小林武治の発言 (予算委員会)

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○小林武治君 第四分科会の審査の経過を御報告申し上げます。
 本分科会に付託されました案件は、昭和三十二年度予算三案中、労働省、厚生省、内閣所管のうち、人事院文部省及び大蔵省に関するものであります。
 分科会におきましては、去る二十九日から昨日今日と三日間にわたり、それぞれ所管当局より順次説明を聴取し、慎重に審査を行なったのでありますが、ここでは質疑応答のうち主なるもの若干につきまして概要を御報告いたします。
 まず労働省所管予算につきましては、最低賃金制と生産性向上の問題をめぐって活発な質疑がありました。すなわち政府は明年度百十万円の予算をもって最低賃金制度の促進に乗り出すようだが、これによって特定の中小産業が破壊されるおそれはないか。業者間の協定で行うといっても、大中小と規模の異なるものを一律にできると思うか。またその場合協定に参加しない業者はどうなるか。また賃上げ争議は本来利潤の分配が不公正な場合に起るべきものなのに、最近のそれは経営者がもうかっていない場合にも盛んに行なわれているのは、インフレを助長し、国民一般の利益に反すると思うが、政府の見解はどうかとの質疑がありました。これに対しまして労働省当局は、最低賃金制を今直ちに行うとすれば、産業界にいろいろ混乱が生ずるので反対である。差しあたり地域別、業種別に、しかも可能な業者間の自主的協定によって最低賃金をきめ、そうした事例を積み重ねて、徐々に最低賃金制の素地の生まれることを期待し、そのため、出先の基準局が必要な指導をすることを考えておる。この場合協定に加わらない業者が法律的に拘束されるということはないが、やはり実際問題として同じ業者の協定に従うことにはなるだろう。また賃上げストに対する御意見の点はごもっともと思うが、これは労使間の自主的解決にまつべき問題で、政府がこれに介入することは適切でない。政府としてはむしろ生産性向上運動によって労使双方が潤うことになると考えているが、一部の労働組合がこれに反対しているのは遺憾であるとの答弁がありました。
 このほか労働省関係といたしましては、特別失対事業、日雇い労務者の手当問題、その他いろいろの質疑があったのでありますが、内容は省略いたします。
 次に厚生省所管予算につきましては、政府は今国会に国民健康保険法の改正案を提出しないことにきめたようだが、それは国民皆保険の理想が計画通りにいかないためではないのか、一つこの際計画を御破算にして出直したらどうかとの質疑に対しまして、厚生大臣より、皆保険を具体化するには法律の施行よります実態の調査が先決と思い、改正案の提案を見合せました、もとより既定の計画を変更したわけではなく、明年度は国保において新たに五百万人の被保険者の増加を見込み、所要の予算も計上している。また五人未満の事業場については確実な実態把握が困難なため、現行の健康保険に包括するか、特別に第二種制度を設けるか、それとも国保に含めるか、そのいずれが適当か研究中であるとの答弁があり、また国民年金制度あるいは結核対策、無医村対策、完全看護の実施後の状況等について質疑があったのでありますが、会議録によって御了承をいただきます。
 次は人事院関係につきましては、昨年七月人事院が行いました公務員の給与改訂に関する勧告案と、今国会に政府から提案されております公務員給与法改正案との、両案をめぐる利害得失の比較検討という点が質疑の中心であったのでありますが、公務員給与に関する人事院の勧告案と政府改正案の問題につきましては、人事院は昨年の勧告案においてベースアップ方式をとらなかったというがなぜそうしたか、また人事院は過去二回にわたり勧告を留保したが、その留保分が今回の政府案に織り込まれておるか、さらに政府案は人事院勧告を尊重して出されたというが、両案の間には昇給期間、職務の給別区分等の点で大きな相違がある。一体両案のいずれが合理的と考えるかとの質問がございました。これに対しまして淺井人事院総裁並びに内閣政府委員は、民間の給与も、最近はおおむね昇給制度によっているので、勧告においても、号俸を一律に引き上げる方式のベースアップを避け、結果において六%のベースアップになるようにした。過去二回勧告をしなかったのは、当時経済情勢の変化が激しかったので、しばらく見合わせたわけである。また政府案は技術的な点で若干相違した面も出ているが、根本においては勧告案の通りになっている。昇給期間の六カ月、九カ月が、政府案で一カ年と改めたのは、事務の簡素化をはかるためで、それにより不利になる面は是正しており、また級別区分が変っても現行より悪くならないように配慮してある。どちらが合理的かというなら、やはり勧告案の方に一貫性があると思う、との答弁がありました。また地域給の問題につきましての質疑に対しましては、松浦給与担当大臣より、人事院の勧告は尊重する。しかし三十二年度予算書の説明にもあるように、政府としては地域給を廃止する方向で、目下、自民党において検討中で、いずれ国会に提案することになるだろう。その場合公務員が損にならないように十分考慮する、との答弁があったのであります。
 次は文部省関係でありますが、ここでは、国際地球観測年事業に関する質疑がおもなるものでありました。すなわち宗谷は近く帰還をするが、この秋には再び南極の基地におもむくことになっている。この際宗谷を大改装しない限り本観測の重大使命を果す上に危惧なしとしないのは、今次の仮観測における宗谷の苦難に徴して明らかである。すでに三十二年度予算審議も最終段階にきているが、国際地球観測年事業費のうちに、宗谷の改装費が計上されていないことは心配にたえない。宗谷の改装に要する予算をどう考えているか、この際文部大臣並びに大蔵大臣の所見を伺いたいというのに対しまして、灘尾文部大臣は、お説はごもっともであるが、宗谷は昨夜帰ったばかりで、永田隊長以下の報告も十分まだ聞いていない。このまま改装せずに南極へおもむくことは不可能と承知しているので、詳細に現地における事情を聞いた上で、必要な経費を何らかの形で支出してもらうよう、大蔵大臣にも内々相談はしている、との答弁があり、また池田大蔵大臣からは、どの程度の修理を要するものか、まだその結論が出ていないので、はっきりしたことは申せないが、事柄自体は国民の関心の的になっている重要問題であるので、文部大臣から正式に相談があり次第極力善処したい、との答弁がありました。このほか文部省所管予算の各般にわたり、熱心な審査が行われたのでありますが、省略したいと存じます。
 最後に大蔵省関係でありますが、ここでは防衛支出金の問題、税法改正による印紙収入等の見込額の問題、一万円紙幣及び百円硬貨発行の問題等々、広範多岐にわたって質疑が行われたのでありますが、詳細は速記録によってごらん願いたいと存じます。
 以上をもちまして、第四分科会に付託されました案件全部の審査を終了いたしました次第であります。
 右御報告申し上げます。(拍手)

発言情報

speech_id: 102615261X02019570331_008

発言者: 小林武治

speaker_id: 7616

日付: 1957-03-31

院: 参議院

会議名: 予算委員会