石田博英の発言 (予算委員会)

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○石田国務大臣 国民所得や経済力の中で賃金がどの程度の割合を占めれば健全だと言えるかどうかという点については、私も労働省に対しまして今検討を命じておるところでございます。それについての一定のめどをつけていかなければならぬことは、その必要性は十分感じておる次第でございます。ただ日本の賃金構造の中で問題になりますことは、今確かにおっしゃいましたように、基準年度と今日とを比べて賃金の割合が上ったというその上り方そのものよりは、やはりこれは日本は比較的基準年度においては、むしろ賃金というものが不当に低過ぎたのではないか。従って一〇%上ったからそれだけ賃金の方が力強くよけい取り過ぎているんだという、そのパーセントそのままの議論には私はならないのではないかと考えておる次第でございます。ただ問題は大企業の賃金の上昇率と中小企業の上昇率との間に大きなアンバランスが生じておる。特に大企業は主として基幹産業に多い。従ってそれだけが独走いたしますと、そこからいわゆるコスト・インフレというものが起ってくることになりかねないのじゃないかと心配をいたすわけでございまして、結局そこには大企業の労使関係が、先ほど申しましたように国民経済的な立場に立ちまして、生産性向上に伴いまする利益の分配は、労使が分ち合うとともに国民にもこれを分ける、ひいては系列産業にも均霑せしめるというような考え方でやっていかなければならないと思っているわけでございます。それからもう一つは、中小企業の場合におきましては最低賃金制によって下からの支えをいたしますとともに、それによって中小企業の生産性の向上ということについて、経営者がより以上積極的な意欲を燃やしてもらう。むしろ最低賃金制を実施し賃金水準を上げることによって、労働の生産性を高め、経済の安定向上を期待するという方向に経営者自身が心がまえを変えてもらいたいということも、あわせて期待をいたしたいと存じております。それから日本の賃金問題は、現在相当経済も安定いたしましたし一般的に賃金水準も向上しているにかかわりませず、依然として画一的な生活給的な賃金制度が実施せられております。私は今労働省の所要の機関に命じまして労働の量及び質に伴う賃金較差のあり方というものについての統計を作らせるようにいたさせているわけでございますが、これは主として日本の例を歴史的に検討いたすということよりは、私は国際的な視野に立って広く資料を集めて、労働の質及び量に伴う賃金のあり方というものについての正しい結論を生み出してみたいと思っているわけであります。と申しますのは、日本の場合は常に労働力過剰に悩まされておりましたために、不親則的にあるいは恒常的に労働力のダンピングが行われておりましたから、労働の質及び量に伴います正しい賃金較差のあり方が過去においてもあまり正確に見られなかったのじゃないかと思います。従ってそういう状態でない国の例を広く調べて、そういう賃金の正しいあり方というものも作り上げたいと考えている次第でございます。

発言情報

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発言者: 石田博英

speaker_id: 12704

日付: 1957-11-05

院: 衆議院

会議名: 予算委員会