秋山俊一郎の発言 (本会議)
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○秋山俊一郎君 ただいま議題になりました農林水産委員会付託の衆議院提出にかかる漁港及び漁船関係の、また、内閣提出の酪農振興関係等三つの法律案について、委員会における審査の経過と結果を報告いたします。
まず、漁港法の一部を改正する法律案でありますが、昭和二十五年、漁港法が制定され、自来全国にわたり漁港の整備が進められ、しかして漁港は、その位置、規模及び利用度等によって、第一種から第四種までに格づけされ、利用範囲が全国的なものは第三種漁港として取り扱われております。しかして、これらの第三種漁港も、水揚高の多寡、あるいは国民経済に対する寄与の度合い等におのずから差異がありますので、この際、第三種漁港のうち、水産業の振興上特に重要な漁港で政令で定めるものを特定第三種漁港とし、これらの漁港については、国以外の者が行う漁港修築事業でありましても、その修築計画は、農林大臣が漁港整備計画に基いてこれを定めることとしようとするのがこの法律案が提案された理由とその内容であります。
委員会におきましては、提案理由の説明を聞き、質疑に入り、特定第三種漁港の選定基準、及び予定漁港、特定第三種漁港の修築計画とその実施方法、及びその予算的裏づけ、並びにこれが既定の漁港整備計画に及ぼす影響、この法律案の真のねらいとその効果、漁港整備に関する参議院の決議に対する政府の措置、漁港法と港湾法との関係等について、提案者あるいは政府の見解がただされ、その間において、特定第三種漁港の選定基準及び予定漁港については、年間の水揚量五万トン以上、水揚量に対する県外出荷量の割合が五〇%以上、入港動力船の総トン数二十五万トン以上で、接岸施設が水深四メートル以上、長さ百五十メートル以上と予定し、この基準に適合するものとしては、長崎、博多、下関、焼津、三崎、銚子、塩釜及び八戸の八港が予定される旨が答えられ、また、特定第三種漁港の修築に対する予算的裏づけについては、今後極力努力したい旨、三浦農林大臣及び佐野大蔵政務次官から政府当局の意図が述べられました。
かくして質疑を終り、討論に入り、千田委員から、漁港修築費予算の増額を要望して法律案に賛成が述べられ、他に発言もなく、採決の結果、この法律案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次は、漁船法の一部を改正する法律案でありますが、現行漁船法におきましては、漁船はすべて登録を受けなければならないことになっており、現在登録を受けている漁船は約四十万隻で、そのうちには、櫓、「かい」のみをもって操業する一トンに満たないきわめて小型のものが約十九万隻も含まれているのでありますが、これら小型漁船を使用する漁業者は、すべて沿岸における零細な漁業者で、これらの者に登録及び検認を強制することは、その者の漁業に支障を与えるばかりでなく、ほとんど実益がないという理由で、総トン数一トン未満の無動力漁船については登録を廃止することにしようとするのが、この法律案が提案された理由とその内容であります。
委員会におきましては、提案理由の説明を聞き、質疑に入り、漁船登録の意義とその実益、及びこれが廃止の理由とその利害、政府の漁船建造の方針等について、提案者あるいは政府の所見がただされ、かくして質疑を終り、討論に入り、千田委員から、小型漁船の登録廃止後の善後策について政府の善処を要望して、法律案に賛成が述べられ、他に発言もなく、採決の結果、この法律案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
最後に、酪農振興法の一部を改正する法律案について申し上げます。
第一に、この法律案の提案の理由でありますが、昭和二十九年、酪農を急速に発達させるため酪農振興法が施行され、以来、乳牛の飼育も、生乳の生産も、また牛乳及び乳製品の消費も、ともに急速な伸びを示したのでありますが、最近牛乳及び乳製品の消費の伸びがようやく鈍り、過剰の傾向が現われ、酪農のためいろいろ困難な問題が起ってきましたので、このような事態に対処して、酪農経営を計画的に改善し、生乳の公正な取引を促進し、また、牛乳及び乳製品の消費を増進し、過剰乳製品について計画的に保管する道を開く等の措置を制度化しようとするものであります。
次は、法律案の内容でありまして、その骨子は、概略次のようであります。
第一は、法律の目的を改正して、従来は酪農の急速な普及発達をはかることを目的としたのでありますが、これを牛乳及び乳製品の生産から消費に至るまでの各段階を均衡させつつ酪農の健全な発達を所期するものとし、
第二は、指定地域における酪農事業施設の届出とその適正配置に関する規定を設け、集約酪農地域の周辺の特定の地域を指定地域として、その地域のうちにおいて酪農事業施設を新設または変更しようとする者は、都道府県知事に届け出なければならないこととし、その際、都道府県知事は、その施設の配置を適正にするため必要な勧告をすることができることとし、
第三は、所定の条件に該当する市町村は、その区域内における酪農経営の改善を図るため、酪農経営改善計画を作成することができることとし、その作成及び変更の手続を定め、これが実施に対する国の補助及び奨励措置等に関し規定し、
第四は、生乳等の取引契約の内容のうち、価格、数量及び代金の受け渡し方法に関し、生乳生産者と乳業者との協議について規定し、また、生乳等の取引に関し、これが販売事業を行う農業協同組合等の乳業者に対する契約または団体協約の交渉の申し込みについて、農林大臣または都道府県知事が乳業者に勧告することができる制度を設け、さらに生乳等の取引に関する紛争の調停について、都道府県における機構を強化するとともに、中央においても調停を行い得ることとし、このため農林省に中央生乳取引調停審議会を設け、また、都道府県に条例で都道府県生乳取引調停審議会を置くことができることとしたのであります。なお、この点に関し、衆議院において、知事があっせんまたは調停をなし、農林大臣が調停の処理を決定する場合を拡大する修正が加えられたのであります。
第五は、国産の牛乳及び乳製品を学校食用に使用する措置を法定し、なお、国はこの措置を実施に要する経費を補助することができることとしております。
第六は、牛乳及び乳製品の需給の不均衡に伴う価格の低落による緊急の場合に、農林大臣は学校給食に供することができる国産の乳製品の保管計画を定め、酪農振興基金の債務保証機能の活用と相待ってその需給の調整をはかることとし、
第七は、農林大臣または都道府県の報告、徴収及び立ち入り検査の場合及び対象を広げることとした等であります。
委員会におきましては、先ず提案の理由その他について説明を聞き、質疑に入り、集約酪農地域の周辺に設ける指定地域の意義、その区域及びこれが定め方、集約酪農地域と指定地域との関係、乳価等の約定の具体的方法、酪農審議会委員の構成、市乳と原料乳との関係、酪農審議会と中央生乳取引調停審議会との関係、都道府県生乳取引調停審議会の設置を任意とした理由、市町村における酪農経営改善計画作成の具体的方法、牛乳の生産費と乳価との関係、乳価の維持安定対策、牛乳の需給とその見通し、乳製品の保管方法、草地改良事業の拡大、乳業育成の基本方針、国民栄養と農畜産物の生産ひいては関係行政の合理化、酪農の指導体制、牛乳及び乳製品の消費の拡大等の事項について、諸般の問題に関し当局の所見が尋ねられ、その当否がただされ、かくして質疑を終り、討論に入り、東委員から日本社会党を代表して法律案に賛成し、なお各会派の共同をもって、この法律の施行に関し、酪農事業施設の規制の適正等七つの事項にわたり政府の善処を求める趣旨の附帯決議が提案され、続いて千田委員及び清澤委員から、それぞれ意見あるいは希望を付して法律案及び附帯決議に賛成が述べられ、続いて採決の結果、全会一致をもってこの法律案は附帯決議とともに原案通り可決すべきものと決定いたしました。なお、この附帯決議に対し、高橋農林政務次官から、その趣旨を体し善処したい旨、政府の見解が述べられました。
以上、これが詳細は会議録に譲ることを御了解願い、報告を終ります。(拍手)