古野伊之助の発言 (逓信委員会)

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○参考人(古野伊之助君) えらい御丁寧なごあいさつ恐縮しましたが、あまり経営委員会というものは、ちょっと由来因縁を申し上げるのは非常に簡単なんですが、電電公社の仕事を、まあ公社として発足するという当時に、佐藤榮作さんがたしか郵政大臣だった、突然こられて、そして今度は公社という制度で日本の電信電話の仕事をやることになった、それで君にも一つぜひ仲間に入って経営委員をやってもらいたいということで、私は、一体どういうわけでそんなものを私のところに持ってきたのだと聞いたら、あなたは民間で電信電話を一生涯一番たくさん使って働いている人だから、それだからぜひ今度の公社という制度ができるについてあなたに一つ仲間に入ってもらいたい、こういうことだった、ただし、俸給は一切出しませんから手弁当でお手伝いしてもらいたいということだったから、話がなかなか気に入ったし、どんな連中が一体経営委員に出てくるのかと聞いたら、大橋さんだとかそれからもとから逓信省関係のそういう方、河上さんとか、そういう連中、それじゃ私も手伝いにいかなければならぬのかなあということで、まあふらふらと経営委員の仲間に参加したわけです。その当時大橋さんが一番仕事にはなれている人で、これを経営委員長にするのだということで、それじゃ話を聞いてめくら判をついてやればいいと思ったのだが、しかしいろいろ出ていって聞いてみると、日本は非常に世界各国と比較してみて、電話の普及率が恐ろしくみじめな姿にあるのだ、聞いてみると、何でも世界の水準からいくと普及率が二十九番くらいになっておる、そんなべらぼうな話はないというので、私は、さっそくそれはどうしたら一体世界の一流国並みの電話の普及した国になれるのかというと、それは資金だと言うのだ、資金なら電話を使うやつに金を出させたらいいじゃな
 いかというのでだんだん調べてみると、電話の料金が一通話五円でしたかね、そのくらいのことだった。要するにこんなに電話が必要だ、必要だということになっておるのだから、電話を使う人間に持たせて――つまり受益者負担の原則でこの仕事を一躍世界一流の電話国に仕上げてしまったらいいと、こうさっそく私は考えたわけであります。
 それで幾ら戦争に負けたからといったって、世界の水準からみて二十九番目なんてのはナンセンスだ、それで資金は何も国家にねだらないでも、どうせ電話を使う人たちが自分で負担するということにすればたちどころに解決する問題だ。電話料金はその当時一通話五円といったやつを私は十円にしたらいい、こういう提案をしたわけです。だれに一体こんな話を持っていったらいいのだといって聞いてみると、総理大臣の首根っこを締め上げるのだ、吉田さんがその当時ちょうど総理大臣だった。吉田さんのところに談判に行って、電話料金を一つ倍にしてもらいたいのだ、そうすればじき日本の電話はどんどん普及する、そうして世界の二十九番目なんてみじめな話はあるはずはないじゃないかと言ったら、吉田さんは、それは倍というのは少し乱暴ではないか、乱暴な理由は毛頭ない、往復はがきは十円するのだ、はがきは一枚五円するのだ、往復はがき以上の、一通話の電話をかけたら往復はがき二、三枚の役は勤める、少なくとも一通話十円くらいの価値はあるのだと私は思う、こんなわけのわかった話を、何で値上げをぐずぐずする必要はないじゃないかと話したところが、そう、そう、聞いてみればなるほどもっともだなというような話になって、それではあなたは賛成したということにきめてようございますかというと、吉田さんは、わかった、関係の方へ話しておいてくれというから、関係といえばその当時郵政大臣ですね、それで郵政大臣に、ちょうど佐藤榮作さんが――もう忘れてしまいましたけれども、何かごたごたやっている間に人がかわって、たしか塚田さんのときだったと思いますが、塚田さんのところへ行って私、話をした。それでこれをぜひやっていただきたい、そして日本の電話事業というものを世界の一流国並みに早いところやっていくことが、日本再建の基礎工事だと思うからという話をしたら、塚田さんだと思いました――その間に榮作さんはかわっていってしまって……私を引っ張り出しにきたのが榮作さんだったのですが……。それで総理も担当の監督官庁も賛成だから、すぐよしということで、これでどうにか日本も明るみに出る。こんなことは釈迦に説法ですけれども、第二次世界大戦後の世界を革命しているものは御承知の通り電波と航空の仕事です。電波と航空というものに徹底して力を入れて、そして世界各国の一流国並みの水準に早くいくことが日本の再建の基礎工事だという信念から、たまたま私は電話の方にひっかかりを持ったので一生懸命やった。その当時の総裁、副総裁は、梶井剛君が総裁で靱勉君が副総裁だった、それで総理と監督官庁の郵政省も同じで、なるほどもっともだ、なるほどもっともだと、わかったら電話料を倍にしてもらうということで始まったのが、私の経営委員と称するものに引っ張り込まれた因縁なんです。そんなつまらぬことを言うて、あなたの質問に答えになるかどうかわからぬが、私は同じ考え方を今日やはり持っているのです。その十円値上げをするということがうやむやになって、公共企業体の料金をむやみに上げるということは、インフレを助長するからとか何とかかんとかいうようなわけのわからぬ話で、国会にきてそれがつぶされて七円という中途半端な数字にされてしまった。それで国会に勢力を持っておられる皆さん方、そんな金の苦労をせんでもだぶだぶ金がうなっているのだから、だぶだぶうなっている金を活用する、そうしてほんとうに日本の基礎的事業である電話電信の仕事を早く役に立たせていただきたい、こう思うのだが、それが何か七円になってしまったので、五年でできる仕事が第二次五カ年計画というようなばかばかしい仕事を今ごろやって、拡張がどうやら、拡大がどうやらなんということをやっているのですが、その当時だれか国会に有識者がいて、なるほど往復はがき並みの値段は当たり前だ、もっともじゃないかという話になっていれば、もう五カ年計画を二度やらなくても十年かかる仕事が五年で完成していた。かえすがえすもばかなことだとつくづく痛感しています。
 そういう因縁で私は経営委員会から足が洗われないでうろうろしている間に大橋さんが総裁にかわっていって、そして私が順ぐりに、互選か何かで、君、委員長になってくれということで経営委員長になって、ついにここに呼び出されて、お前どう考えているのだという御質問をせられたわけであります。そういうようないきさつです。そこで私は今日なお金が要るなら受益者からどんどん取り立てたらいい。みな電話をほしくて困っているのですから。まごまごしていて今日もなお電話普及の順序はやっと世界で二十二番目である。そんなことではつくづくだらしのない話だと思います。それで幾らでも料金は、正当な、私どもが最初主張した通り往復はがき並みの料金に上げるのはあたりまえだと思います。このあたりまえなことがどうも国会議員の方々にはおわかりにならない。皆さん賛成して下されば、すぐ昔の失敗を、何も十年かからぬでも、今ごろ拡大計画がどうやらこうやら言わぬでも、とっくに五年で完成してしまったという失敗の歴史をもう一ぺんここで申し上げて、国会に有力な立場を占めておる皆さん方がお考え直しを願いたい。資金の問題は何も困るわけはないので、金はだぶだぶ余っているのを、いろいろな制度でしばって自分で集めないで、世界で二十二番目にやっとなったということじゃナンセンスだ。どうぞ一つよろしくお願いします。
 具体的に何かありましたら一つ言って下さい。そんな気持で、頭の切り替えが必要だ。電電公社というのもごらんの通り逓信省の引き継ぎですから、おそろしく官僚的で、僕らのように民間で徹頭徹尾一生涯仕事をやってきた者から見ると、どうもお役所式のものの考え方が抜けないということが、皆と一緒に働いておるときに始終繰り返し感じられます。こういう所で必要な制度は今後も一つ修正してもらって、そうして早いところ世界の各国並みに、無電話部落の解消という言葉はありますが、私は、無電話世帯の解消ということを申したい。そのうちに日本は一億ぐらいの人口にすぐなるだろうと思いますが、それをかりに五人が一世帯とすれば、二千万電話を引いたら、東京に住んでいて、九州の端から北海道の端まで用事がたせるという時代ができるし、電話は赤字だ赤字だなんていうけれども、電信も電話が戸ごと戸ごとにできてついてしまえば、すぐ電信は電話で送ってやればそれでいいのだし、日本の様相は一変すると思います。敗戦後、皆ぼけてしまって手前の勝手な損得勘定にばっかりうろうろするやつばかりふえてしまいましたが、こういう国の基礎工事になる航空と電波という問題は、ほんとうにもっと真剣に考えてほしい。決して金の問題ではないだろうと思います。まじめに国の将来を考え、国の発展の基礎がどこにあるかということを考えてみたら、もっともな話とじき御賛同を得ると思います。それでそういうばか話のようなことを質問に対してお答え申し上げて、そうして何かはかに具体的に聞きたいけれども、これはどうか、これはどうかというようなことがありましたらどうぞ。

発言情報

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発言者: 古野伊之助

speaker_id: 19684

日付: 1960-03-17

院: 参議院

会議名: 逓信委員会