岸信介の発言 (予算委員会)
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○岸国務大臣 日中間の関係につきましては、今船田委員の御質問のうちにもありましたように、昨年来きわめてわれわれとしては望ましからぬ状態になってきております。私はこれに対して当時静観をし、双方とも冷静に事態を観察して、そうしてここに誤解があり、もしくは理解の十分でないことがあるならば、これを十分に反省しへ合って、そうして両国の従来積み重ねてきておる貿易関係等をさらに復活するということを顧ってきたのであります。私は中共側から非難されているように、これに対して敵意を持ち、もしくは非常な悪意を持って対処するというようなことは毛頭考えておりませんし、また現実にそういう事実はないのであります。
私は施政演説にも明らかにいたしましたように、両国はその政治形態を異にし、おのおの社会、政治の理念を違えておりますけれども、お互いにお互いのそういう政治的立場は尊更し合って、いわゆるバンドン会議において採択された原則である内政不干渉、お互いがお互いの立場を尊重しながらわれわれは貿易その他の経済関係等を進めていくということをやることが両国のためであり、また両国がそういう立場に立って事を処理するならば、だんだん両方の間の理解の十分でなかったものも理解が進められ、そうして歴史的に見ましても、長い文化的な関係やその他におけるところの友好関係が打ち立てられていくということを私は心から望んでおるわけであります。決して中共側の非難するような態度や考え方を私は持っておらない。また同時に中共側のいろんな日本に対する従来の言動等に対して、われわれの方から何らかの批判をすることはこの際は慎しみたいということは、あくまでも両国の貿易、経済その他の文化交流等につきましては、歴史的、地理的また両国民の願望を尊重してこれを回復していくように努めることが望ましいことである、それには前提としては今言ったように両国のこの政治的立場については尊重し合って、これには干渉しないという原則をはっきりと打ち立てていくことが必要である、かように考えております。