岸信介の発言 (予算委員会)
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○国務大臣(岸信介君) 日中間の関係につきましては、御承知のように、昨年五月まではいわゆる積み上げ方式によりましてあるいは文化の交流なり、人的交流、あるいはさらに経済の交流というようなことを積み重ねていきつつ日中両国のお互いの理解と友好を進めていく、政治の関係においては、両国が置かれている国際的のいろいろな関係から見て、これを急速に解決することは困難であるという観点に立って進んで参っておることは御承知の通りであります。昨年五月にこの日中間における第四次貿易協定の問題に関連し、さらに国旗問題等が惹起されまして、一切の交通が断たれたという状況にあることも御承知の通りであります。こういう状態を長く続けていくことは両国のために望ましくないし、また世界の平和のために望ましい状態ではない。これをやはり打開していくことに努力をすべきであると私どもも考えております。ただ、打開する場合において、しからば、いわゆる昨年来中国側が唱えておる、強力に主張しておる政治と経済の不可分、さらに政治優先、話合いは両国の国交正常化の話合いならば政府間においてする用意があるというようなことが明らかにされておりますけれども、私は、今日本が置かれている立場から申しまして、今日政府間において国交正常化に関する話合いをする段階に来ておるとは考えないのであります。やはりこの際は、われわれはあらゆる面において積み上げ的な、従来やってきておるような方針をもって日中の関係が一切遮断されておる状態を打開し、そうして両国の理解と友好の度合いを進めていき、同時に国際的諸問題の処理に関しましても、適当の方策を考えていくというのが日本のとるべき態度であり、またそれが最も適当であると、こういう考えをいたしておるのであります。