河野密の発言 (予算委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○河野(密)委員 きわめて不明確でありますが、私は日米共同声明というものが安保条約の不備な点を補充したものであって、むしろ日米共同声明のいわゆる安保委員会によって核兵器の持ち込みというものが困難になったのである、それで初めて禁止されたのであるという考え方というものは、これは私は岸総理の詭弁であると思います。そうではなく、むしろ日本の憲法、それからMSA協定、安全保障条約、そういうものがあって、そういうものの上に安保委員会というものが初めて意味を持つのである。日本の態度、私はこれは岸総理が千言万語を費すよりは、日本のその間における憲法を中心としてという、その憲法の条章を変えるものでないのだというその点についてのきぜんたる態度さえ持っておれば、あとはおのずから解決する問題であろうと思うのでありますが、この点についての岸総理は国会の答弁を通しても非常にあいまいであります。この点についてはなお申し上げたいのでありますが、あとで同僚の委員からも追及があると思いますから、私はこの程度にいたしておきます。ともかく日米共同声明によってこの核兵器持ち込みが禁止できるんだというような、そういうばかなことはないはずだ、私はそういう考え方には承服するわけには参りません。
その次に、この国会で取り上げられました重要な問題は、日ソ関係の問題であります。現在漁業交渉が進展いたしておりまするし、事は微妙でありますから、私は必ずしもすべてを伺おうとは存じませんが、本委員会において明らかになりました点について、なおわれわれがふに落ちない問題をお尋ねしたいと思うのであります。
藤山外務大臣の本委員会における御答弁によりますと、日ソの現在の交渉は、昨年の六月にソ連政府に安全操業の問題について話し合いの申し入れをした、八月の十六日に口上書をもって交渉に入る用意があるとの回答に接した、そこで日本政府は安全操業に関する案を作ってソ連政府に申し入れをしたところが、なかなか返事が来ないで、昨年の十二月、日ソ漁業委員会でやることを回答してきたので、日ソ漁業委員会で交渉に入った、ところが本年の二月五日になって平和条約の問題と関連するといってきたので、さらにこれに対する日本政府の意向を伝えた、ところが昨日になってソ連政府の側から、河野・イシコフ交換文書についてソ連側の意向が伝えられた、こういう段階を経てきておるように承知するのでございます。
この交渉に当っての日本政府の態度を見ますと、本委員会における政府——岸首相並びに藤山外相の発言の経過を見ますと、安全操業交渉をする法的の根拠はないけれども、零細漁民の生活問題であるから交渉したいと申し入れたというように受け取れるのであります。口上書をもって応諾してきたから要求条項を提案したが、元来漁業委員会において安全操業の問題を交渉することは間違いであると考えておるけれども、向うが交渉に応ずるというのであるから、便宜漁業委員会というものでその交渉に入った、しかし安全操業の問題は漁業委員会で決定すべき性質の問題でなく、領土、領海の問題と関係のある問題であるから、平和条約と関連せしめてもよろしい、こういうように考え、少くとも並行的に行うべきものであるというように考えた、こういう答弁をいたして参っておるのであります。ところが政府はその後この考え方をやめて、平和条約の交渉と安全操業の問題とは厳に切り離してこれを交渉するのであるから、こういう態度に変られた。本委員会における答弁においても、私は一々は御指摘いたしませんが、政府の考え方は二転、三転非常な動揺をいたしておるのであります。これはなぜであるか、私は政府の日ソ交渉に対する確固たる方針がないからであると思うのであります。安全操業の問題、漁業交渉の問題並びに平和条約の、この三者の関係について、政府は一体どういうものであるとお考えになっておるのであるか、これはまず岸総理もしくは藤山外務大臣から承わりたいと思います。