予算委員会

1957-11-05 衆議院 全156発言

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会議録情報#0
昭和三十二年十一月五日(火曜日)
    午前十時十八分開議
 出席委員
   委員長 江崎 真澄君
   理事 今井  耕君 理事 川崎 秀二君
   理事 重政 誠之君 理事 田中 久雄君
   理事 橋本 龍伍君 理事 川俣 清音君
   理事 柳田 秀一君
      小川 半次君    太田 正孝君
      大橋 武夫君    上林山榮吉君
      小坂善太郎君    坂田 道太君
      周東 英雄君    須磨彌吉郎君
      竹山祐太郎君    中曽根康弘君
      楢橋  渡君    西村 直己君
      野田 卯一君    船田  中君
      福永 一臣君    古井 喜實君
      牧野 良三君    南  好雄君
      八木 一郎君    山崎  巖君
      山本 勝市君    山本 猛夫君
      井手 以誠君    井堀 繁雄君
      石村 英雄君    今澄  勇君
      岡田 春夫君    小平  忠君
      小松  幹君    河野  密君
      島上善五郎君    田原 春次君
      辻原 弘市君    成田 知巳君
      西村 榮一君    古屋 貞雄君
      森 三樹二君    矢尾喜三郎君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  岸  信介君
        大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
        厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  前尾繁三郎君
        運 輸 大 臣 中村三之丞君
        郵 政 大 臣 田中 角榮君
        労 働 大 臣 石田 博英君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        国 務 大 臣 石井光次郎君
        国 務 大 臣 津島 壽一君
 出席政府委員
        内閣官房長官  愛知 揆一君
        内閣官房副長官 田中 龍夫君
        法 制 局 長 林  修三君
        総理府総務長官 今松 治郎君
        外務政務次官  松本 瀧藏君
        大蔵事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
        通商産業政務次
        官       白浜 仁吉君
 委員外の出席者
        原子力委員   藤岡 由夫君
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
十一月五日
 委員北村徳太郎君、戸塚九一郎君及び石村英雄
 君辞任につき、その補欠として西村直己君、宇
 都宮徳馬君及び勝間田清一君が議長の指名で委
 員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)
 昭和三十二年度特別会計予算補正(特第3号)
 昭和三十二年度政府関係機関予算補正(機第2
 号)
    ―――――――――――――
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江崎真澄#1
○江崎委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十二年度一般会計予算補正(第1号)、同特別会計予算補正(特第3号)、同政府関係機関予算補正(機第2号)、以上三案を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。小坂善太郎君。
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小坂善太郎#2
○小坂委員 岸内閣成立最初の国会におきまして、私は自由民主党を代表して岸内閣総理大臣初め各大臣に対して若干の質疑を行い、その所信を伺いたいと思います。
 岸総理にはみずから言われる若さと健康にものを言わせて、東南アジア諸国を訪れ、またアメリカに飛んでアイゼンハワー大統領とひざつき合せて会談し、その後もネール・インド首相の来訪を迎えて懇談するなど、国際社会にわが国を大きく浮び上らせる努力を続けておられることは、まずもって敬意を表する次第であります。五月二十四日のクリスチャン・サイエンス・モニターの紙上にも、日本の岸信介はついに遍歴の特級政治家になったということが書いてあるのであります。すなわち、アメリカのジョン・フォスター・ダレス、インドのジャワハルラル・ネール、ソ連のニキタ・フルシチョフなどの仲間入りをしたと論じておるのでありまして、首相はこう持ち上げられておるのであります。この国会は首相外遊後初めて開かれまする正式の国会であります。従って首相としてもこの国会を通じてその間の事情を明らかにせらるる要があると考えるのであります。
 まず、東南アジア旅行に触れていきたいと思うのでありますが、岸首相のアジア旅行の目的は、クリスャン・サイエンス・モニター紙によれば、日本がおそろしい帝国主義国でもなく、また米国の衛星国でもないことをアジアの隣邦諸国に示すことにあると書いてあるのであります。岸首相の訪問に際して各国首相に強調された点は、一、日本がアジアの一国としてアジア諸国との友好増進を重視していること、一、アジアに平和をもたらすためには各国の経済を発展させ、繁栄と進歩を通じてこれを実行すべきであること、一、このためには技術と資金面の協力が最も必要であることから、アジア開発基金の設置を考えていること、一、核実験の禁止については、一昨年のバンドン会議の趣旨に従ってすみやかなる実験禁止を考えていること、この四つの点であったというふうに聞いておるのであります。この際アジア諸国との友好関係の共調についてどういうふうに考えておられるか、また会談の成果について伺いたいと思うのであります。
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岸信介#3
○岸国務大臣 東南アジア諸国を訪問するに当りましては、この前の国会におきましても、その訪問の意図につきましては御質問に答えたのでございますが、第一は、言うまでもなく、日本がアジアの一国としてアジア全体の協力、繁栄、進歩のためにあらゆる努力をするというこの考えのもとに、各国の首脳部と忌憚なく話し合ってきたのであります。御承知の通り、アジア諸国においては長い植民地から解放されて、民族国家の独立を得たのであります。従って植民地主義に対する強い反感と、その独立を完成しようという熱意、新たな意味における民族主義が非常に強く勃興しております。しかしながらその半面経済的に見ますると、これらの民族の熱望を裏づけ、熱望を実現する上において必要な基盤というものが、いずれも微弱であるということは争えないのであります。従って日本がこの国民感情を率直に謙虚に受け入れて、しかもこれらの国の願望を達するために必要な経済的基盤の確立に対して特にこれに協力する意味から申しますと、これらの経済開発に必要な資金及び技術、この二つが非常に必要であって、その資金についてはできるだけこれらの国々が受け入れやすい、また望んでおる、すなわち資金の中立性、一国が特殊の政治的意図を持ってなす資金援助でなくして、中立的な性格を持っておる資金ということの必要を考え、いわゆる東南アジア開発基金という構想を提案をいたしたわけであります。また技術の面においては技術センターを作る、そうしてこれに対しては、従来コロンボ・プラン等の形においてわれわれは技術的な協力をしておりますが、さらにこれらの国々の経済開発に必要な多量の技術力を作り上げるための技術センターを作るという、この二つの考えを提案したのであります。最も実現しやすい技術のセンターの問題については、すでに具体的に数カ国においてその案が提示されております。また東南アジア開発基金の構想の問題につきましては、趣旨について十分理解を深め、その具体的方法については、それぞれの国において、また日本においても研究を進め、これが将来実現をはかりたい、かように考えているわけであります。
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小坂善太郎#4
○小坂委員 具体的な点は東南アジア開発基金と技術センターの問題であろうと思うのでありますが、技術センターについては今のお話中で、二、三の国から具体的な案がそろそろ出かけてきたということで、大へんけっこうでありますが、問題は、コロンボ・プランにもさようなものがあるのでありますから、これとの関係であろうと思います。まあこの際これについて特に詳しく伺うことは避けまして、東南アジア開発基金の問題でありますが、これは今お話のように、できるだけこの資金の中立性を確保したいというお話でございます。岸総理が先般、これはあとでまた伺いますが、アメリカへ行かれたときにもさようなお話があったと思いますが、その後十月二十四日の新聞紙によりますると、河野経済企画庁長官がアメリカへ行かれまして、東南アジアの円借款の新構想として説明せられておるという記事があるのであります。これは私ども考えますと、総理がアメリカへ行ってお話しになったこと、ここに書いておるように新構想でありますから少し趣きを異にしておると思うのであります。この間について、同一の政府でありますからもちろん十分お話し合いがあったことと考えますが、この点についてはどういうふうな成り行きになりますのでありましょうか。
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岸信介#5
○岸国務大臣 東南アジア開発基金の構想につきましては、その実現に至る上におきまして相当な時日も要するし、なお研究の余地もある問題である。しかし何時に、東南アジア自体が経済開発を必要とするその緊急性にかんがみまして、この構想が実現するまで置いておくという性質のものでもなかろうと思うのであります。従って個個具体的に、あるいは二国間において特定のプロジェクトを中心にして借款の問題等が起こってくることも予想しなければならぬ。現にネール首相と私との会談のうちにおきましても、インドの開発についてある程度の円借款をある形式において与える用意がわれわれはある、インドの方においてもそれをぜひ実現してもらいたいという希望をいれてそういう共同声明になっておりますように、従って東南アジアの開発を進めていく上において、河野君のアメリカにおいて提案をいたしましたような、二国間の円借款の方法によって緊急の要求に応じていくということも、私は東南アジア開発基金の構想が実現する途上においてそういうやり方も適当である、こう考えるのでありまして、別に私が提案しておるものと両立しないという性質のものではない、かように思っております。
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小坂善太郎#6
○小坂委員 両立しない問題でないことは、私もその通りに思います。ただ、こういう筋は、やはり借款という話は実はなかったので、借款をしてみたらどうかということですが、これは借款ができるかどうかという問題であろうと思うのです。相手がそれを承知しなければ、こちらから幾ら進行しようと思ってもしようがない。そこでやはり総理大臣なり外務大臣が行っておられるのでありますから、あまりいろいろな線からそういう新構想を持ち込まないように、総理大臣として一つ十分御注意を願っておきたいと思うのであります。
 それから次にアメリカ訪問について伺いたいと思うのでありますが、アメリカの訪問の成果として伝えられておりますのは、日米の共同声明であります。日米共同声明におきましては、その第一部において協力五原則というものがあるのであります。この協力五原則の第三項において、軍縮が達成されるまで自衛のための措置を怠らないということを述べております。かつまた自由諸国、ことにアジア諸国の経済安定が、世界平和確立のために必要であるということが述べられております。また第五項には、実行性ある軍縮について、国際協定締結の必要性を強調されておりまして、両国がこの問題について緊密に協議し、その実現を期待することを宣言しておるのであります。さらにこの日米共同宣言の第二部におきまして、安保条約の運営と国連憲章との関係について協議すること、また安保条約に関して生ずる諸問題の検討のために、両国政府間に委員会を設けて、これを検討して改善をはかるという趣旨が述べられておるのであります。これはいろいろあとで伺いたいと思うことと関連いたすのでありますが、こういうことを含めて、総理大臣が日米会談の結果、あなたが具体的にこれが成果だということを国民に示されたい点をお述べを願いたいと思います。
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岸信介#7
○岸国務大臣 安保条約、防御に関連しての問題は、日米間におきましても最も重要なアイテムの一つであることは言うを待たないのであります。特に日本が独立国として、将来その自衛を全うする上におきまして、安保条約の問題は、安保条約制定当時の事情にも顧みてみて、国民的にいろいろ冷蔵も起ってくることは当然であると思います。私は今回の日米の交渉においては、あくまでも日本国としての独立の立場から、自主的な、平等な立場に立って将来の日米問題を処理するという基本観応、基本原則を樹立することが一番大きな目的であったわけであります。従いまして、当然防衛の問題に関しましても、そういう立場で話し合いを進めていたわけであります。もちろん日本の防衛の問題は、自衛隊の整備の問題と関連して、アメリカの駐留軍の撤退の問題を含め、そうして現実に即してわれわれの防御を全うするという立場をわれわれは堅持しておるわけであります。従いまして、安保条約の将来の問題は、これが改訂されて消えてなくなるということが国民の願望であることは言うを待たないと思います。その現実、同国の国民の感情も頭に入れて、円滑に運用し、十分防衛の体制を自主独立の立場から達成するという趣旨において、両国間における委員会を作って、そうして安保条約の運営を、国民の感情に合い、また国連との関係等を調整するように現実に即した解決をするというのが趣旨でありますが、私はこれによって、さらに今申しました根本の立場というものを明瞭にすることができた、こういうふうに考えております。
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小坂善太郎#8
○小坂委員 核実験の禁止につきまして、藤山外務大臣がその後国連に提案をしておられるのでありますが、この提案の仕方について、共同声明との関連でアメリカ首脳において不快感を持っておるという報道が伝えられておるのであります。それは今も述べましたように、実行性ある軍縮協定を締結することについて、日米両国が緊密に協議してこの実現を期するという申し合せにもかかわらず、提案に対してとった措置が、その共同声明に盛られている内容と若干迷いはしないかということであるようであります。言うまでもなく、アメリカ、イギリス等における考え方というものは、現在世界平和が力関係によって維持されておるというのは、核爆発においてその均衡が保たれておるのだ、こういう観点に立っておる以上、この実験さらにそのものの禁止についての提案の仕方というものが、今の共同声明に盛られている将来の軍縮を共同で考えていこうじゃないかということと背馳する、こういうことであるようであります。その点について総理大臣としてどうお考えでございましょうか。この機会に中外に宣明せられたらと考えます。
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岸信介#9
○岸国務大臣 核実験禁止の問題は、私ども日本国民の一致した国民的強い要望であるのと、さらにわれわれはこの原子力というものが平和利用にのみ用いらるべきものであって、これが破壊に用いられてはならぬという人道的主張と、この二つの立場から強く核実験の禁止の問題について、われわれは従来も努力をして参っておるわけであります。従いましてこの考え方というものは日本国民の強い一つの主張であり、政府がこれを代表してやるということは、いかなる場合におきましても終始一貫しておることであります。アメリカとの私のこの話におきましても、その問題にはやはり触れてきたのでありしまして、ただ世界のほんとうの平和を作り上げるために、現在の力関係の対立によって、バランスによって平和が保てるというこの状態を、さらに将来軍縮その他の何によって改善して、いかなければならない、結局は思い切った軍縮協定を成立せしめて、そして世界に、平和をもたらさなければならないという考え方につきまして、私どもの日米の話し合いにおいては根本に合致しておるわけであります。しこうして核兵器の問題と一般軍縮の問題をいかに関連さすかという問題につきましては、理論的にアメリカ及び西欧の考え方はこれを不可分のものとして関連せしめており、またソ連の提案は全然これを分けるという立場においてやっておる。私どもは先ほど申したように、核実験の禁止というものを強く従来もまた将来も主張していくという立場から、これを禁止するということを実現するとともに、さらに軍縮の問題も一そう促進するというこの原則をとったわけであります。もちろん両陣営の巨頭の意見が全然対立し、平行線的な主張でありますから、これをわが国において歩み寄らしてそうして実現する。それは核実験をやめて、同時に軍縮の問題もこれを促進するという問題――見ようによりましては関連せしめておると言えますし、また見ようによってはとにかくやめるということを強く出しておるという点において独立であるという見方もあるでしょうが、いずれにしてもわれわれとしては、相反しておるところの二つの主張を現実に歩み寄らせるという提案、それによって目的を達するというのが日本の提案でございます。その趣旨において、あるいは西欧側におきましても、またソ連側においても、その主張通りをわれわれは提案しておらないのでありますから、これに対して反対の立場をとるでしょうけれども、しかし両方がとにかくある程度歩み寄らない限りにおいては、実視ができないという立場をとっておるわけであります。アメリカに対しましても、われわれの趣旨を藤山外務大臣は二回にわたって国連総会に行っておりまして、アメリカ及びソ連に対しましても日本の趣旨を十分に説明し、了解せしむる努力をいたしまして、その点においては両陣営の人々も相当に日本の趣旨というものに対しては理解を深めたことである、その点についての誤解とか、あるいはその点から生ずる日米間の特別な不快の問題というものは、私は一掃することができた、かように考えるわけであります。
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小坂善太郎#10
○小坂委員 この問題は非常に重要でありまして、一般兵器と核兵器というものを分けて考えるか、あるいは同一のも一のと考えるか、たとえばICBMの問題などは、すべて核爆発に究極にはつながっておるわけでありますから、非常にむずかしい問題でありますが、総理大臣は十一時からここにいらっしゃらないそうで、ほかにたくさん伺いたいこともあるので、先を急ぐことにいたします。
 次に、わが国が国連の非常任理事国になりましたことは、非常に喜ばしいことでありますが、われわれが直面します諸種の問題、たとえば公海漁業における漁業の制限という問題は、非常に大きな問題でありますし、また大陸だなの主張等にいかに対処するかというような問題は、現実問題として非常な大きい問題と考えるのであります。そこで国連の非常任理事国になりましたことでもありますし、世界各国がわが国の主張に対して大いに耳を傾けようとする際でありますから、核実験禁止もさることながら、こうした具体的な問題について、今後大いに国連において議題にしていただくということを私ども望みたいと思います。この点について総理大臣のお考えを承わりたいと思います。
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岸信介#11
○岸国務大臣 最近いろいろな国々におきまして、公海の自由を一方的に制限するがごとき宣言や、あるいは動きというものが見られるのであります。特に漁業及び航海に関して非常な利害関係の大きな日本といたしましては、理論的のみならず、実際問題としてもこの問題はきわめて重要なものである。従いまして具体的にこれらの問題に関しては、それぞれの国々に対して抗議もしくは交渉等によってこれを解決する努力をしていきますとともに、これが一つ国際的の大きな問題であり、将来もやはり真の世界平和を作り上げる上からいきましても重要な意議を持っておるのでありまして、これを国連において解決するようなことにつきましても、私どもとしては真剣に検討いたしまして、適当な方途をとってこれらの公海の自由というものの原則を、あくまでも確立していくように努力をいたしたい、かように考えるのであります。
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小坂善太郎#12
○小坂委員 最近の大きな時の問題といたしまして、ソ連における第二号の人工衛星の打ち上げと、ジューコフ・ソ連元帥の解任の問題があるのであります。今後の運転の実際を見てみなければ、にわかに結論を出すことはできませんけれども、この第二の人工衛星というものは非常なことでありまして、犬が乗っておる、そしてなおロケットがさらに発射される場合があるようでありまして、その犬がそれに乗ってまた地上に帰ってくる。すなわちこのコントロールすることができるようになった人工衛星が打ち出されたということは、これは非常な大へんな革命でありまして、これを兵器的な観点から見ますならば、ICBMが完全ならば正確に目標に到達する、こういうことになる可能性を持っておると聞いておるのであります。でありますから、そういう観点に立ちますと、ソ連において精鋭の赤軍三百万人を持つということは、むしろ意味がなくなってくる。その三百万の精鋭の赤軍がいつ、ほこをさかしまにしてくるかわからないという状態でこれを温存するよりも、そこに勢力を持った者は解任してしまい、満場一致で、ジューコフはいろいろ功労があっただろうけれども、解任する、そういう挙にも出てくるのじゃないか。私はこのジューコフの解任というものと人工衛星の成功というもの、これをやはり関連して見たいと思うのであります。そういうようになって参りますと、地上軍の重要性というものは著しく変貌してくる。いわゆる兵器のあり方、戦争に対する作戦用兵の考え方というものが基本的に変ってくると思うのであります。わが国においても、この防衛に関しては国力に応じて防衛力を漸増するという方針をとっておるのでありますが、この新しい科学の画期的な発明に関して何らかの新構想をやはり持つ必要があるのじゃないかというように思うのであります。もう資本主義とか共産主義とかいうことを越えて、自然科学というものは非常に発達をしておる。フルシチョフがニューヨーク・タイムスのレストンという記者に語ったという言葉を紹介しておる記事がきょうの新聞などにも出ておりますが、究極兵器ができて、今度の世界戦争は人類が破滅するかもしれないが、共産主義が最後に残るというようなことを言っておるそうであります。これはまたずいぶんおかしな話で、そういうことをしてまでも、共産主義を残すというような、そうした人間関係の存在というものは、今日の人間性からすれば、まことに首肯することのできない議論だと思うのであります。しかし、ここに日米共同声明の第九項におきまして、将来実行性のある軍縮について国際協定締結の必要性を強調しておりますから、やはりこうした非常な科学の進歩で、防衛力というものについて考える時期がきている。このときに政府としてもできるだけ早期に各種の情報を集めまして、核実験のみならず、ICBMというものを含めた大きな軍縮に関するところの考え方をきめる必要がありはしないかというふうに思うのであります。この人工衛星第二号の出現、こういう問題と関連いたしまして、今私の申し上げましたようなことについて総理大臣のお考えを承わりたいと思います。
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岸信介#13
○岸国務大臣 人工衛星の実験の問題やICBMの問題等、最近における科学の発達というものは非常に目ざましいものがある。これが将来の世界の防衛、あるいは政治、経済、文化のあらゆる面に非常な革命的な一つの影響を及ぼすだろうという見方につきましては、私、最近のすばらしい、将来どういうふうに科学が発達するかということをほとんど予測のできないような、また非常なスピードでもってそういう科学が進歩しておるということが、人間の社会に非常に大きな影響を持つことは当然であります。ただ現実の問題として、私はこういうものができ上ったから、すぐ日本の防衛、自衛体制というものを、根本的に今までのものを捨てて新たなものを考えるというふうなことは、現実の問題としてなかなかそうはいかない。やはりまだそういうものがありながら、ソ連も御承知の通り、今おあげになりましたような普通兵器によるところの軍隊というものを、やはり非常に巨大なものを持っておる。世界各国またそういう状態であります。従いましてわれわれはやはり日本の国情及び国力に応じて防衛力を増強するという根本を、私は今すぐ変えるという事態ではないと思います。しかしながら科学のこれらの発達に対して常に十分な研究と、またその科学の研究の開発というようなことに対してわれわれが大いに努力をしていく、研究を進めていくという必要は、もちろん大いにある、かように考えておるわけであります。
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小坂善太郎#14
○小坂委員 次に国会に関する総理大臣の考え方を伺いたいと思います。わが自民党が結成されましてから、すでに二回にわたって予算を編成しております。その間において立党当時に言う諸種の公約は実現しつつあるのでありますが、外にも内にもいろいろ治績の見るべきものがあるのでありますが、国会運営上二大政党というものが出現した、このことがこうした政策実現をかなりスピード・アップしておるように思うのであります。しかし実際私どもこの二大政党対立下にあって、政党の運営される実情の中に身を置いております者の感ずることは、イギリスなどのような二大政党運営のベテランの国に対しまして、まだ相当の距離があるというような感じがいたすのであります。根本的には世界観において自民党、社会党間に相当の距離がある、そうして資本主義か社会主義かといったような非常な観念論がいまだに戦わされておるということが私は残念なことのように思っておるのであります。資本主義というものももちろん流動し発展し進歩するものでありますし、社会主義もまた公式的な観念論から現実論に移行しているのが世界の大勢だと思うのであります。ことに自然科学の方では、今お話がありましたような人工衛星も飛ぶというような非常な革命が行われている。ところが自然科学はそういうように発達しても、社会科学の方はまだある一部には半世紀前にマルクスが言ったというような資本主義の公式的な否定論というものが牢固として抜けない。ことに日本ではイズムというものに対して、何々主義というものに対して、非常な抜くべからざる愛着を持ち、現実を離れてそのイズムが議論される、こういうようなことがわれわれは非常に目につくのです。これはわれわれ自身も反省しなければならぬことだと思いますが、またこれは国会全体としてこの問題を考える必要があるのではないか、これはわれわれが好むと好まざるとにかかわらず、世界的な一つの流れとして、そうした要求があるのではないかと思うのであります。こういう点につきまして総理大臣から伺いたいと思いますが、時間がありませんからまとめて、なおそういう中で、外交関係についてもそうした世界観というものが一つの幅を狭めていくということによって、超党派外交というものも可能になると思うのでありますが、こういう二点についてお考えをお述べ願いたい。
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岸信介#15
○岸国務大臣 私も議会政治の達成のために二大政党でやるべきだという考え方を、従来もそういう信念のもとに二大政党が健全に発展する、発達していくことを心から望んでおるものでありますが、言うまでもなくこれは二大政党、特に保守党たるわれわれと、社会主義政党たる社会党とのこの二大政党が、日本においても国会の現状として対立しておる。しかし現実の政治の運用から申しますと、私は必ずしもわれわれ保守党が資本主義政党であり、社会党が社会主義政党であるという立場から、ただいわゆる主義、公式的な理論の対立だけじゃなしに、やはりわれわれのお互いの主張というものに対して、謙虚な形でわれわれが反省しながらそうして現実の政治を運営していくというのが、二大政党の真のあり方であるべきだと思います。その意味において資本主義を基調としておる保守党も、必ずしもその資本主義というものはアダム・スミスが述べたような古い意味の資本主義でもありませんし、ずっと世界の進歩とともに内容も変ってきておることは言うまでもない。と同時に社会主義というものも一つのただ公式的な理論としての社会主義じゃなしに、現実の責任ある政党として、現実に日本の運命をにのうて立つ一つの気魄を持ち、それだけの上に立ったところの社会党としての現実の政策問題になってくれば、私は両方の主張というものの間には、あるいは基礎の考え方の上においては違っておるかもしらぬが、現実においては、十分な話し合いなり、あるいは論議を尽すことによって、両方の主張というものに協力ができると思う。これがあってこそ、初めて議会政治というものができ上るものだと私はかように考えております。
 外交の問題について、いわゆる超党派の外交というような議論がございます。もちろん私は、すべての問題が超党派的に、常に一致して解決されるとは思いませんけれども、しかし外交の問題は、国の進んで行く道として最も重要な問題でありますから、もちろん立場が違い、主張が迷いましても、協力できる問題も多々あると思うのです。現に、過般インドネシアの賠償問題について鈴木委員長と会いまして、いろいろその問題について、社会党の考えも聞きました。私はそういうような機会を今後も持っていって、そうして協力できる事柄については十分な協力をしていく、主張の違うことについては、この国会のあらゆる機会を通じて国民の前にその主張の違うゆえんを、またわれわれが主張する根拠というものを十分に明らかにして、国民の批判に待つということが、民主政治の完成の上から必要である、かように考えております。
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小坂善太郎#16
○小坂委員 大へんけっこうでございますが、どうも政党を動かすものにプレッシャー・グループというものがあると思うのであります。そこで今のお話では若干不十分と思うのは、このプレッシャー・グループというものに対するところの問題でありまして、私ども、社会党の諸君などとともにイギリスへ参りましたときに、先方で聞きましたのですが、イギリスの政党では、労働組合の決議というものは、その選ばれておる議員を拘束しない。これは非常に明らかなのです。なお保守党でも、地方支部のいわゆるコーカスでやったところの決議というものは、選ばれた議員の地位を拘束しない。すなわち国会に選ばれたことによって、そのことで全権を代表する、こういう考え方が基調になっておるのです。これができないと、なかなか、結局プレッシャー・グループの言う通りに、票を目当てに動くようになってしまう。総理大臣は、当分選挙をやらぬとおっしゃっておるのでございますから、やらぬならやらない間に、何かもう少しそういう良識を育てる考えはないか。これは急に伺っても名案はないでありましょうが、御研究を願いたい。
 なお総理大臣は、今回の演説で、党風の刷新という言葉を使っておるのであります。自民党の党風というものをどういうふうにもっていらっしゃるのか、これを一つお考えをはっきり言っていただきたい。
 なおあっせん収賄罪について、世上いろいろと議がありまして、もちろん人権に慎重でなければならぬのでありますが、このあっせん収賄罪について、総理がほんとうにやるつもりなのかどうかということを疑っておる議論もあるので、これらの点について一つお考えをお述べ願いたい。
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岸信介#17
○岸国務大臣 わが自由民主党は、御承知のように現在国民の大多数の支持のもとに、衆議院及び参議院における過半数を占めて政治を行なっております。その上に、われわれは政局を担当しております。私どもはこの立場を考えてみると、ほんとうに民主政治としての国民の信頼を得るかいないかということは、わが党のあり方というものに、私は非常に重大な関係を持っておるということを思って、非常な責任を、その総裁として感じておるわけであります。しかしてこの国民の信頼をいかにしてわれわれがつなぎとめるかという意味におきましては、第一は言うまでもなく政治の清潔さということに対する信頼であります。私は特にこの点は、われわれ政局を担当しておる、そうして圧倒的多数という大きな勢力を持っておるということである場合におきましては、私は清潔さをわれわれが持つということについて特に重大に考えなければならぬということは、それを妨げる誘惑がわれわれに対して一番大きいということを思うときに、私はわれわれ自身がまず自戒自粛して、その点を明確ならしめるということが根本であると思うのであります。私どもが党の党紀委員会を中心として党紀に関するこの点においての具体的の問題を決定し、天下に公表しておりますことも、その趣旨の表われでございます。私はさらにこの立場を今後といえども貫いて、そうして国民に十分な信頼感を持ってもらうようにしなければならぬと思っております。その点に関連して、あっせん収賄罪の点であります。これは法制的に見まして法学者の間におきましても非常に議論がある。法制技術的に困難な問題を含んでおることは、私もよく承知しております。しかしながら、現在のような党風の刷新を心がけ、またわが党みずからが自戒、自粛して天下に信頼を得るためには、私は法制的の困難を克復して、必ず次の国会にこれを提案して成立せしめるという意図のもとに、あらゆる研究を進めております。
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小坂善太郎#18
○小坂委員 次に経済の問題に入って参りますが、総理大臣が大体十一時にというお話ですから、あと労働、文教があり、それからことに原子力平和利用、コールダーホール型を中心にした原子力発電の開発計画というものについて、私は非常に問題を持っておるのであります。これは総理大臣がおいでにならぬときにいたしますが、あとでよくお聞き取りを願っておきたいと思います。
 最後に一問だけ経済につきまして申し上げますが、わが国経済政策の眼目は、経済の拡大を無理に急ぐということより、たとい速度はおそくても、安定と均衡を確保して、永続した拡大均衡をはかるということが必要な時代に入ってきておるのじゃないかと思うのであります。今までは多少無理しても経済成長、拡大に向ってひたむきに進んできたのでありますが、一応国民生活も戦前以上になりまして、今日の焦点は、むしろ中小企業とか農村、漁民層、そうしたいわゆる広般な中間層を育てる。そうして中間層といいます。非常に堅実な思想を持ち、ある程度の恒産を持ち、良識を持った国民層を広般に培養する。これが私は日本の国力の基盤をなすものでありまして、こういう観点が非常に重要になってきているのじゃないかと思っておるのであります。この意味におきまして、この国会は中小企業国会とも言われておるので、この国会の目的というものは、とかく今までこうやくばりで破綻を張り合せてきた中小企業対策について、政府は思い切った企図に出るのだ、こういうことを中外に示す国会であると言っても私はいいのじゃないかと思います。この意味で、この次の問題として口火を切っておきまするが、技術の合理化、あるいは設備の近代化、経済の能率化ということのために、いわゆる中小企業の体質を改善するための思い切った措置を講ずるということを、今総理が企図しておられる中小企業団体の組織に関する法律の通過に際して、今後の措置もお考えになっておいていただきたいと思うのであります。今まで中小企業に対していろいろな法律がありますけれども、各種各様で、私どもにもにわかに名前が出ないような状況であるので、中小企業関係の各種の法案をまとめて、団体法は別でよろしいのですが、他の各種の法案をまとめて中小企業振興法というようなものを作られてはどうかと考えるわけであります。この点につきましてお考えがあれば伺っておきたいと思います。まず第一点は、この国会は中小企業団体法を必ず通すという御決意であると聞いておるが、その通りであるか。
 第二点は、今の中小企業振興法というようなものを作られるかどうか。
 さらに中小企業の問題は、ほとんど金融問題である。ところが中小企業のための三行、国民金融公庫、中小企業金融公庫、あるいは商工中金、この三つ合せて二千億足らずであります。預金残高が千九百六、七十億であると思うのであります。ところが一般の金融を見ますと、五兆四千億ばかりの預金残高があるのであります。このうち中小企業にどれくらいいっているかというと、大体二兆四、五千億じゃなかろうか。中小企業に対して二兆四、五千億の金融が行われているのに、専門の金融機関はわずかに二千億足らずである。ですから大部分は市中銀行が金融事業のささえをなしているわけでありますから、この金融を円滑にするために、それに対して保証を与える措置が非常に必要であると思う。そのために政府の企図されている中小企業金融事業団、これに対して二百億の財政資金をつけるという御構想があるように聞いておりますが、この点も最後に御言明を願っておきたいと思うのであります。
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岸信介#19
○岸国務大臣 わが国の中小企業はきわめて複雑な、また多種多様の形態を持っておりますが、しかしこれがわが国の経済産業構成の上からきわめて重要なものである。また社会的にも今小坂君の質問されたよう、日本の人口、また広く社会状況から、これが健全な育成をするということはきわめて大事なことであります。私はこれを単に困っているから救済するという意味に考えるべきではなくして、やはりその特徴を生かし、日本の産業、また社会構造上非常に重要な地位にある中小企業者というものが、将来その特徴を発揮して、経済的に産業的に十分その機能を果し得るために、今小坂君の言葉をかりて言えば体質を変えるという点に大いに力を入れるべきものである、かように考えております。そうしてその第一の出発は、やはりこれを組織化するという、その組織を中心にして体質を改善するということが一番望ましいと考えておりまして、この意味において中小企業団体法をぜひこの国会で成立をさしたいというのが、私の念願であります。
 さらに金融の問題に対しましても、御指摘のように特殊の機関が設けられておりますけれども、中小企業に対する全体の金融量から言えば、普通の市中銀行の行なっているものが非常に多いのであります。しかしてこれらのものが金融をする場合において、普通銀行の考えているように担保その他のことを考えてみますと、大事業のごとく、中小企業におきましては、銀行の望むような担保力というものが欠けている。これをどうして、補うかということを考えることが、やはり金融問題を解決する非常な要点だと思います。いわゆる信用保証制度というものが従来ありますが、これをもう少し強化拡大する必要があるのではないかということが私どもの考えでございまして、それの構想に基いてどれだけの規模でどういうふうにするかということはなお検討を加えていきたいと思いますが、この信用保証制度の考え方を拡大して、そうして中小企業に適切な担保力を与えて金融を円滑ならしめる、こういうふうに考えております。
 それから今も中小企業に対していろいろな立法があることはお話の通りであります。これをまとめて中小企業振興法というような法律にしたらどうかというお考えであります。なるべく中小企業というものを一つにまとめていろいろな方策を網羅するという総合的の政策を盛った一つの振興法というようなものができることは望ましいと思います。もっともこれにつきましては、法制上のいろいろななにもありましょうから、研究を要すると思いますが、できるだけ中小企業に対する政策は総合的に行うという意味において、そういう振興法というものができれば望ましいと考えております。
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小坂善太郎#20
○小坂委員 それでは社会保障について堀木厚生大臣に伺っておきたいと思いますが、社会保障の二大支柱は、言うまでもなく医療保険と国民年金であると思うのです。医療につきましてわが党は昭和三十五年を目途として国民皆保険ということを申しておりますし、今年度にも厚生大臣は無医村を解消する、結核は十年を目途としてこれを撲滅するのだということを言っておられるようで、非常にけっこうだと想うのでありますが、こういう対象が大きくなればなるほど、健康保険の問題は困難性あるいは複雑性を加えるのではないかと思う。現在までのところ、毎年一点単価の問題は問題になっておるのであります。点数と単価は常に問題になっておる。ことに最近においては特にその傾向が顕著であるように私どもの耳に入るのです。そこでどうも医療ということの社会性からいいますと、できるだけ安い医療ということを考えざるを得ません。それから医師も職業であるという観点からいいますれば、やはり――ズナブルといいますか、潤沢なといいますか、そういう報酬を医師会が要求するのはこれまた無理からぬことだと思うのです。そうするとそういう二律背反する要求の間に入って厚生大臣は非常な名案を二つお出しになりましたけれども、どうも最近私ども心配申し上げておる――このごろの言葉で言うと厚生大臣のよろめきということを若干感ずるのであります。そういうことにならないように、こういう状況については、もう少し抜本塞源的な方法を考える必要があるのではないかというふうに思うのであります。諸外国ではこうした困難な実に複雑な制度をとっておる国はむしろ少いようであります。もっとすっきりしたそういう方針がとれぬものかどうか伺いたい。
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堀木鎌三#21
○堀木国務大臣 今お話のように、一方において社会保障制度を促進する、しかもその社会保障制度の中核であります医療保障を推進しようとすれば、これは一つの統制的なねらいでもって推進して参るわけでございます。しかるに実際に医療を担当いたしますお医者さんは、自由に、研究を絶えずしていなければ医学は進歩いたさない。最近の医学の進歩も、確かにお医者に対する自由と研究が与えられた結果である、こう思うのであります。従いまして現在の単価が御承知の通りに二十六年にきまっておる。それ以後諸般の情勢を考えますと、何らかの解決をしなければならないのですが、と同時に今おっしゃいましたように、何らかもう少し複雑でない、常に問題を提起するような方式でなしに考えるというふうな方式がないかというお話でございますが、この二つの、一方においては統制的な方式と、一方において自由を最大限度に持たなければ進歩しない医学、あるいは医術の向上とを結び合せるためには、何らかの方式が必要であろう。今問題になっておりますのは、差額徴収制度というものでこれらの調和をはかったらどうであろう、あるいは療養費払い方式について考えを新たにして、そうしてこれをその制度に新しく導入したらどうであろうかというふうな問題がございます。これらの二つの方式につきましては、いかにも支払い方式のように見られますと同時に、根本的に現在の制度に相当の大きな変革を及ぼすことでございますので、慎重に今研究をさしておりますような次第でございます。
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小坂善太郎#22
○小坂委員 今言われなければならない時期でもないのでありますから、どうか慎重に御研究を願いたいと思うのでありますが、どうも現在の方法では先が見えておると私はかたく信ずるのであります。どうか一つ抜本塞源的ないい案をお考え願いたいと思います。
 次に国民年金でありますが、老齢者、未亡人あるいは不具廃疾者に対して、働く条件が悪くて不幸にして経済の谷間に落ちたという人たちに対しては、特段の構想がなければならぬと思うのであります。ことに医療保険の方は非常に進んでおりますが、老齢者に対する保障制度はおくれておるといわざるを得ないと思うのであります。党でもこの国民年金ということを取り上げておりますし、厚生大臣はこれはいつごろからやってみようというようなお考えになられておるのか、何分にも原資を大きく要するということで、これまたよろめいておられるのじゃないかと思うのでありますが、そういう点について一つ何かお考えがございましたら、伺いたいと思います。
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堀木鎌三#23
○堀木国務大臣 今社会保障の二大支柱として国民皆保険と国民年金制度、なかんずくそのうちの老齢あるいは廃疾、母子というようなものに対して、どっちかと申しますれば、醵出制の原則をとりましても、なおかつこれらの人には無醵出の考え方を加味して参らなければならないというふうな制度を考えてみますときに、実は現在のところ年金制度として、まずこれらの人に月三千円ないし四千円の生活を保障する所得保障を考えますと、約二千億近い金を考えなければなりません。年金制度が御承知の通りに国民の経済の発展と照応して進示して参ることは申し上げるまでもないことでございます。しがしながらこれらは何と申しましても今申し上げましたように国民経済の成長と一般財政との両方の均衡の上に立っておる問題でありますが、しかし私といたしましては、この問題につきまして三十三年度を準備期間といたしまして、三十四年度からぜひ実現したい。現に社会保障制度審議会に諮問いたしておりますし、厚生省内に国民年金委員会を設けて目下鋭意研究いたしておるような次第で、すでにある程度の基本的な構想に入っておりますので、これに照応いたしまして、事務的にも調査を進めておりますような次第でございます。ともに厚生大臣としてはあまりよろめきませんで、十分に考えて参りたい、何とか実現の方向に向いたい、こういうふうにせっかく努力中でございます。
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小坂善太郎#24
○小坂委員 三十四年度まで一萬田大蔵大臣が、たぶんやっておられるだろうと思いますけれども、大蔵大臣としてこの年金の原資などについて何か御構想がありましたら伺いたい。
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一萬田尚登#25
○一萬田国務大臣 すぐそのお答えになりませんが、社会保障がそれほど進んでいないときにいろいろ社会保障に類する給与関係がたくさんできておる。そういうものを私は一ぺんずっと見直して、そして社会保障制度一本というようなものにまとめ、そしてほんとうに社会的条件で生活が非常に苦しいとか、そういうものに対して国家が手を差し伸べる以外にはありません。それはむろん国家財政や国力に相応しなければなりません。同時にそれなら一方で、まあそういうところはがまんして、やらなくてもいいというところがありますれば、それはやめてもらいたい。そういうことがはっきりすれば大蔵大臣も考えるつもりであります。
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小坂善太郎#26
○小坂委員 次に労働問題に移ります。労働大臣は石田労政というものを非常にみごとに打ち出されておられて敬意を表しますが、現内閣の労働対策は、まず現行法規の法律解釈を明瞭にして、違法な争議行為に対しては特権を与えない、民事、刑事上の違法性を阻却しない、こういうことを明らかにしてこれを実行していかれる半面、諸種の福祉対策を行われて、またわが国の国情にも適するような、企業の実態にも通するような、またILOの国際条約にもかなうような最低賃金制を立法すると言われておるので、なかなかいいと思いますけれども、一般の大企業の労働者と中小企業の労働者との間に存在する賃金較差というものは年々開いていく傾向にあるのであります。これが解決されないままに進んで参りますと、将来非常な大問題になると私は思いますので、この点について少し伺ってみたいと思うのであります。
 経済白書にもいっておりますように、日本には非常な近代的な企業と前近代的な企業が並存している。そこでたとえば最近見られますように、年間に二千円のベース・アップということがしきりに言われる。場所によっては四千円のところもありますが、二千円ずつ五年上っていけば二万円になってしまう。ともかく頼むから形だけでも入れてくれといって入った人が、五年たてば一万円上るのであります。自分から中小企業に入っても、なかなか一万円の給与を獲得することば困難である。とすればどうしても社会的な公平を欠く。こういう実情を一方に見ながら、どうしたら賃金較差というものを縮めていくことができるかという点について、御所見を伺いたいと思うのであります。
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石田博英#27
○石田国務大臣 御指摘のように大企業と中小企業との賃金格差は年々開きつつあるようでありますが、この基本的な原因は、やはり中小企業の生産性の低さというところにあるのではないかと存じます。従ってこれを根本的に解決いたしますためには、総合的な中小企業対策を樹立推進をいたして参ることが大切だと考えておるわけでございますが、労働行政といたしましては、先ほど御質問にございましたように、下からの支えといたしまして最低賃金制をできるだけすみやかに実施いたしたいと存じております。このことはもとより中小企業の経営者が支払い得る立法的な措置を伴わなければならぬことは言うまでもないのでありますけれども、しかしおよそ企業を興し人を使う者は、その使っている人に対して相応する賃金を保障し、支払わなければならないという経営者の道徳というものを、まず基本的に確立していく必要があるのではないかと存じております。その内容は今中央賃金審議会で御検討を願っておりますし、さらに労働省といたしましても、わが固の経済の実情に沿ったものを作り上げるように努力いたしておるわけであります。
 一方大企業の賃金の上昇が激し過ぎるという国議論でありますが、やはり労働賃金は生産性の向上に伴って当然これが上ってこなければ、基本的には労働意欲というものを振起させるわけには参りません。しかし生産性向上に伴いまする利益の分配は、ただ勤労者に対してだけ重点を置かれるべきものではなくて、やはり資本の蓄積その他によりまする経営の強化あるいは製品の値下げその他によります国民への還元、こういう三つの観点からこれを取り扱っていかなければならぬと思いますと同時に、いま一つは大企業におきましても、やはり国民経済的な立場から労使の良識をもって話し合われることを期待いたします。特に大企業と系列関係にありまする中小企業との関係につきましては、大企業はその生産性向上に伴いまする分配を自分の下請の中小企業に対しても行うような思いやりを期待いたしたいと存じている次第でございます。
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小坂善太郎#28
○小坂委員 労働問題は今おっしゃるように感情に訴えては解決しないと思う。やはり客観的な基盤、ことに生産性の問題と関連して考えていかなければならぬと思いますが、その中で最も重要な賃金の問題でありますが、私は今お話がありましたように、やはり賃金の問題というものも国民経済的な観点から考えなければいかぬというふうに思っております。国民経済の分析の中に賃金のあり方というものを見出していかなければ、やはり労使の間の話し合いの客観的な土俵ができないというように思うのであります。国民経済がある限度でありますのに、賃金だけが飛び離れ、高い賃金に対する考え方だけが、国民全般の考え方から飛び抜けていわゆる進歩的であるということは私はあり得ないことであると思っているのであります。
 わが国の雇用の実情を見てみますと、これは大臣には釈迦に説法でありますが、労働人口をかりに四千二百万人にいたしてみますと、その中で自営業者というものが千八十七万人、約一千万人でありまして、これが二五・七%であります。そのほかに特徴的な家族従事者というものがあるのでありますが、これが千三百八十九万人すなわち三二・九%を占めている。いわゆる賃金俸給をもらっている被雇用者が千七百五十一万人で四一・四%であります。
 これをアメリカやイギリス等と比べてみますと、アメリカにおいてはサラリーをもらっている人は全体の八二・二%である。イギリスにおいてはもっと多くて全体の九二・六%あるのであります。第一次産業が日本においては圧倒的に多く、サラリーをもらっているいわゆる労働者と一般的にいわれる人たちは比較的少数である。ここに私はわが国の賃金の問題の特殊性があると思っておるのであります。
 ことに産業の規模を分析してみますと、三十人未満の人を使っている事業所を事業種別に分けてみますと、九八%は三十人未満の人を使っている事業所なんです。三十人以上の人を使っているものは全体の三%しかない。ただ人間の関係でみますと、三十人米満のものが六〇%、三十人以上の人を使っている事業所で働いている労働者が四〇%、こういうことになっておるのであります。
 それをさらに数字にわたりまして恐縮でありますが考えてみますと、第一次産業、第二次産業、第三次産業と比べてみますと、日本では第一次産業が四三・八%であって、アメリカでは一二・二%、イギリスではわずかに四・九%しか第一次産業はないのです。第二次産業は日本が三二・九%、アメリカが三四・七%、イギリスでは四七・四%。第三次産業を見ますと、日本が三三・二%、アメリカでは五二・八%、イギリスでは四七・二%となっておるのであります。
 そこでこの労働賃金の取り分というものが問題になります。こうした産業構造の中で賃金は一体どのくらいの割合を占めたら、国民経済の上から見て正常な状態であろうかという問題でありますが、国民所得は言うまでもなく俸給によるところの所得、あるいは個人業種所得あるいは法人所得あるいは個人賃貸料、利子所得というようなもので構成されているのであります。
 最近アメリカその他においてはコスト・インフレという議論が出ている。これは日本では今申し上げましたように、アメリカと事情が違います、違いますからアメリカのコスト・インフレ論というものは日本では別の角度から見なければならぬと思いますが、わが国の勤労所得は一九五三年で見ますと、国民所得のうち四九%を勤労所得は占めているわけです。賃金俸給は四九%国民所得の中で占めている。これはアメリカやイギリスと比べてどうかと言うと、アメリカは六八・五%、イギリスが六四・四%、日本は四九だから低いじゃないかと言えるかもしれませんが、先ほど申し上げたようにアメリカではこの対象が多いわけです。アメリカでは全体の八二・二%で六八・五を取っておる。イギリスでは九二・八で六四・四を取っておる。日本は四〇%前後のものが四九%を取っておるということでありますから、決してその比率から言うと少いとは言えない。一体勤労所得というものが国民所得の中の何%を占めるということが日本では可能なのか。現在でもベース・アップをしろ、生産性が上っておるのだから、もっと上げろという議論があります。しかしこれを上げて五〇%をこえた場合に一体どうなるのか。まず中小企業の方で問題が起きてくる。それは今おっしゃったように資本の蓄積というものに食い込んでくる。これが経済全体のアンバランスを生ずるということになるのであります。ことに歴史的に見てみると、日本ではサラリーの占める割合というのは、いわゆる基準年次、昭和九年から十一年までは三八・九%であった。これが昭和二十年で三〇・八%になり、昭和二十三年は四二・二%、昭和二十七年で四六・一%、昭和二十九年で四九%、こういうふうに上ってきておる。いわゆる基準年次に対して賃金俸給の比率は現在では一〇%ふえておる。それだけ勤労所得というものの比重は大きくなってきておるのが実態なんであります。しかも何とかかんとかいいますけれども、保守党というものが相当に勤労者に理解があったということは、これは手前みそになりますけれども、この表からいえば言えると思うのであります。そこでむしろそれを経済学的に見るとどういうことになるか、こういう分析を一つしていただきたいと思うのであります。いろいろ学者の方もおられますから、よくこういう実情を検討して、賃金俸給というものがどのくらいのパーセントを占めれば経済が破綻されないか、この検討をしていただきたいと思います。前に申し上げたように雇用者というものは日本では少数であるわけです。そこで大企業の賃金というものが、ただ力関係でもって何かストライキをやる、そこで仲裁者が出てきてあっせんだか調停だか仲裁だかをやるということになって、中をとってだんだん上っていって、それで先ほど申したように中小企業者との間の較差がだんだん開いていく、こういう状態で参りますと、結局私は産業構造間のアンバランスができると思う。そうしてそのことが結局日本の産業機構というものを成り立たなくしてしまう、こういうふうに思うのであります。この点について一つ労働大臣としてどういうふうにお考えでありますか伺いたいと思います。
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石田博英#29
○石田国務大臣 国民所得や経済力の中で賃金がどの程度の割合を占めれば健全だと言えるかどうかという点については、私も労働省に対しまして今検討を命じておるところでございます。それについての一定のめどをつけていかなければならぬことは、その必要性は十分感じておる次第でございます。ただ日本の賃金構造の中で問題になりますことは、今確かにおっしゃいましたように、基準年度と今日とを比べて賃金の割合が上ったというその上り方そのものよりは、やはりこれは日本は比較的基準年度においては、むしろ賃金というものが不当に低過ぎたのではないか。従って一〇%上ったからそれだけ賃金の方が力強くよけい取り過ぎているんだという、そのパーセントそのままの議論には私はならないのではないかと考えておる次第でございます。ただ問題は大企業の賃金の上昇率と中小企業の上昇率との間に大きなアンバランスが生じておる。特に大企業は主として基幹産業に多い。従ってそれだけが独走いたしますと、そこからいわゆるコスト・インフレというものが起ってくることになりかねないのじゃないかと心配をいたすわけでございまして、結局そこには大企業の労使関係が、先ほど申しましたように国民経済的な立場に立ちまして、生産性向上に伴いまする利益の分配は、労使が分ち合うとともに国民にもこれを分ける、ひいては系列産業にも均霑せしめるというような考え方でやっていかなければならないと思っているわけでございます。それからもう一つは、中小企業の場合におきましては最低賃金制によって下からの支えをいたしますとともに、それによって中小企業の生産性の向上ということについて、経営者がより以上積極的な意欲を燃やしてもらう。むしろ最低賃金制を実施し賃金水準を上げることによって、労働の生産性を高め、経済の安定向上を期待するという方向に経営者自身が心がまえを変えてもらいたいということも、あわせて期待をいたしたいと存じております。それから日本の賃金問題は、現在相当経済も安定いたしましたし一般的に賃金水準も向上しているにかかわりませず、依然として画一的な生活給的な賃金制度が実施せられております。私は今労働省の所要の機関に命じまして労働の量及び質に伴う賃金較差のあり方というものについての統計を作らせるようにいたさせているわけでございますが、これは主として日本の例を歴史的に検討いたすということよりは、私は国際的な視野に立って広く資料を集めて、労働の質及び量に伴う賃金のあり方というものについての正しい結論を生み出してみたいと思っているわけであります。と申しますのは、日本の場合は常に労働力過剰に悩まされておりましたために、不親則的にあるいは恒常的に労働力のダンピングが行われておりましたから、労働の質及び量に伴います正しい賃金較差のあり方が過去においてもあまり正確に見られなかったのじゃないかと思います。従ってそういう状態でない国の例を広く調べて、そういう賃金の正しいあり方というものも作り上げたいと考えている次第でございます。
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