千田正の発言 (予算委員会)
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○千田正君 私は、ただいま議題となりました昭和三十四年度予算補正三案に対しまして、無所属クラブを代表して、多くの不満を残しつつも、年末と寒さに向い苦しみつつある罹災者並びに炭鉱離職者に思いをいたして、賛成を表明し、若干の点について希望意見を付して、ごく簡単に賛成討論を行わんとするものであります。
史上空前の惨事といわれた伊勢湾台風の襲来による被害の大きかったことは、さなきだに、台風常襲地帯として例年の合風による波害にもあきらめを伴い、ややなれていたかのごとき観を呈しつつあった政府には大きな衝撃を与え、臨時国会の召集と補正子算の提出を見ることになったのでありますが、そうしてまた、多くの国民とともに、われわれもまた、この国会において政府側が抜本的な台風対策を示すと同時に必要なる予算措置を講ずるであろうということを切に期待した次第であります。さらにまた今日、わが国の産業経済の上に暗影を与えている石炭危機と炭鉱離職者の援護処置についても同様であったのであります。しかしながら、現実に示された六百十四億円余の今次補正予算は、一面において財政事情の許す範囲内において、速急に処置を必要とするものに限られるというやむを得ざる制約を受けていたとはいうものの、その内容においてまだまだ多くの小満足の点を残していることは否定できない事実と言わざるを行ないのであります。ここに思い起こすべきことは、伊勢湾台風はいわゆる人災であって、決して避けることのできない天災ではなかったという厳然たる事実であります。それが人災であるならば、政府の施策よろしきを得ることによって十分避け得たであろうということも、また見のがし得ない事実なのであります。われわれはかかる観点によりまして、役にも立たない中古戦闘機に一機約五億四百万円もかけるよりも、例年台風の被害に泣く国民のための施策こそむしろ肝要であるとの見地に立って、従来から総合的国土開発計画を前提とし、それと相待って抜本的風水害対策の樹立を強調して参ったのでありますが、今次補正予算についてこれを見るに、これはほんの一例にしかすぎないのでありますが、押え切った六百十四億のうち六四%にしかたらない三百九十三億がいわゆる災害対策に充てられるのみであり、これと民間災害の復旧について十分なる考慮をなされておらない現実をあわせ見るとき、そのあまり寡少であるのに一篤を喫するものであります。
すなわち、政府提出の昭和三十四年度発生災害復旧補助事業費所要見込額調査によれば、一千七十二億円余が見込事業費であり、現行法による国費所要額だけでも七百九十九億といわれているのであります。われわれはいたずらに誇大な数字をもてあそんで政府の無策を責めるものではありませんが、この一事をもってしましても、例年のように襲い来たる風水害についての認識の欠除と、その対策の場当たり的であることを悲しまずにはおられないのであります。
さらにまた、われわれとしてまことに遺憾にたえないのは、今次補正予算の所要財源を調達するために行なわれました既定経費の節約分六十九億円余、特にその中に二億円千七百万余に上るところの公共事業費の節約、あるいは建設省、農林省、文部省等の予算のたな上げが見込まれておるということであります。これらはいずれも漁港、港湾、河川、道路あるいは教育設備費等の改修を初めとして、必要にして不可欠の分が含まれておるのであって、これらを削除することは、ただ単に本末転倒であるのみにとどまらず、ここにもまた政府の風水害対策に関する根本的対策の欠除と、その認識のあいまいさを偽わることなく露呈してしまったと言わざるを得ないのであります。これらは今次補正予算に示された多くの事例のうち、ほんの一端を申し述べたにとどまったのでありますが、総じてわれわれとしては、この伊勢湾台風を一つの転機として、新たなる構想想のもとに、面目を一新した風水害に関する根本的施策の速急なる樹立と、その予算措置の実行とを期待してやまない次第であります。またわれわれといたしましても、今後かかる見地より国会における審議に力を尽くすべきであると考えるのであります。
次に、石炭危機の克服と炭鉱離職者の援護について見ましても、刻下の急務である総合エネルギー対策の見地からする基本的態度の設定については、政府側の明快なり答弁を得られなかっただけでなく、台風罹災者と同じような悲惨な状況のもとに冬を迎えようとする多くの離職者に対してあたたかい手を差し伸べるには、炭鉱離職者臨時措置法案や七億二千万の予算ではまことに不十分というのほかはなく、かくては民間の援助、黒い羽根運動にあたかも責任を転嫁するがごときと同じだけの結果を生ずるにひとしいものであると言わざるを得ないのであります。
今、はしなくも三十五年度本予算の編成則にあたり、その規模、効用、財源等々を初め、基本方針について種々活発なる論議を呼び起こしておるおりから、以上ごく簡単に述べました。来年度予算の編成に際し政府の英断を期待しまして、今次災害の復旧に対する緊急措置を内容とする補正予算のすみやかな成立を願うために、かつまた、被災者諸氏が一日も早く打撃から回復され、立ち上ることを祈りつつ私の賛成討論を終わる次第であります。(指手)
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