岸信介の発言 (予算委員会)
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○岸国務大臣 産業経済の発展というものをずっと考えてみますると、日本の経済につきましては、従来ほとんど工業というものがなくもっぱら農業中心の時代から工業がようやく発展の段階に入ってきて、そうして諸外国の進歩した技術、経営の方法等を取り入れて産業が発展してきたのでありますが、私は、よく世間で工業立国とかあるいは農業立国とかいろいろな言葉を言われますけれども、やはりその国の経済というものは、その国のあらゆる事情を十分頭に置いて、総合的に国自体の発展のために適当な政策をとっていくということが根本であろうと思います。従来ややともすると工業がおくれておるために工業方面について特に力を用いたこともありまするし、あるいは戦前におきましては軍需産業というものに特に力を入れなきゃならぬというような点が重視された政策をとられたこともありますけれども、やはり、長きにわたる日本の産業経済政策としては日本の置かれておる事情、ことに日本におきましては人口の非常な大きな部分が農村の側にあり、また貿易に依存しなきゃならない日本の状況から見て、食糧の自給政策を総合的に進めていかなきゃならぬというような立場を十分頭に置いて考えますと、要は、そういうある偏したことではなしに、全体がつり合いのとれた政策、発展を遂げるような政策をとらなきゃならぬ。その時代において特に農業において非常に力を入れなきゃならぬということがあるならば農業において非常に力を入れる。しかし、それは農業立国というものではない。また、逆に、工業にうんと力を入れなきゃならぬということがあれば工業に力を入れるけれども、工業立国ではない。農業はどうなってもいいというものではなしに、やはり全体から見て調和のとれた、つり合いのとれた発展をさせていく。そこで、特におくれた、特に発展をさせなきゃならぬというときには、時代々々において重点を置いて考えるということはしなきゃならぬと思いますが、そういうふうにつり合いのとれた発展を遂げさせるということが一番大事であろう、かように考えております。