予算委員会

1957-03-23 参議院 全340発言

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会議録情報#0
昭和三十二年三月二十三日(土曜日)
   午前十時二十一分開会
    —————————————
  委員の異動
本日委員新谷寅三郎君、成田一郎君及
び小山邦太郎君辞任につき、その補欠
として仲原善一君、佐野廣君及び田中
茂穂君を議長において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     苫米地義三君
   理事
           迫水 久常君
           小林 武治君
           左藤 義詮君
           安井  謙君
           吉田 萬次君
           天田 勝正君
           吉田 法晴君
           森 八三一君
   委員
           青柳 秀夫君
           石坂 豊一君
           泉山 三六君
           木村篤太郎君
           佐藤清一郎君
           佐野  廣君
           柴田  榮君
           関根 久藏君
           高橋進太郎君
           土田國太郎君
           苫米地英俊君
           仲原 善一君
           野村吉三郎君
           野本 品吉君
           林田 正治君
           内村 清次君
           海野 三朗君
           岡田 宗司君
           栗山 良夫君
           小林 孝平君
           佐多 忠隆君
           曾祢  益君
           中村 正雄君
           羽生 三七君
           松浦 清一君
           山田 節男君
           湯山  勇君
           加賀山之雄君
           梶原 茂嘉君
           田村 文吉君
           豊田 雅孝君
           千田  正君
           八木 幸吉君
  国務大臣
   内閣総理大臣
   外 務 大 臣 岸  信介君
   大 蔵 大 臣 池田 勇人君
   文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
   厚 生 大 臣 神田  博君
   農 林 大 臣 井出一太郎君
   通商産業大臣  水田三喜男君
   運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
   労 働 大 臣 松浦周太郎君
   国 務 大 臣 宇田 耕一君
  国 務 大 臣 大久保留次郎君
   国 務 大 臣 小滝  彬君
   国 務 大 臣 田中伊三郎君
  政府委員
   法制局長官   林  修三君
   内閣総理大臣官
   房公務員制度調
   査室長     大山  正君
   自治政務次官  加藤 精三君
   自治庁税務部長 奧野 誠亮君
   防衛庁長官官房
   長       門叶 宗雄君
   防衛庁人事局長 加藤 陽三君
   経済企画庁調整
   部長      小出 榮一君
   経済企画庁計画
   部長      大來佐武郎君
   経済企画庁開発
   部長      植田 俊雄君
   科学技術庁長官
   官房長     原田  久君
   科学技術庁企画
   調整局長    鈴江 康平君
   科学技術庁原子
   力局長     佐々木義武君
   科学技術庁調査
   普及局長    三輪 大作君
   大蔵省主計局長 森永貞一郎君
   大蔵省主計局次
   長       宮川新一郎君
   大蔵省理財局長 河野 通一君
   大蔵省銀行局長 東條 猛猪君
   文部大臣官房会
   計参事官    天城  勲君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤譽三郎君
   文部省社会教育
   局長      福田  繁君
   厚生省保険局長 高田 正巳君
   通商産業大臣官
   房長      松尾 金藏君
   運輸省鉄道監督
   局長      權田 良彦君
   労働省労働基準
   局長      百田 正弘君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
  参考人
   日本銀行総裁  山際 正道君
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  本日の会議に付した案件
○昭和三十二年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十二年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十二年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
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苫米地義三#1
○委員長(苫米地義三君) ただいまから委員会を開きます。
 まず、委員の異動について申し上げます。三月二十二日、一松定吉君が辞任され、その補欠として野村吉三郎君が指名されました。
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苫米地義三#2
○委員長(苫米地義三君) 次に、昨日の理事会で決定いたしました事項を御報告いたします。
 一、昭和三十二年度総予算に対する一般質疑の時間の割当は、自由民主党三百分、社会党三百七十五分、緑風会百二十五分、無所属クラブ二十五分、十七控室二十五分とする。
 二、本日、二十三日の山際日本銀行総裁に対する質疑は社会党三十分、他会派三十分とし、終了次第一般質疑に移る。
 以上でございます。
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苫米地義三#3
○委員長(苫米地義三君) これより昭和三十二年度一般会計予算、昭和三十二年度特別会計予算、昭和三十二年度政府関係機関予算を議題といたします。
 この際お諮りいたします。昭和三十二年度総予算審査のため、山際日本銀行総裁を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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苫米地義三#4
○委員長(苫米地義三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 山際総裁に対し御質問を願います。
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佐多忠隆#5
○佐多忠隆君 日本銀行は、三月の十九日に、日銀の政策委員会で決定をされて、例の高率適用の緩和をやられると同時に、公定歩合を引き上げるという措置をおとりになり、これを翌日から実施に移されたようでありますが、これについて、こういう政策をおきめになった背景、金融情勢、経済情勢、最近のそういう情勢をどういうふうにごらんになり、今後の見通しをどういうふうにお立てになってこういう決定をなされたのか、まず、その点をお聞きしたいと思います。
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山際正道#6
○参考人(山際正道君) お答えをいたします。
 お話の通り、日本銀行におきましては、去る十九日に政策委員会を開きまして、ただいま御指摘の高率適用の改正並びに基準公定歩合の引き上げの措置を決定いたしまして、翌二十日から実施に移したのでございます。これをいたしますに至りました経過につきましては御承知の通り昨年の秋以来、金融市場はとかく引き締りがちになり、年を越しまして年度末に近づくに従いまして、その勢いはますます強まって参りました。金融市場は非常に繁忙な状況を呈して参ったのでございます。そのよって来たる原因につきましては、何と申しましても、昨年の秋以来財政関係の租税収入にいたしましても、その他国営の各種事業にいたしましても、収入の状況が非常によくなりまして、そのために民間資金の引き揚げが非常な多額に上ったのでございます。加うるに、年を越しましては、御承知の通り貿易の状況からいたしまして支払いがふえまして、その関係上、これまた財政資金の引き揚げということになり、金融市場に影響を与えたのでございます。そのほかに一般経済界も俗にいわれております投資景気と申しますか、その方面からする資金の需要が非常に増高いたしまして、これらが相待って一そう金融市場を窮屈にいたしたのでございますす。その結果最もその現象が端的に現われましたのは、いわゆる短資市場コール・マーケットでございまして、その金利のごとき非常な増高を続けまして、時には三銭以上といったようなレートを出す日もございましたのでございます。日本銀行の貸出もそれにつれまして漸次増加をいたしまして、ただいま御指摘の高率適用の制度にいたしましても、本来高率適用の制度は、特定の銀行が特に貸出超過等に陥りまして、他の銀行等に比べて特段に資金需要を必要とする際に、その銀行についてある一定限度以上は特定の利率を高く貸しまして、これによって、その銀行の貸出の行き過ぎを押さえようという例外的な規定になっておりますものが、主な銀行が軒並みにこの高率適用にひっかかるというような窮屈さを現出いたしたのでございます。さような情勢でコール・マーケットの金利が高騰いたしますというようなことは、あるいは起債市場を圧迫し社債の発行を困難ならしめますとか、あるいは本来は預金に流るべき資金がコール市場を一つの利殖の場として、それに引き込まれるとか、好ましからざる現象を誘致するおそれが生ずるに至りましたのであります。そこで、この金融市場のあり方を、この際、実情に合わなくなりました高率適用制度のワクを拡大いたしますことによって、正常化をどうしてもいたさねばならぬ。この正常化をはかりますことが、各種の金融情勢の基礎を強固にするゆえんだと考えましたので、そこでただいま御指摘のございました通り、その高率にひっかかります間の限度を相当拡大いたしまして、金融市場の実情にこれを適合せしめて、そして同時にまたかような金融措置が比較的円滑に参りまするように、担保制度等にも改正を加えましたのであります。これはまさに、ただいま申し上げましたような各種の事情によって起りました金融市場のあり方を正常化いたしたい、という考えでいたしたわけでございます。半面公定歩合も引き上げを御指摘の通りいたしまして、大体一日に日歩一厘の引き上げをいたしたのでございます。このことは、私に申させますれば、健全金融を日本銀行はどこまでも堅持するということの一つの意思表示という考え方をとったのでございます。一方において、高率適用のワクを拡大いたしまする結果、金融は正常化をいたしまするが、同時にあたかも緩和するがごとき印象を与えるのでありますけれども、日本銀行の企図する金融政策の基本はどこまでも健全金融の線である。と申しますことは、各銀行の融資、貸出はどこまでもその吸収し得た預金その他の資金の範囲内でまかなってもらいたい、日本銀行から造出する信用によって資金の需要に応ずるということはあってはならぬ姿である、ということの意思表示を表明いたしますために、金利一厘を引き上げたわけなんでございます。これによりまして、御承知のように、一昨年以来馴致せられて参りました金融緩和の情勢は、銀行の営業の面におきまして、なかなかにわかにここで健全金融の線にかたくその立場をとっていくといったようにはやりにくい点が相当あるのであります。競争を激化いたしまして、必要以上に金利を引き下げましたところもございましょうし、また自然新需要家との対応の場面において、にわかに銀行がその態度を改めるということがむずかしいという事情も発生しておると思うのであります。これに一つの反省の契機を与えて、これに一つの転換の機会を与えるということは、私は日本銀行の公定歩合の引き上げによってその契機を作るということが最も適当であろうと考えたのであります。その意味におきまして、比較的低率ではございまするが、日歩一厘の引き上げということを決定いたし、実行いたしたのでございます。
 要するに、前段の高率適用の緩和の問題、これはまさに乱れそうになりました金融市場の正常化を企図いたしたものでございまするし、また同時に行いました公定歩合の引き上げは、これを契機として金融機関の融資態度がどこまでも健全金融の線において今後施策を実行する、その契機を作りまた、その再検討を促したもの、かような効果を期待いたしたわけでございます。
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佐多忠隆#7
○佐多忠隆君 大体ねらっておられることはほぼ伺ったのですが、その場合に、もう少しそういう政策をおきめになる背景として、国庫収支を現在の状態あるいは三十二年度あたりをどういうふうにごらんになってこういう政策をお取りになったか、あるいは国際収支をどういうふうに考えていらっしやるか。それからもう一つは、今お話しになった資金の需要の問題、投資需要といいますか、そういう面からの資金需要、それの規模の問題あたりを、最近の情勢から三十二年度にわたって、ほぼどういうふうにお考えになっているか伺いたい。
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山際正道#8
○参考人(山際正道君) 三十二年度の現在御審議中の予算が実施されました場合において、国庫収支の関係がどういうふうになっているであろうかというお尋ねでございます。
 私は、三十二年度の予算案自体は均衡を得ている財政計画でありますので、そのこと自体から対民間との間において資金上の収支関係が大きく影響されるとは考えておりません。たとえば三十一年度におきましては予算御審議の際に予想されざりし大幅の自然増収等が起りまして、非常にこれが収支の上に大きな変化を与え、またひいては民間の金融関係に甚大なる影響を及ぼしたのでありまするけれども、ただいま御審議中の三十二年度の予算自体につきましては、三十一年度に起ったような問題は、少くとも一般会計自体においてはそう心配することはないのではないか、と実は見ておるんであります。ただ問題は、御承知のように、ただいま貿易関係その他対外支払収入関係というものは、国の会計で行なっておりますんで、いわゆる外国為替特別会計でございまするが、この外為収支のいかんによりましては、これはやはり財政資金が民間金融市場に影響を及ぼすという結果を起し得る問題でありまするので、この点はしばらく別に考えねばならぬかと思うのであります。ただ三十二年度の国庫収支自体は、ただいま申し上げました範囲においては、なるほど全体としてつじつまはむろん適合いたしておりますんでありまするけれども、何分にも財政は日本の経済において相当大きな比重を占める要素でありますので、この実施の際におかれましては、どうか政府当局におかれて、物資関係なりあるいは資金需給の関係などをよくお見定め願って、一時に多額の発注が起ったり、一時に急激な資金需要が起ったり、あるいは資金の散布が起ったりということのございませんように、財政自体の運営についての御心配をいただきますならば、そのこと自体からの民間に対する収支の影響は、三十一年度に起ったようなことはあるまいと実は考えておるのであります。
 次に国際収支の問題が、一面ただいま申し上げましたような意味において財政収支にも影響をいたしまするが、この点は特に三十二年度において最もわれわれが注意を要する問題だと考えます。ことにこれは財政上の問題ということばかりでなしに、一般国民経済全体の問題として、この点は最も留意を要する要素であろうと思います。この問題の見通しを立てますことは、これは実に難事中の難事とも申すべきことかと思うのでありまして、申すまでもなくこの関係は単に国内情勢の推移ばかりでは解決いたしません。広く国際経済情勢がどう動くであろうかというようなことが、自然わが国の貿易の前途その他国際収支の前途に大きな影響を持つわけでございまするから、世界情勢をひっくるめまして、内外の経済情勢から割り出して、三十二年度の国際収支がどうなるか、こういう見通しを立てねばならないわけでございます。このこと自体はなかなかこれはむずかしい、幾つかの大きな仮定に立たなければなかなか結論が出ない、こういうちょうど世界的に移り変る段階に差しかかっておるのが三十二年度の経済実勢ではないかと思うのでございます。一がいに現在の与えられておる材料だけで申しまするならば、御承知のように米国を初め英国もドイツも、その他欧米の主要国におきましては、経済の繁栄の上昇カーブが必ずしも今まで通りではなさそうだ、ややここで高原景気と申しますか、天井をはうと申しますか、大体高度の繁栄は維持するにいたしましても、今まで程度の伸びを直ちに期待するということはむずかしくなってきておるんではないかという論評が、ことに本年に入りましてからいろいろと言われておるわけでございます。その結果が、私はおそらくこれら主要国は、今後輸出貿易その他の面において、広く世界の市場において自国の貿易を繁栄せしめ、これによって自国の繁栄をもたらすという政策をとって参るのではないかと考えるのでございまして、これはきわめて自然に想定されるところであろうと思います。そういたしますと、なかなかわが国の輸出貿易も、それらの世界の主要国の輸出情勢に対処いたしまして、おくれをとらぬだけの努力を払わないと、なかなか輸出の一そうの伸びを期待していくのに、そう簡単には参らないという世界情勢になりつつあるやに思うのであります。従いまして私は日本の最近の経済拡大、経済の繁栄を維持しますその基本、これはやはり何と申しましても外国貿易にあろうと思いますが、どうかかかる世界情勢においてこの輸出の伸びというものはぜひとも今後も続けて参らねばならぬ。かくせざれば日本の基本的な経済の繁栄は持続しがたいという考えを持っておりますので、これはあらゆる官民を通ずる努力を払いまして、輸出の増進に邁進せねばならぬかと思うのであります。伺いますれば、政府においては三十二年度大体二十八億ドルの輸出を目標として達成したいというお考えで御討議だということでありまするが、ぜひとも私は、この程度の輸出は日本の経済の規模を拡大しつつ発展せしむる意味において、ぜひ実現させたい数字だと思うのであります。しかし一面において申し上げましたように、世界の体制はますます貿易競争を激化する情勢にありまするので、この二十八億ドルの目標を達成いたしますにつきましても、私は日本経済界の格段な努力が必要だと思うのであります。一そうの努力を要せずして達成し得る目標とは考えておりません。ぜひとも努力することによってこの程度の拡大はもたらすことにいたしたいものだと考えておるのであります。
 一面この輸入の問題でございますが、これまた世界情勢の変化に応じて前途の目途を立てねばならぬ事柄に属するのであります。御承知の思わざる世界の各部分に政治経済上の変化が起りまする結果、それが経済界に前途の各種の見込みを生じまして、あるいは思惑的に輸入を推進するというような趨勢を馴致しやすいことは、過去においても幾多のその例を見たのでございます。最近におきましては例のスエズ問題が突発をいたしまして、スエズの問題が長びけば自然世界的に物資需給の疎通が阻害される結果、この際輸入を急がねばならぬ機運もまさにあったかと思うのであります。スエズの問題は皆様御承知の通り幸いにいたしまして解決に近づきつつありますので、その面からくる物資需給の緊張はややほぐれて参ったかのように思われます。海上運賃その他にいたしましても、その面ではいい影響を与えつつあると思うのでありまするが、しかしながら御承知のように物資の輸入は、単に輸出の原材料として必要であるばかりでなく、国内消費に向う部分がこれまた相当のものがあるわけでございます。そこで問題はこの現在行われつつある輸入が、果してどういう意味において行われつつあるかということの判断であろうと思います。輸入の増加は輸出の増加をやや上回りまして、自然その結果本年の一月、二月そして本月も相当のこの輸入超過による支払いは出ておりますのであります。これはむろん一面においては、過去におけるきわめて顕著な輸出増加のため原材料が不足をいたしました結果、在庫を補充するという意味においての輸入も相当あろうかと思うのであります。この現在行われつつさりまする輸入が、果して輸出原材料として在庫の充足の程度でとどまるものであろうか、それともまた一両年来の国内市場の好況を反映いたしまして、各種の投資その他の消費が増大を見ておりまするが、その方面に向う部分が多いのであるかどうか、これが重要な私は判断の分れ目だと思うのであります。輸出のための原材料の輸入が多いということでありますれば、やがてはそれがいつか輸出に還元されまして、国際収支の均衡回復に寄与いたしますと思いますが、いたずらに国内市場の拡大によって消費が増高するにとどまるというのでありますれば、失われたる外貨は再びこれを回復することはむずかしいということに相なるわけでございます。現在果してどういう段階にあるかということは、実はきわめて判定がむずかしい点でございます。数字等によりますると在庫の補充は一両年前の水準に大体近づいてはおります。経済の規模が拡大されましたので絶対量においては大体その程度になりましたけれども、在庫率から申しまするとややまだ足らない点もございます。が果してそれがただいま申し上げましたような、国際収支改善のために将来役立つ部分にとどまり得るかどうか、ということがこの際注目を要する点でありまするけれども、ただいま得ておりまする材料だけでは、それがどっちへ向うかということの判定を決定的にいたすほどの材料はまだ得られないのであります。すでに日本銀行といたしましては、目下最大の注意を払いまして、この輸入された物資の行方と申しますか、いかにしてこれが循環過程において消化されていくかということに大重な注意を払いつつあるわけでございます。でこの点は私は、三十二年度における国民経済発展の方向を決定する最も重要な要素、と考えておりますのでありまするけれども、ただいま申し上げましたように前途をトする決定的な判断を下すまでにはまだ材料が整っていない、こういう状況と判断いたすのでございます。
 その半面を受けまして国内の資金需要の点でございます。世界の経済情勢がややゆるんで参ったということを背景といたしまして、大企業その他の方面に、今までの計画を進めておった事業をやや繰り延べよう、という気配も起りつつないではございません。またあるいは既存の計画を少しく縮小しようという考えも出ては参っておるようでありまするけれども、私はまだこれは相当大きな力にはなっておらぬと考えます。金融機関の窓口における資金の需要は相変らず強大でありまして、ややもすると私が先ほど申し上げました健全金融の範囲をこえて、いわゆるオーバー・ローンの形で日本銀行から金を借りて、それで経済建設をまかなうという危険が少なからず存在しておることは事実だと思うのであります。この問題は、私、世界に経済状況自体がややおくれをとっておるといわざるを得ない日本の経済において、ことに最新の各種の技術発明等が世界的に続出いたしております際におきまして、日本がその設備を合理化し、近代化し、また新しい技術を取り入れるという必要は大いにあると思うのでありますが、このことと前段申し上げました国際収支の均衡を保持するということ、そうしてまたしかもこの資金需要を資金の集積の範囲においてまかなうという健全金融の線、これらを総合いたしまして均衡を失せずに進んでいくということが、今後経済施策を進める上においての最も重要な点であろうと思うのであります。
 資金の今申し上げましたような需要のややもすれば超過しようとする際に、いかにしてこの情勢を緩和するか。一つ根本的な問題は資金の蓄積を増加するということでございます。三十二年度におきましては、日本銀行の貯蓄推進部も大いに力を入れまして、この預貯金の集積その他資金の蓄積については、最大の努力を傾ける考えでございまして、それらが国民の消費性向や国民の貯蓄性向等にうまく協力を得まして、資金の供給量をふやすことができまするならば、ただいま起っておる資金の需要につきましても、相当対処し得るわけでございます。
 しかしながら、もしその資金の蓄積が十分でございませんならば、どうしてもこれは健全金融の建前から申しまして資金の需要自体の方を考え直してもらうより仕方がない、こういう事態に相なろうかと思うのであります。現在の段階におきましては、まずその前提といたしまして金融機関が健全金融の線をかたく守る。それについて従来不十分であったところは、これを契機として十分にその姿を正していくという一つの時期を作ります意味において、ただいまお尋ねの公定歩合の引き上げが有効な措置であると考えましたゆえに、これを実行いたしたのであります。全体の今回の措置といたしましては、国際収支の状況なりあるいは国内の物価情勢なり資金需要、供給の情勢なり、それらに対処いたしまして、日本銀行として均衡を得せしめるために必要な措置というものは、今後何どきでもこれを発動し得るという姿勢に日本銀行を置くということが、これまた重要な問題であろうと思ったのであります。で、今回の措置は、直接意図するところはただいま御説明申し上げた程度のことでございまするけれども、全体といたしましては、今後の推移を十分に注目いたしまして、必要ある場合においては何どきでも、日本銀行が与えられておりまする操作によりまして、この変っていく事態に時機を逸せずに対処する、こういう構えに日本銀行が立っておるという意思表示をこの措置によって表わしたいと考えました次第でございます。
 なお、お尋ねの点で漏れておりまする点は、さらに後ほど補足させていただきたいと思います。
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佐多忠隆#9
○佐多忠隆君 そうしますと、この高率適用の緩和のねらいと、それから公定歩合引き上げのねらいとは、ある意味では表面矛盾したねらいを一つの政策の中に包蔵をしているように思うのですが、従って、これをもう少し見通しその他を早くから立てておかれれば、むしろこの決定はもう少し早目になさるべきであったのではないかという感じがするのですが、この時期について誤まりなかったというふうにお考えになるかどうかということが一つと。それからもう一つは、一体ねらいとしておられるところは、その高率適用の緩和の方が主たるねらいなのか、公定歩合の引き上げの方が主たるねらいなのか、今後どっちを主として使っていくことになるであろうか。その辺をどういうふうにお考えになっておるか。従ってまた、一体私たちによくわからないのですが、その高率適用の緩和といった場合に、その内容的なものは、どういう運用の仕方といいますか、内容はどういうことを考えておられるのか。たとえばこの貸出のワクその他について、現在どれくらいあって、それがどれくらいまでにどういうふうに緩和されるというような見当を持っていらっしゃるのか。その辺のことをもう少し御説明を願いたい。
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山際正道#10
○参考人(山際正道君) ただいまお話のございました、高率適用の緩和ということと公定歩合の引き上げということとは、相矛盾するような感じを与えると思われるがどうかという点でございまするが、この点につきましては、なるほど御指摘の通り、一面においては異常に窮屈化しておった金融市場のあり方を是正する、これは緩和の印象を与えると思います。と同時にまた公定歩合を引き上げるということは、今後金融をゆるめないということの意思表示なわけでありまするから、これまた相矛盾するような感じを与えることもごもっともと思うのであります。しかしながら、今回その措置をあわせ用いました理由は、実際は金融市場自体に非常に変調な事態が起っておるからであります。すなわち、これは先ほども申し上げましたように、短資市場を中心といたしまして異常な状態が起っておるわけでございますので、まずこの姿を直すということは、今後強力な金融施策を実行いたします土台といたしましてぜひとも必要なことであったのであります。しかもその窮迫を告げました理由が、三十一年度中における経済界の実需はむろん増加はいたしておりますけれども、それ以上に強く財政の収支というものは影響しておったのでありまするから、この際においてこれらの事態を平常化するためには、高率適用の範囲をどうしてもこれは拡大するというのは、最も基本的な点である。かく考えましたがゆえに相矛盾するがごとく思われまするけれども、やむを得ざる地ならしといたしまして、高率適用の範囲の拡大をいたし、同時にまたこれがあるいは緩和の印象を与えることも申されましたが、同時に、また将来何どきでもこの公定歩合引き上げ等による金融操作は、日本銀行としてはその実行の用意ありという意思を、この高率適用制度の改正という確かな土台の上にそれを表明いたしておるんでありまするから、将来に対するこれも備えになろうというのであわせて実行いたしたのでございます。ちょうど、最近アメリカの中央銀行が利上げをいたしました際に、一面利上げをいたしながら、他面、いわゆる市中公開市場操作によりまして、有価証券を買い上げるというオペレーションをやったことがございます。その事態その事態の金融界の姿によりまして、各種の効果を持つ手段をあわせ用いるということもやむを得ないことだろうかと思うのであります。それにしてはやや時期がおそきに失したのではないかというお話がございましたのでございまするが、私は、これは相当日本銀行といたしましては、従来のあり方を変えて参る問題でございますので、機の熟するを待つ必要があると考えたのでございます。公定歩合の引き上げは、一昨年八月に行われました以来、一年半以上をそのまま据え置かれておったのでございますが、その間、ややこれの取り扱い方がどっちかと申しますと固定視されておりまして、そうにわかには、一たんきめられた公定歩合というものは動かされないのだという印象も与えておったかとも思うのであります。そこで前段申し上げましたように、この高率適用の緩和は、三十一年度の年度末に近ずくに従いまして最もその窮迫の欠陥が露呈をいたして参ります、三月の二十日ごろから、自然貸し出し増加等が始まります、年度末における金融の繁忙が、高率適用のためにゆがんだ姿において市場に反映するということを恐れたので、この年度末を控えてその直前にその緩和を行うのがその意味において適当な時期ではないかと考えたのでございます。
  〔委員長退席、理事左藤義詮君着席〕
 また、公定歩合を引き上げまして、同時に健全金融の建前を堅持するという日本銀行の意思を表明いたしますことも、資金需要が多少は下りぎみの傾きはありまするけれども、今なお旺盛であるという事態、また一月以来輸入が相当かさんできておるという事態を控えまして、その推移をしばらくながめながら、この三月の下旬を期して行うのが最もその時宜を得たものと考えましたがゆえに、二十日からその実行を期した次第でございます。
 しからば今回の措置は、高率適用の緩和ということと、公定歩合の引き上げということといずれに重きを置くのであるか、ややそのねらいの重点がはっきりしない。どっちかというと、むしろ金融緩和の印象の方が強くないかというお尋ねでございましたが、この点、当局者といたしましての考えは、全く同じように、二つのことを重要視して措置いたしたのでございます。全体の金融情勢から考えますと、ここでどうしても、私のいわゆる金融健全化、健全金融の実行ということを金融機関に守ってもらわなければならぬ。と同時に、またそれを実行する上において、金融市場が、その姿が平常な状況でなければならぬということも当然の要求でありますが、そのために、一方においては、公定歩合を引き上げ、一方においては、高率適用の緩和をはかるという、相矛盾した政策のようなものを同時に行わざるを得なかったわけでございまするけれども、私のねらいといたしましては、そのいずれにも同様程度の重要さを置いておるのでありまして、彼此相待ちまして、私の最も希望いたしまするところは、今回の措置が、将来何どきでも、弾力的に、事態の推移において発動し得る姿勢に日本銀行がおるということを理解してもらいたいというのが、私の今回の措置をとるに至りました結局の希望であるのでございます。
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佐多忠隆#11
○佐多忠隆君 国庫収支の問題でありますが、今のお話にもありましたように、三十一年度に非常に大きな引き揚げ超過になっておる。これは、当初われわれが三十一年度予算を審議します場合には、大体、計画として九百八十億程度の散布超過になるだろうということで出発をし、それを基礎にして、いろいろ金融政策を少くとも政府はとってきたと思うのですが、それが結果においては、今、総裁もおっしゃるように、一千億以上の揚超になってしまった。こういうことだと思うのです。これが高率適用の緩和をやらざるを得ない主たる原因かと思います。こういう趨勢、形勢は、すでに年初からもはっきり見通されていたことであるので、従って、これに対処する対処の仕方であるならば、もう少し早く高率適用の緩和をやられて、そうして今のこの金融逼迫状態、季節的な金融逼迫状態に対処するやり方があったのではないかと思うのですが、そこいらに非常に時期を誤って、あまり慎重のために、むしろ無為にして、今まで無理に押してきたのじゃないかという感じがするのですが、この点をどうお考えになるか。同時に、それと関連をいたしまして、今、総裁のお話にもありますように、国庫収支を正確に見通しをつけ、もっとこういう季別の波が大きくうねるということを、政策としては、あるいはこれは政府の問題になるかと思いますが、もう少し緩和しなければならないのじゃないか。と申しますのは、三十年度も、当初の見込みは七百億程度の散超と考えていたのを、実績としては二千八百億近くの散超になって、これは、方向は同じ散超ですけれども、数額が非常に開いている。三十一年度は、今申し上げたように、むしろ散超のつもりのやつが、逆に非常に大きな揚超になった。三十二年度は、それが大体収支はそう違わない。せいぜい、今の予測でいくと、三百五十億程度で済むだろうというようなお話のようになっていますが、これらの国庫収支の問題を、もう少し見込みの違わないような、計画的なものにするということが非常に必要になってくるのじゃないかと思うのですが、それらの点について、日銀の総裁としては、どういうふうにお考えになりますか。
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山際正道#12
○参考人(山際正道君) 金融市場の逼迫は、年初来すでに予想されておったのではなかろうか。しからば、もっと早くこの措置を講ずべきではなかったかというお尋ねであります。年初来しばしば国庫収支の予想を立て、加うるに、ただいま申し上げましたように、国庫収支の違いの相当大きな部分でありまする外為会計の予測等も加えまして、いろいろ判定をいたしており、相当急迫する事態に向いつつあるということは予想しておったのであります。そのために、高率適用のワクを拡大するということも一つのむろん方法ではございますけれども、同時にまた、吸収された政府の資金がなるべく早く民間に還元をするということを促進するのも、また一つの方法であろうとし実は考えました。これは、日銀信用を先に使うか、あるいは蓄積されてたな上げになっておる政府資金の放出を先に考えるかという判断の問題になりますのですが、私が当時考えましたのは、なるべくこの蓄積された資金、たとえば一般会計ではありませず、預金部でありますとか、あるいは簡易保険でありますとか、そういった経済的資金の政府によって吸収せられ、これが市場から姿を消しておるという部分については、早い還元をまず望むべきではなかろうかということで、大蔵当局にもいろいろ御相談申し上げ、御承知の通り、十二月、一月、二月、三月と続きまして、預金部から七百億円がすでに放出せられ、また、国庫の一部分が今後放出することになっておるのであります。しかもなお、この際、この国庫収支の引き揚げ超過のために生ずる金融圧迫は、その程度では緩和できませんので、根本的にここに、高率適用制度の緩和をはかったわけなのでございますが、大体、日銀信用のワクをいじりますということは、その影響する範囲、そのもちます意味、そのことの与える世間の印象等、いろいろ複雑に考慮を要する点でありますので、私といたしましては、ただいま御指摘のごとく、その点は非常に慎重に考えまして、各方面の御意見等を十分承わり、結局その判断を固めまして、先ほど申し上げましたように、年度末を控えてこの時期にこれを実行する、こういう決意をいたしたわけであります。非常におくれて、そのために大きな金融上の弊害を生じたということには、実は私自身考えておりませんので、まずこのときが、大体いわゆる機の熱した時期ではなかったか、かように考えておるのでございます。国庫収支から生ずる波をぜひともこれを緩和するように考えねばならぬという御意見につきましては、全く私も御同感でございます。今の国庫制度は、収入と支出が大体各月別に均衡をして、放出して吸い上げられるようになっておるのでありますが、実は、今後におきましては、国際収支の関係は別にしまして、一般会計に関する限りにおきましては、建前は相当均衡がとれて参ることに相なっておるということで、それに信頼をいたしておるわけであります。
 ただ、申し上げますまでもなく、租税収入が自然増収等で非常に多くなったということは、経済の繁栄の度合が予測以上に大きかったということの反映でございますし、また、国際収支の動向云々は、これはまた、必ずしも一般会計自体の国庫収支からくる問題でもございません。国民経済全体の趨勢からくる判断でございますが、これも、相なるべくは十分な御調査、十分な予測のもとに、なるべく国庫収支からは金融上の波の立たないようにお運びを願いたい。これは日本銀行のお願いをいたしておる点でございます。ただ、何人も予測せざる事態によって生じまする波につきましては、金融上の調節によってこの金融の疎通をはかりますることは、日本銀行に与えられた職務でございますので、これは、その範囲のことは十分にいたしますけれども、どうか、見込みといたしましては、国庫収支から大きな波が立ちまして、それが金融の情勢に大きな影響を持つようなことのございませんように、十分にその点は、予算その他財政措置の実行についても、御審議をわずらわしたいと考えておる次第でございます。
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佐多忠隆#13
○佐多忠隆君 今度の高率適用の緩和という措置、それが、コール市場にはどういうふうにすでに現われているか、あるいは今後現われるというふうにお考えになるかということと、それから、公定歩合の引き上げということと、市中の金利との関係がどうなるかというふうにお見通しなのか、どういうことが望ましいとお考えになるか。それとの関連において、一体この公定歩合の引き上げによって、どうしても強含みになると思うんですが、しかし日本としては、他方において低金利、資金コストを引き下げなければならないという問題もあると思うんですが、それの関連はどういうふうにお考えになり、今後どういうふうに運用をしていこうとしておられるか、その点……。
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山際正道#14
○参考人(山際正道君) 第一のお尋ねの高率適用緩和の結果が現在コール市場にどういう影響を与えておるかというお尋ねであります。新措置をいたしましてから一両日経過したにとどまるのでございまするが、まず第一には、コール・レートはだいぶ下りまして、むろん三銭というようなコールはございませず、大体ただいま、月越しものとか、長いコールというものはだんだん少くなりまして、ほんとうの当座の資金の余裕の出合いという範囲に自然戻りつつあるわけでございまして、たとえば、コール・レートのごときも平均いたしまして、これはなかなか実態はつかみにくうございますけれども、三、四厘は確かに下っておるだろうと思うのです。今度の引き上げの結果、いわゆる優良な一般手形を担保とする貸し出しでも、二銭三厘程度で参れると思うのでありまするが、そうなりますと、コール・レートも、まあ二銭三、四厘の程度で落ちつくというふうに考えられるのでありまして、実施後ただ一両日を経たにすぎませんから、まだ的確な結果は出ておりませんけれども、見込みといたしましては、大体その辺を中心に最高がきまってくるのではないか。現に近ごろは、この一両日はコール市場はまさに取り手の市場になりまして、だいぶ余りましたコールが非常に安いレートで融通されておるという状態まで戻っておるようでありまして、日本銀行の公定歩合と権衡のとれた、低いコール・レートになってくるだろうと予想いたしております。
 ただ、それとあわせて重要なことは、コール・レートが異常に高い結果、コール市場というものが、ほんとうの余裕金のごく短時間の出合いということ以外に、一つの利殖の場のように利用されるという傾向が現われて参ったのであります。たとえば、本来預金にしておくはずのものをコール市場に放出するとか、あるいは社債を買うのを見送って、しばらくコール市場で遊ばせるというようなことが行われがちであったのでありますけれども、こういう好ましからざる秩序というものは、今回の措置によりまして、漸次そのあるべき姿に帰りつつあるということが申し上げられると思うのでありまして、この点が今回の高率適用制度の及ぼす一つの影響として、私の最も重要視しておる点でございます。
 それから、今回の公定歩合引き上げの結果が市中金利にいかなる影響を及ぼすであろうか。日本としては、世界主要国に比べれば、金利水準は依然として高いのであるからして、これが引き上げをされて、その結果が輸出貿易その他に影響を及ぼすような金利であってはどうかと思うが、というような趣旨のお尋ねであったかと思うのでありますが、その点につきましては、私は、今回の公定歩合が、いわゆる一般金利水準の引き上げであるとか、あるいは有価証券その他の発行条件なり、長期の金利に直接影響を及ぼすというところまで実は考えない範囲で決定をいたしたのであります。従って、わずか一厘ということに相なりまするけれども、その意図は、これによって一般金利水準を上げるとか、ただいま申しましたような、有価証券の発行条件にこの機会として再検討を加えるとかいう意図は持たぬということの表明と、御理解願いたいと思うのであります。
 ただ、実際問題といたしますと、過去の非常な金融のゆるみがございました結果、貸し出し競争が相当激しかったことはいなみがたい事実でございまして、そのために、特殊なものについては、特段の低利の金融が行われておったことがあると思うのでございます。これがやはり一連の措置と関連いたしまして、正常な姿に戻り、あるべき適当な金利におさまるという意味の修正は、これは行われる可能性はあろうと思いますけれども、これによって、市中金利が一般的に上るという情勢には立ち至らぬと考えまするし、私は、この場合、この措置を契機として、そこまでのことを期待はいたしておりませんのでありまして、しばらく、何と申しますか、金融市場なりあるいは金融機関の融資態度等に対する地ならしと申しますか、秩序立てることそのことについて、これが一つの契機となることを期待しているにとどまるのでございます。
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佐多忠隆#15
○佐多忠隆君 そうすると、総裁がきょうもこの席でしばしばおっしゃておる、今後の金融政策は弾力的にやるんだということを示し、今後はうんと弾力的にやるんだというお話ですが、その弾力的にやるんだということは、将来どういうふうにしようとして、そういう発言をしておられるのか、その辺をもう少しお聞きしたいんですが、と言いますのは、なるほど市中金利なんかが上ることは、資金コストその他を引き上げることになって、その意味において不利でありましょうが、同時に、やはりねらいとしておられるところはどうも——これは大蔵大臣は違うとおっしゃるかもしれないけれども、どうも実際には、やはりねらいとしておられるところは、日本経済に対するある意味での警戒信号、そうして投資需要等の行き過ぎをチェックするというようなことを考えておられるし、また、そうであってこそ、初めて公定歩合を上げるということの意味が出てくるんだと思うんですが、そういう点をどういうふうに考えておられるか。ことにそういう金利政策が、日銀の金利政策が非常に慎重であることは、これはどうしてもとられなければならない態度であると思うんですけれども、その慎重に名をかりて、的確な判断に欠けるところがあったとか、あるいは的確な判断をしておるにかかわらず、これは政治に、あるいは政策にわずらわされて、勇断をふるえないで、やるべき時期にやらないで、従って、金利政策が固定化してしまって、機動性を失ってしまう、動脈硬化症に陥ってしまうという、少くとも過去においてはそういうふうなことがあったんじゃないか、今後は、それをどういうふうに直そうとしておられるか。従って、それに関連をして、一体中央銀行というものと大蔵省の金融政策というようなものを、日本銀行総裁としては、この関連の問題をどういうふうにお考えになるか。それと関連して、日銀法というようなものをどういうふうにお考えになっておるか。これは、私から言うまでもなく、あなた自身がお作りになったものだし、第一条からはっきりしておるように、これは、戦時日本銀行法であると思うんですが、そういう意味ではすみやかに改正もしなければならないし、その場合に、あらためて今お尋ねをしているような問題が明確になっておらなければならないと思うのですが、そういう点をどういうふうにお考えになっておりますか。
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山際正道#16
○参考人(山際正道君) しばしば私が、今後は弾力的な金融政策を日本銀行としてとり、それがためには、基礎を固める意味において、今回の措置を実行したのであるということを申し上げておることにつきまして、そのいわゆる弾力的とはいかなる傾向を持つものであるかというお尋ねであったと思うのでありまするが、今、当面の事態として、日本の経済の前途を考えておりまする者の心配は、やはりこの金融で申しますと、オーバー・ローンを避ける、物価騰貴を阻止する、あるいは国際収支の取り返しのつかぬ不均衡を招来しないように維持するという、各種の点に帰着するであろうと思います。その方面から申しますと、日本銀行といたしましては、どっちかというと、一口に言えば、金融を引き締めるという方面に弾力的に動かなければならないという機会の方が多く予想されると思います。むろん、世界情勢その他の推移によりまして、金融が非常にゆるんで参りまする情勢になりますれば、これはむろん、ちゅうちょするところなく、金融を緩和する方向に弾力的に運用せられるべきでございましょうけれども、当面の場合としては、おそらく皆さんは、そういうふうに、金融引き締めの方に弾力的に動くという場合をお考えになっていらっしゃるのではないかと考えます。現在の段階におきましては、しばしば申し上げますように、投資需要を金融の供給力、すなわち健全金融の範囲において確保する。少くともその原則をここではっきり確立するということが先決問題だと思うのであります。そのために、一面におきましては、金融の供給力、すなわち、国民貯蓄の増強等に努力をいたしまして、供給力をふやすことはむろんでございまするけれども、それでもなお、その需要が供給を超える部分につきましては、これはどうしても、これを阻止しなければならない。さような場合に、日本銀行が金利政策その他によってこれを阻止することが必要であるという段階におきましては、私は、ちゅうちょするところなく、金利の引き上げその他によって、この趨勢を阻止することに最善の努力をいたす考えでございます。貨幣価値を維持するということは、日本の経済建設、貿易の振興には欠くべからざる最大の前提であることは、これは申し上げるまでもないのでありまして、そのために必要なる措置は、私は、ちゅうちょなく、今後は発動をするという意思を表示いたしたいのでございます。それについて、一体この金融をつかさどる日銀総裁、大蔵大臣その他政府当局との間において、いかに調整しながら、さようなことをやっていくのであるかというお尋ねがございましたが、日銀総裁がこの金融調整のために行い得ますところの手段なり方法、手続等は、日本銀行法によって命ぜられておるのでございまして、私は、日本銀行法を順奉いたしまして、その与えられておりまする権限は、みずから信ずるところによって、ちゅうちょなく実行いたしたいと考えております。しからば、現在の日本銀行法において、一体この金融に関する責任と申しまするか、あるいは権限と申しまするか、それは、政府との間にどうなるのかというお尋ねでございまするが、私は、管理通貨制度をとっておりまする日本の現状において、単に大蔵当局ばかりでなしに、物資需給をつかさどる各種の政府当局その他と十分な協調連絡を保つことは、これはもう当然必要な措置と思うのであります。しかしながら、日本銀行自体といたしましては、法律に与えられました権限に基きまして、その総合的判断の上に、みずからその責任において与えられた権能を実行するということは、これまた当然の義務だと思うのであります。その処理は、実際は、それは管理通貨制度という大きな建前のもとに、非常にむずかしい問題があろうと思います。しかし、われわれは、各金融当局にいたしましても、あるいは物資需給の調整をつかさどる当局にいたしましても、科学的な精細な調査資料を基礎にいたしますならば、そう大きな見解の相違があろうはずはないと実は思います。相なるべくは各般の調査資料、統計資料等を十分に検討し合いまして、これにより、なるべくその結論を帰一させることにいたしますけれども、日本銀行としてみずからの判断で動かすべきところは、十分に、顧慮するとろなく動かしたいと考えております。
 御指摘の日本銀行法は、これは戦時の立法でございますので、今日の事態を考えますと、いろいろ改正を要する点が多いと思います。すみやかに御審議を願って、御改正願うのがまことに望ましいことであり、政府当局といたされましても、金融制度調査会にこれを付議すべきことを、かねてその御意図として御発表になっておりますので、われわれは、金融制度調査会の議題といたしまして、慎重に御検討に相なり、そうしてまた、それが皆様の御審議によって改正されるという日をわれわれはむしろ期待をいたしておるような立場にございます。
 なお、質問の点で落ちている点がございますれば、付け加えさせていただきたいと思います。
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佐多忠隆#17
○佐多忠隆君 今後の弾力的な運用というようなこと、それがほぼわかるような気がするのですが、その場合に、先ほどちょっとお触れになりました、マーケット・オペレーションの問題と公定歩合の上下の問題、この両方をどういうウエィトで運用をしていこうとされるのか。それから、オペレーションの方は非常に余地が少くなりつつあるのじゃないか、この辺をどういうふうにお考えになるのか。それから同時に、今後の金融の調整といいますか、それは、オペレーションあるいは公定歩合の上下だけでは、もはや問題が解決しないことになって、もう少し融資の質的な選別等々の問題が必要になってくるのじゃないかと思うのですが、これらの問題は、金融界としては、どこでどういう機構でこれをやるべきかやらないべきか、やるとすれば、どこでどういう機構でこれをやればいいというふうにお考えになるか、その辺の対処策、それから質的な選別融資が今後相当効果的に行われるとすれば、必ず中小企業への金融逼迫のしわ寄せという問題が出て参ると思いますが、それらに対する対処策をどういうふうに考えればいいか。日銀当局としては、それをどういうふうに考えておられるか。その辺を伺いたい。
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山際正道#18
○参考人(山際正道君) 第一のお尋ねの、市場操作と公定歩合の上下による金融操作との関連の問題でございますが、御指摘の通り、遺憾ながら、今日の日本の金融界におきましては、証券市場というものが十分確立いたしておりません。従いまして、市場操作を通じて金融の繁閑をはかるという範囲は非常に限られておりまして、ややもすると、銀行間の相対取引で、特定の銀行の金融をゆるめるというような措置に出でざるを得ないような状況にあります。これは、私は、なるべくすみやかにこの証券市場というものを育成することに努力いたしまして、そうして一般の金融繁閑の操作の場として、その証券市場を使えるように、早く育成をいたしたいと考えます。そういたしますならば、公定歩合の上げ下げによる金融操作と、それから市場操作による金融繁閑の調節というものは、おのずからそこに種々な意味を持つと思いますので、その場その場によりまして、同じ程度に両者が重要視されて働く場を持ち得るものと考えております。
 それから、将来金融が引き締ってきた場合に、いわゆる選別融資等は、いかなる段取りで行われて参るか、かようなことでございますが、私は、この際といたしましては、御承知の輸出審議会もございますし、また、それを受けまして、金融機関の団体におきましても、あるいは利子規制委員会でありますとか、投融資委員会でございますとか、さまざまの協力機関がございます。現在でも電力、鉄鋼その他基幹的な、いわゆる隘路産業の打開につきましての金融方面の問題は、この銀行協会の投融資委員会あるいは自主規整委員会等において検討されておりますので、これらの諸機関を通じまして、その間の調節は果し得るものと考えております。なお今後、中小企業に対する金融に疎通を欠くような事態は生じないかというお話でございましたが、私は、中小企業の面は、中小企業なるがゆえにその金融の道が閉ざされるという例は、大体の傾向としては、だんだん少くなって参っておるように思います。銀行の統計などを見ましても、いわゆる中小企業金融に銀行が投資いたしておりまする比例は、統計上だんだん増加して参っております。のみならず、三十二年度の予算に関連いたしましても、政府におきましては、予算あるいは財政投融資を通じまして、いろいろとその方面の御心配もおありのようでございます。特に中小企業なるがゆえにその金融の道が閉ざされるというような御心配はまずまずなく、いくと思うのであります。多くの問題は、企業の内容なり企業の運び方の方に、往々にしてその欠陥が伴っておるという点が多いのでございますので、これはまた、しかるべき措置によりまして、漸次是正して参りまするならば、この問題もまず解決し得ることになるのではないか、かように考えております。
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佐多忠隆#19
○佐多忠隆君 資金の調整の問題が、銀行間のいろいろな自主規制その他で、非常にスムースにいくだろう、その点は非常に甘くお考えになっておると思うんですが、これは、現在の資本主義自由経済のもとにおいて、ことに日本の現在の銀行間のいろいろな状態を考えますと、それがなかなか簡単にうまくいくとは思えないのであります。と申しますのは、なるほど過去においても、これまで、この一、二年あるいはもっと長い期間にわたって、日本では、資金の蓄積ということが非常にやかましくいわれて、インフレにならないためにというので、資金の蓄積が非常にやかましくいわれて、毎年々々国民総合経済のバランスをとってみると、資金の蓄積、資本形成というのは、金額からいっても、それから総合的な経済バランスの中からいっても、比率からいっても、非常に高いものが毎年々々蓄積されて、ある意味では過剰蓄積といっていいくらいに大きな蓄積が、金額としても比率からも行われておる。これは私は、世界に類を見ないのじゃないかと思います。それにもかかわらず、ほんとうの意味での蓄積がなされていないために、現在のように、基幹産業その他に資金が回ることが非常に過去に少くて、そして今になって、その規模を拡大しなければならないといって、あわててきている。今まで資金の蓄積がなかったかというと、決してそうじゃない。金額的には、あるいは比率的には非常に多かったにかかわらず、必要なところにそれが効果的に回っていないというようなのが過去の実情であったし、現在においても、選別融資なり何なりが行われなければならないのにかかわらず、なかなか市中の金融機関相互の間においては、それが効果的に行われるとは、ちょっと私はみられないと思うんですが、従って、そういう事態でありますから、それを前提とすると、もっとやっぱり対策なり政策を考えなければならないのではないか。金融機関の、特に市中銀行の諸君は、口を開けば、公共機関であるからということで、公共性を非常に振り回しておりながら、しかし、利益を追求することにおいては、最も私的な、エゴイスティックな動きをしているのが率直に言って金融機関だと思う。従って、そういうものにまかしておいて、果して選別融資その他がうまくいくのかどうか。この点はもっと、この機構の問題としても、政策の問題としても、十分に掘り下げて考えてみなければならない点じゃないか。これは、中央銀行としても、さらには政府としても、十分考慮をしなければならない点のように思うのですが、そこいらを総裁はどういうふうにお考えになっておりますか。
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山際正道#20
○参考人(山際正道君) 日銀総裁は、銀行の自主規制能力にあまりにも信頼し過ぎてはいないかという御疑問かと考えるのでありますが、この点につきましては、私は、現在の金融界の人を絶対に信用いたしております。みずから自主規整委員会を作り、投融資委員会を作りまして、できるだけ努力を払っているものと認めるのでございます。むろん、最大の努力は払いましても、御承知のように、この一両年来われわれの経験しました世界並びに日本の国の経済情勢の激変、これに対処いたしまする具体的な当務者といたしましては、なかなかこの観念だけでは動き得ないわけでございますので、現実の事態を跡始末をし、新しい事態をどう進むかという、いろいろのそこに、実際上の複雑な処理を要する点がございますので、その点は、ある程度時間を私はかさねば無理だ、実行できんと考えているのであります。もっとも金融界の人々が、今日の経済界における良識層であるということを私は信頼いたしまして、極力この信頼にこたえてもらいますように、機会あるごとに懇談の場を持ち、お互いに励まし合っているわけでございます。
 過去の実績によれば、日本は貯蓄性向は相当強いのに、なお今日、重点産業に隘路を来たすところがあるのは、この点に欠くるところがあったのじゃないかというお話でございますけれども、私は、貯蓄性向が、まず日本として、世界的に国民の協力で相当強固になっているということは、まことにこれは、心強く感じているところでございますが、その他基幹産業の発展につきましては、いろいろ御承知の監督官庁等の計画もございますし、大体その計画にはのっとって参っていると思うのでございますが、何分にも、この予期せざる経済上の変化等のために、その計画自体も改訂されねばならぬ。従って、それを実行するための金融措置にも、自然そこに影響がくるというのが現在の事態であると思うのでございまして、これは、ただいま申しましたように、多少の時をかしますれば、この金融界の自主的規制の能力が働きまして、十分に政府当局とも御相談の上に、大体において満足する方向に進み得るかと考えて、やっているような次第でございます。
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佐多忠隆#21
○佐多忠隆君 どうも、過去の実績なり現在の実情を考えますと、その点において私たちは、甘く、ただ単に信頼をしているというだけでは問題は解決しないのじゃないか。相なるべくんば良識に期待をするということが最も希望するところでありますけれども、単にこの問題は、金融に従事している諸君の個人的な道徳の問題とか、信頼の問題とか、良識の問題では解決されない問題として今はもう当面をしているのじゃないか、資本主義あるいは自由経済のもとにおいては、この問題が解決し得ないというような情勢、段階にきているので、そういう点においては、もう少しやはり、中央銀行の当局にしても、あるいはさらには政府当局としても、われわれ国会議員としても、政治的にもこの問題は十分に掘り下げて、制度改正の問題なり政策変更の問題として、検討をしてみなければならない問題であると思いますが、従って、この点については、さらに他日、大蔵大臣の意見その他を聞きながら、もう少し事態を鮮明したいと思いますけれども、きょうは、私はこの程度で、日銀総裁への質問を終りたいと思います。
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岡田宗司#22
○岡田宗司君 それでは、山際総裁に対しまして若干の質問をいたします。先ほど総裁のお話でございますというと、今度の公定歩合の引き上げ、あるいは高率適用の緩和は、日本銀行として金融の健全化をはかるんだ、こういうことを強調されておったのでございます。お話をだんだん伺っておりますというと、これを行いました一つの背景といたしまして、世界経済の動きの点にお触れになっておる。そして世界景気は大体において伸びがとまった、そして高原景気と言おうか、あるいはまあ天井を横ばいしておるというような状態になってきておる。まあこういうような事態から、これが日本にも影響しておるんだというようなお話もございました。そしてまあ日本といたしましては、たとえば世界景気の伸びは、昨年までとだいぶ違う情勢でなきゃならぬ。たとえばある企業がいろいろ拡張の計画を持っておる。これを繰り延べるとか、あるいはまた既存の計画を縮小するというような方向にいかなきゃならぬ。現在銀行は非常にオーバー・ローンになっておりますが、このオーバー・ローンのなにを解消しなきゃいかぬというお話もございました。これらから見ると、今度の公定歩合の引き上げというのは、単に健全化というだけではなくて、すでに警戒的措置であるというふうに私どもには見られるのでありますが、これはそういうような場合に対する警戒的措置を含むものである、こういうふうに解してよろしいのでございますか。この点をまずお伺いしたいと思います。
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山際正道#23
○参考人(山際正道君) 今回の金融措置が、健全金融の建前を堅持したいがためであるという私の考え方に対しまして、そのことはすなわち企業計画なり産業の進め方に関する一種の警戒ではないかというお尋ねでございます。今回の措置自体といたしましては、私はそこまで考えてはおりませんけれども、健全金融を守ります結果といたしまして、これ以上オーバー・ローンは生ぜしめないという方針を堅持いたしますならば、諸般の経済計画、産業計画もやはりその金融の基調に合せた調子においてお考えを願わねばならぬということは、当然に生ずる問題だと思いますので、その程度の関係は認めますのでありまするが、直ちにお話のようなことを意図いたしまして今回の措置をとった次第ではございませんので、その点を申し上げたいと思います。
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岡田宗司#24
○岡田宗司君 これは世界景気並びに日本の景気とも関連をする問題になって参りますが、先ほど総裁は、世界景気につきましては、昨年までとだいぶ違った兆候が見えてきておる、で、まあ頭打ちしておるというようにごらんになっておるようであります。国内の景気の見通しにつきましてはいかようなお見通しをお持ちになっておりますか。
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山際正道#25
○参考人(山際正道君) 世界経済の情勢の推移、ことに先ほどは申し上げませんでしたけれども、ヨーロッパにおきましては欧州経済共同体というものを結成されつつございまして、これらが自然わが国の貿易の伸びの前途に影響を持ち来たすであろうということは予想できますわけでございます。そこで、日本経済といたしましても、今後は十分それらの情勢を頭に置きまして、健全なる発展を企図せねばならぬと思うのであります。その健全なる発展を企図する一つの条件は、経済計画なり産業計画なり自体が、資金需給の範囲においてまかない得るということであろうと思うのであります。その結果、健全金融の建前をとりますその内部においても、日本経済を発展させるために大いに努力を要する、その余地というものは相当あろうと思います。すなわち努力いかんによりましては、この建前のもとにこそ、健全なる今後の日本経済の発展が企図できるというふうに考えるのでございます。本年の景気がどうなるかという問題、これはなかなか判定がむずかしいと思いますけれども、私は、健全なる基礎にこの際それを建て直すことによって、景気の永続性を企図し得るというふうに考えておるわけでございます。
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岡田宗司#26
○岡田宗司君 景気の永続性という問題でございますが、これは世界景気とも関連をすることで、やはりなかなかいろいろな要素も入って参りますので、観測は非常にむずかしいというふうに私どもも思いますけれども、少くとも政府にいたしましても、あるいは日銀にいたしましても、その政策を行うに当りましては、この景気の見通しということをはっきりつけとかなければならぬ、そういうふうに考えるのでありますが、ただ健全なる発展というだけでは、どうも私どもには理解できない点がある、重ねて日銀として、その政策を行う場合の前提としての景気の見通しということについて、もう少し一つ御教示を願いたいと思います。
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山際正道#27
○参考人(山際正道君) 日本銀行がその与えられております金融措置の範囲内において、健全なる経済の堅実な発展を企図するためになし得る場面が、金融上あるわけでございまするけれども、私の考えでは、経済全体を健全に発展せしめるためには、単に金融措置だけではなかなか解決がむずかしいと思います。政府の各般の方面におかれましても、また民間各団体等有識者におかれましても、この点につきましては同じ目的のためにいろいろと御努力相なるだろうと思うのでございます。彼此相まって、ここに経済の健全化、その永続化がはかり得るのだと思うのです。日本銀行はその一端といたしまして、金融の建前から、そういう目標のために措置をとって参りたい、かように考えております。
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岡田宗司#28
○岡田宗司君 たとえば日本の今後の経済発展に大きな影響を持つ問題でございますが、この輸出入のバランスの問題、最近の輸入の増大でございますが、これらはまあ大蔵大臣等のお話ですと、何ら憂うる傾向を持っておらないようでございますけれども、しかし私どもとして見てみますれば、これが日本の経済にとりまして相当危険な要素をはらんでおる、警戒的な要素を持っておるのだというふうに感ずるのでございますが、この輸入が非常に増大いたしておりまして、在庫量がふえて参りますのですが、これについて日銀総裁の見解、並びにこれに対してたとえば今度の公定歩合の引き上げがどういうふうに影響するかという点等についてお聞かせを願いたいと思います。
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山際正道#29
○参考人(山際正道君) お尋ねの今後の貿易の見通しについての問題でございますが、輸出につきまして世界の経済界の推移は、一そう輸出目標を達成いたしますためには、日本人が努力しなければならぬという要素はふえて参っておると思います。そしてまた、貿易によらずんば国を立て得ない日本といたしましては、この点に対して全体がその困難を打開するため協力すべき問題であろうと考えております。ただいま行われております在庫輸入の問題が、果してこれが輸出原材料として再び国際収支の均衡に役立つのであるか、それとも国内消費のみ多くして、ついにこれが国際収支の悪化のもとになるかという問題は、先ほど申し上げました通り、今後におきまして最も留意を要する点でございます。むろん私ども日本銀行の立場といたしましては、極力それが輸出に向けられて、輸出原材料として国際収支の改善に役立ちます方向において、金融上とって参ります措置はとって参りたい、かように考えておる次第でございます。
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