山際正道の発言 (予算委員会)

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○参考人(山際正道君) ただいまお話のございました、高率適用の緩和ということと公定歩合の引き上げということとは、相矛盾するような感じを与えると思われるがどうかという点でございまするが、この点につきましては、なるほど御指摘の通り、一面においては異常に窮屈化しておった金融市場のあり方を是正する、これは緩和の印象を与えると思います。と同時にまた公定歩合を引き上げるということは、今後金融をゆるめないということの意思表示なわけでありまするから、これまた相矛盾するような感じを与えることもごもっともと思うのであります。しかしながら、今回その措置をあわせ用いました理由は、実際は金融市場自体に非常に変調な事態が起っておるからであります。すなわち、これは先ほども申し上げましたように、短資市場を中心といたしまして異常な状態が起っておるわけでございますので、まずこの姿を直すということは、今後強力な金融施策を実行いたします土台といたしましてぜひとも必要なことであったのであります。しかもその窮迫を告げました理由が、三十一年度中における経済界の実需はむろん増加はいたしておりますけれども、それ以上に強く財政の収支というものは影響しておったのでありまするから、この際においてこれらの事態を平常化するためには、高率適用の範囲をどうしてもこれは拡大するというのは、最も基本的な点である。かく考えましたがゆえに相矛盾するがごとく思われまするけれども、やむを得ざる地ならしといたしまして、高率適用の範囲の拡大をいたし、同時にまたこれがあるいは緩和の印象を与えることも申されましたが、同時に、また将来何どきでもこの公定歩合引き上げ等による金融操作は、日本銀行としてはその実行の用意ありという意思を、この高率適用制度の改正という確かな土台の上にそれを表明いたしておるんでありまするから、将来に対するこれも備えになろうというのであわせて実行いたしたのでございます。ちょうど、最近アメリカの中央銀行が利上げをいたしました際に、一面利上げをいたしながら、他面、いわゆる市中公開市場操作によりまして、有価証券を買い上げるというオペレーションをやったことがございます。その事態その事態の金融界の姿によりまして、各種の効果を持つ手段をあわせ用いるということもやむを得ないことだろうかと思うのであります。それにしてはやや時期がおそきに失したのではないかというお話がございましたのでございまするが、私は、これは相当日本銀行といたしましては、従来のあり方を変えて参る問題でございますので、機の熟するを待つ必要があると考えたのでございます。公定歩合の引き上げは、一昨年八月に行われました以来、一年半以上をそのまま据え置かれておったのでございますが、その間、ややこれの取り扱い方がどっちかと申しますと固定視されておりまして、そうにわかには、一たんきめられた公定歩合というものは動かされないのだという印象も与えておったかとも思うのであります。そこで前段申し上げましたように、この高率適用の緩和は、三十一年度の年度末に近ずくに従いまして最もその窮迫の欠陥が露呈をいたして参ります、三月の二十日ごろから、自然貸し出し増加等が始まります、年度末における金融の繁忙が、高率適用のためにゆがんだ姿において市場に反映するということを恐れたので、この年度末を控えてその直前にその緩和を行うのがその意味において適当な時期ではないかと考えたのでございます。
  〔委員長退席、理事左藤義詮君着席〕
 また、公定歩合を引き上げまして、同時に健全金融の建前を堅持するという日本銀行の意思を表明いたしますことも、資金需要が多少は下りぎみの傾きはありまするけれども、今なお旺盛であるという事態、また一月以来輸入が相当かさんできておるという事態を控えまして、その推移をしばらくながめながら、この三月の下旬を期して行うのが最もその時宜を得たものと考えましたがゆえに、二十日からその実行を期した次第でございます。
 しからば今回の措置は、高率適用の緩和ということと、公定歩合の引き上げということといずれに重きを置くのであるか、ややそのねらいの重点がはっきりしない。どっちかというと、むしろ金融緩和の印象の方が強くないかというお尋ねでございましたが、この点、当局者といたしましての考えは、全く同じように、二つのことを重要視して措置いたしたのでございます。全体の金融情勢から考えますと、ここでどうしても、私のいわゆる金融健全化、健全金融の実行ということを金融機関に守ってもらわなければならぬ。と同時に、またそれを実行する上において、金融市場が、その姿が平常な状況でなければならぬということも当然の要求でありますが、そのために、一方においては、公定歩合を引き上げ、一方においては、高率適用の緩和をはかるという、相矛盾した政策のようなものを同時に行わざるを得なかったわけでございまするけれども、私のねらいといたしましては、そのいずれにも同様程度の重要さを置いておるのでありまして、彼此相待ちまして、私の最も希望いたしまするところは、今回の措置が、将来何どきでも、弾力的に、事態の推移において発動し得る姿勢に日本銀行がおるということを理解してもらいたいというのが、私の今回の措置をとるに至りました結局の希望であるのでございます。

発言情報

speech_id: 102615261X01519570323_010

発言者: 山際正道

speaker_id: 6280

日付: 1957-03-23

院: 参議院

会議名: 予算委員会