岸信介の発言 (予算委員会)
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○国務大臣(岸信介君) 私は、この原水爆という人類を破滅に導くような兵器の発達がみられている現在において、いかにして戦争をなくするか。われわれは戦争を前提として、戦争するということでなしに、戦争をなくするということが人類の究極の目的であると同時に、現実のこういう破壊兵器が出た以上、それを用いての戦争というものを考えてみると、その様相というものを考えてみると、これは実におそるべき結果になるのでありまして、従ってわれわれは、戦争をなくするということに主眼を置いたあらゆる努力をしなければならぬことは言うを待たないのであります。
今日の国際の実情を見ますると、両陣営とも、核兵器の実験禁止について私が日本国民の意思を代表して抗議を申し込んでいるのに対して言っていることは、相手国がこれをやめない限りはやめられないと、これをごくせんじ詰めてみると、そういう言い方でありますし、またそのお互いが、バランスといいますか、対抗するそれにおいて優越性を持っておるということが、世界の平和を維持する唯一の現在の状態であるというふうに考えられておるのであります。実際まだ、世界がほんとうの人類の理想から戦争をなくする、戦争すべきものにあらずという理念に透徹をせずして、むしろ、もちろん戦争はみんな、両陣営ともこれを防止しなければならぬという考え方は、両陣営とも私はそう考えておる、それに対しては、やはり力の対立によって、自分たちが優越なる力を持っておるということを示すことによってこの世界の平和は保てるので、そこに力の弱さを暴露することは平和をこわすことであると、こういうふうに考えられておるということが、私は今の国際の一般の情勢であると思うのであります。こういう中に立って、われわれが世界の平和をほんとうに念願し、これをどんなことがあっても戦争さしてはいかぬという信念に立って、そうして戦争を防止するということが、今後国連を中心としてわれわれのやるべき努力の目標であると思う。しかし今申すような世界の実際の、現実のなには、やはり力の優越によって、これによって平和が保たれておるという現実も、われわれは無視することはできないのが現状であると思います。こういう意味において、両陣営のこの対立した緊張が緩和されない限りそういうことが続くことは、私は実際人類の不幸であり、望ましくない姿である、かように考えておるわけであります。
しからば、今御指摘になりましたように、いわゆる中立的立場をとっていったらどうだというお考えでありますが、私は先ほど来申し上げておるように、われわれが民主主義の完成をほんとうに念願し、これのみがわれわれの福祉の根源であるという観念に徹して考えますと、今日の日本の立場として中立的な立場をとることが、われわれがほんとうに民主主義を守り、われわれの自由を確保する道であるかといえば、私はそうじゃない、われわれはやはり自由主義の国であり、民主主義の国であるということを堅持して、そうしてこれらの国々との間に緊密な提携をもって、そうして今申しましたような世界の平和、すなわち戦争をなくしていくということにわれわれがこれらの国々と協力することが、日本の民主主義を完成し、われわれの自由を守る最も最善の道であると、私はかように考えておるわけであります。