岸信介の発言 (予算委員会)
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○岸国務大臣 東南アジアを私が二回にわたって訪問をいたしまして痛感をいたしますことは、これらの地域における政治的経済的の不安定な状況というものは、一日も早くこれを安定せしめるようにすることが必要である、これらの地域におけるところの国民が、いずれも自国の独立完成に非常な熱意を持っておりますけれども、政治的にも不安であり、その根底はやはり経済的な不安ということがおおうべくもない状況であります。こういう際に、われわれがこれらの地域における経済開発をできるだけ早くやっていく、そうして経済の安定をし、繁栄の基礎を作ることが、独立の完成の上に非常に大きな力になるということを痛感したのでありまして、これらの地域における経済開発をやる上におきましては、これらの地域における開発をするについての技術が非常に欠けておる。またもう一つは資金が欠けておる。資金と技術が導入されることが、これらの地域の経済開発に最も必要であるということを痛感いたしたわけであります。われわれは、従来コロンボ・プランによって、技術的な援助というようなことも日本も国際的な一員となって協力をいたしております。しかし、またアメリカが個々の国々に対して援助資金等を出しておる事実もございますが、これらの地域におけるほんとうの開発というものは、政治的なひものつかない、真にこれらの地域の経済の基盤を強固にし、繁栄の基礎を強固にする、作り上げるという意味において各国が協力するという、政治的意図から離れた資金なり技術協力というものが、最も必要であるということを実は私、痛感をいたしたのであります。そういう点にかんがみて、日本が持っておる技術、あるいは経営の力等に関して、これらの国々における希望に応じてわれわれが協力するとともに、日本だけの力ではとうてい十分な資金的援助を与えるだけの国力がないということにもかんがみまして、やはりこれに対して、アメリカを中心として各国がそれぞれの応分な出資をして、基金を設けてこれが開発に協力することが望ましいと思ったのであります。今御承知の通り世界銀行というようなものもございまして、これらの未開発地域に対する金融その他の資金の協力もしておりますが、東南アジアの現状からいうと、まだバンキングの対象としては、ヨーロッパその他の先進国に比べて非常に劣ると私は思うのです。そういう意味において、銀行のシステムではこれらの地域における開発に必要な資金が回るということはなかなかむずかしい、ここに特殊な基金を作る必要があるのじゃないかという考え方をしたわけであります。御承知の通り、国際連合にもそういう意図のもとにおける考え方があるようでありますし、私の構想しているものを特別に別個に、私のいう通りに作るかどうかということについては、関係各国の十分な了解や理解を得る必要がありますので、そういう提案をいたし、日本としては、そういうものができる場合においては、これに出資をするために五十億円の資金を昨年度の予算に計上しておる。私どもは具体的に申しますと、この一年間において、コロンボ・プラン等によっての技術的な協力をやっている、また個々の賠償その他と結び合わしての経済開発についての具体的なプロジェクトに協力をしておる。それからさらにことしの予算案におきましてもある程度計上いたしておりますが、東南アジア諸国の中に技術センターを作って、そうしてこれらの国々の開発に協力するというような点においてのわれわれの考え方を具体的に示しております。もちろん三十四年度の予算に計上しておりますこれらのものが十分であるとは私ども考えませんけれども、しかし、私どもの考えておる、特に技術の面における協力、それから資金の面における協力については、今後において関係諸国との間に十分な理解を進めて、そういう基金制度を作り上げるように努力をしたい、かように考えております。