加賀田進の発言 (本会議)
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○加賀田進君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対しまして反対の討論を行なわんとするものであります。
まず、反対理由の重要な一つといたしまして、この地方税の改正案の中には、国民や地方自治体が長年にわたって政府に要請し続けて参りました地方税の負担の均衡と適正化の内容が一点として盛られていないということであります。
元来、地方税法は、その実施にあたっては、地方議会という調節機関を持っているために、国税と異なって、国民の関心に比較して、国会ではややともすれば軽視されがちな性格を持っているのであります。従って、かかる日陰者の地方税を適正に守るために、担当委員会であります地方行政委員会では、よく住民の意思を反映するために、特に、与野党の立場を越えて、国民の声に十分耳を傾けつつ討議を重ねてきたのであります。そのために、牛歩のごとく遅々としたものではありましたが、毎年改善が加えられて、今日まで進んできたのであります。しかるに、今度の改正案は、ただいま御報告のあった通り、昨年の所得税法の改正に伴う関係事項の整備で、いわゆる義務的改正にのみとどめまして、今までたどって参りました改善への歩みの前に大手を広げて立ちふさがった反動性を内包した改正案であります。これは、まさに、民意を無視する岸内閣の独善的な性格をそのまま暴露したものといわなければなりません。(拍手)
さらに、本案に対する自民党の不可解千万なる豹変ぶりであります。昨年の第三十一回国会において、本年と同じく地方税法に関する小委員会を設け、種々論議を重ねて意見の調整をはかった結果、与野党一致で、具体的な内容を列挙した附帯決議が決定され、昨年の地方税改正に付されているのであります。つまり、三十五年の改正にあたって、政府に対しては、具体的な内容を示してその実施を要求するとともに、国民の前に改正の方向を明らかにして、その決意を表明したのであります。しかるに、本国会になって、その附帯決議の一端すら含まれていない政府原案に修正を加えようともせず、そのまま、まるのみにしようとする諸君の卑怯きわまる裏切り的態度には、今さらながら、国民とともにあきれざるを得ないのであります。(拍手)聞くところによりますと、自民党の地方行政部会では、次から次へと同僚諸君から改正点が持ち込まれて参りまして、収拾がつかなくなったとか。つまり、遊興飲食税を軽減しようとすれば、公給領収書の廃止問題が出てくる、電気ガス税を検討すれば、非課税範囲の拡大で次から次へとメジロ押しのように要求が飛び出してくる、娯楽施設利用税に目を向ければ、逆にゴルフ場から減税の圧力がくる、たばこ消費税では、もちろん大蔵省がかぶりを振って言うことを聞かない、というような工合で、あちらの岸にもこちらの岸にも上がりかねたこの地方税が、進退ここにきわまって、最後のきめ手として、逃げるにしかずと、しゃにむに原案を通過させようとすることになったということであります。これでは自民党の内部はおさまっても、長い間期待を持っておりました国民は、かかることでは承服しないと存じます。国民不満の累積は、政治への信頼をだんだんと失い、やがては民主政治が崩壊の一途をたどる要因を作り上げることを、われわれは知らなければなりません。公約無視は自民党のお家芸であるかもしれませんが、われわれは、かかる無節操な態度は一日たりとも許すことはできないと存ずるのであります。
従って、社会党は、従来の態度を堅持して、国民への約束を忠実に守るために、去る二十二日、地方税法の一部改正法案を別個に議員立法として提出いたしました。その内容には自民党の諸君もまた賛成される点が多々あると存じますので、ただいま政府原案に賛成されようとする諸君の再考をうながし、反省を求めるためにも、その主要な点を二、三明らかにいたしたいと存じます。
まず第一に、遊興飲食税の改正についてでありますが、戦後、国民生活の向上に伴って、食生活も漸次上昇をたどって参りまして、そのつど、遊興を伴わない、家庭生活の延長にひとしい、いわゆる大衆飲食に対しましては、その免税額が引き上げられて参ったのであります。百円が百五十円に引き上げられ、百五十円が二百円に、さらに、昭和三十二年の第二十六回国会で、二百円を三百円に引き上げて、大衆課税の軽減がはかられて今日に至っておるのであります。自来二年後の現在、食水準の上昇と比較して、これを当然五百円に引き上げるべきだと私たちは信じております。自民党の議員も、昨年は、そのことについて了承されていたはずであります。その証拠に、昨年の秋、京都の岡崎公園の勧業会館で催されました全国料理飲食組合の全国大会の席上におきまして、自民党を代表して大野さんが、きれいどころを前にして、遊興飲食税は自民党にまかしてくれ、社会党ではだめなのだ、来年は必ずやると、ぽんと胸をたたかれたのも、私はそういう裏づけがあったのではなかろうかと思います(拍手)さらに、これに見合って、旅館の宿泊料につきましても、現行の八百円から二百円免税点を引き上げることにいたしております。
次に、娯楽施設利用税につきましては、ゴルフ場の利用税を五百円にすることにいたしております。ゴルフは現在のところ、社用族や特定の政界人または財界の人々の娯楽場であって、大衆娯楽としての要素を持っていないのであります。従って、利用者の担税力も、三百円程度の値上げでは私は問題にならない思います。この際、地方自治体の自主財源に資するために増額すべきだ、とわが党は信じます。
なお、これに関連いたしまして、ゴルフ場の固定資産税についても、われわれはメスを入れました。現在のゴルフ場は、雑草や雑木のはえております原野と同様の評価額でもって、同じ税率が課せられているのでありますが、その利用価値や収益は他に比較して格段の相違がありますので、他の固定資産税との均衡を保つ上からも、担税力からも、別途に、制限税率を百分の七に引き上げることにいたしております。(拍手)
第三点は、電気ガス税についてでありますが、これは全くの大衆課税であります。近代社会の生活で、電気ガスの光熱は一般家庭生活と不可欠の関係にあることは、諸君も御存じの通りであります。従って、かかる大衆課税を、電気ガス税として一割もの税率を課しているということは、今日の社会では許されないことだ、とわれわれは考えます。そこで、わが党は、さしあたり、これを本年度百分の七に引き下げることにいたしまして、住民の要望にこたえたのであります。そのために起こる減収の補てんの一部としましては、従来政府が輸出の振興や資本の蓄積、低物価政策などの美名に隠れて独占資本や大企業を守ってきましたいわゆる租税特別措置法と同様の性格を持っております電気ガスの非課税品目に検討を加えるとともに、新たに百分の二の税率を課すことにしたのであります。家庭の主婦が使う電気ガスについては税金を取り、収益を目的とした製造会社に税金を免除することは、本末転倒もはなはだしい愚策といわなければならぬと存じます。(拍手)
なお、社会党は、青少年を初めとする犯罪防止のためにも、明るい町を築き上げるためにも、街灯設備の充実を企図いたしまして、このたび、市町村長の指定する街灯には電気税を課さないことにいたしました。電気料につきましても、別個に考慮いたしまして、電気料の引き下げを考えております。
第四点といたしましては、消防施設税でございます。消防施設税は、長年の懸案となっておったのでありまして、消防関係の各級機関はもちろんのこと、自治庁においても賛成されてきた税目でありますが、どうしたことか、少し頭をもたげて参りますると大蔵省は損害保険会社と協力して政府内部に圧力をかけ、現在まで日の目を見なかった、いわくつきの税金であります。社会党も、一昨年、この消防施設税を提案して審議を求めたのでありますけれども、これまた与党の良識を得ることができずして、やみに葬り去られました。現在、市町村では、財源不足の中にも消防施設の充実をはかり、消防思想、防火思想の普及徹底に努力して、火災から住民の資産を守ることに鋭意努力をいたしておりますが、これはみな国民の負担による財源で行なわれておるのであります。国民負担による防火施設の向上は、もちろん火災被害の減少となっておりますが、その反面に、自動的に損害保険会社の利益の増加をもたらして参っております。負担は住民、利益は会社と、かかる矛盾を少しでも解消するために、収入火災保険料の百分の三を課税率といたしまして、市町村の財政に貢献しようといたしたのであります。
その他、中小企業育成のための事業税の軽減、自動車税の軽減等、なお多く内容として持っておりますけれども、時間の関係上、省略いたします。
このようにして、地方住民の意思にこたえて、適切なる改正案を今次国会にわれわれはすでに提出いたしました。政府原案のごとき、一切の声に耳をおおい、ほおかむりして中央突破をはからんとする悪政案に対しましては、社会党としては断固として反対をいたします。(拍手)
私は、最後に、地方税に関連して、今日の地方財政の問題に少し触れてみたいと存じます。
産業の二重構造による弊害は、経済の発展とともに、独占資本と中小企業との間にいよいよ激しい断層をもたらしております。それと同様に、政治の二重構造からくる独占資本と同じような立場にある中央政府と、その下請企業的性格に転落をいたしました地方自治体との断層も、また黙過できない現状にあると存じます。民主政治の基盤である地方自治体が、国の財政圧力の前に、その自主性と自律性を失いつつあるということであります。御存じのように、国の事業計画の遂行は、そのほとんどが地方公共団体に依存しております。教育、労働、社会保障、公衆衛生、道路整備、治山治水、あるいは産業開発、農地改良等、国民へのサービス行政のすべては、自治行政の手を経て現在行なわれておるのであります。これらの財源は、一部を国から負担金、補助金として支出され、他は自治体の負担となって、財源負担の区分が明確にされておるのであります。しかしながら、その負担金、補助金に見積もられているいわゆる予算単価と、現在実行されつつある実行単価には相当の相違がございまして、これらの不足額のすべては現在自治体と住民の負担に転嫁されて、今日まで事業が遂行されておるのであります。中小企業の犠牲の上に膨大な利益をむさぼっている独占企業と同じように、国は地方自治体や住民の犠牲の上に健全財政を堅持しているということを、われわれは忘れてはならないと存じます。(拍手)
政府は、この際、民主政治の土台である地方公共団体の財政事情に正しく目を向けて、自主財源を与えるための抜本的改正を行なわなければ、民主政治も砂上の楼閣となってくずれ去ることを、私はここに政府に強く警告をいたしまして、反対討論を終ります。(拍手)