岸信介の発言 (予算委員会)

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○岸国務大臣 日韓の間のこの現状は非常に望ましくないから、早く国交の正常化の道を開かなければならないということは御説の通りであります。昨年四月半ばから始まりました日韓会談も、すでに七年になりますか、最初に行われた会談以来の経緯を見ますると、非常に複雑な幾多の問題がからまっておりますので、これが解決については非常に困難があることは御承知の通りであります。しかしながら、私はこれらの長い数カ年にわたる会談の経緯もありますけれども、ぜひとも両国の間の会談を成功せしめて、両国の間に国交を正常化していくということに努力をいたしたいつもりで今日まで努力をいたして参っております。その後、四月以降における日韓会談の内容は、いまだこれをもって満足する成功にまで至ってはおらないことは言うを待ちませんけれども、この間においていろいろと重要問題が論議され、両方の理解を進めた点も少くないと思います。従って、なおこの問題は根気強く会談を進めて、両国の国交正常化を作り上げるように努めたいと思います。
 最近問題になっておりますいわゆる在日朝鮮人の帰国問題、特に北鮮の地域に帰りたい人々に対しての取扱い問題ということが、日本の、特にこれらの人々がたくさん居住しております九州あるいは中国地方方面から強く要望されております。お話のように、その背後にいろいろな動きもあることも想像できます。しかしながら、また純粋にこれらの在留朝鮮人が帰りたいという熱望のありますこと、またこれらの人々が居住しておる日本の各方面のこの希望を達せしめてやりたいという熱意というものも、無視することのできない状況であると思います。従いまして、私どもは純粋に人道的な立場、並びに国際通念として基本的人権の一つとして認められておる各人が居住地を選択する自由というものは、あくまでも尊重していかなければならない、こういう見地に立って、いろいろな希望もありますけれども、複雑な事情もありますので、その実情を国際赤十字社の関係において十分調査してもらいまして、われわれは純粋の人道的立場及び基本的人権を尊重する立場から、これらの問題を処理したい、かように考えております。
 ただこれが日韓会談の上に悪影響を及ぼすおそれはないかという御懸念でありますが、現にこれに対して韓国側の要人等がいろいろな発言をすでにしておることも、新聞等が報ずる通りであります。しかしながらこの問題に関しては、私どもはあくまでも日本がそういう立場をとり、そういう問題を処理することが人道的の立場及び国際通念からきておることであって、日韓会談とは全然別個の問題であり、それに対する私どもの考え方を十分に韓国側にも了解せしめるような方法をとるべきことは言うを待ちませんけれども、しかし今日まで韓国側の要人が新聞等に発表されておるような見解に基いて、今言ったような人道的立場、国際通念に基くこの問題の処理をそれによって取り上げるというようなことは、私はすべきものではなくして、韓国側に、日本側がそういう取扱いをするゆえん並びにそうせざるを得ない事情を、よく冷静に理解せしめるように努力をすべきものである、かように考えております。

発言情報

speech_id: 103105261X00219590202_023

発言者: 岸信介

speaker_id: 6788

日付: 1959-02-02

院: 衆議院

会議名: 予算委員会