岸信介の発言 (予算委員会)

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○岸国務大臣 民主政治を完成するために、個人の人権とその自由が尊重されなければならぬことは、言うを待たないのでありまして、これが不当に侵害されるということは、あくまでもこれを擁護していかなければなりません。しかし個人の自由を主張する者は、やはり他人の自由も認めなければなりません。個人の人格の尊厳を主張する者は、他人の人格の尊厳も尊重するというところに真の民主政治というもの、民主主義というものは成り立つものだと思います。従って憲法の、いわゆる人権を擁護する規定におきましても、この憲法全体を見ましても、やはり社会の福祉と公共の福祉というものは常に念頭に置いて考えられなければならぬ。われわれ多数の国民がこうした平和な安全な生活をし、おのおのの業務に励んでその生活を豊かにし、向上せしめるというためには、やはりここには個人の自由であるとか個人の尊厳というものが他人との関係においてある種の制約を受けるということは、これは私は当然なことだと思います。これをあるいは集団的な行動により、あるいは暴力行為によって他人の平和な生活や自由や人権をじゅうりんするような事態は、政府としてこれを取り締っていかなければならぬことはこれは当然であります。われわれが民主政治の前提として法秩序の維持ということを強く言うておりますのは、この意味であります。従って最近におけるところのいろいろな事態を見ますと、その背後におけるいろいろなそういうものを作り出しておる環境もわれわれは見のがしてはなりません。そういう環境を改善していくことを考えると同時に、行き過ぎた行為に対しましては、やはり法秩序の維持の観点から、これに対して、その行き過ぎたものに対する処置を考えていくということが治安の意味から当然であり、これは国全体が住みいいところであり、国全体の国民がその生活を楽しみ、平和になっていくという意味から申しまして当然のことである、かように思っております。

発言情報

speech_id: 103405261X00219600205_027

発言者: 岸信介

speaker_id: 6788

日付: 1960-02-05

院: 衆議院

会議名: 予算委員会