栗山良夫の発言 (大蔵委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○栗山良夫君 本案件に直接関係はないかもしれませんが、ちょっと二、三伺っておきたいと思います。
 〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕
 大東亜戦争の当時ですわ。当時の軍事内閣の手に上って、当時の憲法が保障しておった財産権あるいは人権に非常に大きな制約がいろいろな意味で加えられました。その一つがやはりこの中にも入っているわけであります。それから終戦後占領軍の絶対権力のもとに、戦争前と、軍事内閣と性質は違いますけれども、国民の側からすれば大へん迷惑ないろいろな犠牲を負担したものがあるわけです。それが、その一部分がこれに該当するわけです。従ってそういう憲法が保障しておった、あるいは憲法の付属法規で保障されておった諸権利というものがじゅうりんされたことについて、復権の要求が国民の中からいろんな格好で起きてくることは、これはあるいはやむを得ないかもしれません。その場合に本件の衆議院における審議等を見ましても明らかになっておりますが、国民感情的にはきわめて妥当だと思われることが、法理的にこれを採用することができなくて葬られるもの、あるいは逆に法理的には採用されて国民感情的には葬られている、そういういろんな種類があると思います。そういう非常に複雑なものではありますが、やはり政府が少くともそういう国民の犠牲的な負担を解除して復権をしようということになれば、やはり一つの私はルールというものがなければいかぬと思います。そのルールがなるべく大ぜいの国民に均霑し得るようなものである、あるいはまたなるべく犠牲を負ったいわゆる庶民大衆を救済し得るものであるとか、そういうような一応のルールというものがなければいかぬのでありますが、この法案はそういう意味からははるかに私は遠ざかっているものではないかと思います。たとえば法人で百四十八件、民間で二百件足らずの人が、この法律によって四十数億のまあ権利を復元するわけでありますから、そういう意味においては非常にこれは特殊なものだと言わざるを得ない。そこで政府に私は自分の頭を整理するために必要な材料として、今申し上げるようなものを一つ作っていただくわけにはいかないかということをお願いするわけです。それは戦前と占領軍の占領治下、この二つの期間に分けて、国民に有形無形のいろいろな犠牲を負担させたことがあると思います。そういうものをずっと一つ項目別でよろしいですから列挙していただきたい。そのうちですでに復権させておるもの、まだ復権のできていないもの、こういうものを一覧表にしていただきたい、こう考える。国民感情からいえば、たとえば戦争前にかけました生命保険の掛金等は、当時おそらく大ぜいの国民が老後を守るためには相当苦労をして掛金をかけておる。保険金額一万円、二万円というような額でありますが、それが今日、インフレーションが進んで貨幣価値が下落した今日においてもやはりその権利は一万円、二万円です。これはどうしようもないのです。戦争前の貨幣価値からいえば数百万円、千万円に近いような保険金額というものが、たまたま戦争をやった、そういうことのために一万円、三万円で済んでしまっておる。これはなかなか国民感情として忘れることのできない大きな犠牲です。また最近は地主の土地返還運動が起きておる。これは現内閣はそういうことは聞くわけにはいかぬとおっしゃる。これはですから国民の要望がかなえられておりません。しかし軍人恩給は今国会に出ておりますように、ある意味において復権をしております。従って克明に、今申し上げましたように、戦争前、占領軍の手によって国民に加えられた大きな犠牲負担ですね、それを項目別にずっと調べて、そしてそのうちですでに復権しておるものと復権していないものと、それを緊急にこの本法を審議する資料として私はぜひ知りたいと思うので提出を願いたいと思う。特に復権々々といっていろいろ言われまするが、最近の軍事基地設定のために、農民が供出をいやがるにかかわらず、ほとんど戦争前にあった土地収用法にかけるがごとき態度で、農地がどんどん政府の帰属になっておることは、だれも否定する人はないわけです。従って、やはり法を運営する上においては、万人が了承するような格好で運営しなければいかぬと思います。従いましてそういう資料を一つ……。
 それから第二番目に・私は非常に不可解に思うことは、戦争前に持っておったこういう貴金属ですね、貴金属は、これは貴金属でありましょうから価値は時価でどんどん上って参ります。現在膨大な価格になっております。ところがその過程において普通の一般財産であった場合には、戦争の直後には財産税というものがありまして、そしてこの法律を見ますというと、たとえば一件について千五百万円をこえるものは百分の九十の税率で取られております。五百万円をこえるものでも百分の八十五の税率で国庫に納金させておる。もしこの貴金属を当時占領軍が接収しないで、個人の自宅で持っておった場合には、財産税としてこれは当然徴収されておる。そういう私は法理論的にも少し疑問を持っておるものが、今ここで占領軍が返した。接収は没収なりと、僕らがつめ寄っても、法理論的にはそこまでは飛躍はできない、こういう工合にお逃げになって、わずか一割の保管料その他の手数料を取って、全部の、法人と個人と寄せてもわずか五百件に足りない人に四十何億を分けてしまうというようなことについては、何としても了承し得ないわけです。従って、まあこういうことをたくさん申し上げれば、私は国民感情の上からいっても、これは切りのないくらいの、法律は国民にすべて公平でなければならぬという議論からいって、非常な意見を持っております。持っておりますが、そういう意見を申し上げる前に、政府としては——大蔵省だけでできないことかもしれません、これは各省にわたっておるかもしれませんが、とにかくそういう、戦争前、占領軍の治下にあったときに、国民が非常な迷惑をした——迷惑をしたということは、あまり言葉が足りないで申し上げますと誤解を招くかもしれませんが、率直に、個人々々からいえば迷惑をしたと、そういうものについて、有形無形のものを項目別に全部そろえていただきたい。それがそろったところで・私はこの法案の本格的な審議に入りたい、こう思いますので、資料の要求をいたします。

発言情報

speech_id: 102814629X01219580311_030

発言者: 栗山良夫

speaker_id: 24197

日付: 1958-03-11

院: 参議院

会議名: 大蔵委員会