稲富稜人の発言 (決算委員会)

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○稲富参考人 ただいま問題になっております砂糖の問題で、いかにも私がこれに醜関係があるかのごとく本委員会で言辞を弄されたということに対しましては、遺憾に存ずるとともに、心外にたえない次第であります。この機会に、私は私の関係いたしましたことについてこれを明らかにしたいと存ずる次第であります。
 日にちははっきり記憶いたしませんが、この砂糖が三十年に入ったとすれば三十一年と思いますが、たしか国会の開会中でございました。ただいま綱島参考人が言われました周という人を伴いまして、松平という人が突然私の会館の部屋にたずねて参られたのであります。そのとき、話を承わりますと、実は立川――そのときは立川という話でございましたが、立川から機械のパテントを中国側が買った、これに対しては通産省の証明も出ておる、その証明に基いてこの機会を買うためのバーターとして台湾から原糖を一万トン日本に持ってきた、ところが、この証明がうそであったようで、これが正規のルートに上らないで、ただいま横浜の倉庫にこれが置かれてある、それがために周は毎日十万円からの倉庫料を払って非常に困っておる、何とか正式なルートにこれを乗せてもらうような方法はないものだろうか、こういうような話でございました。特に私記憶いたしておりますが、そのときに、松平氏が私に、これは実に国際的な日本の信用にも関する問題であるから、何とかこれは解決していただかなければならない問題だと思うのだがと、こういうような話もあったのであります。私はそれを聞きまして、実は周という人もりっぱな人物のようにも思いましたので、非常に気の毒だ、それでは私一つ関係方面に事情を調査いたしてみましょう、さらにまた場合によりましたら何とか努力をいたしましょう、しかしながら、これに対しては私は条件があるが、あなたは聞いてくれるか、と言ったところが、何ですかと言うから、私がこれに努力いたしましても、私に一文の謝礼もやらない、供応もしないということを確約するか、こう言いましたところが、そのとき周は私の前で涙をはらはら流して喜びました。私はそれを見て、いかに周という人がこの問題で困っておるかということが、私は今でも目にすがっております。そうして、立ちますときに、実はこの問題につきましては綱島先生にも非常に心配をかけました、こう言って立って行きました。それで、私は、翌日でありましたか、農林水産委員会で綱島さんに会いましたので、綱島さんに、実はきのう周という中国人が一万トンの砂糖の問題で来たが、あれはどんな問題ですか、こう聞きましたところが、綱島さんは、周という男は善人ですよ、非常に気の毒ですよ、まあ何とか一つあなたも助けてやりなさいよ、こういうように言われました。それで、私はちょうどその日かその翌日だったかと思いますが廊下で清井食糧庁長官に会いましたので、一万トンの原糖が倉庫に眠っておるそうだが、あれは一体正規のルートに乗らぬのですか、こということを清井長官に聞きますと、清井長官が私に、先生、あれに関係しなさんな、あれにはなかなかスキャンダルがあるらしいから、あんなのに関係すると迷惑いたしますよ、こういうような話が清井さんからありました。私は、実にこの周という人を気の毒に思ったのだが、これは国際信義の上からも何とかしなければいけないという義憤を感じて、実はこういう条件をつけて、調査をしよう、場合によったら努力をしよう、こということを私は言ったのですよと言ったところが、清井さんは、そうですが、それならば一つ私の方でも検討しましょう、こう言って廊下で別れました。それから数日して私国会の食堂でちょうど通産省の樋詰という通商局次長に会いましたので、樋詰次長に、実は台湾の原糖が一万トンあるそうだが、あれは正式ルートには乗らぬものですか、こう私は清井長官に聞きましたと同じ質問をいたしました。そうして、私は実は清井長官にも話しましたけれどもという話をしましたところが、樋詰次長は、そのことは清井長官からも電話がありました。それで、私は、そのときに、清井長官に話し先と同じようなことを言って、これは何とかしてやらなければ気の毒ですなと言って別れたのであります。それ以外のことについて私はこれに口をきいたことはございません。その後これがどうなったかということも知りませんでした。ところが、数カ月かしまして、松平氏が周さんを伴って私のところに来まして、おかげであの問題が片づきました、周さんが私に、おかげで私も香港に帰れるようになりましたと言ってあいさつに来られました。それで、私は、今後あなたもこういうような問題を扱いなさんな、華僑として堂々と一つ貿易をやりなさいよ、こう言って私は別れたのでございまして、その後の経過、配分等は全然私は関知いたしません。私の関係いたしましたのはただこれだけであって、そのほかには何もないということを明らかにこの際申し上げておきたいと思います。

発言情報

speech_id: 102804103X01919580320_006

発言者: 稲富稜人

speaker_id: 6055

日付: 1958-03-20

院: 衆議院

会議名: 決算委員会