予算委員会

1958-06-24 衆議院 全278発言

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会議録情報#0
昭和三十三年六月二十四日(火曜日)
    午前十時二十分閣議
 出席委員
   委員長 楢橋  渡君
   理事 植木庚子郎君 理事 小川 半次君
   理事 重政 誠之君 理事 西村 直己君
   理事 野田 卯一君 理事 井手 以誠君
   理事 小平  忠君 理事 田中織之進君
      井出一太郎君    小澤佐重喜君
      大倉 三郎君    大平 正芳君
      岡本  茂君    川崎 秀二君
      上林山榮吉君    北澤 直吉君
      北村徳太郎君    小坂善太郎君
      周東 英雄君    田中伊三次君
      田中 正巳君    田村  元君
      綱島 正興君    床次 徳二君
      中曽根康弘君    船田  中君
      古井 喜實君    保利  茂君
      町村 金五君    水田三喜男君
      南  好雄君    八木 一郎君
      山口六郎次君    山崎  巖君
    早稲田柳右エ門君    阿部 五郎君
      淡谷 悠藏君    石村 英雄君
      今澄  勇君    岡  良一君
      加藤 勘十君    北山 愛郎君
      黒田 寿男君    小松  幹君
      佐々木良作君    島上善五郎君
      稲 兼次郎君    成田 知巳君
      西村 榮一君    廣瀬 勝邦君
      森 三樹二君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  岸  信介君
        法 務 大 臣 愛知 揆一君
        外 務 大 臣 藤山愛一郎君
        大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
        文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
        厚 生 大 臣 橋本 龍伍君
        農 林 大 臣 三浦 一雄君
        通商産業大臣  高碕達之助君
        運 輸 大 臣 永野  護君
        郵 政 大 臣 寺尾  豊君
        労 働 大 臣 倉石 忠雄君
        建 設 大 臣 遠藤 三郎君
        国 務 大 臣 青木  正君
        国 務 大 臣 池田 勇人君
        国 務 大 臣 左藤 義詮君
 出席政府委員
        内閣官房長官  赤城 宗徳君
        内閣副官房長官 松本 俊一君
        法制局長官   林  修三君
        外務事務官
        (アジア局長) 板垣  修君
        食糧庁長官   小倉 武一君
        労働事務官
        (労政局長)  亀井  光君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総長      横田 正俊君
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
六月二十四日
 委員篠田弘作君、山崎巖君、岡田春夫君及び森
 三樹二君辞任につき、その補欠として田中正巳
 君、大倉三郎君、佐々木良作君及び廣瀬勝邦君
 が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員大倉三郎君、田中正巳君及び廣瀬勝邦君辞
 任につき、その補欠として山崎巖君、篠田弘作
 君及び森三樹二君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した条件
 予算の実施状況に関する件
     ━━━━◇━━━━━
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楢橋渡#1
○楢橋委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況について調査を進めます。今澄勇君。
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今澄勇#2
○今澄委員 私は今度の総理の施政演説を見て、アメリカとの折衝で一番大事な防衛の問題、それからお隣の国の軸国との美術品の返還等を含んだいろいろの重大な問題がありますが、これが今度の施政演説の中には全然聞くことができなかった。そこで私はこの防衛の問題と日韓問題について、総理に一つお尋ねしたいと思っておるのであります。
 日韓会談は四つの委員会が設けられて、文化財百六点を引き渡しただけで、何らその後の進展が見られておりません。私は日韓会談の従来の経緯にかんがみて、いろいろと追及しなければならぬ点があったのを、今日まで持ち越したのでありますが、まず私は総理から、この日韓会談のこれまでの経過、並びに近く本会談に入って折衝が始まるわけですが、その見通し等についてお伺いをいたしたいと思います。
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岸信介#3
○岸国務大臣 日韓会談は御承知のように、過去数回の会談がいずれも停頓いたしたのでありますが、昨年来私が外務大臣に就任いたしましてから、この問題を取り上げて、日韓の国交の正常化、友好関係を作り上げるために、まずその前提となっておる、釜山に抑留されておる邦人の釈放、帰国並びにそれに関連いたしまして、大村に収容しておる韓国人、これを両国の間で釈放し会って、そして冷静な立場において、日韓の間に存しておる幾多の懸案の問題を、正式会談に取り上げて会談しょう、こういう趣旨のもとで話し合いをいたしまして、本年の四月以降、両国においてそれぞれ会談の責任者を任命をいたしまして、両国の会談を開いておるわけであります。今日まだ会談中でございまして、いろいろな会談の進行しておる際でございますので、具体的な問題につきましては微妙な関係もありますので、詳しく申し上げることは差し控えたいと思いますが、もちろん過去の経験にかんがみまして、この問題が非常に容易にすらすらと、われわれの望むように妥結されるということは、私はなかなか困難であると思います。しかしながら日韓両国が過去においても、また地理的にも経済的にも、いろいろな意味において最も近い国として存しておりまして、これか両国の間におけるところのいろいろな懸案問題を解決して、そして両国の友好関係を作り上げるということは、両国のため、また極東の平和増進のためから望ましいことであると思っておりまして、ぜひともこれは成功させたいという非常な熟思を持っております。しかし今申しますように、問題がなかなか簡単でございませんので、今後とも十分な努力をいたして、ぜひとも成功させたい、かように考えております。
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今澄勇#4
○今澄委員 日韓会談を成功させ、善隣友好の関係に日本と韓国が立つということには、われわれももろ手をあげて賛成であります。だが、ただ単に頭を下げておるだけ、あるいは向うの要望を聞いておるだけでは、この問題はなかなかわれわれは片づかないと思うのであります。
 そこで外務大臣にお伺いしたいのは、四つの委員会ができたが、その中で日本側が希望しております漁業関係の委員会は、今日まで全然活動しておらない、聞かれておらない。韓国の財産請求権の委員会や、在日韓国人に関する委員会だけが動いておるということは、今日までの経過では、向うの一方的な要求に屈服したとしか思われない節が多々あります。私はこの基本的な委員会を含めて四つの委員会は、今一体どういうふうな状態になっておるか、外務大臣からお伺いをいたしたいと思います。
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藤山愛一郎#5
○藤山国務大臣 お話がありましたように、四つの委員会を構成して、ただいま会合を開いておるわけであります。三回もしくは四回と開いておる委員会もあります。なお漁業問題につきましては、向うの選挙等の関係もありまして、日本に来ますのがおくれておりまして、従いまして向うの代表が来てから聞くということでおくれたわけでありまして、ほかに他意あっておくれたわけではございません。
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今澄勇#6
○今澄委員 私はこの委員会の四つ並んだ名称を見るに、まず第一番に請求権の委員会ですが、この委員会の名称が韓国請求権委員会、こういうことになっておる。これは日本側からも韓国に対するいろいろな問題もあり、韓国が日本に要求するいろいろな問題もある。アメリカの正式な見解も講和条約第四条に関して出されておる。私はこの際、どうして韓国請求権委員会というふうに韓国という名前をこの委員会につけなければならぬのか、疑問でならない。ただ単なる請求委員会なら、韓国の要求するいろいろの問題については日本は正当な立場を打ち出せるが、韓国請求権委員会では一方的な韓国の要求だけがこの委員会で取り上げられる、こういう印象を与えられておるのですが、実際に韓国の要求だけをこの委員会は取り上げるかどうかということを、外務大臣からお答えを願いたいと思います。
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藤山愛一郎#7
○藤山国務大臣 名称の問題はとにかくといたしまして、委員会におきましては両方が同じ立場に立ちまして、根本的に問題を検討し、話し今合いをいたしておるわけであります。
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今澄勇#8
○今澄委員 一九五七年十二月三十一日の予備会談で約束した協約に関して、金裕沢大使は韓国の記者団と談話をいたしておる。これは四月三日ソウル放送韓国公報室の発表であります。スクリップ・ハワード新聞同盟の特派員キム・ルーカス氏の質問に答えて李承晩大統領は、十二月三十一日予備会談の際に密約を行なった、それは米国国務省の講和条約第四条解説覚書を本会談までは発表しないということになっておるのに、日本は発表したと言っておるのですが、この密約は一体あったのかどうか。もう一つは、日韓本会談で韓国の日本に対する財産請求権を討議することを約束した協約を作っておる。こういう二つが四月三日のソウル放送韓国公報室の発表で出ておる。私が言いたいことは、日韓会談に関する限りは、日本国内は全部これを隠して、韓国の方は新聞、ラジオを通じて堂々と日本の主張を発表して、国民の批判に訴える。しかも韓国公報室はこういう二つの協定をしたということを発表しておる。外務大臣、こういう協定をしたのですか。
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藤山愛一郎#9
○藤山国務大臣 ただいまお話のありました問題は、おそらく財産請求権に関するアメリカの解釈だと思います。その問題については、アメリカ側から国務省の解釈を受け取っております。
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今澄勇#10
○今澄委員 私が聞いておるのは、十二月三十一日の予備会談の際、日本政府は米国務省の講和条約第四条解説覚書は本会談までは発表しないということの密約と、もう一つは、日韓本会談を開いたならば、韓国の日本に対する財産請求権についてはこれを討議するということの約束、この二つの約束を日本国はしたかどうかということを聞いておるのですよ。
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藤山愛一郎#11
○藤山国務大臣 ただいまのアメリカの解釈につきましては、発表するときにはお互いに協議をして発表するということにいたしております。
 それからただいまの請求権の問題は、当然日韓会談の主要議題として取り行われるべきことはむろんであります。
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今澄勇#12
○今澄委員 私は外務大臣に、これは問題の性質上、もし日本がそういうことを約束しておらぬのに、韓国側が約束したということを李承晩大統領が公報で発表するということになれば、うそだということになるのですから、私はもっとあなたに腹を据えて答弁してもらいたいのは、今のお話で、米国務省の講和条約第四条解説覚書、これは日韓両国がある時期に合意に達するまで発表をしないということを約束したということでわかりました。日韓本会談で韓国の日本に対する財産請求権を討議することも、あなた約束したのですね。今のお話ではそうとしか受け取れない。その約束をしたかどうか、一つここで答弁してもらいたい。
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藤山愛一郎#13
○藤山国務大臣 請求権の問題は、日韓会談において重要な議題として討議されることは当然なことでありまして、その前提のもとに私どもは話し合いをいたしております。
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今澄勇#14
○今澄委員 あなたが約束したということをどうしても言わないのだが、私は韓国の公報室がまさかうそは書かぬと思います。そういうことを約束したに違いない。約束したからこそ、今度の請求権の委員会の名前が韓国請求権委員会となったに違いがない。私は、事の折衝というものは頭を下げてばかりおったのではだめなので、憎まれ口を聞きたくありませんけれども、私は日本国民の一人として、日韓会談についての日本の国民としての意思を、この機会を通じて明らかにしておきたいと思うのです。とにかくそういう約束をして、一方的な韓国請求権委員会を作ったということは、これはもうこの委員会を作るときに、すでに一歩大きく後退をしておるといわなくちゃなりません。われわれはそういう委員会に韓国請求権委員会という名前をつけないで、請求権委員会ということで出発をして、いわゆる講和条約第四条に基いて、アメリカが在韓日本資産を韓国に引き渡したのであるから、それによって韓国が日本に財産を請求する韓国の請求権がどの程度消滅したか、その講和条約の結果、韓国に引き渡した財産で韓国はどの程度日本に対する請求権の充足を認めておるかという具体的な問題をこの委員会で検討するわけであるから、それは請求権委員会とすることが当然であったと思います。外務大臣はそういう密約に伴って、請求権委員会という名前の上に韓国という名前をつけたことは、この会談のスタートにおいて、もう日本側は百歩をすでに讓っておるという点を私は非常に残念に思います。私はぜひ一つもっと堂々と主張すべきことは主張してやってもらいたいと思います。
 それでは外務大臣にお伺いをいたしますが、財産請求権に関するアメリカ側の正式見解というのは、一言で簡単にいえば、一体どういうことになるのですか。
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藤山愛一郎#15
○藤山国務大臣 簡単に申し上げますと、日本が正平和条約第四条の(b)項によって引き渡しました、それに見合って問題を解決するということであります。
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今澄勇#16
○今澄委員 このアメリカの正式見解もソウル放送によると、日本は一九五七年十二月正三十一日の予備会談で約束した協約を無視して、米国の覚書を公開したばかりでなく云々、こうあって、日本側が公開したということになって、韓国側はその内容をみな発表しておるのです。これを知らないのは日本国民だけということになっておる。そこで今あなたは簡単に申しましたが、そのアメリカのUSメモランダムは世界資料にも載っておるし、ジャパン・タイムズにも載っておるし、これはすでに周知徹底されておる。ただ論議せられないのは国会だけという、こういう今日の政府の態度はまことにけしからぬと私は思います。アメリカは平和条約第四条(a)項、すなわち日本国及び国民と韓国及び国民との相互間の財産及び請求権の処理は、日本と韓国当局との間の特別取りきめの問題であるということを、平和条約第四条の(a)項に定め、そうして在韓の日本資産は平和条約により韓国政府が引き取った。そこでこのメモランダムにおいては、そのため、特別取りきめとは左記の事項、の程度問題にかかっておる。第一は、どの程度まで日本政府に対する韓国側の請求権が消滅したのか。第二番目は、どの程度まで韓国側の正式請求権を充足したと認めるべきであるか。アメリカ政府は、右の特別取りきめに当って、在韓日本財産の処理を日韓両国でどのように勘案すべきかについては意見はここで述べない。特別取りきめは両国政府間の問題である。その問題の処理は日韓両国で提示する事実と法理論とを十分に検討して行うべきであるというのがこのアメリカの見解のおもな要旨であります。藤山外務大臣は今簡単に言ったが、今私が述べた要旨がこのアメリカのメモランダムの要旨であるということをあなたも認めますか。
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藤山愛一郎#17
○藤山国務大臣 私がただいま申し上げました要旨なんでありまして、それ以上この際申し上げることはできないと思いますが、ただ、そういうことを念頭に置いて、今後日韓正式会談におきまして請求権の問題を処理し、お互いにその討議をしていくということであります。
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今澄勇#18
○今澄委員 外務大臣の立場もありますから、これ以上はこの問題では言いませんが、私はそういう背景で日韓問題というものは討議すべきものであって、ただ単なる韓国の請求権を、もっぱら日本が受け身でどうするかということだけを討議するというような態度であってはならぬと思います。
 それに続いて伺いたいことは、政府は、五月三十一日参議院の外務委員会において、こういう答弁をしている。実は昨年の十二月三十一日に協定ができまするときに、日本側としては若干のものを向うへ贈与することに口頭の紳士協定ができております。こう森元治郎氏の質問に答えているのだが、この「口頭の紳士協定ができております」という、文化財に関する紳士協定とはいかなるものか、藤山外務大臣から答弁を願いたい。
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藤山愛一郎#19
○藤山国務大臣 予備会談を開いておりましたときに、韓国側では膨大な日本に対する文化財の要求をいたしております。そうしてその解決によって予備会談を終了いたしたいということでありましたけれども、私どもはそういう問題につきましては、当然全面会談に譲るべきことでありまして、それを強く主張して参りました。ただ若干の文化財について、もし引き渡せるものがあったならば、全集側会談の前に、若干のものは、もし可能ならば考えてみようということは申したわけでありますけれども、それ以上申さなかったわけであります。特別に約束をいたしたわけじゃございません。その後正式会談を開きます前後に抑留漁夫の釈放等がありまして、韓国側からそれらについてさらに十分検討をしてもらいたいということがあったわけであります。われわれも検討をいたしました結果、百六点の文化財は支障なく渡しても差しつかえないものと思いまして、これを渡したわけであります。全画的な問題とは別個ではありますが、これはあわせて、やはり今後行われます。全面会談の文化財の問題と考えるべきものである、こう考えております。
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今澄勇#20
○今澄委員 この文化財を引き渡して四十七、八日もたってから韓国が新聞に発表をして、百六点の内容等も向うの新聞に出て、そうして参議院で追及を受けるや、政府はしぶしぶそういう口頭の申し合せがあったから、この文化財を渡したなんということを言われるが、これは国民の文化財です。それはやっぱり国会にも相談をし、こういう問題についてはいろいろ国民の世論も聞いて政府は動かなくちゃならぬ。それを一方的に隠してやって、ばれればしょうがない、これを公表しよう国の財産なんです。私はこういう政府の態度は実にけしからぬと思います。
 金裕沢大使が韓国の記者団に発表しておる内容、韓国公報室の発表その他の資料によって見ますと、十二月三十一日の秘密協定事項として一九一〇年から四五年までの間に日本が朝鮮半島から持ち去った文化財、美術品を返還する協定を秘密協定の一つとしていたということを向うは言っておる。それは要するに第一の協定は、アメリカの財産権に関する公式な見解については発表しないということ、第二番目は、請求権については日本の請求権はもう問題にしない、韓国側の請求権だけを日韓会談で討議することを約束する協定、第三番目は、一九一〇年から四五年までの間日本が朝鮮半島から持ち去った文化財、美術品を返還する協定、この三つの協定が秘密協定として行われたということは、もう韓国の方は全部国民に徹底しておる。なかなか李承晩大統領は日本に対して腰が強い、やるなという国民の支持と協力を得ようとしておる。わが日本の方は、向うは全部周知徹底しておるが、これを全然国会にも報告しなければどこにも言わない。何かの調子で向うの新聞で出たのを追及すると、少しずつ政府はこれを国民に告げるというような態度で、あなたは日韓会談が成功すると思いますか。この美術品に関する協定について外務大臣はもう少し明確に答えてもらいたい。
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藤山愛一郎#21
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように美術品に関する協定はございません。この問題は全面的に会談におきまして討議されるわけでありまして、百六点につきましてはただいま御説明申し上げた通りであります。
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今澄勇#22
○今澄委員 そうすると、外務大臣がどうしてもそういう協定がないと言われるならば、私はやめるつもりであったけれども、質問をしなければなりません。この百六点の美術品の返還は、これは条約を結び協定を結べば日本の国内法に優先する、それらの協定条約があるからこれは違法行為ではありません。それは国際的な合意と協定によって日本の財産が向うへ行くのですから。だがこの文化財はそういう協定が全然ないのに勝手に韓国へ引き渡したということになると、政府は財政法第九条による規定に照らして、どの法律でこの日本の財産を韓国に渡したのですか、御答弁を願いたい。
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藤山愛一郎#23
○藤山国務大臣 法律的な問題につきましては政府委員から答弁いたさせます。
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板垣修#24
○板垣政府委員 このたび行政措置で百六点を韓国側に文化財として引き渡しました根拠は昭和二十二年の法律、すなわち物品の無償貸付及び譲与等に関する法律の第三号に基いたものでありまして、法律的根拠があると存じております。
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今澄勇#25
○今澄委員 その法律に関する三号というのは、第三条の三号ですか。
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板垣修#26
○板垣政府委員 そうです。
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今澄勇#27
○今澄委員 第三条の三号を見ると、「教育、試験、研究及び調査のため必要な印刷物、写真その他これに準ずる物品及び見本用又は標本用物品を譲渡するとき」とある。その第三号を適用する前段となる第三条は、「物品を国以外のものに譲与又は時価よりも低い対価で譲渡することができるのは、他の法官に定める場合の外、左に掲げる場合に限る。」とあって、国家の物品の貸与がきめてある。これは日本の国内のいろいろな教育の必要その他の問題のときにこれを適用すべき国内法なのです。だから国際的な外国へ引き渡すためにこの法律が作られたものでないことはとく承知の通りでありましょう協約も何もないのに日本の財産を韓国に引渡してその第三条の適用のあるものであるというが、一体第三条で引き渡したものは印刷物ですか、それとも写真ですか、何ですか。
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板垣修#28
○板垣政府委員 第三条の標本用物品というものに該当するものと判定をいたしております。引き渡しました品物は、御承知のように韓国の慶尚南道の昌寧郡の古墳から出た出土品でありまして、主として考古学用物品でございます。従いましてこれにつきましては日本にも他に類似品もありますし、標本用物品と認定をいたした次第であります。
 ただいまの国内法という問題につきまして、この法律の趣旨は大体そうでありましょうけれども、必ずしも国内的のもののみでないという根拠といたしましては、第四号に「予算に定める交際費又は報償費を以て購入した物品を贈与するとき」、こういう工合に国内にあります美術品をたとえば報償費で買い上げて外国に寄贈するということは、この条項によって今までも事施いたしておりますので、必ずしも国内だけではないという判定をいたしておる次第であります。
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今澄勇#29
○今澄委員 私は局長のあげ足を取ろうという気はないが、重大な問題だから言っておきますが、日本から韓国に渡した百六点の物品が、韓国の歴史的な標本類である場合においては該当するかもしれない。だが、しかし、彫刻であるとか絵画であるとかいうようなものは、ここへ出ておる標本用物品というものには該当しないのです。おそらく政府はそういう協定を結んだから、その結んだ協定に基いてこれを渡すのであるから、あとで日韓会談でこの問題をやれば問題はないであろうということで渡したに違いないと私は思うのです。
 だから根垣さんに聞きますが、参議院で、十二月三十一日に協定ができますときに日本側としては若干のものを向うへ贈与することに口頭の紳士協定ができておりますが、今はまだこれを言える段階でないので正式の発表にきておりませんということをあなたは言っておりますが、あなたは当時折衝に当っておりますが、具体的にどういう協定ですか。
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