小平忠の発言 (予算委員会)
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○小平(忠)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和三十四年度予算補正(第1号)に反対の趣旨を明らかにいたします。
本案の内容は、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への出資増額に伴い必要となる払い込みといたして、歳出補正で二百五十億七千三百九十七万九千円を計上し、これの財源として、日本銀行所有の金地金の帳簿価格改定によって生ずる再評価差額を、日銀行納付金の補正として計上しているものであります。
大体本案は、明年度当初予算案が衆議院に提出されて、これから審議に入るという二日目に追い打ち式に本院に提出されたのでありまして、衆議院としては全く前例のない奇怪しごくな案件であります。従って社会、自民両党の国会対策委員長会議の結論として、予算委員会付託をとりやめたいといういわくつきの案件なのであります。すなわち、本案を補正予算案として提出することはつきましては、手続上果して財政法に適法なりやいなやにつきましては、政府も自民党も全く確信がないのでありまして、確信がないままに自民党多数の力をもってついに上程されたのが本案なのであります。
われわれが本案に反対する第一の理由は、本案の提出が明らかに財政法に違反しているからであります。今回の補正歳出の案件は、財政法第二十九条に規定するように「予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費」ではありません。すでに昨年十二月十九日には、出資を増額すべきことが加盟国理事会において決定していたのでありまして、すでに予算作成前に予見されていた案件なのであります。従って政府は、財政法第十七条によって歳出案件の見積書を作成し、第十八条においてこれを予算の概算に編入し、当初予算案として提出すべき案件なのであります。われわれは、手続上も本案は財政法違反として絶対承認できないのであります。
われわれが本案に反対する第二の理由は、本案の内容そのものに対し重大なる疑義を持っているからであります。政府は、本案の財源として日銀納付金の補正増額を行なっているのでありますが、現在日銀が資産勘定として保有している金地金百二十九トンのうち、四十四トンは現物がありません。戦時中から引き継いでいる政府と日銀の債権債務関係として、未整理証書として残っているだけであります。しかも政府は、この四十四トンをいかに処理したらよいか、いまだに何らの具体策も持ちません。すでに接収貴金属処理法案が初めて国会に提出された第十九国会より満五ヵ年を経過しております。この間、政府は何ら四十四トンの返済方法について考慮しておりません。そればかりか、われわれがおそれることは、戦時中に侵略戦争に必要な物資買付に使われた四十四トンの金地金の処理のために、岸内閣なら租税負担による返済を考えかねないということなのであります。
また、本案におきましては、日銀保有の七十五トンのうち、六十二トンは再評価して評価益二百五十億円を納付金として補正財源に計上するのでありますが、残りの十三トンについてはどうするか、これも当然再評価益を日銀納付金として歳入に繰り入れるべきでありますが、この点も政府の方針は、要するに目前の二百五十億円の調達のために、日銀の金地金の再評価というへそくり財源を持ち出しただけでありまして、国の歳入についての厳格な検討を怠ったまま案件として国会に提出しているのであります。われわれは、このように政府が満足に説明もできないような財源を歳入補正に充てることは、とうてい承認できないのであります。岸内閣がこのように財政法違反を犯して、かつ未確定財源まで引き出して本案の成立を急ぐのは那辺にありましょうか。これこそは国際通貨基金並びに国際復興開発銀行から国内大企業に対する融資ワクを一日も早く拡大しておきたいという岸内閣のあせりの現われなのであります。
最後に、本件の補正につきまして、三十四年度予算作成時においては確定していなかったと大蔵大臣はたびたびおっしゃっておるのでありますが、それならば、三十四年度の賠償処理費の特別会計のベトナムの三十六億は、まだ賠償協定が成立していないではありませんか。しかるにこれを計上しております。こういうように確定しないものを計上しているかと思えば、これを計上しないで、本予算を提出したその二日目に出してくるというようなやり方は、やはりいかに弁明されようとも、これは手続上も財政法違反であることは間違いないのであります。従いまして、われわれはこのような補正案に対しましては、絶対に賛成するわけには参りません。
以上、具体的な案件を申し上げまして、本案に対します反対の討論といたします。(拍手)