予算委員会
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会
会議録情報#0
昭和三十五年二月五日(金曜日)
午前十時三十分開議
出席委員
委員長 小川 半次君
理事 上林山榮吉君 理事 北澤 直吉君
理事 西村 直己君 理事 野田 卯一君
理事 八木 一郎君 理事 井手 以誠君
理事 田中織之進君 理事 今澄 勇君
青木 正君 井出一太郎君
江崎 真澄君 岡本 茂君
川崎 秀二君 久野 忠治君
倉石 忠雄君 小坂善太郎君
櫻内 義雄君 重政 誠之君
周東 英雄君 田中伊三次君
床次 徳二君 橋本 龍伍君
保利 茂君 松浦周太郎君
三浦 一雄君 水田三喜男君
山口六郎次君 山崎 巖君
淡谷 悠藏君 岡 良一君
木原津與志君 北山 愛郎君
小松 幹君 河野 密君
島上善五郎君 楯 兼次郎君
辻原 弘市君 堂森 芳夫君
永井勝次郎君 横路 節雄君
出席国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 井野 碩哉君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
文 部 大 臣 松田竹千代君
厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
農 林 大 臣 福田 赳夫君
通商産業大臣 池田 勇人君
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
郵 政 大 臣 植竹 春彦君
労 働 大 臣 松野 頼三君
建 設 大 臣 村上 勇君
国 務 大 臣 赤城 宗徳君
国 務 大 臣 石原幹市郎君
国 務 大 臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 中曽根康弘君
国 務 大 臣 益谷 秀次君
出席政府委員
内閣官房副長官 松本 俊一君
法制局長官 林 修三君
総理府総務長官 福田 篤泰君
大蔵事務官
(主計局長) 石原 周夫君
委員外の出席者
専 門 員 岡林 清英君
—————————————
本日の会議に付した案件
昭和三十五年度一般会計予算
昭和三十五年度特別会計予算
昭和三十五年度政府関係機関予算
————◇—————
この発言だけを見る →午前十時三十分開議
出席委員
委員長 小川 半次君
理事 上林山榮吉君 理事 北澤 直吉君
理事 西村 直己君 理事 野田 卯一君
理事 八木 一郎君 理事 井手 以誠君
理事 田中織之進君 理事 今澄 勇君
青木 正君 井出一太郎君
江崎 真澄君 岡本 茂君
川崎 秀二君 久野 忠治君
倉石 忠雄君 小坂善太郎君
櫻内 義雄君 重政 誠之君
周東 英雄君 田中伊三次君
床次 徳二君 橋本 龍伍君
保利 茂君 松浦周太郎君
三浦 一雄君 水田三喜男君
山口六郎次君 山崎 巖君
淡谷 悠藏君 岡 良一君
木原津與志君 北山 愛郎君
小松 幹君 河野 密君
島上善五郎君 楯 兼次郎君
辻原 弘市君 堂森 芳夫君
永井勝次郎君 横路 節雄君
出席国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 井野 碩哉君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
文 部 大 臣 松田竹千代君
厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
農 林 大 臣 福田 赳夫君
通商産業大臣 池田 勇人君
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
郵 政 大 臣 植竹 春彦君
労 働 大 臣 松野 頼三君
建 設 大 臣 村上 勇君
国 務 大 臣 赤城 宗徳君
国 務 大 臣 石原幹市郎君
国 務 大 臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 中曽根康弘君
国 務 大 臣 益谷 秀次君
出席政府委員
内閣官房副長官 松本 俊一君
法制局長官 林 修三君
総理府総務長官 福田 篤泰君
大蔵事務官
(主計局長) 石原 周夫君
委員外の出席者
専 門 員 岡林 清英君
—————————————
本日の会議に付した案件
昭和三十五年度一般会計予算
昭和三十五年度特別会計予算
昭和三十五年度政府関係機関予算
————◇—————
小
小川半次#1
○小川委員長 これより会議を開きます。
昭和三十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
これより質疑に入ります。周東英雄君。
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これより質疑に入ります。周東英雄君。
周
周東英雄#2
○周東委員 私は自由民主党を代表いたしまして、過日行なわれました総理の施政方針演説、外相の外交演説、蔵相の財政予算に対する説明、企画庁長官の経済演説等に関しまして若干の質問をいたしたいと思うものであります。
第一は外交問題でございます。そのうち、まず、安保条約の改定について総理並びに外相にお尋ねいたしたいのでありますが、この安保条約の改正につきましては、すでに昨年の八月ごろからその内容については世間に公表され、各所において十分に論議が尽くされ、しこうして、国民感情に基づく、かつて結ばれておる現行の条約の持つ不平等性、あるいはアメリカの意思の自由によって種々の行動が実行されるというような点について、また日本人とアメリカの軍人軍属、その家族等との間における差別的な待遇を含む行政協定、こういうものに対する改正を意図して、盛り込まれているものでありまして、何ら野党の言われるような、これが軍事同盟であるとか、あるいは日本を戦争に巻き込む準備機構であるとか、あるいは積極的に他国を侵略するような内容を持たないことは、もうすでに明らかになっておることでありまして、その意味においては、総理のお話しになっておる、あくまでもこの安保条約の改正は国連憲章第一条並びに第五十一条の趣旨にのっとって結ばれておるものであって、もし日本に対する侵略行為がないならば、永久にこの安保条約の発動はないものであるという主張は、私は正しいものであると考えるのであります。しかるに、これに対して、その解明あるにかかわらず、間違った趣旨の宣伝がなされておることは、まことに遺憾しごくでありまするが、私はその意味において首相が言われていることに付帯して解明をしてもらいたい点があるのであります。首相が言われる侵略なきところ常にこの発動はないと言われる趣旨は——最近における世界戦争のあとにおいてできました国際連合の趣旨は、あくまでも今後における国際紛争というものは、これを国連の安保理事会等の活動によって、力によらず話し合いによってこれを解決する、この趣旨のもとに国際連合ができておる。しかしながら、人間社会のことでありますから、常に乱暴者がおって、局地的な紛争というものが起こるということは、これはいなむべからざることであります。そういう際においても、その紛争が起こったときにじっと国際連合の発動を待っている間に息の根をとめられては仕方がない。殺されてしまってから医者にかけつけたのでは問題にならぬのでありますから、その間における自衛的な行為は五十一条の趣旨において認めておる。それが一国で不可能な場合において他の国と共同防衛の位置に立つという趣旨において、総理はそういうお話をされておると私は思うのでありますが、いかがでありますか、お伺いいたしたいと思います。
この発言だけを見る →第一は外交問題でございます。そのうち、まず、安保条約の改定について総理並びに外相にお尋ねいたしたいのでありますが、この安保条約の改正につきましては、すでに昨年の八月ごろからその内容については世間に公表され、各所において十分に論議が尽くされ、しこうして、国民感情に基づく、かつて結ばれておる現行の条約の持つ不平等性、あるいはアメリカの意思の自由によって種々の行動が実行されるというような点について、また日本人とアメリカの軍人軍属、その家族等との間における差別的な待遇を含む行政協定、こういうものに対する改正を意図して、盛り込まれているものでありまして、何ら野党の言われるような、これが軍事同盟であるとか、あるいは日本を戦争に巻き込む準備機構であるとか、あるいは積極的に他国を侵略するような内容を持たないことは、もうすでに明らかになっておることでありまして、その意味においては、総理のお話しになっておる、あくまでもこの安保条約の改正は国連憲章第一条並びに第五十一条の趣旨にのっとって結ばれておるものであって、もし日本に対する侵略行為がないならば、永久にこの安保条約の発動はないものであるという主張は、私は正しいものであると考えるのであります。しかるに、これに対して、その解明あるにかかわらず、間違った趣旨の宣伝がなされておることは、まことに遺憾しごくでありまするが、私はその意味において首相が言われていることに付帯して解明をしてもらいたい点があるのであります。首相が言われる侵略なきところ常にこの発動はないと言われる趣旨は——最近における世界戦争のあとにおいてできました国際連合の趣旨は、あくまでも今後における国際紛争というものは、これを国連の安保理事会等の活動によって、力によらず話し合いによってこれを解決する、この趣旨のもとに国際連合ができておる。しかしながら、人間社会のことでありますから、常に乱暴者がおって、局地的な紛争というものが起こるということは、これはいなむべからざることであります。そういう際においても、その紛争が起こったときにじっと国際連合の発動を待っている間に息の根をとめられては仕方がない。殺されてしまってから医者にかけつけたのでは問題にならぬのでありますから、その間における自衛的な行為は五十一条の趣旨において認めておる。それが一国で不可能な場合において他の国と共同防衛の位置に立つという趣旨において、総理はそういうお話をされておると私は思うのでありますが、いかがでありますか、お伺いいたしたいと思います。
岸
岸信介#3
○岸国務大臣 申し上げるまでもなく、今回の新しい安保条約は、御指摘のように、現在ある安保条約の不備を、国民の感情に基づいて、われわれの多年の要望を実現しようとするものであります。そうして、その前提は、御指摘にありましたように、あくまでも国連憲章の精神を前提としておるものであります。条約にも各所にその旨を明らかにいたしておりますが、言うまでもなく、今の国際の情勢は、あらゆる場合に国際紛争を平和的手段で解決する、力を用いず、武力を用いずに解決するということが国連の精神であり、またそれを今回の安保条約も大きく取り上げておるわけであります。ただ国連憲章五十一条にもありますように、いろいろな国際の現状から見ますというと、その間、国際連合が適当な処置をとる間において侵略が行なわれ、一国の安全と平和が害せられるという場合において、自衛権として行動をし得ることは憲章にも明らかにしておるところであります。これらの点を取り入れまして、われわれはあくまでも日本の安全と平和を通じて極東の平和と安全に寄与し、ひいて世界の平和を進めるという趣旨が基本方針でありまして、反対的な議論は、私は何ら根拠のないものである、あるいはしいて条約を曲げて解釈しようとするものであると解するほかはない問題である、かように思っております。
この発言だけを見る →周
周東英雄#4
○周東委員 私も総理の御意見に同感でありますが、私は重ねて外相にお伺いしたいのであります。私どもの非常に遺憾とする点は、この国連憲章第五十一条に基づいて結ばれておる日米間の安保条約というものが、日本だけが何かないしょでこそこそとこういうものを結んで、そうして他国を侵略する企図があるがごときょうな宣伝をする、そういうことに対し非常に遺憾に感ずる。私は第二回の世界大戦の後においてできた国連憲章、この五十一条の趣旨に基づいて結ばれておる同趣旨の、日米安保条約と同趣旨の条約というものは、日本だけでなくてほかの国も結んでおると思うのでありますが、いかなる国々が結んでおりますか。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#5
○藤山国務大臣 御承知の通り、国連憲章におきまして集団安全保障の体制というものが認められておるわけであります。従いまして、今日平和を維持するために、それぞれの国が集団安全保障の体制をとっておりますことは、これは単に自由主義世界ばかりでなく、共産圏の国々の中においてもそういう条約があることは御承知の通りだと思います。また国連憲章そのものに準拠しておりますかどうか別でありますけれども、集団安全保障の体制としてソ連と中共とが中ソ友好同盟条約という、集団的な条約を結んでおることも事実でございまして、世界各国おのおのそうした状況に現在ございます。
この発言だけを見る →周
周東英雄#6
○周東委員 私もさように思うのでありまして、ことに日本とアメリカの安保条約の改正を攻撃することに中心が置かれている。私は、大体同趣旨の規定と思いますのが、自由陣営においてもまた共産陣営においても結ばれていると思います。ことに私ども遺憾に存じますのは、中ソ友好同盟条約というものがどんな内容を持っているかということが国民にしっかりと了解をされておらないと思うのであります。もし野党の諸君の言われるごとく、日本とアメリカとの間に結ばれた安保条約なるものがかりに早くできておって、それがどうも中ソでも仮想敵国にして結んでおるというような恐怖にかられて中ソ友好同盟条約ができたなら別であります。しかし、私どもの見ておりますのは、日本がアメリカと安保条約を結んだのは、御承知の通り昭和二十五年二月であります。一九五〇年の二月であったと思います。日本の安保条約が結ばれたのは、講和条約締結とともでありますから、調印は一九五一年九月であります。そうして、発効したのが一九五二年四月二十八日であったと思います。しかも私どもが非常に解せないのは、当時日本の国内情勢というものは、講和によって独立をかち得るのではありますが、当時は自衛隊のごときものは一人として、一兵もなかった。国内における警察の状態も、現在ほどしっかりしたものではなかった。そこに新しい講和条約ができて独立する。しかも社会党の諸君はよく言われますが、国際の情勢というものは非常に変わってきていると言われる。しかし、日本が結んだ当時の事情及びその後における国際情勢を考えてみましても、社会党の言われるような状態でないと私は思う。ことにただいま申しましたように、日本が講和条約を結んだときの状況、安保条約を結んだときの状況を考えますと、その約一年八カ月前に中ソ友好同盟条約が結ばれておって、しかもその内容は、御承知の通り、そのプリアンブル、前文にこう書いてある。「ソヴィエト社会主義共和国連邦最高ソヴィエト幹部会及び中華人民共和国中央人民政府は、日本帝国主義の復活及び日本国の侵略又は侵略行為について」云々、これを防止するために共同防衛をやる、こう書いてある。またその第一条においても、日本に対する共同防衛、世界平和への協力という見出しで、「両締約国は、日本国又は直接に若しくは間接に日本国と侵略行為について連合する他の国の侵略の繰返し及び平和の侵害を防止するため、両国のなしうるすべての必要な措置を共同して執ることを約束する。」二項には「締約国の一方が日本国又はこれと同盟している他の国から攻撃を受けて戦争状態に陥った場合には、他方の締約国は、直ちになしうるすべての手段で軍事的の又は他の援助を与える。」と書いてある。一体一九五〇年二月当時、日本の国力は、中共を、中国を侵略し得るような態勢にあったかどうか、実に哀れな状態にあったことは事実であります。しかも、そういう状態において、日本が侵略したら、共同防衛するのだと、日本の国をメンションして、はっきり表わして同盟が結ばれておる。これこそ、共産党あるいは野党の諸君のいわれる仮想敵国をもって軍事同盟を結ぶということを言われるなら、ソビエト及び中共の間における中ソ友好同盟条約こそその形ではなかったかと私は思うのであります。すなわち、私の言いたいことは、中ソ友好同盟条約は、日本をメンションし、これを仮想敵国として結ばれておる、こういう状況が一年八カ月前にやられ、さらに当時の環境といたしましては、朝鮮における南北戦争が起こって、北の共産圏から南方に侵入して釜山まで来ていた、こういう環境のもとにおいて、日本は講和条約を裸で結ばなければならぬ状態にあった。そこで、このころにおいて日本は国連には加盟しておりませんけれども、国連憲章の趣旨に基づいて、自己の国の防衛をなすために、アメリカと協約を結んだということは明々白々の事実であって、何も日本のような弱国が他国を侵略する意思に基づいてかくのごとき協定を結んだものとは私は考えないのであります。でありますけれども、その当時の事情において、日本は非常に弱い立場にあったために、結んだ けれども、かなりアメリカの発言権が強くて日本が不平等な立場に置かれた、また日本人とアメリカの軍人軍属あるいはその家族等の間における差別的待遇が行政協定でとられたというような事柄は、何としても残念しごくなことでありまして、それを改正してくれということは国民的感情の要望するところでありました。これが今度の改正である。そうすれば、何らそこに日本の侵略的な考えもなければ、日本とアメリカとの軍事同盟でもつないということははっきりするのでありますが、私は政府におかれましても、こういう点は機会あるごとに、むしろこの中ソ友好同盟条約なりその実態を明らかにし、日米安保条約の成立の経過等をはっきり国民に認識させるようにしていただきたいと思うのでありますが、総理の所見を伺いたい。
この発言だけを見る →岸
岸信介#7
○岸国務大臣 日本が平和条約を結んで独立を回復したその際に、日本の国情国力は、周東委員の御指摘になった通りであります。また、日本を取り巻く周囲において、これに先だつ一年余前に中ソ友好同盟条約ができて、これに明らかに日本というものを明示して、軍事的な同盟条約が結ばれておるという状況のもとにおいて、日本が安全と平和を維持し、またわれわれが理想としておる国民の繁栄と自由を守っていくために、われわれはアメリカの力にもっぱらたよって、日本の平和と安全を守るほかはなかったのであります。しかし、それは成立のときからそういう特殊な事情ではありましたけれども、国民感情からいうと、独立国としてあまりにもこの条約が不平等であり、また日本の自主性が全然認められておらないということに対して、また米国駐留軍の国内におけるいろいろな待遇が、あまりにも他の同種の場合と比較して不当であるということは、初めから論ぜられたことであり、その後国会においても幾たびかこれを指摘して、再検討し、改定をすべきものであるという議論が行なわれておったのであります。われわれは、その国民の声を聞き、国民の要望を取り入れて、今回の改正をしたわけでありまして、あくまでもこの安保条約の精神は、現行安保条約と同様に、さらにその後における国連の忠実な一加盟国としての義務を遂行する上から申しましても、あくまでも防衛的な、他を侵略するような意図の全然ない条約であるのでありまして、制定当時からの事情、安保条約の本質について、さらに国民の理解を得るように、政府としても、今後とも、あるいは国会を通じて、あるいはその他の方法によりまして、できるだけの努力をすべきものだと考えております。
この発言だけを見る →周
周東英雄#8
○周東委員 次に申し上げたいことは、野党の諸君のお話は本会議等においても伺いましたが、一体国際情勢の認識において政府は間違っておる、もっと今日は雪解けの状況になっておるので、それに対処してこれは不要だ、こういうふうな議論が出るのでありますが、——私はこう考えるのですが、政府はどういうお考えでありますか。この安保条約というものは、先ほど申し上げたような趣旨でできてきたことはお話の通りでありますが、これはあくまでも局地の紛争、これがあるということが前提でありましょう。そうして、その局地紛争を、小さい芽のうちにつみとってしまう。これが国際連合の仕事であって、平生から、「平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。」こういうことであります。この趣旨は、局地戦争が起こっても、これを芽のうちにつみとって、拡大した世界戦争に持ってこない。ことに今日雪解けの状況といわれる内容は、米ソを中心とする両陣営の対立が激化して、破滅的な世界戦争が起こるということを避けるために、米ソを中心としたこの冷戦をなくそうということで話し合いが進んでおる。しかし、そのことは、局地戦争が起こるということを否定しておるものではないのであります。私はそう思う。こういう問題に関しまして、今日の状態は、その局地戦争というものが起こる可能性のあるということは、この協定のできた当時の事情はもとよりのこと、その後においても、あるいはベトナム南北の紛争、あるいは中近東における紛争、あるいはチベット問題、最近においては中共・ビルマの国境紛争、中共・インド間の国境紛争のごときが出ておるのであります。こういう際にも、この紛争をして大きな形に拡大させないようにする。しかもその間において、国連憲章の五十一条の関係において、自衛戦争あるいは共同防衛体をとるという関係でありますから、いわゆる社会党のいわれる雪解けの状態において、世界の情勢が変わっているということをかりに肯定したとしても、そのことによって安保条約の改定、存続を否定する理由には私はならぬと考えるのでありますが、総理の御所見をお伺いしたい。
この発言だけを見る →岸
岸信介#9
○岸国務大臣 国際の情勢をどう認識するかという問題に関しましては、過日来本会議を通じて私の所信を明らかにいたしております。野党の諸君とこの点において考えの基本に食い違いがあることは、私も非常に残念だと思うことであります。
言うまでもなく、今日の軍事科学の発達から、全面戦争、世界の破滅を来たすようなことは、これはわれわれがあらゆる努力を払って防止しなければならぬということは、米ソの首脳部初め、世界各国が考えておることであります。従って、強大なる米ソの武力が全面的に使用されて、世界が破滅になるような事態を避けるためには、話し合いによって東西間の問題を解決していこうという機運が動いておるというのは事実であります。しかし、それがこの東西間の重大問題であり、また主題であるところのあるいはドイツ問題であるとか、あるいはこの軍縮の問題が容易に解決するというふうな見通しを立てることは、まだまだ早いと思います。
それからまた、現実に、今御指摘になりましたような局地的な紛争が、遺憾ながら世界各地に起こっております。国連がそれを平和的に解決するために努力をしていることは御承知の通りであり、日本もそれに対して積極的な協力をして、これが平和的解決に貢献をしておることもまた事実であります。そういう現実の事態と、われわれの望んでおる、希望であり理想であるということを混同してはならないのであります。やはり現実に即して平和を守り、安全を守っていくということにつきまして、先ほど来お話がありますように、各国も集団安全保障の体制を、東西両陣営ともとっておって、それを強化していくことが、私は今日の世界の現実から見て平和を維持するゆえんであり、この新しい安保条約もそういう精神に出ているものでございまして、決して世界の大勢に逆行するというような性質のものではないと私はかたく確信をいたしております。
この発言だけを見る →言うまでもなく、今日の軍事科学の発達から、全面戦争、世界の破滅を来たすようなことは、これはわれわれがあらゆる努力を払って防止しなければならぬということは、米ソの首脳部初め、世界各国が考えておることであります。従って、強大なる米ソの武力が全面的に使用されて、世界が破滅になるような事態を避けるためには、話し合いによって東西間の問題を解決していこうという機運が動いておるというのは事実であります。しかし、それがこの東西間の重大問題であり、また主題であるところのあるいはドイツ問題であるとか、あるいはこの軍縮の問題が容易に解決するというふうな見通しを立てることは、まだまだ早いと思います。
それからまた、現実に、今御指摘になりましたような局地的な紛争が、遺憾ながら世界各地に起こっております。国連がそれを平和的に解決するために努力をしていることは御承知の通りであり、日本もそれに対して積極的な協力をして、これが平和的解決に貢献をしておることもまた事実であります。そういう現実の事態と、われわれの望んでおる、希望であり理想であるということを混同してはならないのであります。やはり現実に即して平和を守り、安全を守っていくということにつきまして、先ほど来お話がありますように、各国も集団安全保障の体制を、東西両陣営ともとっておって、それを強化していくことが、私は今日の世界の現実から見て平和を維持するゆえんであり、この新しい安保条約もそういう精神に出ているものでございまして、決して世界の大勢に逆行するというような性質のものではないと私はかたく確信をいたしております。
周
周東英雄#10
○周東委員 それにつきましても遺憾千万なのは、最近におけるソ連の声明であります。それに対して私がただいま申し上げたような趣旨で結ばれている日米安保条約というものは、日本とソ連との間における共同宣言というものをなされた当時から実は日米安保条約の存在はしておったわけであります。にもかかわらず、そのときにおいては何らの発言なくして、今日、同趣旨のものがただ内容的にもっと日本の立場をはっきりさせる意味において、日本がアメリカだけの意思でもってすべての行動をしてもらわぬようにいろいろの点において文字通り改正されたものではありますけれども、内容においては日ソ共同宣言の行なわれた当時のものと同一のものであります。にもかかわらず、突如として共同宣言の内容に盛られたところの、将来日ソの間における講和条約ができたときになされるべき一つの問題であった歯舞、色丹の返還をしないというようなことを声明したことは、非常に矛盾するおかしな問題だと思います。これこそ明らかに大国主義的な考え方であり、強国主義的な考え方であって、力をもってどうかつ、恐喝をして、日本をして正当な主張でも押えようとする主張にしか見えません。私ども党としてはこれに対する決議案を出そうとしておりますが、政府におきましても近くこれに対する反論をされるそうでありますが、このことは国民に向かってもその実態をはっきりと解明を加えて声明をしてもらいたいと私は思うのであります。ことに今日実行、協議されつつある日ソ漁業条約の問題、かくのごとき問題についても、これは一体こういうふうな日米安保条約の改定というような問題とは無関係な問題なのであります。にもかかわらず、伝えられるところによると、日米安保条約の改正によって日ソ漁業条約の話し合いも困難になるであろうという新聞記事の報道であります。実に驚き入った事柄であると私は思うのであります。こういう点に対しても、日ソ漁業条約は、別個の関係において、あくまでも学問的立場に立って資源の調査等が行なわれておるのでありますから、こういう問題と離れてまじめな交渉をし、妥結をすることが必要だと思いますが、これらに対しての政府の所見を聞きたいのであります。ことに私が遺憾なのは、このソ連の声明に対して社会党の淺沼氏が鬼の首でも取ったような形で、それ言わぬことではないかというような話が出た。一体どういうお考えであるか、私はその真意をつかむのに困るのであります。一体日本の国に対してかくのごとく不合理な声明がなされておることを、日本の政府が悪いようなことを外に向かって言われるようなことがあるこのこと自体が、日本の国内を二分しようとしておる外国の宣伝といいますか、謀略に乗ることだと思います。これは遺憾なことであると考えます。先ほどの点について政府の所見をお伺いしたい。
この発言だけを見る →岸
岸信介#11
○岸国務大臣 安保条約のこの改定問題が起こりましてから、ソ連、中共方面からいろいろとこれに反対するところの動きが起こっており、また国内に対していろいろな工作が行なわれてきたことは、私ども非常に遺憾とするところであります。すでに昨年の五月、ソ連大使よりの口上書に対しまして、われわれは当時この安保条約の本質について日本の立場を明らかにしたところでありますが、重ねて最近のグロムイコ外相の覚書というものは、これはその内容が、われわれ日本の立場から申しまして、全く安保条約というものを故意に曲解して、そうして国際信義に反したような、御指摘のような領土問題にまでこれを結びつけての覚書は、これは全く国際法の従来の考え方をじゅうりんするものである。いわんや私が申し上げているように、われわれがどういう方向によって安全保障の体制をとるかというようなことは、これはわれわれの自主的にきめるべき問題であり、他から干渉を受けるべき性質のものではありません。また日ソ共同宣言の中におきましても、互いに内政については干渉しないということを厳粛に申し合わせているにかかわらず、そういう点にまで触れていることは、われわれは非常に遺憾とするところでありまして、ごく近い時期に、日本政府の態度を中外に——ソ連に回答すると同時に、これを国民に明確に理解してもらうような方法をとるつもりでおります。
なお、御指摘になりました漁業交渉の問題は、これは日ソの間の漁業協定に基づいて年々科学的な根拠に基づいて漁獲数量を専門委員会の間においてきめる問題でありまして、何ら外交的な、いわゆる政治的な意味を持つものでないことはきわめて明瞭であります。従って、その問題とこの安保条約の改定の問題との間には、何らの関係がないのであります。あくまでもわれわれは漁業協定の趣旨に従って、科学的な根拠に基づいて、専門家の間において十分討議を尽くしていきたい、かように考えております。
この発言だけを見る →なお、御指摘になりました漁業交渉の問題は、これは日ソの間の漁業協定に基づいて年々科学的な根拠に基づいて漁獲数量を専門委員会の間においてきめる問題でありまして、何ら外交的な、いわゆる政治的な意味を持つものでないことはきわめて明瞭であります。従って、その問題とこの安保条約の改定の問題との間には、何らの関係がないのであります。あくまでもわれわれは漁業協定の趣旨に従って、科学的な根拠に基づいて、専門家の間において十分討議を尽くしていきたい、かように考えております。
周
周東英雄#12
○周東委員 安保条約に関しましては、冒頭に申しましたように、相当に長い間討議されて議論されたところであります。与党の私さらに重ねての質問を避けまして、外交委員会に譲りたいと思いますが、かくのごとく当然なことすら、実際国民の中にはまだ十分に浸透されておらない、その内容が理解されていないということについては私は遺憾に思いますので、この上ともその理解を求めるべく努力するとともに、議会を通じて安保条約の当然性というものを十分に天下に知らせるために、この審議に当たってはあまり時間を限って急ぐということでなくて、総理の言われるように十分な審議期間を与えて審議させていくことが必要だと考えるのであります。ただしかし、いつまでも時間を与えるということにも限度があります。同じことを何べんも繰り返して、考え方の相違ということでいつまでも理解せぬというような形になるならば、これは世論が判断してくれると思いますが、ただこちらから早く打ち切って早く通そうという態度でなくて、十分な審議を尽くさして、あれだけやっているのにとにかく議事引き延ばしのために繰り返し議論をやるというような場合においては、おのずから世論が判断することになると思います。十分な審議を尽くさせていくことが必要だと思いますが、どうぞ所見を伺いたい。
この発言だけを見る →岸
岸信介#13
○岸国務大臣 安保条約の問題は、すでに相当に論議された問題でありますけれども、いよいよ批准を求める、この国会において批准を求める、また最近におきまして、その提案の説明もいたし、これの御審議を願うことにいたしたいと思っております。きわめて重要な問題でございますから、国会において十分に審議を尽くし、反対の考え方も、またこれに対しての解明も、国会を通じて国民の前にできるだけこれを明らかにして、そうしてこの批准を成立せしめたいというのが私の願いでございます。十分な御審議を願って、そうして国民の前にこの意義をはっきりさせて、国民の、背後の御支持のもとに、国会において批准が成立するように進めていきたい、かように思っております。
この発言だけを見る →周
周東英雄#14
○周東委員 次に、総理、外相にお伺いしたいことは、施政方針演説でお話しになりましたように、総理は、今後は平和外交を積極的に推進するということであります。また外相は、同様に、平和外交の積極的推進と善隣外交を進めるというお話でございます。私どもはその御意思は最も尊重し、かくあるべしと思いますが、具体的にはどういう形で世界平和に対する積極的な推進をなされるか、お考え方を一つお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →岸
岸信介#15
○岸国務大臣 かねて私は日本の進んでいくべき外交方針として、国連中心の外交政策を進めるということを申しております。平和外交ということは、これを外交の基本としてわが党が立党以来堅持してきておるところでありまして、それを具体的に進める方法としては、国連に加盟し、国連の一員として、国連を通じてこれを展開していくというのが基本の考え方でございます。言うまでもなく、国連は世界の各国が加盟しまして、平和機構としてあらゆる機能をだんだん整備してきており、またその活動も世界の平和を維持するために、非常に強化されてきつつあります。日本もまたあるいは安保理事会の一員とし、あるいはまた総会におきまして、その他の理事会等におきまして、われわれはこの任務を進めております。従って、そういう意味において、今後といえども国連を中心にやっていくべきであると思います。ただ必要なことは、日本が国としてどういう基本的な立場をとるか、われわれはあくまでも自由主義の立場を堅持し、人間の尊厳と自由を守り抜く態勢こそ、真の世界の平和をもたらすゆえんであるという立場に立って、たとい政治体制やものの考え方の違う国々との間におきましても、お互いの立場、お互いの政治体制というものを十分に理解し、尊重して、そうしてお互いに侵さず、共存の道を見出していく、こういう立場をはっきりして、今後といえども世界のあらゆる国々と友好親善の関係を深めて、平和を増進していきたい、かように考えております。
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周東英雄#16
○周東委員 私はただいまの御意見はごもっともであると思うのでありますが、今後の世界の平和をどうやって維持し、進めていくかということに対して、最も大きな問題は軍縮の問題であろうと思うのであります。しかも、それに対しては、すでに関係各国の間に十ヵ国の会議が持たれております。その中には、共産圏を代表する国五カ国と、自由主義国を代表する五ヵ国が、軍縮に関する問題を討議することになって、三月十五日からやるはずであります。こういう問題について、一月の二十一日において、中国の全国人民代表大会常務委員会拡大会議というところで、陳毅外相は、中国は自国が同意した国際義務を何のちゅうちょもなく引き受けることは考えるが、しかし、中国が正式に参加せず、かつその代表の署名のない軍縮に関する国際協定は、当然中国に対して何らの拘束力を持つものでないという声明をしております。これに対してアメリカのバーター長官は、とにかく軍縮の計画には参加させる、入ってもらいたい、協定は守ってもらいたいが、交渉には入れない、また同時に、その義務を負うてもらう協定の中には入れるが、しかしそのことは中国を承認するものでもなければ、国際連合加盟を承認するものでもないという証言がなされております。この間において私は非常な疑問を持つのであります。今日世界平和の促進といいますか、確立をはかるについて、軍縮ということが大きな議題になっておる。なかなか総理のお話しになったように、このことはむずかしいと思います。が、しかし、これはあくまでなし遂げねばならぬし、総理も本会議の御演説で、ぜひこの十ヵ国会議がスムーズに成功して、軍縮が成功することを祈るとお話しになっておりましたが、こういう点において、せっかくできたと仮定しても、それに対して大きな軍事力と経済力を持とうとしておる中共がこの協定に服しないというような——これはあるいはどうかつかもしれませんが、そういうことでは、はたして軍縮ができたと仮定しても、世界の平和というものは非常に脅かされるのではないかという気がいたすのであります。ただ私はその点について、この十ヵ国会議に代表として選ばれた共産圏の五ヵ国というものは、これは国際連合の会議でありませんから、国際連合に加入しておらないものも代表としてなり得ると思うのでありますが、その際において、ソ連は中共を代表に出そうとしたのでしょうか、どうでしょうか。また代表として出そうとしても、これは許さなくて出られなかったけれども、この五ヵ国の共産圏代表の交渉した内容というものは、当然に共産圏を代表して出ておるのであるから、束縛するものであるかどうか。これが束縛できれば、ただいまの陳毅外相の声明なるものはまことにどうかつしたものであって、信義に反する問題であると思うのでありますが、これはいかがな内容でありましょうか、おわかりになっておったら御教示を願いたい。
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藤山愛一郎#17
○藤山国務大臣 御承知の通り、国連におきまして軍縮問題を数年前から取り上げて参ってきまして、その国連における軍縮委員会の構成につきましては、その数等の問題について自由主義陣営と共産側との間に話し合いがつきませんで、国連の軍縮委員会が円滑に進行しなかった状態にございました。その結果としてソ連及びアメリカ等が話し合いをして、いわゆるソ連のパリティ方式による国連外の委員会というものができることになりました。それがただいまございます十ヵ国委員会でございます。この十ヵ国委員会ができましたのは申し上げましたように、パリティ方式でありまして、共産圏を代表する五ヵ国、また自由主義圏を代表する五ヵ国というパリティを持った委員会になったわけでございます。その際に、中共をこのメンバーにするかしないかという問題は論議になっておりません。しかしながら、少なくも共産圏五ヵ国と自由主義圏五ヵ国という形においてできました委員会というものは、相当に共産圏側の意向を全面的に代表するものと見て考えていくことは適当だと思います。ただ、現実の問題といたしまして、この委員会においてどういうふうに話し合いが進んでいくか、またそれによって中共との関係がどういうふうになっていくかということは、今後の問題にゆだねられることだと思います。従いまして、国連といたしましても、この十ヵ国委員会と十分な連絡をとりまして、そうして十ヵ国以外の国の意見も十分この十ヵ国委員会に反映するように、国連においてはオブザーバーなりあるいは何なりを出すという考え方、あるいは何らかの形で連絡をとるという方向に進んでおるわけであります。従いまして、この委員会が進行する過程におきましていろいろな問題が出て参ると思います。むろん膨大な軍備を持っております中共を除外しての軍縮というものが、ある意味において非常に大きな欠陥を持つということは当然各国が考えておるところでありまして、それらの問題は、今後の動きからできるだけ各国が考えて善処していくことに相なろうと思います。
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周東英雄#18
○周東委員 私はこの点が今後における世界平和のかぎを握る一つの問題ではないかと思うのであります。ただいま十ヵ国会議においてともかくも共産圏を代表した五ヵ国が出てきており、その大きな力でその共産圏の意思を左右し得る力のあるのはソ連だと思うのですが、これが実際の内面的な話し合いにおいて中共を導き得るならよろしいのでありますが、そうでないとすると、実際上、先ほど申し上げたように、この軍縮会議というものができたと仮定しても、なかなかそれだけでは済まない状態になるのじゃないかと思います。その意味においては、今日におきましては、総理あるいは外務省が言われる善隣外交を進めるということの中に、中共に対して日本に対する誤解を解いて、理解を求めつついろんな話をやっていきたい、貿易の問題なりあるいは漁業の問題なり、そういう問題について話し合いを進めていきたいというお話でありますが、私は決してそのお考えに対して異議を申すのではなく、全く同感であります。ただ、それは今日の事態において、日本が中共の理解を求め、誤解を解いて、日本との関係だけをまず改善していくということは当然でありますけれども、今日の日本は、日本の日本だけでなくて、世界の日本として、世界の世論を大きく引っぱっていくというくらいの気魄は持っていいのじゃなかろうか。また今度の安保条約の改定というものによって、日本の世界における地位がある程度確保されるということも事実であり、その地位を大きく活用して、世界の日本として、私はこの軍縮会議を成功させるために、一体中共はどういうふうに持っていくかというようなことは、国連を通じてでよろしいが、積極的に働きかける必要はないのかと、こう思うのであります。私は善隣外交を強力に進めるというお話について、誤解を解いて、ある程度貿易なりあるいは漁業なんかを進めていくということは、内面的にはともかくも、中共をある問題については相手にしていくということであるのじゃなかろうかと思う。しかし私は、だからといって今日直ちに中共を承認せよとか、国際連合加盟だとか申すわけじゃないのです。ことに中共は、あるいはソ連も同じでありますが、現在の態度を改めていかなければ、外に向かっては非常な恐喝的なことをやり、あるいは中印国境紛争をやって侵略的な行為をやってみたり、あるいはビルマに対しては、最近協定ができたようでありますが、国境を侵してみたり、そういう形をやって、世界の平和というものについての観念がなく、そうして国際連合というような趣旨にも服従するという考えもない。そんなものをとにかくそのままで扱うことは困難でありまするけれども、ほんとうに世界の平和を念願するならば、この膨大な軍備を持つ、ことに日本の近所にある大国について、世界平和のために軍事力の制限、削減というものができるような形に持っていくことが必要じゃないか。それについてはもっと積極的に、日本が世界の日本となった今日出ていくことが必要ではなかろうか、私はこういうふうに考えるのでありますが、首相の御意見を伺いたい。
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岸信介#19
○岸国務大臣 中国大陸と日本との関係は、地理的に申しましても、歴史的に申しましても、あるいは民族的に申しましても、非常に密接な関係にあるところでありまして、この意味において、世界のどの国よりも日本は中国大陸に対する関心は最も深いと思います。また長いつき合いの上から、われわれの認識というものは、世界のどの民族よりも最も深いものを持っておると思います。しかも、日中の関係が今日のような状態にあることは非常に遺憾な状態である。従って、これを何とか打開していかなければいかぬということは、私は国民のひとしく願うところであると思います。そして、こういう断絶しておる状況がどうして起こっているかということを考えてみますると、私は、その非常に多くの部分が誤解であると思います。特に、安保条約の改定等に対しての中共側の言い分を見ますると、私が先ほど来論じてきているように、これは全くわれわれの真意を取り違えておる、あるいは故意に曲解しているのじゃないかとすら思われるような言動すらあるのであります。こういう状態は非常に遺憾であって、そのことに対して、われわれが誠意を持ってその誤解を解くように、正当な理解をするように進めて参らなければならぬことは言うを待ちません。しかし、中共政府の国際的地位についての問題につきましては、これはただ単に日本と中国との間の関係だけでは解決できないので、いわゆる世界政治の流れにおいてこれは解決していかなければならぬ。この意味から申しまして、私は、関係諸国と十分話し合いをしていかなければならぬ、しかし、その場合において、先ほど来申しておるように、われわれが中国に対して持っておる深い関心と認識と、従来の長いつき合いから生じておるところのわれわれの持っておる考え方というものを、十分に関係諸国にも理解せしめつつ、話し合いをして解決していく必要がある、かように考えております。
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周東英雄#20
○周東委員 総理の御意思はよくわかるのでありますが、今日の段階においては、国際連合を通じて、もしくは直接に米英というような方面とのお話し合いを積極的に進めて、どうするか、世界の平和を確保するために中共というものを度外してできないのだが、それを一体どうするかということについて積極的な提案なり考え方を述べて、相談を始めることが必要ではないか。私はこのことは決して日本だけでできるとは思いません。ことにわれわれとして最も考えなければならぬことは、台湾の日本に寄せられておるこの従来の信義であります。これを簡単に捨て去るわけにはいきませんが、しかし、台湾というものについてどうするかという問題は、当然そこの含みに考えられていかなければならぬ、こういうふうに考えております。しかし、今日の状態における中共というもの、中国というものをどういう関係において持っていくかということは、これは、世界の各国、米英といえども苦慮しているところだと思います。だからこそハーター長官の談話の通り、とにかく軍縮に関しては、協定等の会議、交渉の中には入れないけれども、できた協定は守らせるのだというようなことが出てくるゆえんであって、そこに悩みがあると思うのです。しかし、私は、世界平和のために過去の問題をいろいろ考えつつも、そういう点の話し合いを積極的に日本がやるべき立場じゃなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。今日同じく自由主義国の中においても、英国はすでに中共を承認しておる。しかし、いろいろなやり方に対しては、中国の行動に対して非常に批判的に英国はやっております。これは、私どもは今直ちに国連加入とかなんとかいうことを言うのではありませんが、とにかく軍縮会議というものの重大な現段階において、これをほんとうに実らせて、査察を伴う核兵器を含む軍備の規制、減少、廃止というようなことまで進むのには、やはりこの中国というものが中へ入って縛られるような軍縮の実質的な協定でなければ無意味だと思いますがゆえに、その点についての積極的な今後の働きかけを考慮し、プログラムを立てる必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。重ねて総理の御所見を伺います。
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岸信介#21
○岸国務大臣 国連においては、御承知の通り、台湾における中華民国政府を、安保理事会の常任理事国の一つとしてこれを認め、国際連合の重要な機能を果たさしております。こういう前提のもとに、全然この関係を無視して国際関係を作るということは、今日の段階においてはまだできない状況である。こういう問題を、私が言ういわゆる世界の政治の流れにおいて解決していかなければならぬというのであります。しかして、具体的の問題として、軍縮の問題に関連して、あの大きな中国大陸というものが世界の軍縮から抜けていくということは、世界全体の軍縮の実をあげる上から言ってこれははなはだ不完全なものである、と同時に、最も地理的に近接な日本としては、非常に関心の深い問題であります。従って、その問題がいよいよ現実の問題として、軍縮問題が結論を得るに近づくにつれまして、先ほどから外務大臣が申し上げているように、中共の問題をどう扱っていくかということが非常に大きな国際問題となると私は思います。また、そういう際におきまして、われわれが先ほど来申しているように、長い関係を持ち、最も深い関心を持っているわれわれが積極的に世界に働きかけていくということは、当然われわれのやらなきゃならぬことである、かように思います。
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周東英雄#22
○周東委員 それはそのくらいにいたしまして、最後に外務大臣に伺いますが、善隣外交を推進されるについて一番大事な、一番近いところの韓国の問題でありますが、実は、釜山に抑留された人間それ自体はもう二年越しになっている。これは、大村に収容されている人間との交換ということがもうかなり出ておりますが、しかし一向実現をいたしません。これは、私はよく事情を承知しておりまするがゆえに、政府の御努力というものはよくわかっておりまするし、いかにむずかしいものか、無理を韓国側が言っておるのじゃなかろうかと思われるのですが、これは何とか一つ、交渉の焦点を変えてでも、すみやかに韓国の問題を解決するという方向へ向かう必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。これはとにかく、いろいろな財産権の問題なり、あるいは韓国人の日本における資格の問題なり、いろいろ問題はありますが、一番困っているのが東海公海に出る、あの近辺に出る漁業者の問題であります。年々漁場が縮小されてきて、そうして成り立たぬような格好になっているだけではなくて、人間は抑留されて非常に困っておる。同時に、そのしわ寄せが沿岸漁業にきて、あの近海を荒らす、漁村も共倒れになるということが間接的に起こっておるということは見のがすべからざる問題でありますが、この点については、今後の方向としてどういうふうにお考えになりますか。交渉再開はできておるようでありますが、一向その後の状況がわかりませんが、お話しを願いたい。
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藤山愛一郎#23
○藤山国務大臣 韓国との交渉の経緯につきましては、御承知の通り、今日まで日本といたしましても、できるだけ慎重に、またできるだけ忍耐強くわが方の立場を説明もし、理解を得るように努力して参ったのであります。同時に問題点につきましては、われわれとしていろいろな日本側の要望を先方にも伝えまして、そうして極力それが達成を期して参ってきておるわけであります。ことに今御指摘のありましたように、釜山に抑留されております漁船乗組員の方々に対しては、まことにお気の毒でありますし、ことにその家族等のことを考えますと、われわれも一日も早くこの問題を解決しなければならぬという決意をもって進めておるのであります。
旧臘この問題につきまして、ある程度在日韓国人の処遇の問題についての話し合いが進みまして、ほぼわれわれ日韓会談の交渉の面におきましては見通しがついて参ったのでありますが、突如としてその話し合いがつこうという瞬間に韓国側が態度を変えまして、そうして国際司法裁判所等に北鮮帰還の問題を提訴するというようなことを申し入れて参りまして、これが中断をすることになったわけであります。この点はまことに遺憾でありまして、われわれとしては北鮮帰還の問題は既定方針通り進めて参ってきておるのであります。それらの点につきまして、十分理解を求め、また国際司法裁判所に提訴すべき問題ではないという説明をいたしまして、韓国側にその了解を求めたわけであります。
今日韓国側におきましても、さらに会談を続行する気持になってきておりますので、われわれといたしましては、困難な交渉であり、また忍耐強くこれをやって参らなければなりませんけれども、何としてもかつてわれわれと俗に言う同じ一つかまの飯を食った間柄でありますから、できるだけ円満に、できるだけ理解の上に立って、一日も早く交渉を妥結するように持っていきたいつもりで、われわれとしては考えを練りながらただいま善処しておるような状況でございます。
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今日韓国側におきましても、さらに会談を続行する気持になってきておりますので、われわれといたしましては、困難な交渉であり、また忍耐強くこれをやって参らなければなりませんけれども、何としてもかつてわれわれと俗に言う同じ一つかまの飯を食った間柄でありますから、できるだけ円満に、できるだけ理解の上に立って、一日も早く交渉を妥結するように持っていきたいつもりで、われわれとしては考えを練りながらただいま善処しておるような状況でございます。
周
周東英雄#24
○周東委員 私は外務大臣のただいまのお話はよくわかるのですが、もう少し交渉の形式なり方式なりを変えなければならぬのではないか。あるいはこちらからも政治的に、政党からでも代表を送って、もっと別の観点から折衝するとか、これはあくまでも外務省と密接な連係の上にでありますが、やる必要はないのか。ただ今まではともすると外務省が一本に表から出ているが、裏で別個な動きが出てくるというようなところに、統一ある形がとれないところに、いろいろな問題があるのではないかと思います。こういう点について、重ねて深甚な御研究を願って、すみやかに解決の方向へ向かっていくように努力を希望いたしておきまして、私のこの問題の質問を終わります。
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周
周東英雄#26
○周東委員 次には治安問題について、総理並びに法務大臣にお尋ねをいたします。
今日非常に目に余るものは、組織された国家社会において、法を無視して社会全体を傷つけたり、善良な国民の自由と権利が侵害されるような行為がひんぴんとして起こっております。このことは戦後において、民主主義という名のもとに隠れて、個の尊重が行き過ぎて、個人はいかなることをやっても、これは法の外にあるがごとき取り扱いがされて、ますます彼らをして不覊奔放な行動に出でしめたのではないかと思うのであります。なるほど日本が戦争に負ける以前の日本の状態においては、あまりにも個というものが尊重せられなかった。極端なことでよく言われますが、軍部の状態から言えば、一銭五厘のはがきで人間なら済むけれども、馬の方がとても大切で、なかなか大へんだというようなことを言われたようなこともあります。こういう個人軽視というものは、日本の実にむずかしい問題の発生の原因をなしたとも思うのであります。しかし戦後においては反対に個の権利を主張するの余り、個の尊重される余り、集団的に組織ある社会ができておる、その社会の利益というものはむしろ無視される形である、その結果は善良な国民が非常な迷惑をこうむる、これをある程度社会から隔離しようとすれば、弾圧である、民主主義に反するという名のもとにこれがまた放置される、集団暴力によってそれがやられるということは、いやしくも国家というものが全体の国民のために治安を維持していくという責任のある以上は、そういうふうな問題については十分な考慮をめぐらし、考えなければいけない、一面において善良な国民を善導していくかわりには、あくまでも社会秩序を破壊して他人に迷惑をかけるというようなものは隔離していくということが私は必要だと思うのでありますが、こういう点においてどういうお考えをお持ちになるか、まず総理大臣の御見解を承りたい。
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岸
岸信介#27
○岸国務大臣 民主政治を完成するために、個人の人権とその自由が尊重されなければならぬことは、言うを待たないのでありまして、これが不当に侵害されるということは、あくまでもこれを擁護していかなければなりません。しかし個人の自由を主張する者は、やはり他人の自由も認めなければなりません。個人の人格の尊厳を主張する者は、他人の人格の尊厳も尊重するというところに真の民主政治というもの、民主主義というものは成り立つものだと思います。従って憲法の、いわゆる人権を擁護する規定におきましても、この憲法全体を見ましても、やはり社会の福祉と公共の福祉というものは常に念頭に置いて考えられなければならぬ。われわれ多数の国民がこうした平和な安全な生活をし、おのおのの業務に励んでその生活を豊かにし、向上せしめるというためには、やはりここには個人の自由であるとか個人の尊厳というものが他人との関係においてある種の制約を受けるということは、これは私は当然なことだと思います。これをあるいは集団的な行動により、あるいは暴力行為によって他人の平和な生活や自由や人権をじゅうりんするような事態は、政府としてこれを取り締っていかなければならぬことはこれは当然であります。われわれが民主政治の前提として法秩序の維持ということを強く言うておりますのは、この意味であります。従って最近におけるところのいろいろな事態を見ますと、その背後におけるいろいろなそういうものを作り出しておる環境もわれわれは見のがしてはなりません。そういう環境を改善していくことを考えると同時に、行き過ぎた行為に対しましては、やはり法秩序の維持の観点から、これに対して、その行き過ぎたものに対する処置を考えていくということが治安の意味から当然であり、これは国全体が住みいいところであり、国全体の国民がその生活を楽しみ、平和になっていくという意味から申しまして当然のことである、かように思っております。
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周東英雄#28
○周東委員 私は当然かくあるべきだと思います。私どもは、敗戦以後における社会状態というものは、思想的にも混迷をいたしました。その間に乗じて、いろいろな内部的撹乱が行なわれたことも事実であります。その撹乱があったことにやや遠慮した形になっておるのが現在の状態ではないか。私は、今日の事態において、経済が復興して国民の生活がだんだんとよくなってきておるときに、この治安上の問題において思想上の問題において、日本は再び昔の国家というものを守るということ、決して、それは封建的な考えで侵略的な行為をやれとか、あるいは軍部がかつてやったような侵略をやれというのではなくても、日本の国というものを育て繁栄させる、日本の国家というものを愛するという正しい愛国心というものは必要だと思う。その意味からいったら、間違った形で社会組織を破壊する行動、他人に迷惑を与えてやられる集団行動というようなものは、私は、もう少しはっきりした信念を持って取り締りをやる必要があるのじゃないか。もとより、そういうことに対する、やる反面においては、ただいま総理のお話しになったような、積極的に社会保障制度あるいは社会の人が暮らしよくなるための所得倍増その他の計画をあわせ行なわなければならぬということは当然でありますけれども、何としても恣意的に、そういうことを聞かずして革命的行動に走ろうとする者に対しては、はっきりした態度をとっていくことが私は今日の急務ではないかと思う。これは信念を持ってやることが必要だと思うのですが、総理はどのようにお考えであるか。
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岸信介#29
○岸国務大臣 先ほどお答えを申し上げました通り、私は、多数の国民の福祉とその生活の向上、またわれわれが国をなして、国全体として繁栄していき、国全体を構成しておる人々が、いずれもその立場が尊重されていくように治安の維持に努めなければならぬ。これがためには、現在の国際情勢から見ますると、いろいろな国際共産主義の動きもございますし、またいろいろな誤った指導者の指導もございますし、また国民全体がそういうことに対しての認識を十分に持たない点もございますし、あらゆる面から、私は、この治安の維持に対しましては、お話の通り強い信念を持って、あくまでもこれが維持に努力をしていきたい、かように思っております。
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