前田義徳の発言 (逓信委員会)
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○参考人(前田義徳君) 非常に広範な御質問で的確に御説明申し上げられるかどうかいぶかっておりますが、私どもも根本的には全く鈴木先生と同じような考え方を持っております。たとえばお話の前提にありましたテキストなどにつきましても、文部省あるいは郵政省にお願いする方法もあるかもしれませんが、NHK自体としても、公共放送として教育放送が主たる任務の一つであるという点から申しますと、将来財政が許されるならば、あるいはまた財政をできるだけほかの部門で切り詰めて、テキストなどはできれば無料頒布したいという意欲も十分持っております。それから今日のあの教育放送の編成方針と申しますと、ラジオ、テレビを通じまして幾つかの柱に分れておりまして、たとえば学校放送、あるいは学校に行けない方々のための補習教育放送、それからまた職業技術放送、それからまた一般社会教養的な教育放送、それから特に今度は対象を分けまして、成人向けであるとかあるいは幼児向け、あるいは婦人向けというような幾つかの柱を立てまして、それに基いてラジオ、テレビを通じまして年間計画を立てて、総合的にやっていく。おそらく鈴木先生の御意見の中では、その総合的な考え方が非常にばく然とした結果になるのではないか、という点を御指摘されているのじゃないかと思いますが、この点はまた同時に、地方の教育放送審議会それから中央の教育放送審議会などを通じまして、年間何回かにわたってこの教育放送を通じての実験をやっていただきまして、総合的に御意見をいただいて、次の年度の放送を組むという方針をとっております。たとえば学校教育放送におきましても、明年度以降はさらに学年別、細分化いたしまして時間と対象をはっきりさして参りたい、そういうふうに考えております。それからまた補習教育におきましても、去年は幸いに高等学校講座が、いわゆる学校に上れない、働きながら勉強される方々のためのスクーリングの三分の一を、NHKの放送を聞いていれば免除されるというところまでこぎつけました。それからまた技術教育につきましては、たとえば農村の二男三男の対策、あるいは農村の多角経営のために、ある程度の軽工業あるいは手工業的な教育を施す必要があるという建前で、これも今年度から強化いたしまして、明年度は一そうはっきりこれを強化する方針でおります。それから特に、自然科学の発達に伴いまして、従来私どもの調査あるいは諮問委員会などの御意見を伺いますと、むしろおとなの方が子供の場合よりも自然科学に対する知識に欠けているというような、奇妙な現象が戦後出て参っております。そのためにはやはり科学教育を二分いたしまして、すでに基礎的知識を持っている若い方々のためには、それに即応する教育編成方針を立て、それからすでに相当な年配になっておられて、これまでの生活の中で新しい科学的な教育の環境に恵まれておられなかった方々のためには、その演出内容を全く変えまして、その意味での社会教養番組の一部として、自然科学の知識を吸収していただくというような方向に参っております。
教育テレビジョンにつきましては、現在のところ東京だけでございまして、明年度は、御審議いただく予算を御承認いただければ、さらに大阪にも四月一日から始める予定でありまするが、この番組の中では特に土曜、日曜にわたって一般教養と、まあ将来は私どもの理想としては、大学にいけない方々も、どの地点におられても、もし大学教養の資格をとりたい場合にもとり得るような日曜大学というものを、今は一週一回でありまするが、将来はNHK放送大学というような建前で、これを何カ年計画かで拡充して参りたいというように考えております。さらにまた土曜、日曜の夜間におきましては、たとえば一般社会教養の場合でも、文芸あるいは芸術に関することはもとよりのことでありますが、たとえば報道放送におきましても、そのニュースの背景というものを組織的に皆さんに知っていただく必要があるという意味で、現在のところは一種の冒険ではございますが、報道番組の一時間番組を教育テレビジョンで組んでやっているというような実情であります。端的に申しますれば、教育テレビジョンの場合には、地域的には、全国的視野に立ちますとローカルでもございますし、それからまた将来の全国的視野に立つ組織化の一つの試験的な意味も持ちまして、大体鈴木先生の御指摘になった点に即応できるような幾つかの編成方針を立てておりまして、明年度以降はさらにこれをはっきりさせて参りたいと、このように考えております。