこれを適合せしめて、そして同時にまたかような金融措置が比較的円滑に参りまするように、担保制度等にも改正を加えましたのであります。これはまさに、ただいま申し上げましたような各種の事情によって起りました金融市場のあり方を正常化いたしたい、という考えでいたしたわけでございます。半面公定歩合も引き上げを御指摘の通りいたしまして、大体一日に日歩一厘の引き上げをいたしたのでございます。このことは、私に申させますれば、健全金融を日本銀行はどこまでも堅持するということの一つの意思表示という考え方をとったのでございます。一方において、高率適用のワクを拡大いたしまする結果、金融は正常化をいたしまするが、同時にあたかも緩和するがごとき印象を与えるのでありますけれども、日本銀行の企図する金融政策の基本はどこまでも健全金融の線である。と申しますことは、各銀行の融資、貸出はどこまでもその吸収し得た預金その他の資金の範囲内でまかなってもらいたい、日本銀行から造出する信用によって資金の需要に応ずるということはあってはならぬ姿である、ということの意思表示を表明いたしますために、金利一厘を引き上げたわけなんでございます。これによりまして、御承知のように、一昨年以来馴致せられて参りました金融緩和の情勢は、銀行の営業の面におきまして、なかなかにわかにここで健全金融の線にかたくその立場をとっていくといったようにはやりにくい点が相当あるのであります。競争を激化いたしまして、必要以上に金利を引き下げましたところもございましょうし、また自然新需要家との対応の場面において、にわかに銀行がその態度を改めるということがむずかしいという事情も発生しておると思うのであります。これに一つの反省の契機を与えて、これに一つの転換の機会を与えるということは、私は日本銀行の公定歩合の引き上げによってその契機を作るということが最も適当であろうと考えたのであります。その意味におきまして、比較的低率ではございまするが、日歩一厘の引き上げということを決定いたし、実行いたしたのでございます。
要するに、前段の高率適用の緩和の問題、これはまさに乱れそうになりました金融市場の正常化を企図いたしたものでございまするし、また同時に行いました公定歩合の引き上げは、これを契機として金融機関の融資態度がどこまでも健全金融の線において今後施策を実行する、その契機を作りまた、その再検討を促したもの、かような効果を期待いたしたわけでございます。