予算委員会
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会
会議録情報#0
昭和三十三年三月一日(土曜日)
午前十時二十五分開議
出席委員
委員長 江崎 真澄君
理事 今井 耕君 理事 川崎 秀二君
理事 重政 誠之君 理事 田中 久雄君
理事 橋本 龍伍君 理事 川俣 清音君
理事 柳田 秀一君
小川 半次君 大橋 武夫君
太田 正孝君 北澤 直吉君
河本 敏夫君 坂田 道太君
櫻内 義雄君 周東 英雄君
須磨彌吉郎君 中曽根康弘君
楢橋 渡君 野田 卯一君
船田 中君 古井 喜實君
松浦周太郎君 南 好雄君
宮澤 胤勇君 八木 一郎君
山口喜久一郎君 山崎 巖君
山本 勝市君 山本 猛夫君
井手 以誠君 井堀 繁雄君
今澄 勇君 岡田 春夫君
北山 愛郎君 小平 忠君
小松 幹君 河野 密君
島上善五郎君 田原 春次君
辻原 弘市君 成田 知巳君
西村 榮一君 古屋 貞雄君
門司 亮君 森 三樹二君
出席国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 唐澤 俊樹君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
文 部 大 臣 松永 東君
厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
通商産業大臣 前尾繁三郎君
運 輸 大 臣 中村三之丞君
郵 政 大 臣 田中 角榮君
労 働 大 臣 石田 博英君
建 設 大 臣 根本龍太郎君
国 務 大 臣 石井光次郎君
国 務 大 臣 河野 一郎君
国 務 大 臣 郡 祐一君
国 務 大 臣 正力松太郎君
国 務 大 臣 津島 壽一君
出席政府委員
内閣官房長官 愛知 揆一君
法制局長官 林 修三君
総理府事務官
(経済企画庁総
合計画局長) 大來佐武郎君
大蔵事務官
(主計局長) 石原 周夫君
委員外の出席者
専 門 員 岡林 清英君
—————————————
三月一日
委員中居英太郎君及び八木一男君辞任につき、
その補欠として今澄勇君及び北山愛郎君が議長
の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
昭和三十三年度一般会計予算
昭和三十三年度特別会計予算
昭和三十三年度政府関係機関予算
————◇—————
この発言だけを見る →午前十時二十五分開議
出席委員
委員長 江崎 真澄君
理事 今井 耕君 理事 川崎 秀二君
理事 重政 誠之君 理事 田中 久雄君
理事 橋本 龍伍君 理事 川俣 清音君
理事 柳田 秀一君
小川 半次君 大橋 武夫君
太田 正孝君 北澤 直吉君
河本 敏夫君 坂田 道太君
櫻内 義雄君 周東 英雄君
須磨彌吉郎君 中曽根康弘君
楢橋 渡君 野田 卯一君
船田 中君 古井 喜實君
松浦周太郎君 南 好雄君
宮澤 胤勇君 八木 一郎君
山口喜久一郎君 山崎 巖君
山本 勝市君 山本 猛夫君
井手 以誠君 井堀 繁雄君
今澄 勇君 岡田 春夫君
北山 愛郎君 小平 忠君
小松 幹君 河野 密君
島上善五郎君 田原 春次君
辻原 弘市君 成田 知巳君
西村 榮一君 古屋 貞雄君
門司 亮君 森 三樹二君
出席国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 唐澤 俊樹君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
文 部 大 臣 松永 東君
厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
農 林 大 臣 赤城 宗徳君
通商産業大臣 前尾繁三郎君
運 輸 大 臣 中村三之丞君
郵 政 大 臣 田中 角榮君
労 働 大 臣 石田 博英君
建 設 大 臣 根本龍太郎君
国 務 大 臣 石井光次郎君
国 務 大 臣 河野 一郎君
国 務 大 臣 郡 祐一君
国 務 大 臣 正力松太郎君
国 務 大 臣 津島 壽一君
出席政府委員
内閣官房長官 愛知 揆一君
法制局長官 林 修三君
総理府事務官
(経済企画庁総
合計画局長) 大來佐武郎君
大蔵事務官
(主計局長) 石原 周夫君
委員外の出席者
専 門 員 岡林 清英君
—————————————
三月一日
委員中居英太郎君及び八木一男君辞任につき、
その補欠として今澄勇君及び北山愛郎君が議長
の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
昭和三十三年度一般会計予算
昭和三十三年度特別会計予算
昭和三十三年度政府関係機関予算
————◇—————
江
江崎真澄#1
○江崎委員長 これより会議を開きます。
昭和三十三年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を議題といたします。質疑を続行いたします。河野密君。
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河
河野密#2
○河野(密)委員 私は社会党を代表いたしまして、本予算委員会におきまして今まで質疑を重ねて参りましたその質疑の中から、われわれとしてどうしてももう一度確かめておかなければならない問題について、重ねて政府の所見を承わりますとともに、今度の政府が提出になりましたこの予算に対しましては、私たちも系統的、組織的に一つの考え方を持っておりますので、これらの問題を開陳しながら政府の所見を承わりたい、かように考える次第でございます。
まず第一に総理大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、それは現在の政治情勢、特に二大政党対立といわれる現下の情勢に対して、岸総理はいかなる心がまえをもって政治の運営に当られておるかということでございます。いわゆる保守対革新の二大政党が対立しておるといわれておるのでありますが、御存じのように保守党の立っております基盤とその考え方、われわれ社会党の立っております考え方とその基盤、これは大きな違いがあるのであります。世界観におきましても違いがある。こういうように二つの政党が対立しておって、しかも考え方を異にしておるというような場合において、政権の移動あるいは政治の正常なる運営等については、特別なる考慮が払われる必要があると思うのであります。こういう情勢にあります国をほかに求めるとするならば、これはイギリスがその最も典型的なるものであると存ずるのであります。イギリスにおきましては伝統もあり、政治の情勢もわれわれと違ったところもありますが、少くとも野党に対しましては次に当然政府を組織するものである、こういう考え方のもとにおいて、与党も野党に対する考え方に一段の考慮が払われておるのであります。たとえて申しますならば、野党の首領は陛下の反対党の首領として特別なる待遇を受ける、こういうことに相なっておるのであります。私たちはもちろんこれを日本の現状において求めようとは存じませんし、またわれわれはそれを期待もいたしておりませんが、しかし与党と野党とが二つの政党として対立し、その二つ以外に政党がないという場合におきまして、政治の運営、政権の移動等についてどういう考え方を持っておるか、こういうことをまず私は総理大臣に承わりたいと思うのであります。
この発言だけを見る →まず第一に総理大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、それは現在の政治情勢、特に二大政党対立といわれる現下の情勢に対して、岸総理はいかなる心がまえをもって政治の運営に当られておるかということでございます。いわゆる保守対革新の二大政党が対立しておるといわれておるのでありますが、御存じのように保守党の立っております基盤とその考え方、われわれ社会党の立っております考え方とその基盤、これは大きな違いがあるのであります。世界観におきましても違いがある。こういうように二つの政党が対立しておって、しかも考え方を異にしておるというような場合において、政権の移動あるいは政治の正常なる運営等については、特別なる考慮が払われる必要があると思うのであります。こういう情勢にあります国をほかに求めるとするならば、これはイギリスがその最も典型的なるものであると存ずるのであります。イギリスにおきましては伝統もあり、政治の情勢もわれわれと違ったところもありますが、少くとも野党に対しましては次に当然政府を組織するものである、こういう考え方のもとにおいて、与党も野党に対する考え方に一段の考慮が払われておるのであります。たとえて申しますならば、野党の首領は陛下の反対党の首領として特別なる待遇を受ける、こういうことに相なっておるのであります。私たちはもちろんこれを日本の現状において求めようとは存じませんし、またわれわれはそれを期待もいたしておりませんが、しかし与党と野党とが二つの政党として対立し、その二つ以外に政党がないという場合におきまして、政治の運営、政権の移動等についてどういう考え方を持っておるか、こういうことをまず私は総理大臣に承わりたいと思うのであります。
岸
岸信介#3
○岸国務大臣 民主政治を国会を通じて現実に実現していく上から申しまして、私は従来この政党が二大政党になって、そうしてこれがお互いに切瑳琢磨して与党となり野党となって、そうして国会を通じて国民の前におのおのの主張を明らかにするというこの姿が、民主政治の進み方として最も望ましい形であるということをかねがね私は考えておったのでございます。しかして、この二大政党の間における政権の移動は、言うまでもなく選挙を通じて、いずれの政党を多数支持するかという国民の意思が選挙によって表明せられ、それが現実に両政党間の政権の移動として行われるということが望ましいのであって、民主政治があくまでも革命的な方法によって社会的、経済的、政治的各方面における非常な摩擦とそれから犠牲とによる激変を生ずることなく運営されるというためには、今申したような姿が一番望ましいことである、こう考えて私自身もその実現に努力して参ったのであります。
しかして現在の日本の二大政党のあり方につきましては、私は与党といい野党といい、十分にその民主政治を円満に実現していく上から申しますと、まだ互いに反省をし努力をしなければならない部分が非常にたくさんあると思います。特に二大政党があるということは、そこにおのおのの考え方につきまして、またこれを支持する国民的の基盤において違うから、当然こういうふうな二大政党が出ておるのでありますけれども、しかしその根本は、あくまでも民主主義、民主政治ということに立脚して、お互いが国民の間に広く支持層を持ち、またおのおのの考えというものを国民に十分徹底、理解せしむる方法によってあらゆる活動をしていくということが、当然われわれの義務として行なっていかなければならないことだと思います。その両政党の考えの違うところ、また立場の違う点につきましても、十分に国民にこれを理解、徹底せしめて国民の公正な批判を求めていくということが、当然二大政党の責務であろうと私は思います。しこうしてそれが現実の政治面において、国会を通じてこの論議が行われ、また現実の政治が実現されるという上におきましては、私は、立場が違い主張が違っておることにおいてもなお両政党の間で協力をし、民主政治、民主主義の完成という共同の目的のために、大いにお互いの力を合わすべきところにおいては合せていくという考え方を持って進んで参りたい、かように考えております。
この発言だけを見る →しかして現在の日本の二大政党のあり方につきましては、私は与党といい野党といい、十分にその民主政治を円満に実現していく上から申しますと、まだ互いに反省をし努力をしなければならない部分が非常にたくさんあると思います。特に二大政党があるということは、そこにおのおのの考え方につきまして、またこれを支持する国民的の基盤において違うから、当然こういうふうな二大政党が出ておるのでありますけれども、しかしその根本は、あくまでも民主主義、民主政治ということに立脚して、お互いが国民の間に広く支持層を持ち、またおのおのの考えというものを国民に十分徹底、理解せしむる方法によってあらゆる活動をしていくということが、当然われわれの義務として行なっていかなければならないことだと思います。その両政党の考えの違うところ、また立場の違う点につきましても、十分に国民にこれを理解、徹底せしめて国民の公正な批判を求めていくということが、当然二大政党の責務であろうと私は思います。しこうしてそれが現実の政治面において、国会を通じてこの論議が行われ、また現実の政治が実現されるという上におきましては、私は、立場が違い主張が違っておることにおいてもなお両政党の間で協力をし、民主政治、民主主義の完成という共同の目的のために、大いにお互いの力を合わすべきところにおいては合せていくという考え方を持って進んで参りたい、かように考えております。
河
河野密#4
○河野(密)委員 与党といい野党といい、二つの政党が議会政治あるいは民主主義という共通の土俵の上に上っておることは申すまでもございません。しからばこの二つの政党が、共通の土俵の上でいかなる政策上の違いによって相対立するものであるか、こういうことを検討いたしてみますと、私は最も大きな問題は外交政策の問題であると思うのであります。イギリスにおきましても、イギリスの労働党と保守党との従来の違いは、もっぱら経済政策にあった。内政上の問題にあったのでありますが、最近におけるイギリス保守党対労働党の対立は、主として外交政策にあるのであります。私も、わが国における保守対革新の二つの政党の対決の場面というものは外交政策であると思うのであります。経済政策あるいは貿易政策そういうような問題については、与党といい野党といっても、その違いは程度の違いにだんだん狭まりつつあると思います。しかし事外交政策の問題になりますと、これは与党と野党と大いに意見を戦わさなければならないところの問題である、かように考えるのであります。岸総理の言葉にこだわるわけではございませんが、岸総理は、社会党と対決するということをしばしば言われておりますけれど、社会党と対決の場面を一体どこに求められようとするのであるか。外交政策の面において社会党と政府党とは相いれない考え方を持っておるという立場に立たれるのであるか。それともどういう点において社会党との違いを強調されようとするのであるか、その対決されようとする場面はどこにあるのであるか、これを承わりたいのであります。
この発言だけを見る →岸
岸信介#5
○岸国務大臣 今私が申し上げましたように、両政党がその考え方やあるいは立っておるところの基盤を異にするということから、内政上また外交上、各方面に関して具体的の政策においてその意見を異にするということは、これは当然出てくると思うのであります。私は内政上におきましてもそういう点が幾多あると思いますし、また外交の点においてもあると思います。しこうして、これはあくまでも国会を通じておのおのが考えておる考え方を、あらゆる機会に十分に論議を尽し、国民にその考え方を明らかにするとともに、お互いはまた論議を通じて、お互い自身の考えというものに対して反省をし、また修正すべき考え直すべきことはお互い自身も直していくというところに、私はこの国会政治の論議というものには非常な意義があると思うのであります。一ぺん主張したからそれはたといどんなことがあってもその立場上、もう理非いかんにかかわらずこれを貫くのだという考え方は、多数党においても、あるいは少数党においても、あるいは与党、野党においても、私はやはりそこにゆとりを持って考えていかなければならぬと思うのであります。しかしあくまでも今の主張というものを、内政上また外交上のあらゆる面における両政党の考えの違い、具体的政策の違う点を、国会の論議を通じて国民の前に明らかにするということが、与党、野党の二大政党としての当然の責務であり、それを対決するという言葉をもって示すならば、私はそういうことが対決というものの内容でなければならぬと思います。しこうしてそれは、ただ単に外交だけではなしに、内政、外交の全般にわたる問題だと私自身は考えております。
この発言だけを見る →河
河野密#6
○河野(密)委員 今世界を見渡してみますのに、大体保守政党によって政権の維持されておる国々がございます。もう一つは、いわゆる共産党もしくは共産党を中心とする政権によって国政が運営されておる国々がございます。第三には、いわゆる広義の社会党政権と申しましょうか、そういうものが樹立されておるところの国々がございます。世間の分類によりますと、この第一と第三とを寄せて、これを簡単に自由主義諸国といっておるようでありますが、社会党政権の樹立されておる国々の外交政策あるいは政治の動向というものは、おのずから保守政権の樹立されておる国々とは違っておるように思われるのであります。私たち社会党の考え方といたしましては、この第三の社会党政権によって支配されている国々、アジアでいえばたとえばビルマであるとかセイロンであるとかいう国がそれであり、ヨーロッパにおいてはスエーデンとかノルウエーとかいう北方の諸国がそれでありますが、二つの陣営のいずれにも自主独立の立場をとるというこの社会党政権の目ざしている方向にわれわれの外交方針を向けていきたい、こういう考え方を持っておるのであります。かりに社会党が現在の岸内閣にかわって政権を担当する日がきたならば、われわれとしてはそういう方向をとりたいと考えておるのであります。その場合に、外交の政策が政権の移動によって大きく変化するということは、果して海外の諸国に与える影響がどうであろうかということを考慮いたした場合においては、日本のごとき保守政党と社会主義政党という二つの対立があって、しかもその二つの政党が考え方を異にしておるというような場合には、外交政策の面において何かの形で保守政党の側において考慮すべきではないか。もし保守政権にかわる社会党政権ができた場合においては、違った行くべき道がはっきりしておる。こういう場合には、外交の方針においても保守政党の側において考える余地があるのではないか、こういう感じがいたすのでありますが、岸総理はこの点について一体どうお考えになりますか。
この発言だけを見る →岸
岸信介#7
○岸国務大臣 外交政策その他内政におきましても私は同様なことが言えると思いますが、ことに外交政策において、政権の移動が方針の上において非常な激変を生ずるということは、その国の国際的立場なり国際的信用の上からいって望ましくないということはお話の通りであります。すなわち他の独裁政治やあるいは革命によって政権が移動されるというのと違って、平穏裏に、しかもその国として進んでいく大道が政権の移動によって非常に大きな激変をしないというところに民主政治の非常な特徴があり、またわれわれがそれをあくまでも守っていかなければならない理由があると思うのです。しこうして、先ほど私は、お互いが国会を通じての論議においてあくまでもその主張を明らかにしていく、それを国民に理解してもらうと同時に、お互いが反省し、お互いが協力すべきところにおいては協力するということを申し上げておいたのであります。今、河野委員は、外交政策についてそういうふうに両政党の根本的な考え方が違っておる、ついては保守党の方で何かその点について考えるべきじゃないかというお話でありますが、私は、これは両政党ともお互いの論議を通じ、また日本の長い将来を考え、国際的の立場というものを深く掘り下げて考えて、そうしてお互いが反省すべきものである。私は決して社会党にだけ反省を求めるものでもありませんが、同時に、河野君の言われるように、ただ単に保野党だけがそれについて何か考えなければならぬのではなく、お互いが考えるべき問題であると考えております。
この発言だけを見る →河
河野密#8
○河野(密)委員 その外交政策の問題について、この国会において取り上げられた問題はたくさんあると思います。しかしその一つ一つを今ここであげるわけには参りませんが、私の見るところによると、この国会において一番大きな外交政策上の問題が二つあると思うのであります。一つは、日本の防衛との連関における核兵器の問題でございます。核兵器の持ち込みを許さない、自衛隊に核兵器による武装をしない、こういうことは、本会議におきましても、この委員会においても、しばしば岸首相が言明されたところであります。この言明通りに現実が行われておるならば、国民は安心しておるのでありますが、事実はこれと必ずしも一致しておらない。ここに国民の大いなる不安があるのでありまして、これは日本の国民全体に関する問題であって、私は与党とか野党とか、保守党とか革新政党とかいう問題を超越した大きな問題であると思うのであります。そこで私は、岸総理にお尋ねをいたしたいのでありますが、岸総理は何を根拠として核兵器の持ち込みを禁止するとおっしゃられたのでありますか、岸総理が核兵器持ち込みを禁止すると言われたその根拠をお示し願いたい。単なる首相の考え方として自分はそう思っておるというのであるか、あるいは何らかの根拠があって核兵器の持ち込みは許さないのである、こういうことを言われたのであるか、その根拠をお示し願いたいと思います。
この発言だけを見る →岸
岸信介#9
○岸国務大臣 核兵器の禁止問題、従ってひいて日本の武装を核兵器をもってしないということは、私は、これは日本国民の深い胸奥から出てくるところの国民的感情であると思います。そうしてその根拠には、人道的な考え、またわれわれ自身が体験したことに基く感情というものが基礎になっておって、いかなる人が政治の衝に立とうとも、この国民的の信念を実現するということが政治家の当然の義務であるというのが私の一番強い根拠であります。憲法上、あるいは核兵器といわれるところのものがどうなるかというような議論もございます。また核兵器の実情というものがいろいろ変化もしつつあるということでありますけれども、私の主張しておりまた自分が確信を持って強く述べておることは以上に尽きるのであります。
この発言だけを見る →河
河野密#10
○河野(密)委員 核兵器の持ち込みを許さないというのは、日本国民の国民的感情である。その国民的感情というものを代弁して自分は言っておるのだ、こういう御趣旨であります。私は、岸首相のお気持としてはこれはよくわかるのであります。わかりますけれども、これをもって核兵器の持ち込みを禁止するということを、岸首相のただ単なる考え方である、国民感情であるということで、他国にその考え方を徹底させることはできません。またその考え方をもって、政治の運営を貫いていくことはできません。一体根拠はどこにあるのか、ないならば別であります。もし岸総理が御存じないならば、私がその根拠をお示ししてもよろしいのでありますが、その根拠を一体どこに求めておられるのか。私はそういう一国の政治をおとりになる以上は、単なる国民感情だからというような、そういうあやふやなことではこの問題は解決できないと思います。
この発言だけを見る →岸
岸信介#11
○岸国務大臣 世界における軍事科学の発達が、いろいろな兵器を作り上げております。しこうして過去におきましては、あるいは毒ガスであるとか、あるいはばい菌を用いるというようなことが研究され、また一部においてそれが実戦に用いられたこともございます。これらに対しては、文明国は国際条約でこれを禁止するということをとっております。私は今日までのこの核兵器、原水爆の被害というものが、ただ単にその時代の人だけでなくして、さらに次の世代にも、あるいはその次の世代にも悪影響を及ぼすという学問的な研究から見まして、人類の文明の名誉にかけても、こういう兵器をお互いが無制限に用いるということは、当然高い人道的見地から、これは禁止されるべきものであると思います。またそれに向って日本が努力をするということは当然であり、またわれわれの体験から見ましても、これを強く世界に訴えて、そういうものの禁止の方向にあらゆる努力を傾倒すべきものである、こういう見解を持っております。私はただ単に国民の一時的感情を云々しておるわけではございません。この考え方は、私は日本国民の一つの胸の底に強い根拠を持っておる感情であり、あるいは信念と申してもいいと思います。これを実現するということは、ただ単に岸一個が思いつきでどうだということでなくして、私は先ほど申したように、何人が政治の衝に当ろうとも、われわれがこの国民的の強い信念であり考え方というものを実現するということは当然の義務である、こういうことが私の一番強い政治的の根拠であります。
この発言だけを見る →河
河野密#12
○河野(密)委員 私は総理大臣が千万言を費してここで御答弁なさっても、それは一つの核兵器持ち込みを禁止するという力にはならないと思うのであります。私の見るところによりますと、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の第九条を開いていただきたいと思うのでありますが、いわゆるMSA協定であります。MSA協定の第九条には、第一項において、「この協定のいかなる規定も、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約又は同条約に基いて締結された取極をなんら改変するものと解してはならない。」こう書いてあります。第二項には、「この協定は、各政府がそれぞれ自国の憲法上の規定に従って実施するものとする。」と書いてあります。これは一体何のために、この第九条の二項を加えたのでありましょうか、「各政府がそれぞれ自国の憲法上の規定に従って実施するものとする。」こういうことが厳然と書いてあるのであります。安保条約の前文の中には、こういうふうに書いてあります。「日本国が、攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従って平和と安全を増進すること以外に用いられうべき軍備をもつことを常に避けつつ、」と、こう書いてあるのであります。この安全保障条約の前文にある「攻撃的な脅威となり」あるいは「平和と安全を増進すること以外に用いられうべき軍備をもつことを常に避けつつ、」というこの言葉は、MSA協定の第九条の第一項において、そのまま守られておるのであります。そこでこのMSA協定の第九条の一項によっても第九条の二項によってもはっきりとしておることは、日本においての軍備というものは、日本の憲法で規定されておること以外のものは許されないのである、こういうことがきわめて明確であるのであります。この明確なること、日本の憲法に規定されておる、日本の憲法の条章に従って行うものであるというそのことを、あなたが信念として、自分は日本の憲法の条章によって日本の政治を行なっておる限りにおいてというその考え方をお持ちにならないから、それを根拠として核兵器の持ち込みを禁止するのだというきぜんたる態度をおとりになることができないから、私は国民が安心できないのだと思うのであります。岸総理自身の千言万語の信念を国民は聞いておるのではないのであります。このMSA協定においても、安全保障条約の前文においても明確にいわれておる。実際において何を根拠として岸総理は拒否しておるかという、そういうことを国民は実際は聞きたいのであります。その点を私は明確にしていただきたいと思います。
この発言だけを見る →岸
岸信介#13
○岸国務大臣 先ほども私、憲法上の議論もございますがということをちょっと一言触れておいたのでございますが、私はむしろそれよりももう少しこの問題は、政治家として強い信念を本質的に申し述べることが適当であると思って申したわけでございます。しこうして今の安保条約あるいはMSA協定を御引用になりました御趣旨は、これは当然その通りでございます。
この発言だけを見る →河
河野密#14
○河野(密)委員 この条文によりまして、日本はアメリカからMSA協定に基いて受け入れる武器においても核兵器というものは許されない、自衛隊も核武装をしないということは、何も岸総理の信念によってやるのではなくて、憲法を実施することを前提としておるMSA協定、日米安全保障条約というもので明確なのであります。
さてそれならば、岸総理にお尋ねしたいのでありますが、日本に配備されておるところのアメリカ駐留軍が核兵器を持ち込まない、核兵器によって武装されることがないという保障は、これは一体何を根拠にして岸総理は言われるのでありましょうか。これを承わりたいのであります。
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岸
岸信介#15
○岸国務大臣 その点はしばしば議論されておりますように、日本がこれを同意しない限りはそういうものが持ち込められない。それは今度の安保条約のことから生起する各種の問題を協議するためできております日米安保条約による日米委員会において当然協議され、そしてそれの意見が一致しなければ、日本の意思に反して持ち込まれることはないということを申しております。それは、配備ということには、われわれは当然そういう装備を含むものであるという解釈も明らかにいたしておる通りでございます。
この発言だけを見る →河
河野密#16
○河野(密)委員 私はその点について岸総理の考え方というものが非常にあいまいだと思うのであります。岸総理は本委員会における同僚の今澄委員の質問に答えまして、日米共同声明で軍隊の配備及び使用の、配備の中には装備も含むから、核兵器の持ち込みを禁止し得るものであると考えておる、こういうようにお答えになっております。またただいまもお答えになりましたように、そういうことで、この共同声明のいわゆる軍隊の配備及び使用ということであるからして、これは持ち込むことはできないんだ、一方的に持ち込むことはないんだ。また多くのところで、法律上、条約上の根拠はないんだけれども、両国の親善関係から見て核兵器の持ち込みはあり得ない、アメリカが日本との親善を考える以上は、日本国民が拒否しておる核兵器の持ち込みということはないんだ、こういうように言っておるように思うのであります。この言葉によりますと、岸総理の考えておるところによると、日本に核兵器を持ち込んではいけないということは、条約上もしくは法律上の根拠がないというふうに考えおるようでありますが、そう岸総理はお考えになっておるのでありますか。日米共同声明以外には何らの根拠はないんだというふうにお考えになっておりますか。
この発言だけを見る →岸
岸信介#17
○岸国務大臣 御承知の通り、先ほど御引用になりました日本の自衛隊の基礎というものは、その装備まで含めて、すべて憲法の規定が法律的には中心になっておることは言うを待ちません。しかし、私は、現実の問題として一番大事なことは、日米共同声明に基くところのこの委員会の運営によりまして、現実の問題を処理するという意味においてそういう答弁をいたし、そしてその共同声明というものは両国の完全なる理解と協力関係に基いておりますし、日本の国民感情というものを無視してこれが運営されることはないということも、委員会設置の一つの目的にも明らかにいたしてありますことを考慮して、さように申し上げておるわけであります。
この発言だけを見る →河
河野密#18
○河野(密)委員 きわめて不明確でありますが、私は日米共同声明というものが安保条約の不備な点を補充したものであって、むしろ日米共同声明のいわゆる安保委員会によって核兵器の持ち込みというものが困難になったのである、それで初めて禁止されたのであるという考え方というものは、これは私は岸総理の詭弁であると思います。そうではなく、むしろ日本の憲法、それからMSA協定、安全保障条約、そういうものがあって、そういうものの上に安保委員会というものが初めて意味を持つのである。日本の態度、私はこれは岸総理が千言万語を費すよりは、日本のその間における憲法を中心としてという、その憲法の条章を変えるものでないのだというその点についてのきぜんたる態度さえ持っておれば、あとはおのずから解決する問題であろうと思うのでありますが、この点についての岸総理は国会の答弁を通しても非常にあいまいであります。この点についてはなお申し上げたいのでありますが、あとで同僚の委員からも追及があると思いますから、私はこの程度にいたしておきます。ともかく日米共同声明によってこの核兵器持ち込みが禁止できるんだというような、そういうばかなことはないはずだ、私はそういう考え方には承服するわけには参りません。
その次に、この国会で取り上げられました重要な問題は、日ソ関係の問題であります。現在漁業交渉が進展いたしておりまするし、事は微妙でありますから、私は必ずしもすべてを伺おうとは存じませんが、本委員会において明らかになりました点について、なおわれわれがふに落ちない問題をお尋ねしたいと思うのであります。
藤山外務大臣の本委員会における御答弁によりますと、日ソの現在の交渉は、昨年の六月にソ連政府に安全操業の問題について話し合いの申し入れをした、八月の十六日に口上書をもって交渉に入る用意があるとの回答に接した、そこで日本政府は安全操業に関する案を作ってソ連政府に申し入れをしたところが、なかなか返事が来ないで、昨年の十二月、日ソ漁業委員会でやることを回答してきたので、日ソ漁業委員会で交渉に入った、ところが本年の二月五日になって平和条約の問題と関連するといってきたので、さらにこれに対する日本政府の意向を伝えた、ところが昨日になってソ連政府の側から、河野・イシコフ交換文書についてソ連側の意向が伝えられた、こういう段階を経てきておるように承知するのでございます。
この交渉に当っての日本政府の態度を見ますと、本委員会における政府——岸首相並びに藤山外相の発言の経過を見ますと、安全操業交渉をする法的の根拠はないけれども、零細漁民の生活問題であるから交渉したいと申し入れたというように受け取れるのであります。口上書をもって応諾してきたから要求条項を提案したが、元来漁業委員会において安全操業の問題を交渉することは間違いであると考えておるけれども、向うが交渉に応ずるというのであるから、便宜漁業委員会というものでその交渉に入った、しかし安全操業の問題は漁業委員会で決定すべき性質の問題でなく、領土、領海の問題と関係のある問題であるから、平和条約と関連せしめてもよろしい、こういうように考え、少くとも並行的に行うべきものであるというように考えた、こういう答弁をいたして参っておるのであります。ところが政府はその後この考え方をやめて、平和条約の交渉と安全操業の問題とは厳に切り離してこれを交渉するのであるから、こういう態度に変られた。本委員会における答弁においても、私は一々は御指摘いたしませんが、政府の考え方は二転、三転非常な動揺をいたしておるのであります。これはなぜであるか、私は政府の日ソ交渉に対する確固たる方針がないからであると思うのであります。安全操業の問題、漁業交渉の問題並びに平和条約の、この三者の関係について、政府は一体どういうものであるとお考えになっておるのであるか、これはまず岸総理もしくは藤山外務大臣から承わりたいと思います。
この発言だけを見る →その次に、この国会で取り上げられました重要な問題は、日ソ関係の問題であります。現在漁業交渉が進展いたしておりまするし、事は微妙でありますから、私は必ずしもすべてを伺おうとは存じませんが、本委員会において明らかになりました点について、なおわれわれがふに落ちない問題をお尋ねしたいと思うのであります。
藤山外務大臣の本委員会における御答弁によりますと、日ソの現在の交渉は、昨年の六月にソ連政府に安全操業の問題について話し合いの申し入れをした、八月の十六日に口上書をもって交渉に入る用意があるとの回答に接した、そこで日本政府は安全操業に関する案を作ってソ連政府に申し入れをしたところが、なかなか返事が来ないで、昨年の十二月、日ソ漁業委員会でやることを回答してきたので、日ソ漁業委員会で交渉に入った、ところが本年の二月五日になって平和条約の問題と関連するといってきたので、さらにこれに対する日本政府の意向を伝えた、ところが昨日になってソ連政府の側から、河野・イシコフ交換文書についてソ連側の意向が伝えられた、こういう段階を経てきておるように承知するのでございます。
この交渉に当っての日本政府の態度を見ますと、本委員会における政府——岸首相並びに藤山外相の発言の経過を見ますと、安全操業交渉をする法的の根拠はないけれども、零細漁民の生活問題であるから交渉したいと申し入れたというように受け取れるのであります。口上書をもって応諾してきたから要求条項を提案したが、元来漁業委員会において安全操業の問題を交渉することは間違いであると考えておるけれども、向うが交渉に応ずるというのであるから、便宜漁業委員会というものでその交渉に入った、しかし安全操業の問題は漁業委員会で決定すべき性質の問題でなく、領土、領海の問題と関係のある問題であるから、平和条約と関連せしめてもよろしい、こういうように考え、少くとも並行的に行うべきものであるというように考えた、こういう答弁をいたして参っておるのであります。ところが政府はその後この考え方をやめて、平和条約の交渉と安全操業の問題とは厳に切り離してこれを交渉するのであるから、こういう態度に変られた。本委員会における答弁においても、私は一々は御指摘いたしませんが、政府の考え方は二転、三転非常な動揺をいたしておるのであります。これはなぜであるか、私は政府の日ソ交渉に対する確固たる方針がないからであると思うのであります。安全操業の問題、漁業交渉の問題並びに平和条約の、この三者の関係について、政府は一体どういうものであるとお考えになっておるのであるか、これはまず岸総理もしくは藤山外務大臣から承わりたいと思います。
岸
岸信介#19
○岸国務大臣 御承知のように、日ソの漁業条約に基きまして、年々におけるサケ・マスの漁獲量をきめるために、委員が両国において任命をされ、第一回は東京において会合を開きました。この委員会において、枝術的並びに科学的根拠において専門家が漁獲量を幾らにすべきかということを年々きめて、両国政府にその意見を出して、そうして両国政府においてそれをきめるような建前になっております。従いまして、漁業委員会における折衝というものは、漁業条約に基いて年々定期的に、ちょうど漁期がございますので、その漁期に間に合うように、その年の漁獲量また漁業の状況等をにらみ合して検討し、結論を出すという建前になって、本年はモスクワでというように、かわるがわる両国の間で、その会議を開く場所をきめておるわけであります。これはそういう年々の、漁業条約に基く定例的なものでございます。
しこうして安全操業の問題は、いわゆる千島等の、従来沿岸漁業を戦前からずっとやっておった漁民が、相当多数北海道に引き揚げて参ってきております。これらの人々が従来の漁業を続けようとしますと、あるいは領海の問題に関しての日ソ両国の間の考えが違うとか、あるいは領土問題が解決しておらない現状から、われわれの方からいいますと不法に拿捕されるという、あるいはソ連はソ連の立場から当然拿捕するというような、この問題が北洋においてしばしば起っておることも御承知の通りであります。これに対して、安全にこれらの人々が操業できるようにするということは、人道的立場から申しましても、また実際上ソ連の漁業上の利益を侵害するという点のきわめて少い点から考えましても、これは当然考えてもらうべき、少くとも日ソ両国の友好関係を増進するという立場に立つ以上は、当然善意を持って、好意を持って、両国の主張を調整した結論が出さるべきものである。しこうしてそれは領土問題が解決すれば、またそれがわれわれの希望するように、われわれの要望しておるように解決するならば、その問題は大多数自然解決する問題でございますけれども、その領土問題自身が、過去の交渉から見ましても、両国の主張が相対立して、なかなかこれの一致点を見出すことがむずかしいという問題でございますので、それが解決するまでの暫定措置として、少くとも日ソ両国の友好関係を増進するという見地に立つ以上は、この安全操業の問題を何らか解決して、先ほど来申しておるような事態、これを解決しようということをわれわれとしては当然考えまして、それを安全操業の問題としてソ連側に提案をいたし、今おあげになりましたような経過をとってきておるのであります。これはあくまでもわれわれからいうと、この領土問題を解決するまでの暫定的な措置として、この問題を解決したい、安全操業ができるようにしたいという考えに基いているものであり、そのことをよくソ連側にも徹底、理解せしめて、そうして一時はこれがそういう方向において——具体的の内容についてはあるいは両国の意見が違うかもしれぬけれども、方向としてはそういう点が理解を得たものだと私どもも一時は考えておったのであります。しかしそれがさらに領土問題に結びついてきて、平和条約を結ぶということを前提としてでなければ話に乗らないというふうな態度を示してきたわけでございます。そこでわれわれとしては、今申したような性格をもって、安全操業の問題は安全操業の問題としてこれをあくまでも交渉する、そうして領土問題を含む平和条約の締結の問題は、これは日本があの共同声明によって国交を復交する前から、われわれは平和条約を結ぼうというあらゆる努力をしてきたのであります。しかるに領土問題についてのわれわれの絶対譲れない線というものに対して、ソ連側がこれをとうてい認めないということのために、ついにその問題を継続審議とし、他日解決する問題として、共同声明によって国交を正常化した、こういう沿革のある問題でございまして、従ってソ連側において、私は日本のわれわれが主張しておる領土問題に対する要望に対して耳を傾けるという態度で、平和条約締結の交渉に当ってくるならば、われわれはこれに入る用意があるということを申しておるのでありまして、この三つをはっきりと、今言ったような性格の差異を頭に置いて、そうして交渉をしていくというのが私どもの考えでございます。
この発言だけを見る →しこうして安全操業の問題は、いわゆる千島等の、従来沿岸漁業を戦前からずっとやっておった漁民が、相当多数北海道に引き揚げて参ってきております。これらの人々が従来の漁業を続けようとしますと、あるいは領海の問題に関しての日ソ両国の間の考えが違うとか、あるいは領土問題が解決しておらない現状から、われわれの方からいいますと不法に拿捕されるという、あるいはソ連はソ連の立場から当然拿捕するというような、この問題が北洋においてしばしば起っておることも御承知の通りであります。これに対して、安全にこれらの人々が操業できるようにするということは、人道的立場から申しましても、また実際上ソ連の漁業上の利益を侵害するという点のきわめて少い点から考えましても、これは当然考えてもらうべき、少くとも日ソ両国の友好関係を増進するという立場に立つ以上は、当然善意を持って、好意を持って、両国の主張を調整した結論が出さるべきものである。しこうしてそれは領土問題が解決すれば、またそれがわれわれの希望するように、われわれの要望しておるように解決するならば、その問題は大多数自然解決する問題でございますけれども、その領土問題自身が、過去の交渉から見ましても、両国の主張が相対立して、なかなかこれの一致点を見出すことがむずかしいという問題でございますので、それが解決するまでの暫定措置として、少くとも日ソ両国の友好関係を増進するという見地に立つ以上は、この安全操業の問題を何らか解決して、先ほど来申しておるような事態、これを解決しようということをわれわれとしては当然考えまして、それを安全操業の問題としてソ連側に提案をいたし、今おあげになりましたような経過をとってきておるのであります。これはあくまでもわれわれからいうと、この領土問題を解決するまでの暫定的な措置として、この問題を解決したい、安全操業ができるようにしたいという考えに基いているものであり、そのことをよくソ連側にも徹底、理解せしめて、そうして一時はこれがそういう方向において——具体的の内容についてはあるいは両国の意見が違うかもしれぬけれども、方向としてはそういう点が理解を得たものだと私どもも一時は考えておったのであります。しかしそれがさらに領土問題に結びついてきて、平和条約を結ぶということを前提としてでなければ話に乗らないというふうな態度を示してきたわけでございます。そこでわれわれとしては、今申したような性格をもって、安全操業の問題は安全操業の問題としてこれをあくまでも交渉する、そうして領土問題を含む平和条約の締結の問題は、これは日本があの共同声明によって国交を復交する前から、われわれは平和条約を結ぼうというあらゆる努力をしてきたのであります。しかるに領土問題についてのわれわれの絶対譲れない線というものに対して、ソ連側がこれをとうてい認めないということのために、ついにその問題を継続審議とし、他日解決する問題として、共同声明によって国交を正常化した、こういう沿革のある問題でございまして、従ってソ連側において、私は日本のわれわれが主張しておる領土問題に対する要望に対して耳を傾けるという態度で、平和条約締結の交渉に当ってくるならば、われわれはこれに入る用意があるということを申しておるのでありまして、この三つをはっきりと、今言ったような性格の差異を頭に置いて、そうして交渉をしていくというのが私どもの考えでございます。
河
河野密#20
○河野(密)委員 総理大臣のるるとしての御答弁でございますが、私はこれはもう少し率直に言ってわかる問題だと思うのです。要するに安全操業の問題というものは、これは領土、領海の問題と関連がある、漁業委員会の問題というものは漁業条約に基くものであって当然の問題である。もし漁業条約の問題を領土の問題と関連させる、あるいは平和条約の問題と関連させるというならば、ソ連の主張というものは不当であるということが言い得ると思うのであります。しかしながらこの安全操業の問題は漁業条約の問題じゃないわけなんです。政府の考え方というものはちっともその点についてのけじめがついておらぬ。これは向うを責むべきところも責めておらないし、向うが正当なことを言ってきたものに対して正当に応対するという態度もとっておらない、言いかえるならばまるでつかみ勘定みたいな交渉をしておるというところに、私は日ソ交渉の進展しない理由があるのじゃないか、こう思うのであります。これは藤山外務大臣にお尋ねいたしますが、藤山外務大臣は、今でも安全操業の問題を漁業委員会の交渉で一緒にやったということについては、失敗であったというふうにお考えになっておりますか。それともこれでよかったのだというふうにお考えになっておりますか。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#21
○藤山国務大臣 安全操業の問題を漁業委員会でやったらどうだという話はございました通りであります。しかしながらそれに対してわれわれとしては、漁業委員会と暫定的な安全操業という問題とは全く内容が違うのだから、同時にやるわけにはいかぬ。しかしながら時間的な意味で並行してやる、また人の便宜の上で一つのところでやるということについてもしソ連側が考えるならば、そういう意味において進めることは差しつかえない。しかし性質は全く違うのですから、漁業委員会の中でやるということは、われわれは応諾したわけではございません。
この発言だけを見る →河
河野密#22
○河野(密)委員 そういたしますと、私は総理並びに外務大臣にお尋ねいたしますが、この安全操業の問題は、これは漁業委員会で決定すべきものではない、だからこれは平和条約の交渉と関連せしめることがいいのだというふうに言ってきた向うの立場はお認めになるわけですね。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#23
○藤山国務大臣 漁業委員会と安全操業の問題の性格が別だということはただいまで御了承を得たと思うのでございます。安全操業の問題は、あくまでも平和条約を締結するために両国の関係を友好に進めていく、それにはこういう問題があってもいけないから、暫定的にそういう話し合いを進めていこうということが趣旨なんでありまして、従いましてその問題として討議さるべきことが適当であるので、われわれは平和条約とこれを関連してでない、平和条約の前提としてこういうものができるまでの間暫定的にやりたいということを申したわけであります。しかし向うは平和条約の交渉と一緒にしてきております。従ってさっき総理も答弁されましたように、平和条約の問題につきましては、日本側の領土に対する考え方を向うが十分のみ込むならば、それはやれるじゃないかということなんでありまして、これと関連してやるということを申しておるわけではございません。
この発言だけを見る →河
河野密#24
○河野(密)委員 私は失礼ですけれども、当委員会において私も出席をいたしましてしばしば伺いましたし、この速記録もたんねんに調べてみたのでありますが、政府のこの点に対する考え方というものは混乱そのものであります。なぜかと申しますと、藤山さんの言葉をかりれば、安全操業の問題は領土、領海の問題であるから、平和条約と関連せしむると向うが言ってきたのも一応うなずけるから、平和条約と込みでやってもいいということをあなたはこの委員会で答弁をしておられるわけであります。それから安全操業の問題と平和条約の交渉というものは並行的にやってもよろしいのだということを言っておられるのであります。ところがそれが突如として、私は率直に申しますが、与党の中における外交部会を中心とする強硬論が、安全操業の問題は安全操業の問題、平和条約の問題は平和条約の問題だ、両者を一緒にしようなんというのはソ連の陰謀だ、こういうことでもってこれを分離しろという意見が強硬に出てきたので、国会の中の答弁もその日からお変りになって両方は分離しておやりになる、こういうことを御答弁になっておるのであります。それから最近ソ連が河野・イシコフ会談に対する覚書の問題というものを持ってきた。これもソ連のいろいろな策謀であると言っておるようでありますが、漁業委員会の交渉というものは漁業条約に基いて、この漁業条約は平和条約に関係なくすでに両国が批准をして、これは効力を発生しておるのでありますから、この効力を発生した漁業委員会の交渉について、これを遷延するとか、あるいはこれに対していろいろな難くせをつけるとかいうならば、私はきぜんたる態度をもって、断固たる態度をもってソ連の不信を責めてよろしいと思うのであります。ただその場合に、河野・イシコフ覚書があったかなかったか、あるいはその間の話し合いがあったかなかったかということは、事実の問題でありますから、これは別個に究明さるべき問題であろう。しかし向うがこれを平和条約と関連せしむるというならば、日本政府としてきぜんたる態度をとるべきだ。しかし安全操業の問題は領土、領海の問題で、もともと漁業委員会において交渉すべき筋合いのものでないと日本政府も考えているならば、別途それについては政府の態度を考えるべきである。しかるにこれらのものをみんな込みにしてしまって、そして強がらなくてもいいところに強がってみたり、押すべきところを押さないでみたり、政府の外交方針というものは率直に言えばなっていないと思うのでありますが、この点総理はどうお考えになりますか。
この発言だけを見る →岸
岸信介#25
○岸国務大臣 漁業委員会の問題についての河野委員のお考えは私も全然同感であります。すなわち、れわれわの間に結ばれている漁業条約上の先ほど申したように施行に関する問題でありますから、これに対して条約の趣旨にもとるような主張が出てきたことに対しては、きぜんとしてこの条約の趣旨を貫いていくべきだという河野委員のお考えには私は全然同感であります。しこうしてこの安全操業の問題と平和条約の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、平和条約において領土問題が解決すれば、安全操業の問題も大部分解決するという意味において領土、領海の問題に関連のあることは御指摘の通り私もそう思います。しかしわれわれが従来交渉をした経過は、昨年の六月以来の交渉は、要するに領土問題については両国の意見がなかなか調整できない、実際やってみて、過去においてわれわれが経験したものからいい、またわれわれはその当時の考えを変えておらないし、ソ連も変えておらないという現実に基いてこの問題を解決するということをやるのでは、なかなか安全操業の問題は実現がむずかしい。従ってそれが解決される前に暫定措置をとろうというのが交渉の趣旨でございますし、その意義がそこにあるわけであります。従ってその問題はその問題としてあくまでも最初のわれわれの考え通り押していく、またこの平和条約の問題については、われわれの主張に対してソ連が従来の態度を改めるということの見通しがつくならば、これに入って交渉しよう、こういう考えであることは、従来の経過から考えていくならば当然の帰結であり、そこに何の混乱もなければ、また考えの相違もあり得ない問題であると思います。
この発言だけを見る →河
河野密#26
○河野(密)委員 岸総理の今の御答弁で明確になりましたが、安全操業の問題というものは、結局するところは平和条約と根本的な関連のある問題である。そこで岸総理にお尋ねをしたいのであります。平和条約に対して向うの考え方を変えない限りはとおっしゃいますが、どの程度に日本政府はこの平和条約についてソ連側と交渉をなさいましたか。二年以内の間に政府はこれに対してどれだけの交渉をして、どういう結果においてこの領土問題に対しての見込みはなかなか困難であるという政府の見解がおできになったのか、その間の経緯を一つ明らかにしていただきたいと思います。
この発言だけを見る →岸
岸信介#27
○岸国務大臣 正式にこの問題についての交渉を共同宣言をいたしましてからやっておりません。私はしばしば国会を通じて申し上げているように、この問題に関しては日ソの友好関係を増進し、そしてソ連側において日本の国民的要望を十分に理解し、これに同情を持つような基礎を作っていかなければ、この問題を解決することはできないというのが私の根本的の考えでありまして、あるいは漁業条約の第一回の委員会を通じ、またさらに貿易協定等を作るというようなことをだんだん進めて参りました。ことに私はやはり安全操業の問題も、両国の友好関係を増進し、また領土問題に関する日本国民の要望をソ連側が理解する大事な一段階と考えて、これが友好的な解決をはかろうというような措置に出たわけであります。しかし、この間において、公式な両国の間の交渉はございませんが、いろいろなことに触れて、ソ連側の声明やあるいは考え方というものが、タスその他のなににおいても、あるいは要人の口からいろいろ言われておるということも、河野委員も御承知のような状況でありまして、まだソ連側がその点において意見を変えておらないというのが私どもの見解でございます。
この発言だけを見る →河
河野密#28
○河野(密)委員 交渉を一つもしておらなくて、ソ連側が意見を変えておらないとか、あるいは領土の問題は困難だとかいうことをひとりぎめにしておるところに、私はこの問題の非常な難点があると思うのであります。困難であればあるように、体当りでぶつかるという手もあるのでありまして、そこらのところは、政府側において、この安全操業の問題等について交渉をする場合においても、この問題に私はもっと積極的であるべきだと思うのであります。われわれも北方の領土の問題については確固たる考え方を持っておりますが、しかしそういう場合こそ私は政府が野党に呼びかけて、野党にこの問題についての協力を懇請するというような手がないとは言えないのでありまして、そういう問題については、私はもっと政府も積極的な、率直な態度をとるべきであろうと存ずるのであります。私たちは決して北辺の領土に対して政府と違った考え方を持っておるわけではないのでありまして、その交渉の過程、あるいはそういう問題についてわれわれに協力を求めるという態度こそは、私は望ましいと思うのであります。
そこで政府の考え方がはっきりいたしましたから、今度は漁業委員会における向う側の主張というものが理不尽であるか、あるいは理不尽でないか、何らかの根拠があるのかということは、ソ連側が発表したといわれる河野・イシコフの話し合い、あるいは覚書、文書の交換というものがあるかないかというような問題にかかってくるわけでありますが、私はその点、もし向うの言うことが不合理であるならば、日本政府としては、こういう問題こそはきぜんたる態度をとってよろしいと思うのであります。大へんあれですが、これは当事者である河野氏の差しさわりのない限りにおける言明が、この場合私は必要ではないかと思うのであります。
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河
河野一郎#29
○河野国務大臣 その点につきましては、昨日も申し上げました通り、話し合いは、イシコフ氏の方から、るる要請せられましたが、それは、わが方においては、すでに計画もいたしておることであるから、それは困るということで、当時これは——長くなりますが、その前年におきまして、日本側が試験操業をいたしました結果、相当この方面に鮭鱒の回遊が多いということで、大規模な計画を立てておったのであります。しかし、先方の言われますことも、ごもっともに聞える点もありましたので、これを話し合いの結果、二船団に限定いたしまして、そうして両者の間の意見の一致を見た、こういう結論でございます。今言われますような交換文書のごときは、むろんこれはございませんし、ただ先方からそういう要請もあって話し合いをしたということだけは間違いありません。結論は今申し上げた通りの結論になって別れた、こういうことであります。(「話し合いの結果はどうなっているのか」と呼ぶ者あり)話し合いの結果は、二船団わが方が出漁するということで両者の意見を一致いたしまして、わが方は、当時二船団出漁いたしました。引き続き昨年も二船団を出漁いたしておりますということでございます。
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