淵上房太郎の発言 (商工委員会)

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衆議院議員(淵上房太郎君) ただいま議題どなりました水洗炭業に関する法律案につきましてその提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
 炭鉱地帯なかんずく九州北部の炭田地帯におきましては、いわゆるボタを水洗選別して石炭を収拾する水洗炭業者の数は、相当数に上っておるのでありまして、これを福岡県の例について申し上げれば、昭和三十二年五月末現在におきましては、業者数五百五十三、水洗個所五百六十一、該当市町村三十九、従業員数六千八百六人、推定月産トン数七万八千百六十四トンに達しております。
 この意味におきましては、水洗炭業は低品位炭の供給と、失業者の吸収という面において貢献するところも少くないのでありますが、他面その施業により、河川道路等の公共施設を損壊し、あるいは洗炭汚水により田畑等に損害を与える等、社会公共の福祉を著しく阻害している実情であります。
 これらの水洗炭業者の施業により発生する被害の態様は、掘採のための陥没等によるものを除きましては、中小炭鉱の鉱害と類似し、場所的にもこれらと競合することが多いのであります。しかるに、炭鉱の鉱害にあっては被害発生の防止につきまして鉱業法、鉱山保安等により、国家の監督について法的な根拠が与えられ、被害者保護のためには炭鉱の無過失責任等も認められておるにもかかわらず、水洗炭業者につきましては、何らの法的な措置も講ぜられておりません。現在市町村といたしましては条例の制定等により、取締りを行なっており、また、河川法適用河川等につきましては、河川法の運用等により、これを規制しておるのでありますが、炭鉱の被害とその取扱いが異るため、これと比較して被害発生の防止並びに被害者の保護の点において完璧を期することが困難であり、種々不合理が生じている実情であります。もとより、水洗炭業は鉱業ではありませんので、これに鉱業法を適用することはできませんが、その施業によって発生する被害の防止と、被害者の保護のため必要な限度においては、鉱業法と同様に国の法律による規制措置が必要であります。
 従いまして、本法律案は水洗炭業者に対しまして、登録制度を採用し、かつ被害発生のおそれの多いものについては、登録を拒否することを得ることとし、また、施業中の者に対しましては、都道府県知事が改善命令をなす等によりまして、極力被害の発生を防止することができるよう規定いたしまして、これにより水洗炭業の健全な運営が確保せられることを期待いたしますとともに、水洗炭業者に対しまして、鉱業法に準ずる無過失賠償責任と、保証金の供託義務を課し、被害者の保護に万全を期することといたしたのであります。
 以下、本法律案の内容につきまして、主要な点を御説明申し上げます。
 第一は、水洗炭業者の登録制度の採用についてであります。すなわちこの法律案におきましては、水洗炭業は都道府県知事の登録を受けなければこれを営むことができないことといたしますとともに、登録の実施に際し、その施業により公共の福祉を害するおそれのあるもの等につきましては、都道府県知事がその登録を拒否し得る道を開き、これにより、被害を発生せしめるおそれの多い業者はこれを登録しないことができることとしているのであります。
 第二は、事業改善命令に関する規定についてであります。登録せられた水洗炭業者につきましても、その施業が公共の福祉を阻害し、または阻害するおそれの大なるものにつきましては、被害発生を末前に防ぐため、当該水洗炭業者に対し都道府県知事が事業改善命令をなし得ることといたしますとともに、これに違反した者に対しましては、その事業の停止を命令し、ないしは登録を取り消し得ることといたしまして、被害発生の防止に遺憾なきを期しております。
 第三は、水洗炭業者の無過失責任の規定と、保証金の供託に関する規定についてであります。水洗炭業の施業により発生するやむを得ぬ損害につきましては、その態様が鉱害に類似しており、これと競合する場合が多い点にかんがみまして、水洗炭業者に対して鉱業法に準ずる無過失賠償責任を課することとし、なお、その損害賠償債務の履行を担保するために、五十万円以内において都道府県知事が定める保証金を供託せしめ、これについては被害者に優先弁済を受ける権利を与える等により、被害者の保護に万全を期しております。
 第四は、融資のあっせん等に関する規定であります。水洗炭業者がその施業による被害を防止するために必要な施設を行おうとする場合におきましては、都道府県知事が必要と認めるときは、水洗炭業者に対し、融資のあっせん等の措置を講ずることができることとし、水洗炭業者がその施業に際し、被害を防止する設備を十分に行い得るように配慮しております。
 第五は、水洗炭業審議会に関する規定であります。水洗炭業に関する重要事項を審議するために、都道府県知事の諮問機関として水洗炭業審議会を置くことができることとし、都道府県における本法の実施が円滑に運営せられるよう万全を期することといたしました。
 以上が水洗炭業に関する法律案の提案理由並びにその概要であります、何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを御願いいたします。

発言情報

speech_id: 102814461X02019580417_104

発言者: 淵上房太郎

speaker_id: 14265

日付: 1958-04-17

院: 参議院

会議名: 商工委員会