北村一男の発言 (運輸委員会)

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○北村参考人 貴重のお時間をお与え下さいまして陳情をお聞き取りいただくことができますことは、非常にありがたいことに存じます。
 新潟の地盤沈下は従来少しずつございましたが、昨年の十二月になりまして、少しく高い波のとき防波堤を破壊して港の中に直接波が入ってくる、それから近来わずかの風浪でもやはり直接住民に脅威を与えるとか、あるいは港を破壊するというような事実が出ましたので、急に県民、市民の関心を高めて参りました。去年一年に沈下したのは大よそ三十センチ、一尺と推定されております。そこで県と市並びに学識経験者、実際家などが対策委員会を作りまして、一つは調査をするとともに、一つはさしあたりの問題の処理に努める委員会を作った一わけです。
 ところでその原因というものは、まだ揣摩憶測の域を脱しません。新潟は全国第一の豊富な天然ガスが今工業用の原料に供されて採取しておりますが、それは水とともにガスが出ますので、その水をくみ上げる結果地盤が沈下するのであろうとか、あるいは近来土地改良によって乾田化されました結果、地下をくぐっていく水が少くなって、そのために地盤が沈下するのであろう、あるいは海底構造に異変を生じまして、それが海岸決壊となり地盤沈下の誘因となるのじゃないか、あるいは港を浚渫いたしますとき深く掘ると根元がとられまして、そこから砂が流れて地盤を沈下させるのだというようないろいろの憶測の説が出ておりまするが、これは運輸省なども加わられてこれから御研究願うことに相なっております。しかし一面におきまして、そういう調査は調査として相当の期間がかかると思うのでありますが、そのうちに新潟は海の底に沈んでしまう、沈んでしまってから調査して結論を出されましてもこれは実益には相なりませんので、調査は調査として、対策は対策として別々にやっていただきたい、こういうのが新潟市並びに新潟県の切なる要望であるのでございます。
 ことしの冬、普通の風浪で果して安全であるかどうかということについては、その地方、特に東海岸の方面の市民は大へん心配をいたしております。九月の半ばに、大した風浪でないのに家屋に浸水したり、あるいは下水の流れがとまって非常に困ったというような事実がございますので、ことしの冬に対しましては沿岸あるいはその地帯の住民が、非常に心配をいたしておるわけでございます。もちろん運輸省におかれましてもいろいろの対策を立てていただくし、ことしの冬に対しまして県と市と一千万ほどの工事費を使いまして、その対策を立てることになつておりますが、これだけの金ではどうも心もとない、予算のやりくりで困難な事情があると思いまするが、さらにこれぐらいの程度の金をぜひとも国からめんどうを見ていただきたい、こういうことをまたお願い申し上げる次第でございます。
 本来ならば、今年はどこでもそうですが豊作で、新潟県は特に五百万石以上の米がとれておる。日本一であることはもちろんですが、二番目の県より二百万石もよけいとっておる。天然ガスを原料に使って工業が始まりまして、今年中共に対して尿素アンモニアを二十万トン出し、五百億トンの石灰石というものが工業化されて盛んになっておる。ほんとうに喜色あふれるような事態でなければならぬのに、何となしに憂うつの雲がおおうておるという理由は、この地盤沈下の問題が県民の心配になって、どうも晴れ晴れした気持になれないというような事情にあるのでございまして、県も市ももとより財力の許す限りやるのでございますけれども、一県一市の財政の力には限度があります。ですからあとは国のごめんどうを見ていただかぬと、この地盤沈下というものはとうてい防ぎ得ない、こういう次第でございますので、どうぞ一つ御配慮によりまして、新潟が海の底に入ってしまわぬようにお力添えをいただきたいと思うのであります。お願いいたします。

発言情報

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発言者: 北村一男

speaker_id: 15814

日付: 1957-11-05

院: 衆議院

会議名: 運輸委員会