小平忠の発言 (予算委員会)
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○小平(忠)委員 私は日本社会党を代表し、政府に対して本年度一般会計予算その他二予算の補正を行い、直ちに国会に提出するよう要求するものであります。
私どもの提出した動議の提案理由並びに予算補正の要旨につきましては、お手元に動議案として配付してございますから、御参照いただきたいと存じます。
日本社会党が政府に対して予算補正を要求する最大の理由は、最近の経済不況はますます深刻となり、雇用の伸びは鈍くなり、失業者は激増し、農漁民は相次ぐ災害と農産物の値下りのために窮乏しております。このまま放置するならば、本年夏以降には重大な社会不安すら懸念されておる現状であります。しかるに政府は現在の不況の実態については、事実を事実として国民の前に明らかにしようとしておりません。昨日の本委員会におきましても、工業関係の稼働率がどうなっておるか、三木経企長官はさっぱり御存じない始末でであります。しかも岸総理以下経済閣僚は口を開けば経済不況はすでに底をついたとごまかしの答弁をしておりますが、国民だれ一人としてこれを信用する者はおりません。しかも政府が手をつけた不況対策とは日銀公定歩合の引き下げ、輸出代金延べ払いの緩和など、依然として大企業本位の金融緩和のみに集中しておりまして、現在進行しております経済不況がいかに勤労国民を苦しめておるか、また今後いかに苦しめるようになるかについては全く無視しておるのであります。日本社会党が要求する予算補正は、政府に対して不可能な措置をしいるものではございません。政府が本年度予算編成当時に立てた経済見通しが全くくずれ去った現在、政府の責任として最小限度にとるべき財政措置を私どもは政府に要求いたしておるのであります。
歳出補正の第一の問題は、激増していく失業者の生活保障問題であります。労働省すら本年度の失業者の大幅増加が必至であると予測しており、しかも雇用吸収がますます鈍くなっておる現在、当面緊急を要する対策は失業対策事業の拡大であります。私どもの要求は、本年七月より本年度末までの七カ月間、一日当りの吸収人員を十万人ふやして三十五万人とし、かつ月平均就労日数を全国平均二十五日間とすることであります。また失業対策事業に働く登録労務者の夏季手当を少くとも四日分は増額支給することであります。さらに失業対策の一環として、私どもは暫定的に失業保険金の給付期間を三カ月間延長し、これに要する経費については、国庫負担を増額するよう要求いたしておるのであります。現在の不況下におきまして、三カ月から九カ月の失業保険金の給付期間が終了したからとて、次の就職はほとんど保障されておりません。全く収入の道を閉ざされた完全失業者になるだけであります。このような不況下において、失業保険金の給付期間の延長は、まことにやむを得ざると不可避の措置なのであります。しかも失業対策としては、完全失業して一銭のたくわえもない人々のためには生活保護の準備が必要であります。私どもとしては、本年度予算が生活保護対象人員を百五十万人分計上しているのを、これに三十万人分増額することを要求するものであります。
第二に、不況下において雇用を確保し、全般的に健全なる需要を増大するために、私どもは公共事業費の増額を要求いたします。政府は公共事業の繰り上げ実施を考慮しておられるようだが、不況対策として大切なことは、需要をふやして健全な購買力を増大する保障を行うことであります。われわれは、不況対策の本筋として財政負担による公共事業の増大、それも土地改良、灌漑、漁港、港湾、道路、住宅などの建設工事など、直接雇用吸収度の高い事業に重点を置くべきであることを主張いたしております。
さらに、不況対策の第三として、農林漁業の所得減退を防止するために、第一に、当面する糸価安定の一日も早い解決、第二に、相次ぐ旱魃、雨害、凍霜害、ひょう害などに対して大災融資法を適用して直ちに融資を増額すべき問題、第三に、本州製紙事件で問題となった水質汚濁の被害防止と損失補償の問題、第四に、酪農品の需要の確保と価格安定の問題、第五に、開拓農民の窮乏にかんがみてこの開拓資金の増額の問題であります。これらの要求項目は、いずれも政府当局も自民党の諸君も直ちに予算補正を早急に行う必要があることを重々承知している問題ばかりなのであります。
われわれは不況対策の第四として、中小企業にとりあえず少くとも二百億円、農林漁業に百億円の近代化資金を財政融資することを要求いたします。この追加融資を必要とする理由につきましては、今さら説明するまでもありません。不況下にあっても、大企業の近代化資金は十分に確保され、中小企業、農林漁業方面のみは金詰りが継続している現状では、景気回復とは大企業の立ち直りであり、その陰にあって、中小企業、農林漁業に対してはあらゆる犠牲のしわよせが行われているのであります。これでは依然として経済の二重構造が続き、景気立ち直りはまことに薄弱な土台の上に立つことになるのであります。われわれは政府に対して本格的な景気回復対策に取り組むよう要求いたすものでございます。
われわれが不況対策の第五として要求する項目は、勤労国民の生活向上に備えて、第一に、とりあえず夜勤手当及び五千円以下の期末不当に対する所得税を免除して、実質所得を若干ながら増額すべき要求であります。第二に、政府も公約している最低賃金法、家内労働法、国民年金法を明年度には成立実施に移すための実行準備費を計上する問題であります。
以上、日本社会党は不況対策として五つの対策に分けて歳出補正を要求するものであります。これが費用としては、われわれの推計では、一般会計予算関係では五百億ないし六百億程度を見込まれますが、これが財源は四百三十六億円の財源たな上げを一切取りやめて、これを一般会計予算の財源に繰り入れ、かつ本年度の自衛隊増強は中止して、さらに学校長の管理職手当を削除することによって確保する財源をもって充てるべきであります。また、財政投融資計画関係では、およそ糸価安定のための二百億円を合せて五百億円程度の追加融資が見込まれるのであります。これが原資は産業投資特別会計の余裕財源及び今後確実に期待し得る簡保資金及び資金運用部資金の余裕金などをもって充当することが可能であると考えられるのであります。私どもは失業対策事業、公共事業関係が地方財政負担と関連することは万々承知しておりますが、ここにわれわれが要求した予算補正は、あえて予算編成の財政技術上の問題には触れず、緊急不況対策として何をなすべきかに焦点をしぼったのであります。
何とぞ自民党の諸君も真剣にこの不況対策に取り組んで、本動議に賛成されんことを強く希望いたしまして、趣旨の説明を終ります。(拍手)