岸信介の発言 (予算委員会)

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○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。先般淺沼君初め皆様が中国をたずねてお帰りになってその報告を聞きました。私は先ほど来申し上げているように、日中間の現在の状況をこのままに推移することは望ましいことでないから、これを打開するという考え方を終始持っておるわけでありますから、この訪中団の一行のお話に対しては、きわめて真摯な気持でいろいろとお話を承わって参ったのであります。いろいろ今曾祢委員がお話のように、中国側の態度については、一つの幅がある考え方であるというふうなお話も確かに承わったのであります。しかしながら、今日において、この政治と経済とが不可分であり、むしろ国交正常化の話をせずして貿易の話というようなことは考え得られない。もちろん今お話のように、あらゆる外交の手続であるとか、あるいは交渉の段階というものももちろんあることはお話があった通りでありますけれども、しかしながら従来日本がとっており、またわれわれとしてはこれは動かすことのできない一つの外交路線と考えておるものに対して非常な大きな外交路線の変更なくしてはできない今の国交正常化という話を、この段階において政府間においてするということは、私はそれはとうていできないことじゃないか。日米安保条約のいわゆる三原則という問題に関しても、われわれは敵視政策をとっておりませんということを言っても、あなたは、安保条約自体の改定ということが中国に対する敵視政策の一つの表れだと中国側が考えているのじゃないかという点に関しましても、御意見を承わったのでありますが、やはりそういう点は中国側から見れば、今もお話がありましたが、安保条約やあるいは日華条約の問題は非常に不愉快であり、やはり日本が非友好的な政策の一つとして、そういうものをとっているのだという考えが根底にあるのであって、それを変更せずしては、実は敵視政策をいかにとっておらないということを言っても、これは向う側としてはとうてい信じないというような状態であるということが明らかにされて参りますと、今日の状況で、われわれは少くとも、日本の安全保障態勢として安保条約態勢というものを、これを解消するとか、あるいは廃棄するということの考えを持たないし、これを合理的に改定するという方向に向って進んでおることは、これをわれわれが変更するわけにはいかない。あるいはこの中華民国との関係の日華条約につきましても、これを廃棄する方向において、われわれが今日いろいろな言動をするということは、私はやはり日本の立場としては適当でないことでありますから、そういう意味において、今日政府間において国交正常化の問題を中心として、あるいは貿易の問題というようなものの行き詰まりを打開するということは、とうていわれわれとしてはできないのじゃないか、ここに非常な困難があり、われわれとしては今日の状況でそういう方向でこれを解決するということは、とうてい政府としてはなし得ない、こういうふうに実は考えておるわけであります。

発言情報

speech_id: 103115261X01819590330_006

発言者: 岸信介

speaker_id: 6788

日付: 1959-03-30

院: 参議院

会議名: 予算委員会